増刊32話 告発の鉄十字 / 1993年2月
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★単行本未収録。ドイツの精神科医、ヘルムート・グローガーは、ゴルゴ13にスナイプを依頼した。ターゲットは、実父のハインツ・グローガーだが、ヘルムートはゴルゴ13に、「父の“影”を撃ってくれ」と依頼する。ハインツは隠居の身だったが、ハインツには一時的に記憶のない時間帯があり、その間、ハインツは、ハンスと名乗って、ネオナチグループのリーダーとして振舞っていたのだ。ハインツ自身の話によれば、戦時中、彼はV2ロケットの製造工場で働いていた。この工場でいざこざがあり、少尉のハンス・シュタイナーと撃ちあいになる。ハンスが発砲した弾丸は、ハインツの胸ポケットに入れていた鉄十字章に当たり、ハインツは死なないですんだ。一方、ハインツの弾丸でハンスは即死だったという。しかしヘルムートはもうひとつ納得できず、ドキュメントセンターに出向き父の過去を調べる。その資料によれば、ハンス・シュタイナーと撃ちあいになったのは曹長のブラウアーで、ブラウアーはこの際死亡、ハンス・シュタイナーは逃亡していた。そして、ハンスの顔写真は剥がされていた。その顔写真をはがしたのは、ハインツ・グローガーであり、その写真に写っているハンス・シュタイナーは、ハインツ・グローガー当人であった。ヘルムートは、ハンス・シュタイナー=ハインツ・グローガーが、解離性同一性障害を発症していると診断、ゴルゴ13に、ハンス・シュタイナーの人格だけを狙撃してほしい、という依頼なのであった。ある夜、ハンスの人格が現れ、アジトで演説を始める。そこにゴルゴ13は、戦時中の軍服を着て現れ、「曹長のブラウアーだ」と自称する。そしてゴルゴ13はハンスの胸の鉄十字章を狙って発砲、ハンスは失神する。気がついたときにはハンス・シュタイナーの人格は消滅し、ハインツ・グローガーの人格だけ残っていた。
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