増刊号掲載分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:32 UTC 版)
「ゴルゴ13のエピソード一覧」の記事における「増刊号掲載分」の解説
“増刊話数 題名 / 発表年月”の順で記載。 増刊1話 17人の渇き / 1971年1月 船で国外脱出を図るKGBスパイの正体究明と狙撃をMI6に依頼されたゴルゴ。しかし、その船にはスパイとは無関係の客が十数名乗っていた。 増刊2話 デスマスクの肖像 / 1971年6月 いまだに根強い人種偏見の残る米国南部地方。ルイジアナ州知事のエイブラハム・ゴードンは、ニューオーリンズを訪れていたゴルゴとひょんなことから偶然顔を合わせ驚愕する。KKK団の支持を受ける白人至上主義者のゴードンは、州知事選直前にライバルにスキャンダルを作り出すためにゴルゴに仕事を依頼した過去があったのだった。ゴルゴが自分をゆすりに来たのだとかんちがいしたゴードンは、人種差別主義者のテロを装ってゴルゴを殺そうとするが、一方で、ゴルゴの方も偶然からゴードンが依頼の事情をすべて話していなかったことを知る。 増刊3話 国際ダイヤモンド保安機構 / 1971年11月 世界で産出されるダイヤモンドのすべてを買い上げダイヤモンド市場を牛耳るデビス社には、独占体制を維持するためのIDSO(国際ダイヤモンド保安機構)という秘密組織があった。密輸組織の探索のためにIDSOが派遣した残忍で悪名高い暗殺者・クリューガー3兄弟は、組織の女幹部を手酷く拷問した末に誰にも顔を見せたことが無いという組織のボスの名前を白状させる。3兄弟が密輸組織のボスを狙い始めたことを知った執事はゴルゴに3兄弟の抹殺を依頼するが、ちょうど同じ頃なぜか兄弟達の元にゴルゴの顔写真が届けられていた。 増刊4話 誕生日に白豚を殺せ!! / 1972年2月 米国社会を揺るがした黒人暴動はここ数年なりを潜めたものの、人種間抗争が払拭されたわけではなかった。ゴルゴがコンタクトに応じて訪れたニューヨークの黒人居留区でも、マルコムXの誕生日に白人警官を殺すという過激な襲撃事件が目と鼻の先で発生した。依頼人の黒人神父から黒人解放運動の指導者の暗殺事件への復讐を依頼されたゴルゴは、犯人の正体を知るという黒人ベトナム帰還兵ジム・ホーキンスの下を尋ねる。 増刊5話 素晴らしきシカゴ / 1972年9月 かつて銀行強盗として名を馳せたマックス・ボイド。仮釈放で8年ぶりに古巣のシカゴに戻ってきた彼を待っていたのは、すっかり変わってしまったシカゴの町並みと元恋人のジニーが成金と結婚してフロリダへ行ってしまったという残酷な現実だった。ジニーを取り戻すことを決意したマックスは、資金調達のため銀行強盗に加わり、金を奪って逃走する。 増刊6話 デス・バレイ / 1972年10月 狙撃を終えたゴルゴは、FBIに追われて死の谷に入った。そこには、黄金を探しに出て行方不明になった兄を探している男がいた。2人はインディアンの村に泊まることとなった。 増刊7話 蝶を射つ!! / 1973年4月 アリゾナ州ノガリスの麻薬捜査犬に手を焼いていた麻薬密輸組織のボスとその側近は、ゴルゴに犬の駆除を依頼する。ゴルゴはフェロモンを利用して無数の蝶を犬に纏わり付かせて足止めし、仕留める。 増刊8話 英雄都市 / 1975年12月 英雄都市の一つ、レニングラードが舞台。アンドレイ・パブロヴィッチ・ボロコフは、第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜になり、無理やりドイツ軍に協力させられ、戦後は西側に住んでいた。しかし齢を重ねたボロコフは望郷の念にたえられず、逮捕を覚悟でレニングラードの家族をたずねる。直後に、家族の誰かの密告により、ボロコフは戦犯として逮捕されてしまう。彼は、もし逮捕されたら、殺してくれ、という依頼を事前に行っていた。 増刊9話 皇帝と共に北へ向かう / 1978年4月 アメリカが南極・アムンゼン海岸の島にて極秘裡に開発していた致死性ウィルス・水死菌「φx176」。ゴルゴはバイオハザードが発生した可能性があるラボを全て焼き払いウィルスを回収して欲しいとの依頼を受け、南極に足を運ぶ。しかしラボの生き残りで発狂したコーニング博士は、ウィルスと周辺に生息するペンギンを使い、とんでもない陰謀を企んでいた。 増刊10話 アカプルコ散華の夜(ファイアー・ワーク) / 1978年8月 メキシコのアカプルコ。米国の億万長者の玉の輿になった元ヒッピーのメアリーは、久しぶりに夫と知り合ったホテルを訪れた。上流階級の暮らしにも飽きがきていたメアリーは、ホテルのプールサイドでたまたま再会したゴルゴを誘惑しようとする。金の無い時は春を売ることもあったメアリーは、かつてゴルゴの相手をしたこともあったのだった。が、ゴルゴの方ではどんなアプローチをしてもメアリーに全く関心を示さない。無視されることでかえって思いが高じてゆき、とうとうメアリーは思いきった行動に出る。 増刊11話 刑事よさらば / 1978年10月 深刻な治安の悪化が社会を覆う米国。ここシカゴでも、立て続けに発生する連続婦女暴行殺人事件が市民達を震撼させていた。捜査に当たっていたシカゴ市警の刑事・ボイルは、「病めるアメリカ」との言葉に相応しい凄惨な犯罪の数々に憔悴しきっていた。一本気で頑固な性格から職場でもうまくいかず、ボイルは刑事を辞めて恋人と二人でどこか静かな場所で穏やかに暮らしたいと夢想していた。そんな中、ボイルは新たに起こった暴行事件の現場検証の最中にゴルゴを目撃する。 増刊12話 B&Cクラブ会員死す / 1978年12月 ハンター団体「ブーン&クロケットクラブ」のメンバーは、ワニ狩りのためにフロリダに集まっていた。合法的な人間狩りがしたいという願望を持っていた彼らは、上院議員を殺害したゴルゴが自分達の近くに逃げ込んだ事を知り、喜び勇んでゴルゴを仕留めようとする。 増刊13話 G線上の狙撃 / 1986年5月 ヴァイオリニスト・シンプソンはG線上のアリアを演奏中ヴァイオリンの弦が切れるというアクシデントに見まわれ、パニックを起こし演奏ができなくなってしまう。その時のショックで人前で演奏できなくなったシンプソンはチャリティコンサートのソリストを降ろされてしまう。そして自分の代わりのソリストが共産主義者であるカミンスキーと知ったシンプソンは自分と同じように演奏中弦だけを切って欲しいとゴルゴに依頼する。 増刊14話 禍なすもの / 1986年9月 新型原子炉を搭載したソ連の偵察衛星が軌道修正を誤り米モンタナ州の山中に落下した。ハイカーに扮したKGB局員達は原子炉の回収に成功するがケガを負ってしまい、手近にあった山荘を訪れる。が、そこはゴルゴの山荘であり中には休暇中のゴルゴがいた。やがて局員達を探していた国防総省の部隊が駆けつけ、山荘を取り囲む。局員達は動揺するが、ゴルゴは眉一つ動かさなかった。それもそのはず、山荘は窓はすべて防弾ガラス、ドアは鉄板、丸太の壁の中には鉄筋コンクリートが仕込まれ、地下には核シェルターまで備えられたこの上なくゴルゴの所有物に相応しい完全防備の山荘であったからだった。 増刊15話 メイティング・マテリアル / 1987年5月 壮年ボディー・ガードのロバート・ブレディのもとに、警護の仕事が入る。依頼人のハロルド・エマーソンは大のチェス好きで、チェスが巧いガードマンを一ヶ月間雇いたいというのだ。滞在先のコテージはニュージーランドの海岸にあり、波は荒く強い海風が吹き荒れ、周辺には何もない平原が広がるという、警備にはうってつけの場所であった。ある日、ハロルドは電話回線を介してチェスの対戦相手を探し、コンピューター通信によって彼らとの勝負を始める。その時、表の番犬が吠え始めたのを聞いて、ロバートは500メートル離れた所に立つ隣のコテージを双眼鏡で覗いた。そこに見えたのは、カミソリのように目付きの鋭い東洋人の姿だった。 増刊16話 汚れた重賞(グレートレース) / 1988年5月 王室所有の馬ハーディリーフに不正薬物を投与して、自身所有の馬モーゼスワイルをダービーに勝たせようとするタタミール卿の計画を、ゴルゴは疾走するハーディリーフの肛門にホルモン系統薬を撃ち込んで阻止する。 増刊17話 幻のジゼル / 1988年8月 ボリショイ・バレエ団の至宝ナタリア・パブロワは、ソ連文化省の意向で、アメリカのバレエ団とパリで共演することになる。演目は「ジゼル」で、相方を務めるのは6年前にソ連から亡命したミハイル・レシオフスキーだった。かつて恋人だったミハイルは、パリへ出向いて来たことを好機としてナタリアにアメリカへの亡命を勧める。ナタリアは、悩んだ末に亡命を決意する。 増刊18話 ワシントン秘密工作 大統領はお元気? / 1988年11月 CIAの秘密作戦部・DDOのコンピューター室から、NATO軍に関する機密書類、“レインボー・221”が盗まれた。犯人はコンピューター技師のハリー・ローゼンバーグで、贅沢好きな愛人のために金に困り、盗んだ情報を東側へ売ろうとしたのだ。DDOの部長であるウイリアムズは、責任を問われてCIAを辞職するが、その直後、情報を売るためのノウハウを持たないハリーから、報酬を折半するという条件で、ソ連と接触する仲介役を頼まれる。ウイリアムズは、自らの手で”レインボー・221”を取り戻し、事件に決着をつけるべく、友人であるゴルゴに依頼を行う。 増刊19話 インディアン・サマー / 1989年5月 ネバダとユタの州境にある小さなモーテル。盲目の老女マーサと娘のシンディが二人で切り盛りしているこの宿に、出稼ぎに出ていた息子のハンクがしばらくぶりに戻ってきた。ハンクとシンディは久しぶりの再会を喜ぶが、マーサはハンクの陽気な声に隠れて一つの足音がモーテルに忍び足で入っていくのを聞き逃さなかった。マーサは顔なじみの保安官がつい先刻教えてくれた二人組の強盗の話を思い起こす。シンディは気がつかなかったようだが、目が見えない代わりに聴覚が鋭いマーサにはそれですべての察しがついた。朝一番にモーテルに訪れた東洋人らしき客を、足音だけで只者でないと見抜いたように。 増刊20話 疫病神の道標 / 1989年8月 ★単行本未収録。ハリウッドの人気俳優ハック・ロブソンの元を、三流ゴシップ誌の記者ブラドッグが訪れる。ロブソンが必死で隠していたある感染症の感染をどこからか聞きつけ、金を強請りに来たのだった。ロブソンは仕方なしに金を払うが、強請られた悔しさを押さえることはできず、ゴルゴを雇ってブラドッグの狙撃を依頼する。これでブラドックの口を封じることはできるものの、病魔に蝕まれていく将来を考えるとロブソンの気は鬱してゆくばかりだった。悩みに悩んだ末、ゴルゴの依頼遂行の時刻がやってくる。 増刊21話 公開処刑の日 / 1989年11月 モサドのスパイがイラク公安警察に捕まった。戦争が終わり、国外に向いていた不満分子の感情が再び政権へ向けられ始めていることを危惧していたフセイン大統領は、不満感情をイスラエルに向けさせるためこのスパイを公開の絞首刑にかけることにする。モサドのエージェント達は処刑阻止を命じられてバグダッドへ乗り込むが、その任務内容はフランスのテレビクルーに変装してカメラを構えていろというだけのものだった。一方そのころ、ゴルゴがイラクに入国したという情報が入りイラク警察を騒然とさせていた。 増刊22話 カリブの夢 / 1990年5月 キューバの革命戦士だったパブロは、かつて恋人を巡って対立した同志アベラの策謀によって現在はモスクワで拘禁されていた。KGBはキューバ革命の秘密資金の譲渡を条件に釈放を持ちかけるが、パブロは首を縦に振らない。しかし故国に残し、野球の才能を見込まれて現在はドミニカで訓練を受けている息子の危機には沈黙を通すことはできなかった。パブロの息子がアメリカ球界に行くことで革命時の悪行を喋られることを危惧したアベラは、彼を暗殺しようと画策していたのだった。パブロは秘密資金の譲渡と引き替えに、KGBにゴルゴとコンタクトをとることを要求する。 増刊23話 マイアミの奇跡(ミラクル) / 1990年8月 大企業のPFIコンツェルンの創業者、デビッド・ホーキンスは、若い妻グロリアもおり、世間がうらやむ暮らしをしていた。しかし、デビッドは、グロリアの浮気癖に気がついていた。いままでの浮気の相手は大物であったためにデビッドは黙認したが、今回の浮気の相手は水上スキーの選手というこものであり、デビッドの自尊心は傷つく。そんなデビッドを見て、知人で元CIAのジェフは、デビッドに妙な提案をする。ただのナイフをデビッドに渡し、これを百万ドルで買い取れ、そして奇跡を信じて待て、というのだった。 増刊24話 誇り高き葡萄酒(ワイン) / 1990年11月 世界最高峰のワイン「ロマネ・モン・リュイザン」のオーナーであるガイヤールは、日本人バイヤーの柳田が1800年ものをオークションで競り落とすだろうと予想する。そこで1905年ものを1800年ものと偽って出品し、柳田はガイヤールの予想通り偽の1800年ものを競り落とす。しかし柳田はガイヤールが出品したものは実は偽物でないかと疑い始め、自らパーティーを主催し、フランスのトップクラスのソムリエらを招くことを計画する。 増刊25話 死仮面の館 / 1991年5月 閑静な森の奥に佇む古城。女主人のトルバンセンは、同居する甥の婚約者・ナディネに特別な信頼を寄せていた。ナディネには予知能力のような不思議な能力があり、これまで何度となくトルバンセンの身の回りに起こる出来事を言い当ててきたのである。とある日、ナディネは館に不吉な男が現れるという予知をする。ほどなくトウゴウと名乗る奇妙な男が館を訪れ、ナディネはあの男こそが件の男だとトルバンセンに耳打ちする。トウゴウは親しい伯爵から紹介を受けた客であり、トルバンセンは当惑する。 増刊26話 クロスアングル / 1991年8月 パパラッチカメラマンのビクター・ランスは、その日もスキャンダル写真をものにした。しかしランスはこの仕事に飽き飽きしており、懇意の編集者に、もう足を洗うつもりだ、と打ち明ける。そんなランスに編集長は、最後の大物が残っているだろう、ゴルゴ13の狙撃写真を撮れ、そうすれば、それ以上のスクープはありえないのだぞ、と焚き付ける。これでランスはその気になり、ゴルゴの狙撃を撮影しようと策を練る。直接撮影するのは無理だ、と判断し、ランスは、窓ガラスに反射したゴルゴの狙撃シーンを撮影しよう、と思いつく。 増刊27話 バスを待つ人々 / 1991年11月 米国の某所が舞台、バスの待合室内で、会話だけで進行する。長距離に乗るため、バスの待合所に、何人かの男女が集まってきた。そして、その中のひとりは、ゴルゴであった。他の者たちの話題は、もっぱら、先日、この町で発生した、レイプ殺人をめぐってだった。シャーリーという娘がレイプされ殺されたのだが、犯人はまだつかまっていない。警察が一番の容疑者とみなしたのが、バスを待つ者たちのなかの中年男性、スタンリーだった。実は、シャーリーの父親は、ゴルゴが頼りにするスペシャリストのひとりだったが、娘の死でまいっていた。ゴルゴは依頼遂行のためにチャーリーの父の力が必要であり、そのために、娘のレイプ殺人犯のあぶりだしに一役買ったのである。 増刊28話 クラウン夫妻の死 / 1992年2月 雲仙普賢岳大火砕流一年目の特集を担当することになったテレビ記者・伊東は『火砕流から車で逃げ切った男がいる』との話を聞いて取材を進めるとその男がゴルゴ13であること、そしてゴルゴと火砕流で死んだ火山学者、クラウン夫妻とアメリカ軍のつながりを悟る。 増刊29話 ジョーカーを砕く / 1992年5月 1991年、イスラエルでラミィキューブの第1回国際大会が開かれた。世界各国から代表者が大会に出席したが、それは秘密裏に各国が次期国連事務総長就任に対する賛意を表すための暗号になっていた。そんな中、台湾のビジネスマンを装ったゴルゴがイスラエルに入国する。ラミィキューブの大会の騒ぎに紛れて要人を暗殺するつもりではないかと危惧したイスラエル警察はゴルゴをマークし続ける。 増刊30話 邯鄲の夢 / 1992年8月 今なお中国大衆の間で高い人気を誇る毛沢東。地方では毛沢東の肖像画が家内安全・一族息災のお守りになるとまで信じられ、飛ぶように売れていた。肖像画ブームの影には、保守派の重鎮・老青文の存在があった。大衆の毛信仰を利用した老の企みは、肖像画を大量に流すことで北京政府の権威を失墜させようとすることにあり、老の企みを見抜いた中国政府はゴルゴにコンタクトをとり彼を北京に招く。が、ゴルゴに示された標的は、老青文ではなく毛の肖像画であった。 増刊31話 ウエストウッドに死す / 1992年11月 とある依頼をゴルゴに託し、それを遺言にするようにして息を引き取った老人・ウィンダム。警察が身寄りのない一人暮らしのアパートを検分すると、元FBIロス支局長アトキンスに宛てた書き損じの脅迫状が見つかった。教会で雑用をしていた一介の老人と、引退したFBI支局長の二人にいったいどんな繋がりがあるというのか。不可解な事件に担当刑事のクリアキンは首をひねるが、やがて捜査が進展するうちに二人の間をつなぐ一人の女性の存在が浮かび上がってきた。二人の老人をつなぐ意外な架け橋、それはかの大女優マリリン・モンローだった。 増刊32話 告発の鉄十字 / 1993年2月 ★単行本未収録。ドイツの精神科医、ヘルムート・グローガーは、ゴルゴ13にスナイプを依頼した。ターゲットは、実父のハインツ・グローガーだが、ヘルムートはゴルゴ13に、「父の“影”を撃ってくれ」と依頼する。ハインツは隠居の身だったが、ハインツには一時的に記憶のない時間帯があり、その間、ハインツは、ハンスと名乗って、ネオナチグループのリーダーとして振舞っていたのだ。ハインツ自身の話によれば、戦時中、彼はV2ロケットの製造工場で働いていた。この工場でいざこざがあり、少尉のハンス・シュタイナーと撃ちあいになる。ハンスが発砲した弾丸は、ハインツの胸ポケットに入れていた鉄十字章に当たり、ハインツは死なないですんだ。一方、ハインツの弾丸でハンスは即死だったという。しかしヘルムートはもうひとつ納得できず、ドキュメントセンターに出向き父の過去を調べる。その資料によれば、ハンス・シュタイナーと撃ちあいになったのは曹長のブラウアーで、ブラウアーはこの際死亡、ハンス・シュタイナーは逃亡していた。そして、ハンスの顔写真は剥がされていた。その顔写真をはがしたのは、ハインツ・グローガーであり、その写真に写っているハンス・シュタイナーは、ハインツ・グローガー当人であった。ヘルムートは、ハンス・シュタイナー=ハインツ・グローガーが、解離性同一性障害を発症していると診断、ゴルゴ13に、ハンス・シュタイナーの人格だけを狙撃してほしい、という依頼なのであった。ある夜、ハンスの人格が現れ、アジトで演説を始める。そこにゴルゴ13は、戦時中の軍服を着て現れ、「曹長のブラウアーだ」と自称する。そしてゴルゴ13はハンスの胸の鉄十字章を狙って発砲、ハンスは失神する。気がついたときにはハンス・シュタイナーの人格は消滅し、ハインツ・グローガーの人格だけ残っていた。 増刊33話 CRAZY PARK / 1993年5月 富も地位も、すべてを手に入れた大富豪・ウィルキンス。刺激のない毎日にほとほと倦いた彼は、莫大な資金を投じて様々な仕掛けを施したテーマパーク状の施設を造り、そこにゴルゴを誘い込む。 増刊34話 血液サンプルG / 1993年8月 ゴルゴの宿泊するホテルから腸チフス患者が発生。ゴルゴは他の宿泊客共々血液検査を受けることになるが、自らの血液を採取した女医の異様に緊張した顔を見逃さなかった。ゴルゴの疑念通り、腸チフス患者の発生は仕組まれたものであり、その裏ではCIA局員の要請を受けた血液学者が、ゴルゴの血液の遺伝子情報を解析して彼の出生地を特定しようという企みが進行していた。 増刊35話 正義を行なう者(ジュスチセイロス) / 1993年11月 ブラジル・リオデジャネイロ。「ジュスチセイロス」と名乗るグループが、ストリートチルドレンを襲撃する事件が頻発していた。危険を予知する不思議な力を持つチルドレンのリーダー・カタリーナは、仲間達の復讐のため敵の懐に忍び込む。 増刊36話 アッシュ最良の日 / 1994年2月 うらぶれた裏町のアパートに住む自称「天才芸術家」のアッシュは、ガラクタを集めて前衛的なオブジェを作り続けていた。が、作品はサッパリ売れず、近所の子供達からもバカにされる始末。大家からも立ち退きを迫られていたが、アッシュは「いつか才能が認められる日が来るはず」と信じ、意固地になってアパートに居座り続けていた。そんな彼の元に突然ゴルゴが現れ、作品をひとつ残らず買い上げたいと申し出る。 増刊37話 雪上の悪魔 / 1994年5月 フィンランドの国境警備隊員・スキュレは、アルベールビルのバイアスロン競技で金メダルを取るほどのスキー・射撃の腕前に加えて、山の天候を読み、さらには人為的に雪崩を起こすなどの、人間離れした能力を持っていた。ある日、彼と部下たちは、ロシア国境へと向かって雪上を滑走する密入国者を発見する。崖のような急斜面を滑り降り、射撃の“間”を読んで弾丸を回避するその姿を見たスキュレは、かつて祖父を含む腕ききの猟師たちを返り討ちにしてきた、伝説のシベリア狼“灰色の悪魔(グレーデビル)”を想起する。 増刊38話 スナイパーストリート / 1994年8月 停戦合意がなされた後も泥沼の民族紛争の収まらないボスニア・ヘルツェゴビナ。クロアチア人の狙撃手・アンドリッチは、その狙撃技術とどんな相手を標的にしても怯まない非情さから、敵味方双方より畏怖されていた。しかし内実は、憎しみが憎しみを呼び憎悪の連鎖が包み込むボスニアの現状に懊悩し、そして卓抜した狙撃技術を持つ自身が停戦を妨げている原因の一つであることもよく理解していた。悩み抜いた果てに、アンドリッチはかつて親友だったセルビア人・シカティックに、とある手紙を出す。 増刊39話 潮流激る南沙 ―G資金異聞― / 1994年9月 南シナ海に浮かぶ南沙諸島。島とも呼べないような小さな岩礁の集まりだが、その海底には現在の世界の消費量の50年分とも100年分ともいわれる莫大な石油が眠っている。この島の領有についてはかねてより周辺六カ国が領有権を主張していたが、そこへ向こう四年以内に確立した領有権に対して巨額の開発資金が支給されるという噂が流れ、抗争が激化する。200億ドルにも及ぶ多額の開発資金「G資金」。 176話、180話『穀物戦争 蟷螂の斧』の藤堂伍一が再登場。 増刊40話 36000秒分の1秒 / 1994年11月 フランス一警備が厳重なサンテ刑務所の囚人を狙撃するには、囚人の独房から屋外へと続く通路を遮る扉が二枚同時に開いた一瞬を狙って発砲する必要がある。しかしそのチャンスはわずか10時間に1回のみ。依頼を受けたゴルゴは長時間M16を構え続けるために筋弛緩剤を注射し、針の穴に糸を通すような可能性に賭けて36000秒分の1秒のチャンスを待ち続ける。 増刊41話 黒い通信 / 1995年2月 ゴルゴの元に次々と届く黒い封筒に包まれた手紙。謎の手紙の送り主は、ゴルゴの滞在先はおろか情報網までをも知り尽くしているようだった。送られて来る手紙の指示に従ってゴルゴが足を運んだ街は、かつてゴルゴが狙撃を行ったことのある街だった。手紙を送っていた少年はゴルゴが教会で射殺した男アルシオーネを警護していた刑事フランク・マードックの息子で、何度も外部からの狙撃の危険性を訴えても無視した主任刑事ケリーに事件の全責任を押しつけられ、不遇のまま死んだ父の無念を晴らすべく、わざとゴルゴに殺され自身の命とその先に続く筈だった未来を代償に差し出し遺言テープで依頼した。しがない刑事の息子には依頼料に足るお金は作れない、だからこそ! 今や警察署長に成り上がったケリーと証人として呼びされた市長の目の前で、少年の死を賭した依頼をゴルゴは遂行した。 増刊42話 アムールの制裁 / 1995年5月 元ソ連国防軍特殊部隊員のユーリ・マルコフは、ロシアマフィアが軍から横流しされたウラニウム235を東洋の小国に渡すため、テレビクルーをカモフラージュにして中国国境地帯に入った。マルコフ殺害とウラニウム235回収の依頼を受け、ゴルゴはアムール川奥地の森林地帯に入る。 増刊43話 50年目の亡霊 / 1995年8月 帝国物産会長・巽千太郎には秘められた過去があった。大戦時にソ連に弱みを握られてスパイになり、外務官僚だった地位を利用して機密情報をソ連に漏洩させていたのである。そんな醜悪な過去を暴き立てた手紙が、終戦より50年も経たある日、当時の部下だった堀内武から届けられた。手紙の末尾には巽の命を狙うとも書かれていたが、しかし堀内は帰国後に事故にあってすでに死んだはずであった。巽の忠実な秘書・有木は、巽の暗殺を阻むためにゴルゴを雇うことを進言する。 増刊44話 GOD HAND 神の手 / 1995年9月 メキシコで、ゴルゴ13は、ポール・アンガスなる人物の狙撃を依頼される。アンガスは高額な治療料でイカサマ治療を行い、ばくだいな報酬を溜め込んでいた。依頼人の妻はアンガスに財産を貢いだ挙句に他界しており、その報復であった。しかし、アンガスは要塞といってもよいほど守りをかためたロッジにこもっている。遠距離狙撃は難しいとみたゴルゴ13は、別のアプローチを模索する。 増刊45話 未明の標的 / 1995年12月 ゴルゴはリバプールで仕事を請け負う。ボビーという若者がドラッグパーティーのさなかに殺されたという。依頼人はボビーの父親、ターゲットはボビーを殺したバイディアというインド人だった。バイディアが乗る飛行機をゴルゴはインドのバンガロール空港で待ち受けるが、その機は着陸したまま動きがなくなった。機内でハイジャックが発生し、犯人が篭城したのだった。インドの特殊部隊は突入を決断するのだが、ゴルゴはその特殊部隊の隊員を装って機内に突入、どさくさまぎれに、バイディアの暗殺に成功する。 増刊46話 乳白の闇 / 1996年2月 レーザー銃の光線は、風や重力の影響を受けることなく障害物がない限り確実に標的に向かって直進する。さらには光の速さで目標物まで到達し、銃声や硝煙の臭いを発することもない。そんなレーザー銃を用いて標的の網膜を焼き、幾人もの人間を葬ってきた狙撃手・タップスにゴルゴ抹殺の依頼が舞い込んできた。もはやライフルの時代は終わったのだと豪語するタップスは、彼が旧時代の象徴と見なすゴルゴを葬ることで新時代の到来を証明しようと意気込む。 増刊47話 老いた獅子 / 1996年5月 ゴルゴはクルド民族過激派から依頼を請け負う。ターゲットは、イラクのバビルライオン部隊の司令官、アマド。クルド人を何千人も殺したという。一方、この依頼に激しく戸惑うものがいた。過激派の中の長老格のゼバリ老師である。ゼバリは10年前にアマドと交錯したものの、油断してアマド側から銃撃を受けて、右腕を撃ち抜かれ不自由になっていた。ゼバリは自分がアマドをしとめたかったと仲間に愚痴るがゼバリにはやはり無理であった。しかしゼバリはあきらめず、依頼を受けたゴルゴにつきまとい、アマドは自分の獲物なのだとゴルゴに主張するがもちろんゴルゴは聞き入れない。そしてゴルゴはアマドを捕捉するのだが、ゴルゴが引き金を引くよりも先に、ゼバリはアマドを狙って発砲する。ゼバリの弾丸はアマドの肩を撃ちぬき、さらにその直後にゴルゴが発射した弾丸が、アマドの眉間を撃ち抜く。 増刊48話 フルマーク / 1996年8月 オリンピックが近づくアトランタで、女子ライフル射撃のアメリカ代表選手であるメアリージョーは、焦燥感に駆られていた。ライバル選手であるモニカが、新興勢力の銃器メーカー、ダーレン社が開発した新型ライフルを手に、フルマークを始めとする抜群のトレーニング成績を叩き出しているためだ。筋力トレーニングからメンタルリハーサルまで、全てをやりつくしたにもかかわらず彼女に及ばない苛立ちの中、メアリージョーは気分転換に故郷へと帰省する。しかし、帰省先の射撃場で、彼女は軍用銃・M16で十発連続のフルマークを叩き出したという東洋人の情報を聞きつける。自らの壁を乗り越えるためのヒントが欲しいメアリージョーは、男の後を追い始める。 増刊49話 禁じられた言葉 / 1996年11月 終戦から二十年も経た今頃になってベトナム戦争時の悪夢にうなされるようになったベトナム帰還兵のウィリー。ほとほと参ったウィリーは精神科を訪れるが、そこで戦時中に小隊の軍医だったトラヴィスとばったり再会する。トラヴィスは戦場ストレスを研究するために派遣されていた精神科医で、得意の催眠術を使ってウィリーのケガの痛みを和らげてくれたこともあったのだった。トラヴィスが診てくれるなら安心だとウィリーは喜ぶが、病院には戦友のカッツもいた。不可解なことに、カッツも全く同じ悪夢に悩されてトラヴィスの診察を受けているのだという。敵兵ではなく味方の米軍部隊に追い回されるという、ウィリーと同じ異様な夢に。 増刊50話 13階段の狙撃 / 1997年3月 悪辣な大統領の下、腐敗の澱の底に沈み続ける南米の某国。暴政に憤る将校たちはクーデターを計画していたが、いよいよ決行の日を決めた矢先、リーダーであった国防長官マティアスが秘密警察長官の姦計に遭って逮捕され、根も葉もない汚名を着せられ絞首刑を宣告されてしまう。息子のアロンソは父にかまわず計画を実行すべきと同志たちに願うが、しかし汚名を着せられた末の処刑には黙っていられず、ゴルゴに刑の執行直前にマティアスを狙撃し、執行に立ち会う秘密警察長官を殺害することを依頼する。ところがゴルゴは前者を断り、後者だけを請け負って去っていった。 増刊51話 PROFESSIONAL / 1997年5月 ハリウッド映画界で名バイプレーヤーとして名を馳せてきた老優レイスに、一世一代の主役が回ってきた。現在は静かに暮らす老境の元殺し屋が己のかつての生き方を取り戻すため妻を殺すという物語だったが、どうしても役柄がつかめない。役柄と同じ生活を実際にしてみるなど役作りに徹底してこだわってきたレイスは、ある晩とうとう眠っている愛妻のリサに拳銃を向けてみることまでしてみた。が、やはり演技はおぼつかなく、レイスは頭を抱える。寝床で密かに目を覚ましていたリサは、薄目を開けて苦悩するレイスを見つめていた。愛する夫を見つめる彼女の胸の底には、ある重大な決意があった。 増刊52話 HAPPY END / 1997年8月 CIAの腕利き工作員が活躍するアメリカの人気コミック「ゲーリー・ライトニング」。あまりにも長く続いたシリーズに作者のスヴェンソンはすっかり飽き飽きしていたが、絶大な人気を誇るために作者がやめたいと思っていても物語を終わらせることができない。ストーカーじみたマニアの存在にもうんざりしたスヴェンソンは、旅先で偶然出会ったゴルゴに狂言自殺の相談を持ちかける。 増刊53話 海底の豚 / 1997年11月 グレートバリアリーフ内で船舶事故が発生。現場に駆け付けた沿岸警備艇の隊員たちは、海面に投げ出された人々を襲う無数のホオジロザメと、海中でサメと戦う一人の男――ゴルゴ13を発見する。クルーザー上の標的を、スキューバダイビングによって水中から狙撃することに成功したゴルゴであったが、直後に暴走した同船が逃走用のクルーザーに激突、これを破壊してしまったのだ。海中では人間はのろまな豚も同然。次々に襲い来るサメの群れと、彼を捕まえるべく待ち構える警備隊に挟まれ、やがて身を守る武器を失い、空気ボンベの残量も底を突いた。 増刊54話 感謝の印 / 1998年5月 インドのカルカッタでテロ組織に資金提供しているシュリーという娘の抹殺依頼を受けたゴルゴは、その依頼が嘘であることに気づき、依頼者の司教を射殺する。その直後、バス事故に遭うが、マザー・テレジアに命を救われた。後にテレジア死去を知ったゴルゴは、100万$を教会に寄付する。 増刊55話 神の滴 / 1998年12月 市場に十本しか出回らなかったといわれる幻のワイン「シャトー・ラ・ミッション」の七八年ものの発見はワイン通達を沸き返らせたが、生みの親であるワイン職人ジャン・エミールにとっては凶報以外の何ものでもなかった。七八年ものは職人としての情熱をかけて作り上げた極上品だったが、敵対する職人の陰謀で三流ものの瓶を混ぜられてしまい、シャトーの面目を保つために泣く泣く回収したのだったが、よりにもよってその偽の瓶をエミールを快く思わない卸売業者に見つけられてしまったのである。 増刊56話 硝子の要塞 / 1999年3月 イギリスとアイルランドの間にある小さな人工島。周囲をガラスで囲まれた幻想的な佇まいを見せるこの島を、主のウォルトンは「不幸な女性の社会復帰のための保養施設」として造ったと称していたが、実際にはウォルトンはIRAの協力者であり、島はイングランド女性の臓器を密売するために建てられた施設であった。ゴルゴはIRAの資金源を断つためウォルトンの狙撃を依頼されるが、ウォルトンは四方を三重の防弾ガラスで覆われた「硝子の要塞」ともいえる島にこもって外へ出ることはない。 増刊57話 総統の揺りかご / 1999年6月 ベンチャー製薬企業社長ドッジはナチスに傾倒していた。ドイツ帝国総統アドルフ・ヒトラーが愛用したブラシを密かに入手、付着した毛根細胞からヒトラーのクローンを作成しようと画策し、ついにヒトラーのDNAの抽出に成功するのであった。その裏で製薬研究所副所長ヒンクルは、ゴルゴに接触し、自社の研究所をヒトラーの受精卵を諸共破壊するように依頼する。 増刊58話 一年半の蝶 / 1999年8月 欧米屈指の化学プラントグループの社長カールは、会長である父親の殺害をゴルゴに依頼する。会長は末期の癌に冒されており、余命は残り1年だという。1年を過ぎてもなお、会長が生存していれば、1年半後に狙撃を行うという条件を提示してきた。紆余曲折を経て、最終的に1年半後の狙撃依頼が成立する。会長が蝶の熱烈なコレクターであることを掴んだゴルゴは、社長の息子ネロに接触し、希少種である「アレキサンドラトリバネアゲハ」の人工孵化を依頼する。1年半後、ゴルゴは人工孵化に成功した『アレキサンドラトリバネアゲハ』をネロから買い上げた。 増刊59話 高度7000メートル / 1999年9月 米国行きの旅客機がハイジャックされ、その犯人は元海兵隊員で爆破のスペシャリストだった。偶然乗り合わせたゴルゴは犯人を殺害するが、機体が高度7000メートル以下に降下すると爆発する爆弾が仕掛けられていることを知る。ゴルゴは咄嗟に対応策を思いつき、機体主翼に取り付けられた爆弾の処理を行う。 増刊60話 原子養殖 / 1999年12月 インドとパキスタンが相次いで核実験を強行した。米・露・英・仏・中五カ国による核の独占体制が揺さぶられる中、米国の核問題ロビイストのアレンシスが核実験が行われた近隣に位置するサウスパシフィック共和国を訪れる。名目は休暇ということであったが、実際のアレンシスの目的は同国の外務院副議長のロネッタ・ベリーと密かに会うためであった。二人の密会を知った米国人ジャーナリストのハルクはその意図を探ろうと取材を始めるが、その矢先に空港でゴルゴの姿を目撃する。 増刊61話 列島油濁包囲網 / 2000年3月 日本の石油会社の巨大タンカーがGPSを通じて乗っ取られてしまった。犯人は多額の金銭を要求し、要求に従わない場合はタンカーを座礁させ、満載されている重油を流出させることを通告してきた。FBIはアメリカ国防省内部の人間が犯行に関与していることを察知し、犯人の自宅に乗り込むが、犯人を射殺してしまう。その場にいた犯人の恋人はタンカーの機関部を暴走させるスイッチを入れてしまい、タンカーは数時間もすれば爆発する事態となる。重油流出事故を食い止めるため、在日米軍はゴルゴにある依頼を行う。 増刊62話 フロリダ・チェイス / 2000年6月 フロリダ州・マイアミにてキューバ外相補佐官と面会したゴルゴは、刑務所に収監された囚人ホセ・カンボスの抹殺を依頼される。所内での暴動を繰り返す凶悪犯である彼に対して、キューバ政府はフロリダへ移住した他の善良な同国民への評判を陥しめる存在と判断、これを排除するように要請したのだ。しかしその直後、カンボスは別の刑務所への護送中に共犯者の手引きによって逃亡、同じく彼らが用意していた現金輸送車に乗り込み、メキシコへと向かう。さらにこの輸送車は、銃弾はおろかバズーカ砲や高熱の炎も通用せず、タイヤへの攻撃も無力化するという、戦車にも匹敵する強度を持つ代物であった。 増刊63話 錆びた黄金 / 2000年8月 成人人口の5人に一人がエイズ感染者といわれる南アフリカ共和国。アメリカの製薬会社でエイズの研究を行っていたカレル教授は、本国に戻り廉価な治療薬を量産する計画を進めていた。しかしその折、米副大統領が治療薬の複製を規制する方針を立ち上げ、国内外で物議を醸す。これを受けて鉱山エネルギー省長官のサイモン・ロイドは、南アフリカの未来を救うという大義のもと、米副大統領の暗殺をゴルゴに依頼するべく動きだす。しかし、彼の周辺人物の多くは、アメリカの行動に義憤を覚えると同時に、軽薄で傲慢な性格のロイドに対する不信感を持ち、彼の選択が更なる混乱を南アフリカにもたらすのではないかと危機感を抱いていた。人々の不安をよそに、ゴルゴとロイド長官が接触する。 増刊64話 赤いトロフィー / 2000年10月 1999年5月に起こった米軍機によるベオグラードの中国大使館爆撃事件。米軍は誤爆だったと主張したが、直前に問題になっていた中国の核スパイ問題が影を落としているのではないかという推測は事件発生当時から存在した。直後には核スパイ問題に関するコックス報告書がまとめ上げられて対中批判はいよいよ高まったが、とはいうものの、ナスダック・バブル崩壊後は中国の巨大市場を意識せざるをえなくなり、米政界の対中強硬意見は尻すぼみになる。一方、中国側も米国との穏便な関係を望む人間がいることには変りはなかった。そんな中、空港で盗難被害にあった奇妙なトロフィーがニューヨーク市警に押収される。中心に赤いガラス筒をあしらった洒落たデザインのこのトロフィーには、件の米中関係にまつわるとある秘密が隠されていた。 増刊65話 炎の証言 / 2000年12月 雑誌記者のアルマンは、その日も記事を捏造しては誌面を埋めていた。アルマンの事務所にいるただ一人の部下がイブリンであったが、どうやら秘密をかかえているようであった。アルマンは、その秘密を偶然知る。イブリンは、以前、夫と子とともにカルト教団に属していたが、FBIと撃ち合いになり、イブリンだけ生き延びた。しかし、そのFBIの攻撃には不審な点があった。FBIは催涙ガスを教団に打ち込んだが、どうやらその催涙ガスは引火性のもので、それが爆発し、必要以上の死傷者が出た、というのが真相らしかった。アルマンは、この謎を暴けば、ピューリッツァー賞も夢ではない、と意気込む。 増刊66話 星条旗を撃つ / 2001年3月 僅差の大接戦となった2000年の米大統領選挙。集計作業に不備のあったフロリダ州パームビーチの投票所で票の再集計の最中、未集計だった票の束が発見される。ところがその票の束が高々と掲げられた瞬間、屋外から換気扇の隙間をぬって銃弾が撃ち込まれ、弾痕が穿たれたパンチカードの票の束は穴が潰れて無効票となってしまう。その超人的な狙撃技術に共和党と民主党の立会人達はゴルゴの仕業と直感するが、直後に現在投票所で起こっている騒ぎの真相を知っているという怪電話がかかってくる。ゴルゴを雇った騒動の黒幕は、ホワイトハウスに人生のすべてを捧げた一人の老人であった。 増刊67話 シリコンアイランド / 2001年6月 独断で動いたIRAの雇われハッカー達が、資金目当てに外資系IT企業に物理的なテロをしかけた。IT立国を目指すアイルランド大統領はハッカー達の掃討をゴルゴに依頼したものの、その大統領の依頼はハッカー達にネットを通して筒抜けになっていた。彼らをもてあますIRAのメンバーはゴルゴの恐ろしさを訴えるが、ハッカー達はITの力の前には敵ではないと嘲笑する。 増刊68話 タミルの虎 / 2001年8月 スリランカの大蔵大臣カナガシンガムは、ある日、家出し消息不明だった息子チャンドランが武装組織LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)に参加していることを知り愕然とする。その後、息子から自爆テロを予告する電話がかかってきて、父を道連れに自爆するとすると話す。カナガシンガムはテロに断固とした態度を示したいが、息子を助けたい思いもあり、ゴルゴに警護を依頼する。 増刊69話 魔の海峡 / 2001年10月 マラッカ海峡を運航していた日本の海運会社・全日本海運のタンカーが海賊の襲撃を受け、青年船員の丹羽が殺害される。丹羽は社長の野口の親友の息子であり、野口は奇しくもかつて同じマラッカ海峡で消息不明になったこの親友の忘れ形見を実の子のように育ててきた。我が子のように面倒を見てきた若者を殺された憤りを押さえきれない野口は、ゴルゴにコンタクトをとって海賊の殲滅を依頼する。野口の依頼を受けたゴルゴはマラッカに飛び、仕事で使う高速艇を操縦できる腕利きの船員を雇う。が、「スズキ」と名乗るその日本人船員は、死んだ丹羽青年に面立ちがひどく似ていた。 増刊70話 ブーメランを持つ女 / 2001年12月 乗っていたセスナ機が事故で墜落してしまったゴルゴ。重傷を負ったゴルゴを助けたのは、人里離れた地で寂しく暮らす女。彼女はゴルゴに色目を使う。 増刊71話 三人の狙撃手 / 2002年3月 国連人権問題担当の女性幹部がゴルゴに仕事を依頼した。国連は、アフリカ大戦、とまで称されるコンゴ民主共和国の内戦を沈静化させたい、そのために新大統領と対抗勢力の話し合いを2週間後にセットした。この時まで、新大統領に対する不測の事態に備えてほしい、という依頼であった。 増刊72話 13恐怖症(トリスカイ・デカフォビア) / 2002年6月 元プロボクサーのトッドは、マフィアのボスのクレイグの手下となっていた。トッドは、極端なゲンかつぎで、黒猫や13という数字を忌み嫌っており、そのことが仲間の笑いの種になっていた。町中でゴルゴを見たトッドは、きっとゴルゴがクレイグを殺しに来たのだと考え、クレイグに身を隠すよう進言するが、まともにとりあってもらえない。 増刊73話 ピンヘッド・シュート / 2002年8月 新疆ウイグル自治区の教育部のウイグル人初の幹部となったアッシジの正体は、子供たちに共産主義を植え付けるために中国共産党から送られてきた男だった。これを防ぐため、ウイグル人の老人は完全な事故死に見せかけることを条件に、彼の狙撃をゴルゴに依頼。 増刊74話 未来予測射撃 / 2002年10月 「凄腕の狙撃手に狙われている」という偽の情報を買わせた男の制裁に臨んだゴルゴ。しかし男の頭を撃った瞬間、全く逆の方向から別の銃弾が飛んできて男の頭に命中した。銃弾を放ったのは件の狙撃手であり、男はその狙撃手にも「ゴルゴから狙われている」という偽の情報をつかませ、双方から金をせしめていたのだった。各々の制裁の現場に偶然居合わせたことで、図らずも二人のプロが対決することになる。ジョン・スミスという偽名を名乗るその狙撃手は、「未来予測射撃」ともいうべき見越し狙撃の天才であった。 増刊75話 最後の酒 / 2002年12月 長年ゴルゴの仕事の調査を請け負っていた調査員ジョイスが息を引き取った。今際の際に、ジョイスは後釜としてかつて旧ソ連の対テロ組織に在籍していたピーターを熱心にゴルゴに薦めた。「きっと化ける」ということだったが、しかしピーターはすでに現役を退いて長く、今はしがないポルノショップの親父に収まっている男だった。ゴルゴからの要請を受けたピーターは、好きな酒も断ってかつての勘を取り戻そうと気を引き締める。 増刊76話 ある女の視界(ファインダー) / 2003年3月 モータージャーナリストのフリーダは、有名カーデザイナー・ロッティの新車をなんとか公式発表前にスクープしようとしていた。だが公道でテスト走行中の新車を追い回している最中、相棒の運転ミスで車ごと川に転落してしまう。相棒は危うく溺死しそうになったが、たまたまその場に居合わせたゴルゴに救われ一命を取り留める。以来ゴルゴの姿が視界に焼きついてしまったフリーダは、どうにかゴルゴの素性を調べようと躍起になる。 増刊77話 1インチの錯覚 / 2003年6月 スイス銀行に貯蓄されている国際テロ組織「バグダリア」の秘密資金。その百桁を超える口座番号を知るのは、組織の金庫番ダリル・ラジェただ一人である。用心深く決して人前に姿を現そうとしないダリルだったが、近日中に行われるスイス銀行との契約には当人が立ち会わねばならない。組織壊滅を一気呵成に進めようとするCIAはこのチャンスにゴルゴに狙撃を依頼するが、ダリルには錯視を利用した視覚的なトリックを用いる奇妙な護衛がついていた。 増刊78話 サンクチュアリ / 2003年8月 オセアニアのナウトロ共和国。小国ながら天然資源グアノに恵まれたこの国はかつては国民一人当たりのGDPが世界最高を誇っていたが、近年ではそのグアノが枯渇して経済危機が到来し、外国から亡命者を呼び込むという政治的奇策に走っていた。ゴルゴはナウトロに亡命したサウン連邦の前副首席サヤ・タンの暗殺を依頼されたものの、サヤ・タンは整形手術で容姿を完全に変えてしまったようでその行方は全く捕捉できなかった。 増刊79話 荒んだ大地 / 2003年12月 タリバーン政権崩壊後も混乱の続くアフガニスタン。無医村で医療ボランティアに携わる日本人女医平松の下に東郷というボランティア志願の男が現れた。いまだに軍閥の暗躍する世情の中、男手もなく心細く過ごしていたところだったので平松は喜んだものの、ある日近隣のパシュトゥーン系軍閥の兵士達が医薬品を強奪しようと押しかけてくる。リーダーの将軍が悪性のマラリアに罹患したらしく、兵士達は往診に行ってもいいと言う東郷を連行する。東郷の身を案じた平松は危険を顧みずトラックを飛ばして軍閥の砦に乗り込む。 増刊80話 再発・ギランバレー症候群 / 2004年6月 フィリピンで営利目的に誘拐事件を繰り返している民兵組織の首領の狙撃を依頼されたゴルゴ。組織が立て籠もっている山の砦に潜入して難なく首領を仕留めたものの、首領の愛人が部隊の指揮を執ってゴルゴを追い詰めてゆく。ゴルゴは追っ手をかわしつつ逃走するが、折悪く右手が痺れる持病が再発してしまう。 増刊81話 欧亜の狭間 / 2004年8月 イラク政府に対する敵対勢力として米国とイラク戦争で共同戦線を張ったイラク内のクルド人勢力は、戦争終結後に米国の後ろ盾を得てイラク北部を占領した。クルド人が多数居住するトルコでも、その勢いを受けてクルド人独立を掲げるPKK(クルド労働者党)がトルコ政府に停戦協定の終了を突きつけてきた。トルコはEUへの加盟を悲願としており、何としてもテロ活動の活発化は避けたい。MIT(トルコ国家情報機構)はPKKの狙いがBTCパイプラインにあると睨むが、その背後にはクルド人の独立意識を利用しようと謀る黒幕の存在があった。 増刊82話 町が死にゆく時 / 2004年10月 モンタナ州のとある小さな田舎町。経済を支えていた金鉱が二年前に廃鉱になってしまったこの町は、以来過疎化が進んで寂れゆく一方だった。ところがある日、町にトランク一杯に金と宝石を詰め込んだ女が乗ったヘリが墜落してきた。直前には隣の群に住むハリウッドスターが狙撃されるという事件が起こっており、どうやら愛人が事件直後のどさくさに紛れて金品を持ち逃げしようとしたらしかった。町の住民達は金と宝石を懐に抱え込んでだんまりを決め込もうとする。 増刊83話 消滅海域 / 2004年12月 日本最南端の島、沖ノ鳥島。「島」という呼称に疑問符が付くほどの小さな岩礁であるものの、日本の南方の経済水域を規定する重要な根拠であり、もしもこの小島が無くなれば日本は四十万平方kmもの水域の領有権を失うことになる。中国海洋開発局局長の光家元は共産党本部に無断で沖ノ鳥島を消滅させる計画を立て、尖閣諸島で領海侵犯騒動が起きている隙に沖ノ鳥島に赴く。が、島の周囲では日本の新造深海掘削研究船「ちきゅう」号が航行していた。単なる試験航海に過ぎないと高をくくり、光は計画を実行に移そうとする。 増刊84話 生と死を分かつ川 / 2005年3月 ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区において、イスラエルはヘリからの攻撃を繰り返していた。その攻撃は精緻であり、ターゲットのみをピンポイントで抹殺していた。次々と幹部が殺されていくため、アラブ独立派の長老は、イスラエルに内通している者が居ると考え、業を煮やしてゴルゴを起用する。その上で、おとりを用意し、イスラエルに攻撃するよう仕向ける。果たして、裏切り者は、実はグループの幹部で、彼はターゲットに対して地上からレーザーを照射し、イスラエルはその照射点をピンポイント攻撃していたのであった。ゴルゴはそれに気づき、すばやく裏切り者を抹殺した。 増刊85話 鶏は血を流す / 2005年6月 南アフリカ共和国は世界各国の紛争地域・危険地帯に傭兵を送り出す世界最大の傭兵供給国である。ナミビアとの国境近くのとある小さな村でも、村の食い扶持を稼ぐべく日々若者達に訓練を積ませていた。ある日、オランダの傭兵派遣会社からトウゴウという新しい教官が赴任してきた。優秀な傭兵だった父の後を継ごうと鍛錬に励んでいた少年・リコは、トウゴウの持つ気迫に圧倒され憧れを持つようになる。やがてアンゴラのダイヤ鉱山から警備の仕事が入り、リコはトウゴウに頼み込み選抜メンバーに加えてもらう。 増刊86話 プリンセスの涙 / 2005年8月 皇太子との離婚が決まった皇太子妃ダイアンが英国一の宝飾職人コルダーに注文したのは、涙の形をデザインしたダイヤのペンダントだった。自分の代わりにペンダントに泣いてもらいたいという彼女の言葉にいたく同情したコルダーは腕によりをかけて作りあげるが、完成品が届く前にダイアンは自動車事故で亡くなってしまう。が、その後ペンダントはあろうことかダイアンから皇太子を奪った後妻のカメリア夫人が身につけるようになった。激怒したコルダーはゴルゴにコンタクトをとり、カメリアの首にかかったペンダントを狙撃で弾き飛ばすことを依頼する。 増刊87話 THE MOBS / 2005年10月 ボルティモア郊外のロックフォール大学では生物兵器に転用可能な細菌の培養実権が密かに進められていた。生物兵器の開発に反対する研究主任から暴走する部下の暗殺を依頼されたゴルゴは、研究所に潜入し見事標的を仕留める。が、この依頼の問題は標的を倒した後にあった。生物兵器開発の噂を聞きつけたデモ隊やマスコミが十重二十重に研究所を包囲しているのである。脱出が甚だ困難な仕事であったが、ゴルゴはネットの呼びかけで奇矯な扮装をして集まり、大騒ぎをして去って行くお騒がせ集団「MOBS」(モブス)に目をつける。 増刊88話 螺旋 / 2005年12月 スイスの高級時計ブランドの社長が殺害された。工房で時計を分解していたところを遠距離から狙撃されたもので完全にプロの狙撃手の犯行だったが、いったい誰がそのような依頼をさせたのか皆目わからなかった。唯一の手がかりは被害者の頭を撃ち抜くと同時に壊された腕時計だったが、元時計職人だった刑事のジャヌーが調べたところ、時計は部品の一つ一つが手作りで作られていた上に最高峰の技術「トゥールビヨン」まで使われた信じがたい程の高級品だった。 増刊89話 ONE SHOT / 2006年3月 舞台はシカゴ。中国系マフィアの依頼を引き受けたゴルゴは、ロシア系マフィアの幹部を抹殺。この組織のイワノフは報復しようとゴルゴに立ち向かうがゴルゴに返り討ちにされる。イワノフの兄でもある組織のボスは、是が非でもゴルゴを殺そうと奇策を立案した。そのために、粗暴犯と、ロシアなまりの少年、この二人を抱きこんで手駒とする。そして、粗暴犯がロシア系の財閥の一族の少年を誘拐した、というフィクションを用意し、ゴルゴに誘拐犯の抹殺と少年の解放を依頼する。ゴルゴが監禁現場に向かうと、凶悪犯は少年の左胸部に発砲、少年はそこから出血し、死んだように思われた。それを見て緊張を緩めたかのようなゴルゴに対して、少年が立ち上がり発砲しようとする。実は少年は内臓転位であり、心臓は右胸部にあった。しかし、ゴルゴは少年の左胸部からの出血が少ないことから、罠ではないかと気がついており、少年の眉間を撃つ。 増刊90話 伏兵 / 2006年6月 コロンビアでは、政府、反政府左翼ゲリラ、パラミリタレス(右派準軍事組織)が三つ巴の内戦を続けていた。左派のFARC(コロンビア革命軍)は、パラミリタレスの将軍を暗殺しようと、グルカ部隊出身の、バサンタ、アディカリ、というコンビのスナイパーを雇う。二人はアジトに接近していくが、その後方にゴルゴの姿があった。実は二人の師匠である老兵が今回の二人の任務に嫌な予感を覚え、ゴルゴを雇い、二人の後方でスタンバイしもし二人が成功するならそれでよし、もし失敗した場合は、ゴルゴに将軍を狙撃するよう依頼していたのだった。結局二人は失敗し、ゴルゴが標的を射殺する。 増刊91話 人形の家 / 2006年8月 ベネズエラのアンヘラ・ガルシアエネルギー石油大臣は、アンティーク・ドールのコレクターとしても有名で、先日も、ネットオークションで、ある人形を5万ドルで買ったという。しかし、この人形には、大変な秘密が隠されていた。人形の出品者の夫は元CIAのエージェントで、この人形の頭部に、CIA時代の知られてはならない記録を保存してあるメモリーチップを隠しておいたのだった。これがもし明るみに出れば大変なスキャンダルになるのだが、人形はベネズエラの政治家の手に落ちてしまい、回収は不可能に思われた。CIAの幹部はゴルゴ13に、人形の体内のメモリーの破壊を依頼する。 増刊92話 天使の一滴 / 2006年10月 テネシー州のナッシュビル。とあるバーで、バーテンダーのガルシアは客にその店で起こった不思議な事件を語って聞かせていた。その店で飲んでいた若者ホレイショは娼婦のドロシーの毒牙にかかり、高価なものをみついだあげくに、薬物中毒にされ、さらに、ドロシーのヒモが引き起こした殺人の容疑をかぶせられる。ホレイショは逮捕され収監されるが、獄中で自殺してしまう。ホレイショの父の上院議員は、ゴルゴを雇い、ドロシーとヒモの暗殺を依頼し、ゴルゴはそれを遂行する。その際ゴルゴは小技を弄し、このために狙撃地点がわからず事件は迷宮入りしてしまう。 増刊93話 双龍狙撃指令 / 2006年12月 片岡ファンドという投資ファンドが日本の大手メディアの株をひそかに買い進んでいた。この片岡ファンドの資金の出所は、葉という中国人であるが葉は中国政府の命で動いていた。しかも、このカネは、もともと日本がODAで支援した金品が元手だった。事態を重く見た外務省や防衛庁の官僚が動き、葉の暗殺をゴルゴ13に依頼する。葉は、ケイマンに資金をプールしていた。葉を始末しただけでは、この資金を使って、後任者が引き継ぐだけである。そこでゴルゴ13に、葉の暗殺と、ケイマンの隠しガネを出し入れするためのコードの抹消を、一弾で行ってほしい、と依頼する。 増刊94話 ドッグマンの鼻 / 2007年3月 タイのノイ社は、タイでドリンク剤を開発、販売しているメーカーだ。しかし社長のソムーチャイは、過去にオーストリアのエナジーオン社に煮え湯を飲まされていた。複雑な契約書をよく吟味しないままソムーチャイはサインしてしまい、欧米での販売権をエナジーオンにみすみす独占させてしまったのだ。捲土重来を期して、ソムーチャイは、甥で天才官能士のチャクラポンの能力を活用して、エナージオン社の商品を超えるドリンク剤を開発し、欧米で発売を目指す。それを察知したエナジーオン社の社長は、ゴルゴ13を起用し、チャクラポン殺害ではなく、嗅覚の麻痺を依頼する。 増刊95話 生き続ける遺体 / 2007年6月 モスクワのレーニン廟の地下施設から警備員数名が失踪するという事件が発生した。しかしその事件の真相はゴルゴが地下施設に侵入したというもので、失踪したとされていた警備員達は左遷されていただけに過ぎなかった。ゴルゴの真の狙いはレーニンの遺体の破壊ではなく、エンバーミング実験のため保存されていた遺体の1つを破壊することだった。歴史の闇に葬られた事件の真相を世間に公表しようと、一連の顛末を記事にしようとするロシア人記者が現れた。 増刊96話 復活・羅刹鳥 / 2007年8月 中国にて旧共産党要人を狙った連続殺人事件が発生した。どこからともなく飛来して標的の喉を斬りつけ殺害するという手口から、中国に伝わる伝説の怪鳥・羅刹鳥の仕業だという根拠の無い噂がネット上に広がる。しかし殺害された要人たちには共通点があり、新興宗教『金鵬来(こんぽうらい)』の信者弾圧に深く関わっていたのである。 増刊97話 夏の老人 / 2008年8月 夏のある日、一人暮らしの老人が急逝した。娘が遺品の整理をしていたところ、亡父のタンスから小さな謎の箱と通帳を発見する。亡父の口座には定期的に多額の金が振り込まれており、銀行に詳しく調べてもらうと、それらが海外からの送金によるものだと分かる。しかしそれ以上は詳細が分からず、引き続き遺品を整理している娘のもとに、ゴルゴが訪れてくる。 増刊98話 必殺の0.5秒 / 2008年10月 「ブレット」という異名を持つ狙撃手は元刑事であり、プロ同士の撃ち合いで無敗を誇っていた。相手の初弾を回避するという技能を有しており、それが無敗の由縁であった。クライアントからゴルゴ暗殺の依頼を受け、ニューメキシコ州の荒野でゴルゴと対峙する。 増刊99話 疑惑のペースメーカー / 2008年12月 CIAや国防総省は核兵器に関する情報を探っているスイスに懐疑の目を向けていた。ベン・クラハイムという人物がロシアで不審な行動を取っており、国防総省はスイス周辺にスパイを派遣していた。そしてスパイが入手した、クラハイムのレントゲン写真から謎のペースメーカーの存在が明らかになる。 増刊100話 獣の爪を折れ / 2009年6月 北京オリンピックを控え、二人の金メダル候補、エリックとアレンがトラックで練習に励んでいた。エリックの専属コーチと専用スパイク開発責任者の二人からアレンのスパイクのピンを狙撃し、アレンの金メダル獲得を妨害するように依頼されたゴルゴ。しかしその依頼とは別に専属コーチからある依頼を受けていた。 増刊101話 死への階(きざはし) / 2009年8月 かつての仲間の手紙からゴルゴに命を狙われていることを知ったマフィアのボス。自分自身の死がもはや避けられないと覚悟を決め、ゴルゴの狙撃を利用して組織が抱える後継者問題の解決を図る。 増刊102話 カリブの人喰い菌 / 2009年12月 カリブ海で消息を絶っていた高級クルーザーが発見されるが、全く人の気配が無かった。CDC(疾病管理予防センター)の医師を含めた湾岸警備隊の一行は防護服に身を包み、クルーザーに乗り込んだ。破壊された通信機や機関室には問題が無いこと等が明らかになり、更に医務室のベッドに残された痕跡から人食い菌ことビブリオ・バルニフィカスの感染があったことが断定される。 増刊103話 ジンネマンの1時間 / 2010年6月 米バージニア州のハイウェイで、標的である悪徳医師ジンネマンを待ち構えるゴルゴ。対向車線の車が交通事故を起こしてしまい、ジンネマンは仕方なく応急処置を施すが、運転していたのは臨月を迎えた妊婦であった。その様子をゴルゴはスコープ越しに見守っていた。 増刊104話 禁忌のスコープ / 2010年8月 カンボジア旅行の道中で日本人旅行者が偶然拾ったというライフルのスコープ。そのスコープをレンズに詳しい知人に見せたところ、ドイツ製の最高級品であり、各所にカスタマイズが施されていると言われる。更にその知人の顔見知りであるアメリカ人に画面越しに見せたところ、そのスコープがM16のパーツであることが明らかになる。 増刊105話 消えた原稿 / 2010年12月 サンディエゴの新聞記者ニールは、後輩記者のケインから「マリンニューディール計画」と題された原稿を渡される。学生時代の友人で、議員秘書を務めているガセルとの酒の席でスピーチの原稿の話になり、件の原稿を見せたところ、ガセルは顔色を変えていた。執拗に原稿を買い取ろうとするガセルに対して、ニールはその原稿の著者が自分の後輩記者であることを明かし、原稿の返還を求める。 増刊106話 もうひとりのプロフェッショナル / 2011年12月 カナダのヌナブト準州の雪原で、テントを設営するゴルゴのもとへ一人の老ハンターがやって来た。その老人はゴルゴを写真家と判断し、その翌日もゴルゴのテントへやって来て、自分の身の上話や狩猟における持論を語り、自分の心境を吐露する。 ●ビッグコミック増刊号への新作のゴルゴ13の掲載は106話まで。以後は、ビッグコミック増刊号には過去のエピソードが再掲載されている。 [先頭へ戻る]
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