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ヴァイオリン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/31 15:04 UTC 版)
| ヴァイオリン | ||||||||
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| 各言語での名称 | ||||||||
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| 分類 | ||||||||
| 音域 | ||||||||
| 各弦の調弦。実音通り記譜 | ||||||||
| 関連楽器 | ||||||||
| 演奏者 | ||||||||
| 関連項目 | ||||||||
ヴァイオリンまたはバイオリン(violin)は、弦楽器の一種。弦を弓や指などで振動させることによって音を出す。ピアノと並ぶポピュラーな楽器である。しばしば「Vn」、「Vl」と表記される。
目次 |
構造
本体
全長は約60cm。一般にボディ長で楽器の大小を見る。現代では355mmが平均。オールドは352mm前後が多い。重量は楽器にもよるが、300-600g前後である。
材料
一部の電子ヴァイオリンにはプラスチックも用いられているが、本節では伝統的なヴァイオリンの材料について述べる。
ヴァイオリンに使用される木材は、部位によって異なった樹種が用いられている。表板はスプルース(ドイツトウヒ)、裏と側板・ヘッドなどにはメイプル(イタヤカエデ)が一般に用いられる。指板は通常黒檀が使われる。
湿気による反りなどの不正な歪みを防ぐため乾燥された木材が適当とされている[要出典]。現在では乾燥釜をつかった強制乾燥による5年から8年もののKD材を使用する場合も多い。
側板・裏板のカエデ材は、通常柾目面が表面に露出するような板取りである。「杢」が出ている材を使用することも多い。
構造
基本的な構造は右に示した図の通りである。
表板の裏側には、力木(バスバー)と呼ばれるスプルース(表板と同じ材)の部品が、膠で張りつけられる。これは表板を補強するとともに低音の響きを強め安定させる役割も果たす。
胴体内には、魂柱(サウンドポスト)と呼ばれるスプルースの円柱が立てられている。魂柱はコマから表板に乗った振幅を裏板に伝え、両板の振幅を適切に引き出して音色・音量を決定する重要な役割を果たす。
駒・魂柱・ペグ・エンドピン以外の各部位は、ニカワによって接着される。ニカワで接着された木材は蒸気を当てることで剥離することができるため、ヴァイオリンは分解修理や部材の交換が可能である。
指板の先には弦の張力を調整する糸巻き(ペグ)がついている。先端の渦巻きは装飾で、この部分に別の彫刻(人、天使、ライオン等の顔)が施される場合もある。
また、この渦巻きは唯一音に影響しない部位と言われている。
塗装
塗装には基本的にニスが用いられるが、一部の安価な楽器にはポリウレタンも用いられている。
ニスにはスピリット(アルコール)系とオイル系の二種類がある。塗装の目的は湿気対策および音響上の特性の改善である。
弦
4本の弦はエンドピンによって本体に固定された緒止め板(テールピース)から駒の上を通り、指板の先にあるナットと呼ばれる部分に引っ掛けてその先の糸巻き(ペグ)に固定されている。正面から見て左が低音、右が高音の弦であり、日本ではドイツ音名を用い高い音の弦から順に、E線、A線、D線、G線(えーせん、あーせん、でーせん、げーせん/ドイツ語読み)と呼ぶことが多い。E線、A線、D線、G線の代わりに1番線(I)、2番線(II)、3番線(III)、4番線(IV)と番号で呼ぶ場合もある。この順番は世界共通。
材質
もともとヴァイオリンの弦はガット(羊の腸)を用いていた。しかし標準ピッチが上昇するにつれ、またバロック様式の楽器から近代になってネックの仕込み角がきつくなってくると、高い張力に耐える弦が求められるようになった(現在のガット弦は金属の巻線によって補強されている)。
現在では金属弦や合成繊維(ナイロン弦)も多く用いられる。単純なナイロン(ポリアミド)芯にアルミ巻き線を施した弦から、合成樹脂繊維の最先端技術を取り入れた芯にアルミや銀を含む金属製の巻き線を施した弦が主流になりつつある。これらの最新式の弦は、音色的にはガット弦に近い一方でガット弦ほど温湿度に敏感でないという長所を持つ。
調弦方法
ペグを回すことで調弦を行うが、E線はペグによる音程の微調整が困難であるため、アジャスターと呼ばれるテールピースに取り付けられた小さなネジを回すことによって調弦する。分数ヴァイオリンや初心者向けのフルサイズのヴァイオリンには、調弦し易いように4本の弦のアジャスターがテールピースに取り付けられているものもある(弦に直接取り付けるタイプのものとは異なる)。
普通は音叉などでA線を440ないし442Hzに調弦し、A線とD線、D線とG線、A線とE線をそれぞれ同時に弾いて、完全五度の和音の特有の響きを聞いて調弦する。協奏曲演奏に際して、442Hzを越えるように調整して華やかな独奏ヴァイオリンを引き立たせる方法もある。
バロック・ヴァイオリンではピュア・ガット(金属の巻かれない裸のガット弦)を用い、多くの場合A線を415Hz(バロック・ピッチ)あるいは392Hz(ベルサイユ・ピッチ)に調弦する。
弓
木製の竿(スティック)を直線に削り出し、慎重に火を入れて適度なカーブを持たせた竿に、馬(蒙古馬)の尾の毛(白毛)を平たく張る。この毛に松脂を塗って摩擦力を生じさせ、弦をつかむ。松脂は粉末として毛の間に蓄えられるという要素以上に、松脂が弦との摩擦による熱で毛に溶けつき適度な粘りを生じる。松脂をぬってしばらく弾き、その粉末が適度に溶けつくことで音色が安定する。そして、ある程度弾いて松脂が適度に毛に溶けつくと、松脂の粉末が弦の下に落ちて無くなる。
最近では繊維強化プラスチック (FRP) 製、カーボンファイバー、グラスファイバー製の弓もある。同じ人工繊維製でもグラスファイバー製の弓は一般的に安価。対照的にカーボン製の弓は弾力性、剛性、湿気への強さなど優れている面が多く中級からプロ仕様のものが主流である。現在では技術力の向上により、手作りのペルナンブコ製の弓よりも性能が高いものも多数ある。
演奏しない時は、弓の毛は通常ゆるませておく。
先端(ヘッド)にはチップと呼ばれる薄い保護板があり、牛骨又や銀板が用いられている。古い弓では象牙(現在は違法)を使っているものも多数ある。最近では安価なものにはナイロン系の合成樹脂なども用いられる。銀板などの金属製チップは(英国の作者が良く用いる)ピンを差して固定しているため、ヘッド部分の内側に亀裂が入りやすい。竿を振った際の重量バランスも崩れやすい。
19世紀のフランスにおいて良質のペルナンブーコ材を用いて、優れた弓が多く製作された。フランソワ・トゥルテ(トルテ、タートとも)、ペカット、キッテル、パジョなどの名匠がいた。現在ではそれらはオールドフレンチボウとして扱われ、その世界的評価額は高額(百万円~数千万円)である。
作者名はスティックに焼き印として記される場合が多いが、当時のディーラー名を記したり、イミテーションやコピーとして著名作者名を記したりする場合も少なくない。またトゥルテなど全く作者名を記入しなかった人もいる。この作者焼き印(スタンプ)は、フランス式とドイツ式で異なり、フロッグを上にした時に読める向き(弓のスクリューから先端方向)がフランス式、フロッグを下にしたときに読める向き(弓の先端からスクリュー方向)がドイツ式である。ただし、著名作者の作品をコピーした弓などは、ドイツ製でもフランス式の焼き印がなされることがあり、安物の真贋判断は専門家でも難しい。
フロッグには黒檀が、金具には銀が一般的に使用されるが、黒檀の代わりに鼈甲や象牙、銀の代わりに金が使われることもある。装飾として美しい螺鈿細工が施される。これらは現代スタイルの弓を確立したトゥルテが元々宝石・時計職人であり、その金属加工技術などを弓作りに応用したことから始まる。ラッピングにはナガスクジラのヒゲがよく用いられてきたが、現在では銀線や銀糸が多い。
分数楽器
通常の大きさ(4/4,フルサイズ)の他に、子供向けにサイズを小さくしたヴァイオリンも作られている。1/32, 1/16, 1/10, 1/8, 1/4, 1/2, 3/4, 7/8と呼ばれるサイズなどがあり、これらを分数楽器という。
分数楽器の数字は通常、大人用(4/4サイズ)に対する胴部の容積の比率を表していると説明される。しかし、実際には胴体の長さと比例て現在作られているヴァイオリンの殆どが次の法則にしたがっている。フルサイズ=14インチ、3/4=13インチ,1/2=12インチといった具合である。しかし、1/8以下の楽器はメーカーによってもスペックが違い、あるメーカーの1/10が他のメーカーの1/16と同じこともある。また、分数楽器を使用するのは、基本的にスズキ・メソードの考え方で、分数楽器を全く製作しない工房もある。
歴史
ヴァイオリンの形態の変化
誕生まで
ヴァイオリンの起源については諸説あるが、はっきりしたことはいまだにわかっていない。そもそもヴァイオリン黎明期である16世紀当時において「ヴァイオリン」や「ヴィオール」という言葉が何を指すのかに関してもあいまいな点がある。
ヴァイオリンが世に登場してきたのは16世紀初頭と考えられている。現存する最古の楽器は16世紀後半のものだが、それ以前にも北イタリアをはじめヨーロッパ各地の絵画や文献でヴァイオリンが描写されている。レオナルド・ダ・ヴィンチの手による、ヴァイオリンに似た楽器の設計図が残存している。現存楽器の最初期の製作者としてはガスパーロ・ディ・ベルトロッティ(通称ガスパーロ・ダ・サロ)、アンドレア・アマティ、ガスパール・ティーフェンブルッカーが有名である。当時は舞踏の伴奏など、世俗音楽用の楽器として考えられていた。
17~18世紀にはニコロ・アマティ、ヤコプ・シュタイナー、ストラディバリ一族、グァルネリ一族など著名な製作者が続出した。特に卓越していたのがアントニオ・ストラディヴァリとバルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ・デル・ジェスであり、彼らを超える名器はいまだに生まれていない。
ヴィオール属とはいくつかの相違点が挙げられるが(詳細はヴィオール属の項目を参照)、力学的に改良が施されて音量・音の張りに大きく向上が見られた。音楽文化の中心が宮廷サロンから劇場・ホールに移るにつれ、弦楽器においてこれまでになく大きな響きを持つヴァイオリンはクラシック音楽を形作る中心となっていく。
現在までの改良
弓が現在のような形になったのは本体よりもう少し遅く、18世紀末である。最初は半円形、つまり武器の弓に似た形状であったが、技術的要請から徐々に改良され、ヴィオッティ、フランソワ・トルテ(タート)らによって完成を見る。
本体も多少の変化を迎えている。まず、演奏される曲の音域が増加するのに伴い指板は延長された。また、より高いピッチに対応するためネックが後ろに反り、駒がより高くなった。18世紀以前に作られた楽器のほとんどは現在そのように改良されており、これらを「モダン・ヴァイオリン」、修理を受けず原形を保っているものを「バロック・ヴァイオリン」という。しかし、現代においてつくられたヴァイオリンであっても「バロック・ヴァイオリン」の形であればそう呼ばれる。
但し、特にイタリア製において、名ヴァイオリン製作者が作製したヴァイオリンを製作時期によって「オールド(1700年代後期まで)」「モダン(1800年位から1950年位まで)」「コンテンポラリー(1950年位以降)」と分類して呼ぶこともある。
現在では、音響を電気信号に変えるエレクトリック・アコースティック・ヴァイオリンや、弦の振動を直接電気信号に変えるエレクトリック・ヴァイオリンも登場している。
ヴァイオリン音楽の形成
クラシック音楽
ヴァイオリンの出現当初はリュートやヴィオールに比べて華美な音質が敬遠され、芸術音楽にはあまり使用されなかった。一方で舞踏の伴奏など庶民には早くから親しまれていた。
しかし製作技術の発達や音楽の嗜好の変化によって次第に合奏に用いられるようになる。
17世紀には教会ソナタや室内ソナタの演奏に使われた。ソナタはマリーニやヴィターリ等の手によって発展し、コレッリのソナタ集(1700、「ラ・フォリア」もその一部)で集大成に至る。
また少し遅れて協奏曲の発展も見られるようになった。コレッリ等によって優れた合奏協奏曲が生み出されていたが、トレッリの合奏協奏曲集(1709)で独奏協奏曲の方向性が示され、ヴィヴァルディによる「調和の霊感」(1712)等の作品群で一形式を作り上げた。ヴィヴァルディの手法はJ.S.バッハ、ヘンデル、テレマン等にも影響を与えた。一方で協奏曲が持つ演奏家兼作曲家による名人芸の追求としての性格はロカテッリ、タルティーニ、プニャーニ等によって受け継がれ、技巧色を強めていった。またルクレールはこれらの流れとフランス宮廷音楽を融合させ、フランス音楽の基礎を築いた。
18世紀後半にはマンハイム楽派が多くの合奏曲を生み出す中でヴァイオリンを中心としたオーケストラ作りを行った。そしてハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト等のウィーン古典派によって、室内楽・管弦楽におけるヴァイオリンの位置は決定的なものとなった。またトルテによる弓の改良は、より多彩な表現を可能にし、ヴィオッティとその弟子クロイツェル、バイヨ、ロードによって近代奏法が確立されていった。
19世紀になると、現在でも技巧的な面では非常に難しいとされるパガニーニによる作品[1]の登場によって、名人芸的技巧(ヴィルトゥオーソ)がヴァイオリン曲の中心的要素とされ、高度な演奏技術を見せつける曲が多く出た。一方でイタリアではオペラの流行とともにヴァイオリンの人気は少しずつ衰えていった。
19世紀中頃からはヴァイオリン音楽において、演奏家と作曲家の分離の傾向が強く見られるようになった。当時の名演奏家に曲が捧げられたり、あるいは協力して作曲したりすることが多く、例えばメンデルスゾーンはダーフィト、ブラームスはヨアヒムといった演奏家の助言を得て協奏曲を作っている。またチャイコフスキーやドヴォルザーク、グリーグ等によって民族的要素と技巧的要素の結合が図られ、シベリウス、ハチャトゥリアン、カバレフスキー等に引き継がれている。
民族音楽
ヴァイオリンは各地の民族音楽にも使われた。特に東欧、アイルランド、アメリカのものが有名である。詳しくはフィドルの項を参照。また、インドには独特のヴァイオリンの用法がある。
日本人によるヴァイオリンの受容
フロイスの『日本史』によると、16世紀中頃にはすでにヴィオラ・ダ・ブラッチョが日本に伝わっていた。当時ポルトガル修道士がミサでの演奏用として日本の子供に教えたことが書かれている。
ドイツ系を主とした外国人教師によって奏者が養成され、ヴァイオリンは少しずつ広まっていった。明治になると、鈴木政吉によって日本で最初のバイオリン工場(鈴木バイオリン製造)が設立され、1900年(明治33年)には大量生産されるようになった。また大正時代にはジンバリスト、ハイフェッツ、クライスラー、プルメスター、エルマンといった名演奏家が続々来日し、大きな影響を与えている。戦後の日本人ヴァイオリニストの草分けには渡辺茂夫らがいる。
戦後になると各種の教則本が普及し、幼児教育も盛んになって、技術水準が飛躍的に上がっていった。現在では、世界で活躍する日本人奏者も多数いる。
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- ^ Auer, Leopold., Violin Playing As I Teach It, Dover Pubns;New edition, 1980, (XIII; THE VIOLIN REPERTORY OF YESTERDAY AND TO-DAY、 XIV; PRACTICAL REPERTORY HINTS -What I Give My Pupils to Play-)
- ^ a b Auer, Leopold., Violin Playing As I Teach It, Dover Pubns;New edition, 1980, (II; HOW To HOLD THE VIOLIN)
- ^ Auer, Leopold., Violin Playing As I Teach It, Dover Pubns;New edition, 1980, (V; HINTS ON BOWING )
- ^ Menuhin, Yehudi., Six Lessons With Yehudi Menuhin, W W Norton & Co Inc., 1981, (Lesson2、Lesson4)
- ^ Fischer, Carl., Art of Violin Playing, Carl Fischer Music Dist, 1924
- ^ Auer, Leopold., Violin Playing As I Teach It, Dover Pubns;New edition, 1980, (VI; LEFT-HAND TECHNIQUE -Fingering-)
- ^ DVD THE ART OF VIOLIN, Nathan Milstein参照。
- ^ DVD THE ART OF VIOLIN, Ida Haendelへのインタビュー参照。
ヴァイオリンに関連した本
- ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~(8)(完) (ヤングガンガンコミックス) 渡辺 道明 スクウェア・エニックス
- 初心者のための ヴァイオリン教本 森本 琢郎 デプロMP
- 新しいバイオリン教本(2) 音楽之友社
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