景観
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景観の経済効果
観光地の中には伝統的な建物の再生や、電線の地中化などにより街並みを整備する動きが見られる。観光客増加などの経済効果を挙げる地域もある[57]。
- 例
- 小布施町 - 小布施堂の新店舗計画を機会に、曳屋方式などで宮本常長を中心に修景事業を実施し、経済効果をもたらす。
- 長浜市 - 黒壁スクエアを中心に古い街並みを整備。
- 宮崎県 - 宮崎交通の社長であった岩切章太郎が観光施策として編み出した沿道に南国の樹木フェニックスを植樹する方策は、県の条例となって進められ た。
- 倉敷市 - 観光都市というイメージに即した景観(倉敷美観地区)を徹底してつくりだし効果をあげている。
- 由布市 - 湯布院は観光地として早くに景観に取組み、経済効果を上げてきた。
- 黒川温泉 - 当地の旅館、神明館の経営者が岩をくりぬき露天風呂を作ったところ、これが大当たりした[58]。これを契機として、この経営者の提案で、各旅館が自然と調和した露天風呂を設け、温泉街から無秩序な野立て看板類を一掃させ、温泉街の町並みを古い湯治場の雰囲気に統一させた。あたかも道路が通路、それぞれの旅館が小部屋であるかのような、街並みが形成されている[58]。
脚注
参考文献
- 上野健一・久田健一郎 編『地球学調査・解析の基礎』地球学シリーズ3、古今書院、2011年4月15日、208pp. ISBN 978-4-7722-5254-6
- ガレット・エクボ『住宅の造園技術』久保貞・平岡順一 訳、鹿島出版会、1979年10月25日、256pp.
- 北原保雄 編『明鏡国語辞典 第二版』大修館書店、2010年12月1日 ISBN 978-446902117-2
- 社団法人日本建築学会 編『建築・都市計画のための空間計画学』井上書店、2002年5月10日、186pp. ISBN 4-7530-1736-2
- 新村出 編『広辞苑』第6版、岩波書店、2008年1月11日 ISBN 978-4-00-080121-8
- 千田稔 編『風景の文化誌I ―都市・田舎・文学―』古今書院、1998年9月1日、262pp. ISBN 4-7722-1407-0
- ロジャー・M・ダウンズ,ダビッド・ステア 編『環境の空間的イメージ』曾田忠宏・林章・布野修司・岡房信 訳、鹿島出版会、1976年7月20日、470pp.
- 高橋伸夫・田林明・小野寺淳・中川正『文化地理学入門』東洋書林、1995年10月6日、222pp. ISBN 978-4-88721-086-8
- 辻村太郎『景觀地理學講話』6版、地人書館、1941年3月28日
- 鳥越皓之・家中茂・藤村美穂『景観形成と地域コミュニティ―地域資本を増やす景観政策』農山漁村文化協会、2009年2月10日、308pp. ISBN 978-4-540-08305-1
- 中村和郎・手塚章・石井英也 編『地域と景観』地理学講座第4巻、古今書院、1991年6月15日、204pp. ISBN 4-7722-1230-2
- 日本民俗建築学会 編『日本の生活環境文化大事典』柏書房、2010年6月5日、514pp. ISBN 978-4-7601-3818-0
- 細川護熙・中村良夫 企画構成『景観づくりを考える』技報堂出版、1989年10月20日、321pp. ISBN 4-7655-1498-6
- 米田巖・潟山健一 訳編『心のなかの景観』ダグラス・ポコック,J.ダグラス・ポーティウス著、古今書院、1992年4月11日、247pp. ISBN 4-7722-1626-X
- 松岡憲知・田中博・杉田倫明・村山祐司・手塚章・恩田裕一 編『地球環境学―地球環境を調査・分析・診断するための30章―』古今書院、2007年4月10日、130pp. ISBN 978-4-7722-5203-4
- 松村明 編『大辞林』第3版、三省堂、2006年10月27日 ISBN 4-385-13905-9
- ユネスコ 編『人のつくった風景―景観・保全と再生の試み』京都芸術短期大学造園研究室 訳、学芸出版社、1981年3月20日、168pp. ISBN 4-7615-2014-0
関連項目
- 文化的景観
- 重要文化的景観
- 土木景観
- 日照権
- 景観破壊
- 都市計画 - 日本景観学会 - 黒川紀章
- 景観生態学
- 重要伝統的建造物群保存地区
- 伝統的建造物群保存地区
- 歴史文化保存活用区域
- 町並み保存
- 全国町並み保存連盟
- 芦原義信
- 日本景観学会
- 夜景 - 世界三大夜景 - 三大夜景 - 夜景鑑賞士検定
- 景観法、景観条例
- 景観緑三法
- 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律
注釈
- ^ 中村一は自著の『風景をつくる: 現代の造園と伝統的日本庭園』で、風景をlandscape I see,景観をlandscape We seeとしている。
- ^ 地理学は法則の追求よりも法則から外れた例外的な特性を追う傾向が強いとする主張[9]。
- ^ 千田稔は自身の考えとして、風景は各人の精神構造に強く働きかけるものであり、自身に解く鍵を持たない景観と異なり、風景自身が「身体性」を持つと語っている[11]。
- ^ 現在位置を確認したり、観察した事柄を記録したりするために用いる、調査の基礎(ベース)となる地図(マップ)。日本国内で景観調査を行う場合、農村の調査には2500分の1都市計画図や地籍図、国土地理院・林野庁撮影の空中写真、都市の調査には都市計画図やゼンリンの住宅地図などを利用することが多い[32]。
- ^ 天然の植生だけでなく、農業による生産植物や観葉植物を含む[44]。
- ^ 景観は地域によって個性がある。
- ^ 景観は総合的に捉え、周囲との調和を考える。
- ^ 景観はすべて共有財産として捉える。
- ^ 美しさの基準は人によって異なる。
- ^ 日常生活の中にあることを重視する。
- ^ 各主体が参加して景観を形成する。
出典
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- ^ 篠原 修 編 『景観用語事典 増補改訂版』彰国社、2007年、14頁。
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- ^ 鈴鹿市都市計画課"計画・財政・施策/景観づくり"(2011年10月26日閲覧。)
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- ^ 国土交通省"論点まとめ"(2020年01月02日閲覧。)
- ^ “論点まとめ”. 国土交通省. 2019年10月1日閲覧。
- ^ a b “「観光カリスマ」後藤哲也さん死去 86歳”. 西日本新聞. (2018年1月24日) 2020年8月2日閲覧。
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