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三省堂 大辞林

三省堂三省堂

わらい わらひ 0 【笑い】

(1)笑うこと。また、笑う表情・声。
口元に―をうかべる」「―をさそう」

お笑い
(2)石を積む際、その接合部モルタルなどをつめず空間をあけておくこと。また、その空間
(3)性に関係あるものをいう春画春本など。
» (成句)笑いが止まらない
» (成句)笑い三年泣き三月
» (成句)笑いを噛み殺す



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笑い

★1a.笑いの呪力。笑うことによって神を招き、魔を払う。

古事記上巻  高天原八百万(やほよろづ)の神々は、天の岩屋戸にこもったアマテラス連れ出すため、大声で笑った。アマテラスは「私が岩屋戸にこもっているので、高天原葦原中国真っ暗なはずなのに、なぜ皆笑うのだろう」と不思議思い岩屋戸開けた。

処女祈り川端康成)  小山の上墓場から石塔一つ転がり落ちる村人たちは、何かの祟りがあるに違いない恐れ処女十六七人を集め一斉に笑わせて、魔を払おうとする。娘たちは髪振り乱して笑い躍り村人墓場枯草に火をつける。

日本書紀巻2・第9段一書第1  天孫ニニギノミコト地上降臨しようとした時、その道すじに一人の神が立ちふさがった。アメノウズメがその神を服従させるべく立ち向かい裸身をあらわして大いに笑った。神は「猿田彦」と名乗り天孫先導をした。

★1b.笑って金を招き寄せる

笑い茸落語)  生まれ四十年間笑ったことがない仏頂という男に、妻が笑い茸を酒に浸して飲ませる。たちまち仏頂大笑いを始め、「笑う門には福来る」の諺どおり、宇宙の金が全部仏頂所へ集まって来る。そのため天国では金がなくなり、月も星も貧乏になる。星々対抗して大声で笑い、それを聞いた金が天国へ戻ろうとするので、仏頂は「あれはそら笑いだ」と言ってとめる。

★1c.鬼や魔物笑わせることによって、その力を失わせる・追い払う

鬼が笑う昔話)  川向こうの鬼屋敷の鬼が、の娘をさらう。母親が、野中石塔化身である庵女の援助得て、娘を捜し出しいっしょに舟で逃げる。大勢の鬼が追って来て川のを飲むので、舟が後戻りする母と娘と庵女が着物をまくって性器を見せると、鬼たちは大笑いしてを吐き出したため、舟は前進し、三人は無事逃げ帰る新潟県南蒲原郡。*女が鬼の子を産む、という形で語られることもある)。

魔法を使う一寸法師グリム)KHM39「3番目の話」  一寸法師たちが赤ん坊をさらい、代わりに鬼子押しつける。鬼子追い払うには笑わせれば良いので、母親が卵の殻にを入れて火にかけると、鬼子は「卵の殻で湯を沸かすやつなど見たことがない」と言って笑う。たちまち一寸法師たちが来て、赤ん坊返し鬼子連れてどこかへ行ってしまう→〔取り替え子〕5。

★2.笑いを封ずる

薔薇の名前エーコ)  十四世紀北イタリア山上僧院で、修道僧たちが謎の死をとげる。事件解明依頼されたフランチェスコ会修道士ウィリアム推理重ね僧院文書館の奥へと入って行く。文書館内には盲目の老修道僧ホルヘが潜み、笑いを論じたアリストテレスの『詩学』の写本守り続けていた。「笑いは頽廃であり罪悪であって、これを封じるべきだ」と考えホルヘは、写本に毒を塗り、『詩学』を読もうとする僧を殺しのだった

★3a.笑わぬ女が、こっけいなものを見たり、自分の気に入るものを見たりして、笑う。

黄金のがちょうグリム)KHM64  気むずかしい王女を笑わせた者を婿にする、と父王が定める。若者金のがちょう抱き、そのがちょう七人男女数珠つなぎにくっついて歩いてくるのを見て王女は笑う。

史記「周本紀」第4  周の幽王は、后褒ジ笑わせるため、敵軍も来ないのに諸侯召集ののろしを上げる。かけつけ諸侯見て褒ジは笑う。後に敵軍襲来した時、のろしを上げるが諸侯は応じない〔*平家物語巻2「烽火沙汰」などに引かれる〕。

春秋左氏伝昭公28年  醜貌の賈の大夫が、美人の妻をめとった。妻は三年間、口もきかず笑いもしなかった。大夫沢辺で雉を射当てた時、妻はじめて笑い、ものを言った。大夫は、「人は何か取り得なくてはならぬものだ。もし弓ができなかったら、お前は生涯私に口もきかず笑いもしなかったろう」と言った〔*→〔禁忌〕2の『杜子春伝』では、女に転生した杜子春に、夫がこの故事語り聞かせ、杜子春の産んだ男児を石にたたきつける〕。

諸艶大鑑2-3「髪は嶋田車僧」  生まれつき笑うのが嫌いという三人の女郎に、いろいろ滑稽なことをして見せるが、笑わない。一人の男が思案して、小石を紙に包んで投げ出すと、三人の女郎は金かと思ってにっこり笑った。

『パルチヴァール』(エッシェンバハ)第3巻  クンネヴァーレ夫人は、「最高の栄誉を勝ち得べき勇士見ぬうちは決して笑わない」という誓いをたてていた。少年パルチヴァールが道化の着るような服装でアルトゥース(=アーサー)王の宮廷へやって来たのを見て、彼女ははじめて笑った。

★3b.笑わぬ女が、女性器見て笑う。

デメテルへの讃歌  娘ペルセポネ冥王ハデスさらわれたため、女神デメテルは心を痛ませ、口を開かず食物もとらない。イアンベという女が滑稽言葉を述べ、デメテルの顔にようやく笑みがうかぶ〔*バウボという女が裸になり、性器を見せてデメテルを笑わせた、という伝説もある〕。

ペンタメローネバジーレ)「序話」  笑わぬ王女ゾーザに、さまざまな芸を見せたり笑い与えたりしても、にこりともしない。ある時老婆小僧喧嘩をし、老婆が怒ってスカートをまくり上げ性器露出する。ゾーザはこれを見て気絶するほど笑いころげる

*→〔入れ替わり2bの『絵姿女房』(昔話)の女房は、城に連れて来られて以来、まったく笑わなかった。ところが、もとの夫が売りに来たのを見て、はじめてにっこり笑う。形状女性器連想させるので、これは女性器を見せて女を笑わせる物語と関係があるであろう

★4.微笑

永日小品夏目漱石)「モナリサ」  役所勤め井深が、古道具屋で額入り西洋画を買って帰る。それは薄笑いする女の半身像で、細君は「この女は何をするかわからない人相だ」と言って気味悪がる井深は額を欄間にかけるが、翌日、額は落ちガラス割れる。額の裏に紙片があり、「モナリサの唇には女性の謎がある・・・・」と書いてある。井深役所同僚に「モナリサとは何だ」と尋ねるが、誰も知らなかった。  

モナ・リザお釈迦さまが会いました』ホルスト)  天界廊下向こう側から、モナ・リザが入って来る。廊下こちら側から、お釈迦さまが入って行く。二人はふっと微笑みあった。

★5.笑いガス

微笑の儀式松本清張)  夏、冷房代わりに多量ドライアイス自室に置いて眠る女がいた。女の死を願う男が、麻酔作用のある笑気ガスを使って、女の睡眠深くする。その結果女は、ドライアイスから発生した二酸化炭素窒息死する。笑気ガスを吸ったために、女の死顔には和やかな微笑が浮かんでいた〔*その微笑が、犯人逮捕の手がかりになった〕。

非常ベル星新一おせっかい神々』)  犯罪チーム親分が、宝石店のショーウィンドウを破ってダイヤモンドを盗む。ダイヤモンドをつかんだ親分は笑いがこみあげ、笑ったまま逃げ、そして逮捕される。ショーウィンドウ中には笑いガス封入されており、ガラスを割った人物大声で笑って、非常ベル代わりに盗難知らせ仕掛けだった。

★6.笑い

生写朝顔話しょううつしあさがおばなし嶋田宿笑いの段」  大内家の奸臣仲間である医師祐仙が、忠臣駒沢次郎左衛門にしびれを飲ませようとたくらむ。祐仙は前もって解毒剤を飲んでおき、しびれ入り薄茶毒見をして駒沢次郎左衛門をあざむき、彼に薄茶勧める。しかしこの計略を知った宿の主徳右衛門が、しびれを笑いすりかえる。しびれ解毒剤は笑いには無効なので、薄茶を飲んだ祐仙は笑いが止まらなくなり、計略失敗する

★7.作り笑い

散り行く花グリフィス)  スラム街に住むボクサーバロウズは、十代半ば一人娘ルーシー虐待しつつ、「笑え」と命ずる。ルーシーは、二本の指で唇の両端引き上げ、無理に笑顔作る近所中国人青年ルーシーを救おうとするが、結局バロウズは、ルーシー殴り殺してしまう。死ぬ時もルーシーは指を唇に当て笑顔を作った〔*中国人青年バロウズ射殺して、自刃する〕。

★8.家族死に際しての、日本人不可解な笑い。

日本人微笑小泉八雲知られざる日本の面影』)  横浜に住むイギリス婦人が、私(小泉八雲)に語った。「我家の日本人家政婦が、にこにこ笑いながら『夫が死んだので葬式に行かせてほしい』と言いました。夕方家政婦は帰って来て骨壺を見せ、『これが夫です』と言いつつ、声を出して笑うのです。こんないやらしい人間のことを聞いたことがありますか?」。

手巾芥川龍之介)  帝国大学教授長谷川謹造先生の家を、学生母親訪れて、「息子病死しました」と報告する。母親微笑を浮かべていたが、両手に握った手巾激しく震えていた。「顔は笑いつつ、全身で泣いているのだ」と先生考え感動する。しかし、母親が帰った後で先生は、西洋作劇術の「微笑しながら手巾二つに裂く二重の演技」という記述読み、複雑な気持ちになった。

トランプ絵札が笑う→〔賭け事〕3。



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笑い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/11/22 22:16 UTC 版)

笑い(わらい)とは、楽しかったり、嬉しかったりなどを表現する感情表出行動の一つ。


  1. ^ チンパンジー笑い声のサンプル グドール(1968)とパール(2005)
  2. ^ 松阪崇久(2008)笑いの起源と進化.心理学評論51(3):431-446.






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