美術部関係者
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白塚 真一(しらつか しんいち) 県立高校1年A組在籍の少年(5巻ラストで2年生に進級)。成績は中の下で、テスト寸前には度々友人と共にイタチさんにノートを借りている。休部寸前の美術部を奈良山と共に再興し、部長に就任する。人間や動物が躍動する瞬間を描くのに喜びを感じており、運動部員の女生徒に「君をモデルに絵を描きたい」と頼み込んでは告白と勘違いされることも多い。周りの妖怪をモデルにした絵をコンクールに出品し、しばしば入賞しているが、審査員からは心理的な病気ではないかと疑われている。しかしながらその腕前と集中力は、プロの芸術家であるニコの目に留まるなど美術部の中でも群を抜いている。家族構成は不在がちな父のみで、母は数年前他界した。上記の理由から家事全般は得意。 良くも悪くも嘘をつけない性格で、大抵は下手な嘘を見抜かれたり、思ったことが口を突いて出たりしている。本人も自覚しており、相手の心を言い当てる妖怪である覚を全く恐れていなかった。その覚からも「表の顔と深層心理が直接つながっている昆虫みたいな人間」と言われている。 自覚こそないものの霊感が人一倍強く、校内に妖怪の類が溜まるようになった原因は、真一の高校入学であると言われている。直接的な力はないが、スケッチブックを利用した戦闘補助を行うことが可能。絵を書き込むことによって、「鬼」を始めとした実体を持たない妖怪を具現化させたり、イタチさんの放つ技の強度を上げることができる。 イタチさんがこの世に顕現した時から一目惚れしていて、時と場所を選ばず告白紛いの行為を続けている。その行為故、周囲からは呆れられることも多いが、イタチさん自身も満更ではない様子。十年後の白塚 真一 ある目的のために寒戸の能力で十年後の未来からやって来た白塚真一本人。現代の真一よりも大人びた容姿で、顎ひげを生やしている。周りからの評価は総じて「ひげが似合ってない」「地味な顔」で、現代の真一もそう思っていた。御崎からは「大の字」(大きくなった「白の字」)と呼ばれる。 大学を留年してしまった時に、ニコの紹介で彼女の馴染の画廊の元で修行することになる。そして大学を中退し、イタチさんと結婚した。現在(十年後)は絵の修復業者になっているらしい。 酒の勢いでみんなの未来について語って聞かせる。 伊達 クズリ(だて クズリ) 人間の少女に化けたイタチの妖怪。真一に正体を見破られて血を吸うのに失敗し、別れ際に真一から「君をモデルに絵を描きたい」と懇願され快諾。その翌日、美術部に入部したことにより真一と再会する。入部に際して「伊達(だて)クズリ」という別名を与えられ、校内では1年D組(作中中盤で2年に進級)に在籍。成績は中の上ぐらい。 上下関係とキツネが嫌いで、敬語を使われるのとしっぽを握られるのが苦手。真一等からは『イタチさん(ちゃん)』、江戸橋からは『伊達君』、稲葉からは『イタチ』と呼ばれている。性格は至って温厚で優しく、悪意の持たない妖怪や人に対してはまずコミュニケーションを取ろうとする。前述の性格から責任感も強く、頼み事を断ることができない。 美術部の役に立とうとして訓練を続ける健気さもあるが、周囲からの評価は『地味』であり、真一以外に好意を抱いている者は少ない模様。女子レスリング部の獅子岩アルマは友人。炎を操る妖術が得意で、後に鎌鼬(かまいたち)を習得。他にも金縛りが使えるが、効果は長くは続かない模様。真一の協力により鎌鼬を固定化した日本刀で戦う事も出来る。 経島 御崎(ふみしま みさき) ツインテールで眼鏡っ娘幼児体型童顔の2年生(5巻で3年生へ進級)。ほぼ常にジャージを着用している。パタゴニア生まれの帰国子女らしいが、詳細は不明。 江戸橋曰く、小学生の頃から顔も背丈もほとんど変化していないらしい。 普段は茶々を入れて場の空気を引っ掻き回したり、相手に唐突な無茶振りをしたりしているが、ここぞという場面には外見にそぐわない年上らしい事を言う。真一を「白の字」と呼んでいるが、真面目な場面ではフルネームで呼ぶ。一見空気の読めない発言も多いが、本人は空気を読んだ上であえて逆らっているらしい。 員数合わせのために美術部へ入部するが、部活動はほとんどせず日本全国の妖怪伝承を集めることに没頭。実際に妖怪変化の存在を信じていた訳ではなかったが、イタチさんの出現以降はその豊富な知識を基に対妖怪のブレーンとして存在感を発揮。自分の欲求を満たすために多々羅木家の倉庫を漁ったりと情熱は本物。江戸橋とは恋人関係にあるが、あまり趣味が合わず江戸橋をからかうことも多いが愛情はある様子。 頭の回転は速く、成績は優秀。 物語の冒頭は、1巻・6巻を除き全て彼女の語りで始まる(6巻は真一の語りで始まった)。 奈良山 善人(ならやま よしひと) 真一の同級生の美術部員。入学直後、真一と共に休部寸前の状態にあった美術部を再興する。長い緑の髪をポニーテールにしている。校外で風景画を描くのが主であるため、部室にはほとんど姿を見せない。 次々と現れる妖怪変化に対してパワーアップを目指し、山籠もりをしていたイタチさんに新必殺技のヒントを授ける。その正体は天狗であり、その中でも一際古い、平安時代を全盛期とする『是害坊』と呼ばれる大天狗。実際に千年生きているわけではないらしく、本人は「白塚と同じ16歳」と言っている(3巻時点)が、真一は少なくとも百年はいってそうだと考えている。火の鳥型の天狗、松明丸を使役し、雷でコーティングされた車輪状の武器、護法輪を使用している。飄々とした人柄でミステリアスであるために女子からの人気は高いが、本人自身は興味がないとのこと。 実力は稲葉と並んで非常に高いが、肝心の時に姿が見えないことも多い。 実は輝が幼少の頃、彼女を守るという口約束を交わしていた。この時の彼女の記憶は妖怪に襲われた記憶でもあるので、術をかけて思い出さないようにしていたが、大祓で依代となった輝はその影響で術が解けてしまう。そして彼女の告白を受け、最初は自身の異形の風体を理由に断ろうとするが、結局はその思いを受け入れた。 穂村 誠二(ほむら せいじ) 真一に誘われ、員数合わせで入部した同級生。幽霊部員で部室には気が向いた時しか顔を出さないため、イタチさんの正体には気付いていない。 貯金箱に入った金霊を出すための100万円を稼ぐため常時バイトをしている。本人曰く年上にしか興味がない。 江戸橋 照平(えどばし しょうへい) 生徒会長。会長選挙に際して部活動の最低部員数を4名に減員するという公約で当選。弱小同好会の票を取りまとめた御崎に頭が上がらないが、実のところは御崎と相思相愛の仲。真一曰く、かなり有能な家政夫、ロリコンだが本人は否定している。後輩からも親しまれているが、御崎との仲が知れ渡っているため人気は奈良山に及ばない。 本人そのものに妖怪へ対抗する力は無いが、ライカを肉体に乗っ取らせることにより戦闘が可能。ただし、江戸橋自身の意識は無い。 度々ライカに憑依される、鱗に無理矢理牙の毒が混じった酒を口移しで飲まされる(これがファーストキスだったらしい)、応声虫に肉体を乗っ取られるなど何かと不憫な目に遭っている。 新井 輝(あらい ひかる) 生徒会副会長兼新聞部員。美人で生徒・教職員からの人望も厚く常識人。新聞部員という立場上、校内の様々な噂を知り得る立場にあるため御崎を始めとした美術部員からは頼りにされている。幾度も自身を危機から救った奈良山に密かな好意を持つ。 実家は古い神社であり、寄宿制の学校に通う妹がいる。 幼少期に山で妖怪に襲われており、そこを奈良山に助けられた経験がある。この時の記憶は奈良山が術で隠していたが、大祓で神の依代にされ、精神を神気で侵食されたことで術が解け、この経験を思い出した。これがきっかけとなって奈良山への告白に踏み切り、自分の想いを伝えることで、晴れて付き合うようになった。 稲葉 前(いなば さき) 産休の代理で赴任して来た英語教師。美人であり、生徒の悩みを見事に解決するため表向きには人望が厚い。 その正体は傾国の大妖怪・九尾の狐。ヒエラルキーの頂点に立つ人物を骨抜きにして校内の秩序を崩壊させるために現れ、イタチさんを小娘呼ばわりして目の仇にした。しかし、真一からはヒエラルキーの頂点たる生徒会長の江戸橋に直接術を使ったことを、御崎からは校内の秩序が既に崩壊していることを指摘され自滅。以後は大人しく教職に徹し、生徒会顧問を引き受けて以降、何度となく美術部に手を貸すことになる。 自身に対して火の粉が掛からない限り、妖怪との戦闘には全く手を出さない。が、奈良山同様、歴史故に能力は高い。根本的に『白澤』などの権力者におもねる妖怪を嫌う。 滝沢 赫音(たきざわ あかね) 真一のクラスメイトで学級委員。 スポーティな見た目と強気な性格に反し、吹奏楽部でフルートを担当している。 学校に渦巻く彼岸の気配にあてられ、犬神であるライカを引き寄せてしまう。 美術部と出会うまでは、犬神をフルートの演奏で使役し怪異を片っ端から祓っていた為、真一達に対して当初は敵対意識を剥き出しにしていた。 作者は当初、真一とイタチさんの関係に彼女を絡めた三角関係にするつもりだったらしいが、真一が取り合うような男ではないことについて編集者に相談したところ、あっさり納得されたので止めたらしい。 ライカ 赫音が偶然顕現させた犬神。巨大な赤毛の犬の姿をしており、霊感の薄い人間には見ることが出来ない。 性格は赫音に対しては忠犬そのもの。イタチさんにも良く懐いているが、真一にはわりと厳しい。 妖怪としては呪殺の為に作られた犬神というよりは、弘法大師の逸話に登場する魔除けの犬神寄り。 吼えるだけで低級な怪異を清め散らし、人に憑く事によって戦闘力を底上げする。ただし、彼岸寄りの体質の人間や元々体の弱い人間には憑いてもほとんど力を発揮できなくなってしまう。 山楝蛇 鱗(やまかがし りん) 元サバイバル部の山岳部員に食べられようとしたところを真一に助けられ、恩返しをするために嫁として真一の元を訪れる。今でこそ人の姿を取っているが、本来の姿は蛇である。「首から上は蛇」「形は人間のまま、全身に鱗がびっしり」などに変化できるが、「全身蛇=本性そのまま」を「旦那」に見られると、その家を出て行かなくてはならない。好みは背が高くて(180cmは欲しいらしい)賢げな男。蛇女房七つの力として「旦那が蛇女房を嫁と認めた時点で旦那の家族は彼女を自然に受け入れてしまう」「赤外線と熱を感知できる」「首が入るサイズの穴なら通り抜けられる」「牙に毒がある(麻痺毒と出血毒を使い分けるのでこれで2つ)」「自分より大きなものを飲み込める」「脱皮した後の抜け殻を財布に入れておくと金運があがる」(「妖術でもなんでもなく普通の蛇だ、しかもいろんな種類の蛇が混ざってるし」と真一に言われた)。真一に本性を見られた後は江戸橋に助けられて(確信犯)江戸橋の嫁になったものの、同居ではいつ本性を見られるかわからないので多々羅木家に居候している。長髪を操ることができる(毎回違った技名を叫ぶ)。妖怪を食べる(知恵と知性があるのは食べないらしい)。後に、真一達の後輩として高校に入学し、その身体能力から新体操部に入部する。その後、美術部に入部する。 大上 フィルバート(おおがみ フィルバート) 6巻から登場する新1年生。美術部部員。ニコのことを非常に慕っており、彼女の弟子の座をかけて真一と勝負をすることになる。純情なところがあり、御崎や鱗にしばしばからかわれている。 実は人狼の子供であり、ジェヴォーダンの獣の末裔。殺されそうになっていたところを、ニコと彼女の師匠であるリーバートに保護された。周囲の人を傷つけないために、一度は学校を辞めて立ち去ろうとしたが、ニコに叱責され、学生生活を続けることになる。 ニコに恋心を抱いていたが、「似た人」である美生にも同様に惚れてしまった。 白狼山 求道丸(はくろうざん ぐどうまる) 奈良山の弟子を自称する木の葉天狗。強い相手と戦うことが自分を鍛える近道と信じて、いきなり勝負を仕掛けてきた。『是害流体術絶技』という技を使うが、「是害流」という流派は存在しておらず、勝手に名乗られても困ると奈良山自身は困惑気味。また、美生は「姉御」(「師匠」は是害坊だけだから)。5巻で鱗と共に、真一達の後輩として高校入学を果たす。 身体能力こそ高いが、妖術への耐性が皆無なので、真一たちが動いた頃にはもう負けていることが多い。 多々羅木 豊(たたらぎ ゆたか) 剣道部の主将。高校剣道ではそれなりに有名らしい。本町の猫屋敷(江戸時代の化け猫伝説で有名)に居住。正体は、化け猫と人間の半妖である。諸事情により、美術部の妖怪退治を邪魔していた。 輝曰く「頭は固いけど、根に持つタイプじゃない」 多々羅木 美生(たたらぎ みう) 1年C組に在籍。部活は園芸部。豊同様化け猫と人間の半妖であるが、それが大きなコンプレックスになっていた。 控えめな性格だったが、兄と共に美術部と和解した後は徐々に明るめな性格になった。大型犬好きで、フィルバートの変身形態を非常に気に入っている。焦ると言葉の端々が猫っぽくなる。 粂神 良子(くめがみ りょうこ) 県立宇宙開発事業団(ロケット研究会)に所属する1年生。担当は燃料配合。部内での名前はユーリ・ガガーリン。 父親が妖怪好きである為、それを反面教師として妖怪の存在には否定的だった。しかし真一の言葉を「目の前の事実を客観的に、冷静に見据えることこそ科学者としてあるべき姿勢」と(間違って)解釈したことで、妖怪と向き合う覚悟を決めた。 父の影響で(不本意ながらも)妖怪に詳しい。そのため御崎の代理として頼られることもある。 部で鍛えられたために、ある程度追い込まれるとマッドエンジニアであるユーリ・ガガーリンに変貌するようになった。 市目 ハルカ(いちもく) 水泳部に所属する1年生。風の神に憑かれた後遺症で手から風が出るようになった。良子とは友人同士。 ニコ・メリュジーヌ 有名な若手絵師。ほんわかした童顔の美人。展覧会に出品された真一の絵を見て、その才能を見出し弟子にしようと来日する。 獅子岩 アルマ(ししいわ アルマ) 女子レスリング部の部長でイタチさんの友人。ハーフでブルーの瞳に金髪。男勝りな性格。「大歳」を食べて身体能力が大幅に上がったものの、稲葉によってある程度は封じられることとなった。眉に唾をつけることで解除が可能。 箕輪 八雲(みのわ やくも) 温泉宿「箕輪荘」のオーナーの孫。正体は慈吾郎を凍死させるために顕現した雪女。建前上は慈吾郎の孫であり、外見も中学生程度だが50年以上生き続けている。やきもち焼きであり、慈吾郎が他の女性にうつつを抜かすと彼を冷凍してしまう。ブログ「あっとまーく・ゆきおんな」を運営している。 箕輪 慈吾郎(みのわ じごろう) 八雲の祖父で、「箕輪荘」の名目上のオーナー(実質的な経営は支配人任せ)。美少女好き。八雲と共に世界中を旅している。 八雲を狙う研究機関の手先を二人で「ひたすらちぎっては投げちぎっては投げ」しながら旅しているので、戦闘能力はかなり高い。 ガレー/リーバートの画霊 ニコの師匠リーバートの画霊。孤独から絵の中に迷い込んだ真一達に嘘をつきそのまま留めようとした。鶺鴒と黄泉軍を食べたことにより、絵の外に出ることが出来るようになった。「ガレ―」とはその時に自分で考えた名前。 粂神 まどか(くめがみ まどか) 本町の丙小学校5年1組。良子の妹。妖怪の実在を証明するため、イタチさんをストーキングしていた。妖怪を見つけたい執念が溜まって、妖怪「しょうけら」になってしまったが、イタチさんが妖怪であることを確かめたことにより元に戻った。後遺症として自分の意志で自由に「しょうけら」に変身できるようになった。 粂神(くめがみ) 研究職上がりの古典教師(2年担当)で、八雲を捕まえようとして失敗した妖怪研究者。「白澤図」という図鑑に妖怪を記録していたが、実は妖怪・白澤に操られていた。4月からは大学の非常勤講師になったらしい。良子とまどかの父親。 白澤に見限られた時に操られていた間の記憶も奪われたが、後に白澤の目を盗んで制作した白澤図の複製と自分の日記を発見して記憶を取り戻す。しかし平凡な生活を壊したくないので家族には黙っていた。 寺林 茂(てらばやし しげる) 2年A組の担任で美術部顧問の新任教師。専門は書道だが世界史も教えていて、本人にはやる気がないのに個性的な適当きわまる口調(真一いわく「挨拶と愚痴と漫談をたしたような」)が逆に生徒には人気。実は妖怪・八右衛門狸で、茶道部の茶釜に化けていた。多々羅木家の先祖によって封印された自分の妖力を取り戻そうとしていたが、それを御崎に破壊され、稲葉先生に懲らしめられたため、教師を続けている。 名前の由来は「ひっくり返しただけ」。
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