記号学とは? わかりやすく解説

記号学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 09:58 UTC 版)

記号学(きごうがく、: semiotics: semiotik: sémiotique)は、記号の学問である。セミオロジー(semiologie)、セモロジー(semologie)など複数の名称が与えられてきたが、1962年のジョージ・ハーバート・ミードの提唱により、セミオティクス(semiotics)の語が定着した[1]

歴史

記号学はソシュールのセミオロジー(sémiologie)を指し、記号論はパースのセミオティクス(semiotics)を指しており、て、日本語ではそれぞれ記号学記号論と名付けた[2]

記号学(セミオロジー)は、フェルディナン・ド・ソシュールによる、記号表現 - 記号内容(シニフィアン - シニフィエ)の二項に基づく記号学である [3]

記号論(セミオティクス)は、チャールズ・サンダース・パースによる、「表現、内容、指示対象」の三項に基づく記号学である[4]

フランスの構造主義哲学者・文学者ロラン・バルトは、『エクリチュールの零度』『モードの体系』でソシュール記号学を援用し、中世ヨーロッパ文化史研究者で文学者のウンベルト・エーコは『記号論Ⅰ・Ⅱ』を著した。日本では、浅田彰『構造と力 記号論を超えて』の異例の大ヒットと共に、ニュー・アカデミズムと呼ばれる思潮が起こり、「記号論」もにわかに注目を集めた。日本人による著作としては、池上嘉彦の『記号論への招待』や『詩学と文化記号論』、文化人類学者・山口昌男(東京外国語大学)の『文化と両義性』などがある。

主な記号学者

日本

脚注

注釈

  1. ^ として再開するにあたって、講義のために準備できた時間は短期間だった。
    • フェルディナン・ド・ソシュール 著、前田 英樹(訳・注) 編『ソシュール講義録注解』法政大学出版局〈叢書・ウニベルシタス〉、1991年。  p.vii

出典

  1. ^ 『記号学小辞典』同学社、1992年11月1日、34頁。 
  2. ^ 記号学 artscape.jp 2024年3月1日閲覧
  3. ^ Semiologie papers.ssrn.com 2024年3月4日閲覧
  4. ^ C.S. Peirces semiotics medium.com 2024年3月4日閲覧
  5. ^ Peirce, Charles Sanders. 1998 [1902]. "Logic, Regarded As Semeiotic," [manuscript L75] Arisbe: The Peirce Gateway, edited by J. Ransdell.
  6. ^ Peirce, Charles Sanders. 1998 [1902]. "On the Definition of Logic." [memoir 12]. Arisbe: The Peirce Gateway, edited by J. Ransdell.
  7. ^ È morto lo scrittore Umberto Eco” [The writer Umberto Eco is dead] (italian). Corriere Della Sera Online. 5 June 2024閲覧。
  8. ^ Umberto Eco, Italian author of 'The Name of the Rose,' dies at 84”. ロイター (20 February 2015). 5 June 2024閲覧。
  9. ^ H. A. スリュサレーヴァ 著、谷口 勇(訳) 編『現代言語学とソシュール理論』而立書房、1979年。  p.35
  10. ^ Charles Morris www3.nd.edu 2024年3月4日閲覧

和書

  • U.エーコ 著、池上嘉彦(訳) 編『記号論I』岩波書店、1996年。 
  • 池上嘉彦『文化記号論』講談社学術文庫。
  • 宇波彰『記号論の思想』講談社学術文庫。
  • 米盛裕二『パースの記号学』勁草書房、1996年。

関連項目


外部リンク


記号学

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映画評論」の記事における「記号学」の解説

1960年代半ば以降、その反動として個々映画価値判断をしない映画記号学という方法論映画学界を席巻することになった言語学的モデル支えられこの方法論評論との共通点をほとんど持っておらず、映画学学問として成立させることはできても、映画評論影響与えることはできなかった。1970年代入り精神分析学映画記号学の出現事態を更に紛糾させた。そこに至って方法論厳密さすら失われ映画学はますます蛸壺化したからである。映画評論映画学不幸な分離もたらしたこの状況は、1980年代まで続く。

※この「記号学」の解説は、「映画評論」の解説の一部です。
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