楡野家
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岐阜県・東美濃市のふくろう商店街で食堂(鈴愛の誕生時頃までは「楡野食堂」、のちに「つくし食堂」に改名)を営んでいる。2008年6月に、同じ梟町の夕霧高校近くに2号店となる、「センキチカフェ」をオープンした。草太が家業を継いでからは繁盛し、従業員も雇うようになるが、スパロウリズムへの出資は岐阜県人の気質もあり、断った。また仙吉が廉子にプレゼントした梟のブローチは晴、鈴愛に受け継がれ、花野が結婚した時は彼女に受け継がれることになっている。 楡野 鈴愛(にれの すずめ)(一時期森山 鈴愛(もりやま すずめ)) 演 - 永野芽郁(幼少期:矢崎由紗) 本作の主人公。胎児期を含め、鈴愛の心情を語る場面は永野芽郁がナレーションを入れている。 1971年(昭和46年)7月7日14時25分、出生時体重2991g、臍の緒が二重に巻きつく難産で、危うく帝王切開になりそうだった。このとき晴は「おなかを切ったら傷が残り水着を着られなくなる」ことを心配した。これを聞いた鈴愛は「私の命より水着が大事なのか?」とナレーションで抗議する。しかしながら結局、自然出産で無事に誕生する。名前は、晴が出産数日後の朝に聞いたスズメの鳴き声を可愛いと思ったことに由来する。幼い頃より、つくし食堂に置いている漫画を読んでいたことから、『マグマ大使』や『あしたのジョー』に詳しい。絵を描くことが得意で家族思いの天真爛漫な性格であるが、周囲から「羽より軽い」と例えられるほど口軽で、驚いたり感動したりすると「ふぎょぎょっ!」と言う癖があり、「株式会社ふぎょぎょ」として自身の社名にもした。この口癖は律や廉子など、周囲の人々も成り行きにつられて出るときがあり、娘の花野にもそのまま遺伝している。「了解致した」のフレーズもよく発する。また、しばしばトラブルを起こし、その度に「やってまった(岐阜弁)」と呟く。 小学3年の秋、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に不顕感染し、その後遺症でムンプス難聴を急性発症し、左耳の聴力を完全に喪失してしまった。当初表向きは平静を装い律にのみ涙を見せるが、その後「左耳で小人が踊ってる」と前向きに捉え、雨天の日も「半分雨が降ってて、半分晴れてる」感覚を楽しむなど心情が変化する。 中学生時、自転車乗車中に左後方からの車に気付かず事故に遭う。この経験から自転車に乗ることが苦手となり、岐阜県立朝露高校に進学した後はバスで通学。部活動は美術部に所属する。また、人の話が聞き取りにくい時は、健聴の右耳に「つけ耳」を装着している。 高校3年時には西高校の小林から告白されてデートをするが、相手に幻滅されて失恋。高校卒業後は勉強が苦手なことや家計への配慮から就職を考え、就職活動13社目で地元の農協から内定をもらう。一方、夏休みに律から借りた秋風羽織の漫画に触発されたことと、律の勧めで、初めての少女漫画『カセットテープの恋』を執筆、友人・知人らの好評を得て第2作『神様のメモ』を執筆する。律に誘われて11月に行った秋風のトークショーで秋風と出会い弟子入りを誘われたことをきっかけに、農協の採用を断り漫画家を目指すことを決めて上京する。 上京してほどなく秋風のネームを破棄した疑いで破門され帰郷するが、誤解が解けた上に秋風に技量を認められ秋風塾特待生兼アシスタントに昇格。アシスタント業と漫画の修行に打ち込むなか、正人に恋をするが彼に告白を断られて失恋。さらに清との喧嘩をきっかけに、不本意ながらも律と距離を置くこととなる。以後、『月が屋根に隠れる』(月屋根)を推敲し続けるが行き詰まり、1992年『一瞬に咲け』へ応募作品を変更した結果、その年の少女漫画雑誌の「ガーベラ大賞新人賞」を繰り上がり受賞。「月刊ガーベラ」1992年8月号に楡野スズメ名義で読み切りとして掲載され、好評で連載が始まる。 既に連載は打ち切られていた1999年春、裕子とその息子と横浜中華街に行った際に、『いつか君に会える』のアイデアが浮かぶ。「月刊アミー」の単発読み切りが決まり、雑誌イラストの内職と並行して進めるが、ネーム作りの段階で難航する。同じ頃、晴が持ち込んだ地元での見合い話は別の人に決まった。締切の日に30頁中15頁までしか描けず、構成力の無さを克服できないまま漫画家をやめ、秋風ハウスを去る。丸の内のOLを志望し就職活動するも叶わず、同年秋、アパートで一人暮らしをしながら、とある下町の「100円ショップ大納言」で時給750円(2002年時点では800円)のアルバイトに就く。声やルックスが元々好みだったことや、家に風呂のない生活に疲れたこと、出産年齢の観点などから、出会って6日目の涼次からの求婚を即座に受け入れる。翌2000年春に結婚式を挙げ、藤村家の離れに涼次と住む。2002年末、長女・花野を岡田医院にて里帰り出産。2007年末、映画監督として生きる夢を諦めきれず、家族に迷惑を掛けたくない涼次から突然別れを切り出され、紆余曲折の末、2008年に離婚。同年春、花野を連れ、楡野家に戻る。 地元での職探しに苦戦した結果、人に使われることに抵抗を感じ、さらに仙吉が五平餅を作らなくなったことから、つくし食堂2号店の社長に就く目標を持つ。ずっと絵を封印し続けていたが、仙吉の説得によって犬を花野に鉛筆で描いてあげ、自身が漫画家であったことも明かす。このイラストを立体化させた大型ぬいぐるみの「岐阜犬」を自分で作りあげ、センキチカフェに置く。貴美香から和子にも何か仕事があった方がよいのではないかとの話を聞いたことから、和子に「岐阜犬」の声を担当するように依頼する。パソコンができると偽りつつ津曲の元で事務員に就く機会を得て、スケートを習わせるための花野を連れた再上京を9月に決める。 2009年秋に津曲のオフィスは倒産、「株式会社ふぎょぎょ」を独りで営み、アイデア商品や恋愛指南のDVDなどを開発・発売。並行して五平餅屋台の副業をしていた際に正人と久々の再会。2010年7月時点では、同じ杉並区内で、律の最寄り駅の反対側に位置するアパートに花野と住む。 晴の手術に際して、「この広い野原いっぱい」の歌詞をヒントに、野原の風を集めて持っていけたら、もしくは、そよ風の扇風機があったらと、ひらめく。その時の話し相手の律も賛同し、一緒に開発を始める。開発したそよ風の扇風機に『マザー』と名付ける。 森山 花野(もりやま かの)→楡野 花野(にれの かの) 演 - 山崎莉里那(1歳時:福山すず花、山崎栞奈) 2002年(平成14年)12月23日、鈴愛と森山涼次との間に生まれた一人娘。愛称は「カンちゃん」。草太の姪で大地の従姉。 5歳の誕生日に、家を去る直前の涼次からプレゼントされたキツネのぬいぐるみを、「ココンタ」と名付けて大切にしている。 2008年春、両親の離婚に伴い、鈴愛と共に梟町に転居。テレビ中継で見た浅田真央のアクセルジャンプに憧れ、フィギュアスケート選手になってオリンピックに出場することを夢見る。 鈴愛の仕事の都合で東京に戻ってから、スケート教室に週1回通い始める。鈴愛が一度奮発して食べさせたことを機に、2010年7月時点ではカニに夢中になってもいる。 律と正人にも懐いている。梟町にいた頃は母鈴愛の真似をして律の部屋の真下で3回笛を吹いて呼び出し、鈴愛に描いてもらった犬の絵を見せていた。また「なんでも作るよオフィス」でフリーマーケットが開かれた時は、律と正人と一緒に寝たい、という花野の希望で光江ではなく彼らが花野の世話をした。 2011年3月11日の東日本大震災発生直後に教室で、緊張がほぐれて失禁し、これが元で複数のクラスメイトから無視などのいじめを受け始める。3年生になってもクラス替えがないという鈴愛の説得で、4月からの転校を決意する。 楡野 晴(にれの はる) 演 - 松雪泰子 鈴愛の母。 腎臓の持病のために子供を持つことを諦めていた。それゆえ、鈴愛を宿した際には戸惑うも、病状が安定していたこともあり出産を決意する。出産後、持病は回復する。 同日同院で出産した和子とは、友達のような関係が続く。 結婚し家庭を持つことが女の幸せと考えている。鈴愛が漫画家になると言い出した際には、農協の就職を口利きした仙吉の面子を気にかけたことや、職種や鈴愛の東京生活を不安に思い猛反対するが、口論を重ねるうちに鈴愛が大人に成長したことを実感し、鈴愛の進路を認める。2010年7月に早期の胃癌が見つかり、翌8月に名古屋駅に近くて風が入らない名北病院でした手術は成功するが、手術時の組織検査の結果から、5年生存率は50%と医師に宣告される。その後は貴美香らと、弥一がやっている写真教室に通い、写真撮影を趣味とする。 楡野 宇太郎(にれの うたろう) 演 - 滝藤賢一 鈴愛の父。仙吉・廉子夫婦の次男。1948年(昭和23年)生まれ。 自身が名付けたポチという柴犬をかつて飼っており、犬小屋だけは2010年現在も縁側に残している。 『あしたのジョー』や『ドンキッコ』、手塚治虫作品漫画の愛読者。 鈴愛が漫画家になると言い出した際には、晴と同様の不安に加え、保護者を通さず鈴愛に弟子入りの話を進めようとする秋風や菱本の不躾さに憤り反対するが、菱本の謝罪を受け秋風の誠意を知ったことや、鈴愛が弟子入りを諦めず何度も秋風に電話をかけていたことを知り、鈴愛の進路を認める。鈴愛の上京が決まってからは、DIYで本棚やスタンドライトを作って鈴愛に贈る。 楡野 仙吉(にれの せんきち) 演 - 中村雅俊 鈴愛の祖父。花野、大地の曾祖父。 1920年(大正9年)生まれ。出征先の満州から終戦後に帰国し、廉子とお見合い結婚。勤めていた楽器店が空襲で焼失したこともあり、家業の食堂を継ぐ。 名付けをしたことがなく、鈴愛の誕生時に孫の名付け親になれると期待する。結局、晴が「鈴愛」と命名して名付け親になれなかったが、その際に用意した名前である「つくし」は、自営する食堂の改装の際に付けられることとなる。鈴愛に長女(花野)が誕生する際にも、名前案を考えた。 フォークソングが好きでアコースティックギターの弾き語りを嗜む。囲碁も趣味。 鈴愛の良き理解者であり、が高校3年時には、就職活動に難航していることを知り、旧制中学校時代の後輩である西村に口利きをする。 戦争体験はあまり話そうとしなかったが、鈴愛が漫画家をやめるかどうかを電話で相談した時は自身の体験を話し、相談を受けたことも鈴愛が漫画家をやめたことも家族には隠していた。 カツ丼人気によって得意の五平餅作りをやめていたが、2008年に鈴愛から請われ、つくし食堂2号店開業のために作り方を彼女に教える。また、2号店の店名を考え花野だけに教える。同年の初夏、花野を膝に乗せながらの転寝中に息を引き取る。享年88。戒名は『裕誉善斎仙徳居士』。 死後は、遺影がしゃべる演出も見られ、廉子とナレーションで掛け合うこともあった。 楡野 廉子(にれの れんこ) / 語り 演 - 風吹ジュン 鈴愛の祖母。3人の息子(仙太郎、宇太郎、賢太郎)の命名もした。 1979年(昭和54年)、鈴愛が小学2年生の時に病で他界するが、その後も鈴愛をはじめとする家族たちを天から見守る。鈴愛らは、カエルを廉子の象徴としている。 たまに遺影がしゃべったり、語りに登場人物が反応を示す演出が見られる。 楡野 草太(にれの そうた) 演 - 上村海成(幼少期:志水透哉) 鈴愛の弟。鈴愛より1歳年下。 親の了解を取らないと行動できないほどの慎重な性格。鈴愛が左耳を失聴した際には、彼女のために翌日貯金をはたいて、ぐるぐる定規を買って贈る。1989年(平成元年)の時点では、恵(めぐみ)という名の交際相手がいる。鈴愛とは対称的に勉強の出来が良く、高校を卒業後は地元から名古屋の大学に通う。大学卒業後も実家に残り、1995年の時点では名古屋にある大手卵料理チェーンのレストラン「エッグシェフ!」に勤務する。1999年(平成11年)秋、10歳年上のバツイチで7歳の子を持つ柳ヶ瀬のバーのママである、ひかりとの結婚を考え、仙吉に相談。その後ひかりとの関係は終局し、2002年時点では里子と婚約。やがて結婚し、つくし食堂から徒歩10分の地に新居マンションを構え、長男・大地をもうける。2006年に「エッグシェフ!」を辞め、つくし食堂の若き店長として店に立つ。自身がつくし食堂において調理を任されるようになると、前職の経験を活かし、新メニューとして「ふわとろカツ丼」を出したところ好評を博し、つくし食堂にこれまで見られることがなかった大行列が出来るほどの看板メニューとなる。 なお自分の携帯電話には鈴愛の携帯電話の番号を「アホあね」と登録している。 楡野 里子(にれの さとこ) 演 - 咲坂実杏 2002年時点の草太の婚約者。その後、草太と結婚し、長男・大地を出産。2008年時点では、大地の学費を貯めるため、夫と共につくし食堂で働いている。 楡野 大地(にれの だいち) 演 - 田中レイ 草太と里子の長男。鈴愛の甥で花野の従弟。花野の容姿を気に入っており、里子と花野と3人で買い物行った際にお金を持っていない花野に肉まんを分け与えている(但し、花野を気に入っていたためか彼は具が多い所をあげてしまうと里子が叔母の鈴愛との会話で明らかにした)。
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