ココア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 09:07 UTC 版)
チョコレートの製法
1kgのチョコレートを作るには、必要に応じて通常300から600gのカカオ豆を原料とする。工場では混入した砂、鉄、カカオ豆以外の植物の組織などの異物を磁石や吸引、ふるいにかけるなどして除去する[13]。こうした工程を経た後、カカオ豆は焙煎され、粉砕されて外皮がふるい分けられる。残った胚乳部はカカオニブと呼ばれ、これを磨砕してペースト状にしたカカオマスをベースとし様々な方法でカカオリカーまたはココアペーストと呼ばれる厚いクリーム状のペーストを作る。カカオリカーは更に(多くの)ココアバターと砂糖(場合により乳化剤としてのレチシンとバニラ)を加え次に精製(微粉砕)、練り上げ(コンチング)、調温(テンパリング)を行いチョコレートに加工される。
高品質のココアバターは、カカオリカーを水平プレス機で圧搾することで得られる。搾油の残滓であるココアプレスケーキを粉砕したものがココアパウダーである[14]。この工程ではカカオマスを約50%のココアバターと50%のココアパウダーへと分離する[要出典]。ココアバターはチョコレート、チョコバー、他の菓子、石鹸、および化粧品の製造に使用される。
ココア消費による健康の影響
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チョコレートおよびココアは多くのフラボノイド、特に循環器に有益な健康の影響を与えるカテキンを含んでいる。フラボノイドが豊富なココアの食物摂取は一酸化窒素循環の急激な上昇、循環器を介した血管拡張および微小循環系の増大と相関する。
フラボノイドが豊富なココアの長期摂取は循環器系に有益な健康の影響を与えるが、これは純粋なココアとブラックチョコレートを示すことに注意すべきである。ミルクチョコレートでの牛乳の添加は単位あたりのココアの量を減らし不飽和脂肪を増加させ、場合によってはココアの心臓への健康の利益を否定する可能性がある。それでもやはり研究では引き続き、ブラックチョコレート消費による短期間のLDLコレステロール値の改善が発見されている。
ハーバード大学医学部のホレンバーグらは、ココアの摂取量が非常に多いパナマのクナ族のココアとフラボノイドの影響を研究した。研究では島に住むクナ族が島の住民ほどココアを飲まない本土の人と比べて、心臓病や癌の率が有意に低いことが分かった。フラボノイドが豊富なココアの消費により改善された血液循環が、心臓や他の臓器の健康に有益な影響を与えたと信じられている。特に有益な影響は脳に達し、学習と記憶に重要な好影響をもたらす可能性がある[15]。
アメリカの医学専門誌であるArchives of Internal Medicine(JAMAアーカイブジャーナルのひとつ)の2007年4月9日号で発表された研究「血圧に対するココアとお茶の影響:メタアナリシス(Effect of Cocoa and Tea Intake on Blood Pressure: A Meta-analysis)」によると、ココアに富んだ食事は血圧を下げるようであるが緑茶や紅茶ではそのような結果は認められなかった。
ココアには、血管収縮作用を有するチラミンが含まれているので、ココアを飲んでから数時間後にココアの血管収縮作用が消える際に血管が拡張する反動の影響として頭痛を引き起こすことがある[16]。チョコレートアレルギーも参照のこと。
人間以外の動物の消費
チョコレートは人間だけでなく、他の数多くの動物も惹き付ける食物である。しかしながらチョコレートおよびココアには多くのキサンチン、特にテオブロミン、およびより少ない範囲であるがカフェインが含まれ、犬と猫を含む多くの動物の健康に有害である。これらの成分は人間には望ましい効果を与えるが多くの動物では効率的に代謝できず、心臓と神経系に問題を引き起こし多量に消費した場合は死に至る。
しかしながら2000年代の中期に、キサンチンの濃度が低いココアの派生物がペットの消費に適するよう専門の産業により設計され、ペットフード産業は動物に安全なチョコレートとココア風味製品を提供することが可能となった。これにより食物繊維とタンパク質を多く含み、砂糖と他の炭水化物を控えた製品となった。その結果、ココアの健康的で機能的なペット製品の作成が可能となった。
ココア市場
ここでのココアはチョコレート原料としての広義のココアである。カカオ豆、ココアバターおよびココアパウダーはロンドンとニューヨークの2カ所の商品取引所で取引されている。ロンドン市場は西アフリカ産を、ニューヨーク市場は東南アジア産のものを主に扱う。ココア市場は世界最小である。ココアバターとココアパウダーの先物価格は、豆の価格に比率を掛けることで決定する。バターとパウダー合算の比率はおよそ3.5の傾向であった。合算比率が3.2を下回る場合、利益を上げられなくなるため、いくつかの工場ではバターとパウダーの抽出を停止し、代わりにカカオリカーのみを取引する。
注釈
出典
- ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
- ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
- ^ “ココア編”. チョコレート・ココアの用語辞典. 日本チョコレート・ココア協会. 2017年10月23日閲覧。
- ^ S.T.ベケット、p.51。
- ^ S.T.ベケット、p.50。
- ^ おいしいココアの飲み方、森永製菓
- ^ 練らずに☆簡単ミルキーココア、クックパッド
- ^ チョコレート製品について | チョコレート類の表示に関する公正競争規約 (日本チョコレート・ココア協会)
- ^ a b c 河野、p153
- ^ “日本のチョコレート事始め”. 日本チョコレート・ココア協会. 2018年11月25日閲覧。
- ^ 未来へ向けて。森永ココア、100年品質へ。 - 森永製菓(2024年2月14日閲覧)
- ^ 一般社団法人日本記念日協会に登録制定 立冬の日(11月7日)は「ココアの日」 (PDF) - 森永製菓プレスリリース(2016年10月24日)2024年2月14日閲覧。
- ^ S.T.ベケット、p.35
- ^ S.T.ベケット、p.51 - 52。
- ^ Bayard V, Chamorro F, Motta J, Hollenberg NK (2007). Does flavanol intake influence mortality from nitric oxide-dependent processes? Ischemic heart disease, stroke, diabetes mellitus, and cancer in Panama. Int J Med Sci.4(1): 53–8. PMC 1796954
- ^ 片頭痛の病態と誘発因子予防から治療まで見つかる、Eisai、2011-12-19閲覧
- ^ 医食同源 2003年10月
ココアと同じ種類の言葉
固有名詞の分類
「ココア」に関係したコラム
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