生産上位県
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2018年の各県の和梨収穫量は、1位から順に、千葉県、茨城県、栃木県、福島県、鳥取県、長野県だった。これらの県の収穫量はそれぞれ1万トンを超え、千葉県の収穫量は3万400トン(13%)だった。 千葉県 - 江戸時代から続く和梨産地で、古くは長十郎などを特産。また、幸水と豊水の人気が出てからは2004年より和梨生産量、収穫量、栽培面積、いずれも1位である。主な産地:白井市、市川市、鎌ケ谷市、船橋市、松戸市、柏市、八千代市、市原市、香取市、いすみ市、一宮町。 茨城県 - 千葉県と比較して市場出荷の比率が高い。幸水収穫量第2位、豊水収穫量1~2位。主な産地:筑西市、下妻市、八千代町、石岡市、小美玉市、かすみがうら市、土浦市。 栃木県 - 県独自ブランドの「にっこり」が知られる。主な産地:宇都宮市、芳賀町、大田原市、那須烏山市、小山市、鹿沼市、佐野市。 福島県 - 福島市の収穫量が圧倒的に多く、ブランド梨の萱場梨が知られる。ほかに須賀川市、相馬市(磯部梨)、郡山市(磐梯熱海梨)、いわき市(サンシャインいわき梨)などに産地がある。自治体単位では福島市が日本一の収穫量を誇り、萱場地区は日本一の梨密集産地となっている。幸水、豊水のほか、「あきづき」の産地となっている。主な産地:福島市、須賀川市、相馬市、いわき市、郡山市。 鳥取県 - 平成13年までは長らく第1位であった。今日では豊水や幸水などの赤梨の方が市場人気が高いのと二十世紀梨は栽培が比較的難しいため、生産農家が減少したためである。二十世紀収穫量第1位。二十世紀の全国シェアは53%。また、県内の和なし収穫量のうち79%が二十世紀だったが、幸水や豊水、県独自の品種、「新甘泉」など赤梨の比率も増加したため、今日では青梨の比率は減少している。主な産地:湯梨浜町、鳥取市、八頭町、倉吉市、琴浦町、大山町。 長野県 - 青梨の生産は鳥取県に次いで多く、飯田地区で盛ん。「新水」を親に持つ県独自ブランドの「南水」が知られる。主な産地:飯田市、松川町、高森町、塩尻市、下條村、豊丘村。
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生産上位県
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和歌山 年間収穫量は14万トン - 19万トンで、大産地の割に隔年結果の影響は少なく、また出荷調整を行っている。主産地に有田市、有田川町(旧吉備町、旧金屋町)、湯浅町、広川町、海南市(旧下津町、旧海南市)、紀の川市(旧粉河町、旧那賀町、旧打田町、旧桃山町)、和歌山市、由良町、日高川町(旧川辺町)、田辺市、かつらぎ町、紀美野町(旧野上町)、上富田町など。主な出荷先は近畿、北海道、新潟、関東(栃木、横浜など)などで、京阪神市場の7割以上を占め、また新潟、横浜、札幌市場などで高い評価を得ている。大都市圏に近いため、観光農園や直売所も多い。かつては京阪神中心で、東京の市場へはそこまで重視していなかったが、近年は出荷量ベースでは愛媛県産に肉薄してきている。有田みかん 有田川流域や有田郡の沿岸で栽培される和歌山県の代表的ブランドで、有田市と有田郡の3町(有田川町、湯浅町、広川町)が指定産地。江戸時代からの名産地であり、県産みかんの40%以上を占めるが、ミカン樹木の老齢化も進んでおり、近年は内陸の産地が主力となっている。管内には10以上の選果場(古くは20以上あったが統廃合により集約された)があり、さらにJA直営と地域運営に分けられる。前者によるものはAQみかん(AQはArida Qualityから。内陸に位置する複数の選果場を統合し、有田川町に2箇所と広川町《マル南》に選果場を持つ。全国に先駆けて非破壊酸度測定装置《シトラスセンサー》を導入)というブランド名が付けられる。対して、地域運営による共同選果場のものとしては、宮原共選(有田市宮原町)、マルス共選(湯浅町栖原。昔は有田市須谷にも須谷マルス共選があったため、栖原マル栖共選といわれていた)、マル御共選(有田川町庄。御は御霊地区に因む)、マル有共選(有田川町西丹生図)、マル賢共選(有田川町賢。マル賢みかんと呼ばれ、宇都宮市と石巻市の市場にのみ出荷)、ありだ共選(有田市千田。アルファベットの「A」を象ったエースマークがシンボルで、ハウスみかん生産も多い)などがある。これらの選果場では、JAが指定する協会共通のブランドに「味一α」「味一みかん」があり、上記の選果場共通で糖度12.5%以上の優良品に付けられる。また、有田市にある選果場では、一定糖度以上の優品に対し「有田市認定みかん」という独自の選定ブランドも設けられている。それとは別に出荷組合による個撰ブランドがあり、「新堂みかん」(有田市新堂。新堂みかん出荷組合)、湯浅町の「田村みかん」(湯浅町田《旧田村》。田村出荷組合)、「田口共販みかん」(有田川町田口。田口共販組合。田口みかんともいい、同地区は田口早生発祥地)が知られる。これに農業法人や企業、または個人農家のブランドもあり、上質みかんをジュースにして販売し成功を収めた、早和果樹園(草創は早和共選)などが知られる。有田みかんは全国他の51箇所とともに地域団体商標の全国第一弾として認定された。 下津みかん 海南市下津町は有田郡に次ぐ和歌山県の主産地で、江戸時代から連綿とみかん栽培が行われており、紀伊國屋文左衛門がこの下津から船を出したと伝わっている。早生種が中心の有田に対し、普通温州が中心。経営的な戦略もあって有田みかんとは時期をずらし、みかんの出荷が減る1月 - 2月ごろに「蔵出しみかん」という貯蔵みかんを出荷する。収穫後に貯蔵を行うことで、酸を和らげ糖度を増し、旨味を高めることができる。このようなみかんを貯蔵みかん、蔵出しみかんといい、みかんの芸術品と言われている。貯蔵みかん産地として下津町は国内最大規模で、「下津蔵出しみかんシステム」が2019年に日本農業遺産に認定された。また、選果場を最新の糖度センサーを導入した蔵夢選果場1箇所に集約しており、ブランド品に糖度13%以上の「ひかえおろう」、12%以上の「雛みかん」などがある。京阪神のほか、北海道への出荷が多い。「しもつみかん」として地域団体商標登録。また、旧海南市域の藤白地区でも栽培が盛んで、「下津みかん」として出荷している。貯蔵みかんは、下津の他に徳島県勝浦町、静岡県浜松市北区(旧三ケ日町)、岐阜県海津市、佐賀県小城市などでも実践されている。 紀南みかん JA紀南管内である和歌山県田辺市・上富田町・白浜町など西牟婁郡で栽培される、JA紀南管轄内におけるみかん産地の総称。紀南地方は気候が有田地方より温暖なため、内陸部の斜面に産地が多い。温暖な気候を活かした極早生みかんの早出し出荷および早生みかん・中晩柑類の樹上完熟出荷が特色である。ブランドとして田辺市大坊地区の「大坊みかん」、極早生みかんの「天」、早生みかんの「木熟みかん天」「紀州一番」、デコポンやポンカン、八朔、清見、ネーブルオレンジの「木熟」シリーズなどがあり、有田や下津と比較すると、首都圏への出荷比率が高い。 日高郡 日高郡はどちらかというとシラヌヒ、イヨカン、甘夏、セミノールなど中晩柑の生産が盛んであるが、みかんの栽培を行っている地域もある。太平洋に面した由良町はゆら早生の発祥地として知られ、ミカンの他にもレモンや清見などを栽培する複合産地となっている。「ゆらっ子」は日高郡由良町で生産されるブランドみかんで、マルチ栽培により高糖度を実現している。また日高川町(旧川辺町)でもみかん栽培が盛んで、総称して川辺みかんと呼ばれ、ブランド産地では若野地区の若野みかんなどがある。 紀の川市、和歌山市 紀の川市、和歌山市山東地区でもみかん栽培が盛ん。紀の川市はJA紀の里が管轄しており、紀ノ川南岸、龍門山脈北嶺にみかん産地が展開する。生産量は県内有数で、極早生種や紀州ミカン(紀州小ミカン)の栽培が中心だが、早生種、普通種も見られる。大阪という大都市に近いため、観光農園や直売所販売も多い。汎用的な名称である和歌山みかんが一般的だが、産地を差別化するため、管轄JAの名から紀の里ブランドみかん、紀の里みかんと名乗っているケースも散見され、近年は差別化とブランド向上のために、有田で主流の早生種、宮川早生のほか、愛媛県で生産が多い普通種の南柑20号を生産している農家も増えている。また、一帯は八朔の生産が盛んで、生産量、出荷量、栽培面積において日本一の産地となっている。和歌山市は和歌山電鉄貴志川線沿線の山東(さんどう)地区で栽培が盛ん。 愛媛県 年間収穫量は12万トン - 16万トンで、出荷額は高い。また、市場価値の高い中晩柑生産にシフトしてきている。主産地に八幡浜市(旧八幡浜市、旧保内町)、宇和島市(旧吉田町、旧宇和島市、旧津島町)、西予市(旧三瓶町、旧明浜町)、伊方町(旧伊方町、旧瀬戸町)、伊予市(旧双海町、旧伊予市)、砥部町、松山市(旧中島町、旧松山市、旧北条市)、今治市(旧大三島町、旧大浦町、旧関前村、旧菊間町、旧今治市、旧大西町)、大洲市(旧長浜町)など。主な出荷先は関東、甲信越、近畿などで、愛媛みかんという名称で県外に出荷するため、箱の色や選果部会の商標で産地を区別している。西宇和みかん JAにしうわが管轄する愛媛県八幡浜市、伊方町、西予市三瓶地区(旧三瓶町)で生産されるみかん産地の総称。明治時代から痩せ地を開墾し、戦後みかん産地として発展。海岸沿いの南向き、西向き急斜面という好条件により、品質に優れたみかんを生産、首都圏の築地や大田市場を中心に高い評価を受け、首都圏を中心に名の通ったブランド産地に成長した。中でも「日の丸みかん」(八幡浜市向灘地区で、名称は共同選果部会名から。ブランド品に「豪琉頭日の丸千両」「日の丸千両」「百年蜜柑」などがあり、高級品特化。また、もっぱら葉擦れ品を扱った家庭用一般用に「ガキ大将」があるが、この産地だけは茶箱を用いていない)、「真穴みかん」(八幡浜市真網代《まあじろ》地区および穴井地区。旧真穴村にあった真穴選果部会に因み、マルマの愛称をもつ。ブランド品に「ひなの里」がある。また、真網代青果による「真穴みかん貴賓」などがある)、「川上みかん」(八幡浜市川上地区。旧川上村にあった川上選果部会に因み、マルカと略される。ブランド品に「味ピカ」「味ピカ小太郎」「風」など)はウンシュウミカン専作の産地となっている。他には旧保内町喜須来、宮内と八幡浜市の日土町から成るみつる共選(以前の名称は保内共選。みつるはブランド品「蜜る」に因んだもの)、八幡浜共選(八幡浜市内にあり、川之石、舌田、粟野浦の市内沿岸3地区から成る中晩柑との複合産地で、収穫量最大の選果部会。ブランド品に「濱ノ姫」「濱美人」)、八協共選(八幡浜市内内陸に位置する矢野崎、千丈、双岩、神山の4地区から成る中晩柑との複合産地。ブランド品に「媛美月」)、三瓶共選(西予市三瓶地区(旧三瓶町)を包含。ニューサマーオレンジの産地として知られる複合産地。ブランド品に「しずる」《雫流》)、伊方共選(伊方町。ウンシュウミカンを中心とする複合産地。ブランド品に「媛匠」)などの10箇所の共同選果部会が独自のブランドを築いている(伊方町(旧三崎町)に三崎共選があるが、ここは清見タンゴールなどの中晩柑専作であり、ウンシュウミカン栽培はほとんど行っていない。また、同じく中晩柑中心の磯津共選(同旧保内町内磯津地区)があるが、規模は小さい)。また、箱の色から高級品は俗に黒箱と呼ばれるが、家庭用一般品は茶色の箱。なお、JAにしうわでは西宇和みかんPRとキャンペーンのために、例年クレヨンしんちゃんの野原しんのすけを採用している。 宇和みかん JAえひめ南が管轄する宇和島市吉田町(旧吉田町)、宇和島市を中心とした産地で作られるみかんの総称。特に宇和島市吉田町は八幡浜市に次ぐ県内2番目のミカン産地で、戦後しばらくは首都圏に盛んに出荷され、八幡浜を凌ぐ県内随一の産地であった。赤色の箱が特徴で、宇和青果農協時代からの銘柄である「うわの赤箱」という愛称で親しまれている。宇和島市吉田町内に味楽、玉津、喜佐方、宇和島市に宇和島共同の、計4箇所の選果場がある。ブランド品に「美柑王」「お袋さん」などがあり、またブランド力の高い玉津選果場では厳選品を「たまもの」という名称でブランド販売している。温州みかんのほか、甘平、甘夏、ポンカン、不知火の産地にもなっている。 明浜みかん 八幡浜市と宇和島市吉田町の中間に位置する西予市の明浜地区(旧明浜町)で生産されるみかん。みかん産地の中でこの明浜だけがJAひがしうわ管轄となっており、箱の色も他とは異なり、橙色である。一般品の「風のいたずら」、ブランド品に「はまかぜみかん」などがあり、契約農家が任意で搾汁し販売するムテンカというストレートジュースでも注目を浴びている産地でもある。有機栽培農法でみかんを栽培、販売する無茶々園も同地区内にある。 興居島みかん(ごごしまみかん) 愛媛県松山市の西部に位置する興居島(旧興居島村)で生産されるみかんで、「島みかん」と呼ばれ親しまれている。県外出荷の他産地と異なり、市内流通が中心となっているため、愛媛みかんという名称を用いていない。また、共同選果場がなく、個人選果を行っている珍しい産地である。箱の色は濃紅色。 中島みかん 愛媛県松山市の北西部に位置する中島(旧中島町)で生産されるみかん。かつては選果場を持ち、マルナカブランドとして京阪神、首都圏などに出荷していたが松山市に吸収合併されると産地として衰退した。後にブランド再興の気運が高まり、松山市の内地産と差別化(内地ではハウスみかん中心)を図るため、「中島便り」として販売される。ブランド品に「中島便り 匠と極」。箱の色は黄緑色(管轄JAのJAえひめ中央に因む)。伊予柑、カラマンダリンやその他柑橘の複合産地にもなっている。 今治、越智地方 県北部の今治市(旧越智郡を含む)もみかん栽培が盛んな地である。JAおちいまばり管轄となっており、青色の箱から、青箱と呼ばれる。また、産地から瀬戸内みかんと呼んでいるケースもある。ブランド品に「サンエース」があるが、宇和地方の産地がブランド志向となるなか、一般向け中心であり、比較的京阪神方面への出荷も多い。中晩柑の栽培も盛んで、せとか、はれひめ、愛媛県果試28号(紅まどんな)などの生産も盛んになっている。 松山市(島嶼以外)、伊予市、砥部町 JAえひめ中央が管轄し、県中心部、中予に位置する産地で、ハウスみかん生産が主流である。ブランド品に「道後物語」がある。また、一帯は伊予柑、せとか、甘平、愛媛県果試28号(紅まどんな)の主産地としても発展してきている。 静岡県 年間収穫量は10万トン - 13万トン(隔年結果の差が大きい)。主産地に浜松市(旧三ヶ日町、旧浜松市、旧細江町、旧引佐町、旧浜北市)、湖西市、藤枝市(旧藤枝市、旧岡部町)、静岡市葵区、静岡市清水区(旧清水市、旧由比町)、沼津市、熱海市、伊東市、島田市、牧之原市(旧榛原町)などで、県内の東西に産地が分布する。普通温州栽培国内1位。特に浜松市はみかん栽培が盛んな三ケ日町や細江町、引佐町などを合併したため、収穫量、出荷量ともに自治体として国内トップである。主な出荷先は中京圏、北陸、関東、東北など。三ケ日みかん 静岡県浜松市北区三ヶ日(旧三ケ日町)。静岡県内最大の産地で浜名湖北部の南向き斜面に産地が広がり、中京圏を中心に高いブランド力をもつ。ミカちゃんという少女がトレードマークとなっている。収穫後出荷を行うもののほか、貯蔵してからの出荷も多く、産地の出荷期間は長い。高級ブランドとして指定登録、樹上熟成などを徹底した「ミカエース」を初め、「心」、貯蔵みかんの「誉れ」などがあり、また浜松市の卸売会社マルマによる私撰の「マルマみかん」も知られる(同社はミカンが有名だが、柿、馬鈴薯などもブランド化している)。 丸浜みかん 浜松市。浜名湖の北東部に位置する丸浜選果場に因み、丸浜柑橘農業共同組合連合会によるブランドみかん産地。片山ミカンという品種(原産は徳島県。普通温州)を多く栽培することで知られる。 浜名湖みかん 三ヶ日町の周囲の浜名湖畔はみかん産地が集中しており、細江町、引佐町、浜松市東区、湖西市知波田地区などで盛んとなっている。また、一帯のみかんを指して浜名湖みかんと名乗っていることが多い。浜松市細江町は白柳ネーブルの産地としても知られる。また、浜松市内にあるJAとぴあ浜松ではとぴあみかんという名称で販売もしており、マルチ栽培による高糖度みかんを「天下糖一」としてブランド販売している。 西浦みかん 沼津市に位置し、県東部を代表するブランドみかん産地。駿河湾に面する斜面に産地が展開し、古くからの産地となっている。寿太郎温州という糖度の高い品種の栽培が主流になってきており、貯蔵により糖度を上げた「寿太郎プレミアム」、ハウスみかんの「寿太郎プレミアムゴールド」というブランド品がある。 静岡青島みかん 静岡市葵区の山間部は青島温州の発祥地。マルチ栽培によるブランド化を進めており「夢頂」「いあんばい」などの銘柄がある。 清水のミカン 静岡市清水区は県中部で盛んな場所の一つで、清水のミカンと呼んでPR活動(清水産柑橘類の統一ロゴマークの設定、応援ユニットの結成など)を行っている。温暖な気候を生かし、ミカンのほかに不知火、はるみ、スルガエレガント(静岡県独自の中晩柑)、ポンカンにハウスみかんなどを栽培する複合産地となっている。また、全国でも珍しく平地面でみかん畑が広がる(一帯は降雨が少なく、日照時間が長いため実現した。日照時間の均一化、高齢者の負担を軽減する目的)。古くは地元のみかんを使った缶詰(缶詰は清水を代表する産業である)も作っており、清水から海外に輸出し、外貨を獲得していた。 藤枝市とその周辺 藤枝市(旧岡部町含む)は県中部で最も盛んな場所の一つで、岡部は県内みかん栽培の発祥地とされている。まれに、地域名から志太みかんとも言われる。管轄のJAおおいがわは、厳しい検疫をクリアした輸出ミカン管理組合を置いており、国内の対米、カナダ、ニュージーランドへのミカン輸出拠点となっている。また、島田市ではハウスみかん栽培が盛んなほか、神座みかんというブランド産地がある。 熊本県 年間収穫量は7万トン - 10万トン。2017年は不作の静岡県を上回り、収穫量全国3位となっている。主産地に熊本市(旧熊本市、旧植木町)、玉名市(旧天水町、旧玉名市)、宇城市(旧三角町、旧不知火町)、宇土市、荒尾市、玉東町、和水町(旧三加和町)、山鹿市、天草市(旧牛深市)など。八代海に面した県北部に産地が集中する。主な出荷先は九州、岡山、中京圏など。極早生種の生産が多い。河内みかん 熊本県河内町(1991年2月熊本市に編入)の金峰山山麓の西側で多く栽培されている産地の総称。江戸後期からみかん栽培が勧められ、1934年には県立果樹実験場が設置。石垣を組んだ段々畑となっており、温暖な気候と八代海の反射光、石垣からの反射熱から良質のみかんが作れ、県最大の産地となった。一帯には4箇所の選果場があったが品質向上のために統合され、夢未来みかんとして出荷している。ブランドに「夢の恵」などがある。 天水みかん(小天みかん) 小岱山麓にある玉名市天水町付近は熊本県内有数の産地。夏目漱石の『草枕』にもその記述があり、ブランド品「草枕」の由来にもなっている。また、玉名市などでは「小天みかん」と呼んでいる。 三角みかん 熊本県宇城市三角町(2005年1月宇城市に編入)で多く栽培されているブランド。早生種の「肥のあかり」「肥のあけぼの」の特産地にもなっている。温州みかんではないが、熊本県果実連合会が登録商標をもつデコポンでも有名。 長崎県 年間収穫量は5万トン - 7万トン。主産地は佐世保市、諫早市(旧多良見町、旧小長井町、旧諫早市、旧高来町)、西海市(旧西海町、旧西彼町)、長崎市、大村市、南島原市(旧北有馬町、旧有家町)、長与町、川棚町、長崎市(旧琴海町、旧長崎市)、時津町、東彼杵町など。主な出荷先は九州、関東など。200年以上の歴史がある長崎みかんは、長崎県を代表する特産品の一つとなっており、大村湾を中心とした海岸地域を中心に、県内広く生産されている。長崎県は三方を海に囲まれて対馬海流の影響を受け、年間を通じて温暖な気候であり、また海からの反射光があること、傾斜地を利用して非常に日当たりのいい段々畑を中心に栽培されていることなども併せて、みかん作りに適した環境が整っている。また、マルチシート被覆率は50%を超え、愛媛県と並びブランド戦略が活発である。西海みかん 針尾島などの佐世保市南部から西彼杵半島西岸に位置するみかんの愛称。西海みかんではさせぼ温州という早生種が栽培されており、ブランド品に「味っ子」「味まる」(JAながさき西海)や「ながさきの夢」「味ロマン」(JA長崎せいひ)などがある。その中で、「出島の華」は14度以上という糖度が保証されたブランド品で、させぼ温州の県共通ブランドであるが、西海地区での栽培が盛ん。 伊木力みかん・長与みかん 長崎県諫早市多良見町(旧多良見町)を中心とするみかん産地で、旧市町村では多良見町が県内最大の産地であった。とりわけ伊木力(いきりき)地区のものが知られ、伊木力みかん、さらに佐瀬地区のものは皇室献上の歴史もなどもあり、佐瀬みかんとして高級ブランド化している。隣接する長与町でもみかん生産は盛んで、200年の歴史をもつ。町内にはかつて長与選果場があり長与みかんと呼ばれていたが、2011年にことのうみ伊木力選果場に統合されたため、県外向けには伊木力みかんとして出荷、販売される場合もある。また、この伊木力と長与は共にJA長崎せいひの管轄内であり、長崎中央卸売市場による「ながさき甘姫」という共通のブランド品もある。 南高みかん 長崎県南島原市の南高(なんこう)果樹農協を中心とするみかん産地で、周辺の産地を島原みかんと呼ぶこともある。堆肥にステビアの葉を利用しているのが特色(ステビア有機農法は桃やメロンなど他の果物でも実践している地区がある)で、糖度の高いみかんができる。ハウスみかん栽培が多く、県共通ブランド品「長崎恋みかん」の主産地にもなっている。また、管轄JAのブランドに「太鼓判」、「南高自信作」、「味錦」などがある。 県央 大村湾東岸に位置する県央部の大村市や川棚町もみかん栽培が盛んな地区であり、JAながさき県央の管轄となっている。大村湾の海面と多良岳西麓の斜面など地形条件に恵まれており、ブランド品に糖度13度以上の「味ホープ」、12度以上の「はなまる物語」などがある。 豆酘みかん 長崎県対馬市の豆酘(つつ)地区で栽培されるみかん。豆酘地区はみかん産地としては北限に近く、かなり高緯度となっているが、対馬海流の温暖な気候を利用して、ブランドみかんが栽培されている。 佐賀県 年間収穫量は5万トン前後。主産地に唐津市(旧浜玉町、旧唐津市、旧七山村)、太良町、鹿島市、佐賀市(旧大和町)、多久市、小城市(旧小城町)、玄海町、伊万里市など。県の東西にオレンジベルトと呼ばれるみかん生産地が分布している。「さが美人」は県共通の高級ブランド。ハウスみかんの収穫量は国内1位。出荷先は北九州、京阪神などであり、大阪市場では和歌山産の次にシェアが高い。からつハウスみかん 佐賀県唐津市浜崎、玉島地区(旧浜玉町)は愛知県蒲郡市と並ぶハウスみかんの一大産地。古くからハウスみかんの生産が盛んで、4月 - 9月の間に京阪神圏などに出荷される。また、唐津市の上場地区(旧鎮西町)では「うわばの夢」という高糖度のみかん(ハウス・露地)を生産する。 太良みかん(たらみかん) 多良岳の山麓、太良町で生産されるみかん。戦後は全国最大級の極早生産地として一世を風靡したが、その後の社会情勢に伴い生産量が激減。近年は選果場統合の危機に直面したことで、「たらみかん活性化プロジェクト」を立ち上げ、同町内のミカン農家が有志で立ち上げた「たらシトラス会」で情報発信や地元への奉仕活動を行ったり、たらみかん通販サイト「タラッタ」で太良みかんを販売したりしている。盛田温州(皮肌がツルツルしているため、トマトみかんという愛称をもつ)やクレメンティン(スペイン原産の柑橘)などが産地の特色である。 鹿島市 鹿島市は太良町と並び、多良岳山麓の大規模みかん産地。鹿島市は祐徳稲荷神社の門前町であり、「さが美人」の中でも、特に糖度の高いみかんを選び「祐徳みかん」としてブランド化している。 天山みかん 県北部にそびえる天山の南麓に分布する産地の総称。佐賀市大和町、小城市、多久市が栽培の中心。貯蔵みかんやハウスみかんなどで個性化を出しており、大和町の貯蔵ブランドみかん「あんみつ姫」、小城市の高糖度高級ブランド「プレミアム天山」、多久市の「孔子の里」などがある。
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