烹炊とは? わかりやすく解説

ほう‐すい〔ハウ‐〕【×烹炊】

読み方:ほうすい

煮たきすること。


調理

(烹炊 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/11 14:21 UTC 版)

調理風景

調理(ちょうり、: cuisson: cooking)とは、食品材料(食材)を洗う、切るなどして、さらに煮る焼く炒めるなどの操作をほどこし、食べやすく、またも良くする行為や、その技術のこと[1]。「料理する」という場合の「料理」は、調理よりも広義である(下で説明)。本記事では調理すること、および料理することの両方を扱う。

概要

シェフによる厨房での調理

「調理」は味作りの技術面に限定される用語である。「料理」のほうは、やや広義で、食事計画を立て、(食材を確保し、調理操作を行い)食卓上の料理を構成するまでの過程全体を指す[1]

調理は長い歴史を持ち歴史とともに変化してきた。調理は各家庭においても行われ、日常生活で供される料理を「家庭料理」という。このほか飲食店などの外食産業社員食堂学校給食などおいて職業的調理者によっても行われている。家庭料理と外食の中間的な形態として、自宅・職場などへ持ち帰るための総菜弁当など調理して販売することを「中食」と呼ぶ。

調理で用いられる様々な手法・技法は調理法や調理技術、調理に用いる道具を調理器具という。キッチンナイフ包丁)類、類、熱源などが基本中の基本である。

家庭料理では家庭ごとの調理法や「味」が次世代に継承されている。調理のための教室(「クッキング教室」)なども開催されている。

調理をする人は「調理者」・「調理人」・「コック」、和食の調理人は「板前」などと呼ぶ。などという。調理を職業とする人はフランス語で「cuisinier キュイジニエ」、中でも料理長(調理場の最高責任者)を「chef シェフ」と称する。「シェフ」は本来は調理に限らず様々な分野で、人々に命令し、決定的な影響を与える人物のこと。調理場でその役割を果たすので「シェフ」と呼ばれるようになった。プロの調理人を養成する調理師学校もある。

具体的な調理方法とそれに使う食材、調味料などはレシピとしてまとめられる。料理本やインターネットなどで公開されることが多いが、ノウハウとして秘密にする料理人もいる。

世界的に見て、飲食店などの調理場で調理するのに免許は必要ない。日本では1958年の調理師法の公布により「調理師」が都道府県知事の免許制として法制化されたが、飲食店に対して調理師を置くことを「努力義務」としたのみである。

調理については学問的な研究も行われており、栄養味覚などについて自然科学的アプローチを行う「調理科学」や、歴史の変遷を研究する「調理史」などがある。

効果

火を通すことで雑菌や寄生虫を殺す

殺菌、無毒化

そのままでは食べられないものを、加熱により食べられるものへと変化させることができる。加熱することで、食中毒などを引き起こす有害な病原体が殺菌・不活化され、有毒なタンパク質は変質され無毒化される。また毒のある部位を取り除くことで危険性を低減する。フグ卵巣除去は、その一例である。

消化吸収効率の向上

切る、刻む、すり潰すなどの操作は、歯と顎による咀嚼よりも効率的に食物を消化吸収に適した形状に加工することを可能とした。また、加熱によりタンパク質が変質し消化吸収されやすくなる。ただし、ビタミンは調理中に失われてしまうものもある。

食味の向上

人類史における意義

人類はを使い食物を加熱することで食べられないものを食べられるようにし、消化吸収のコストを激的に低減した。それにより大量のエネルギー余剰が生まれ、それがヒトの脳が発達する一因となり、人類の進化に寄与したという見方が存在する[2]

調理の危険性

切り傷

包丁で玉ねぎを切る

調理は包丁のような刃物を用いることがあるため、怪我をする危険がある。切り傷から感染症に繋がる場合もあるため、注意が必要である。また、切り傷がある人が調理した生物(なまもの)などは、黄色ブドウ球菌などの食中毒を引き起こす可能性がある。

排煙による健康被害

調理している人

国際エネルギー機関(IEA)によると、調理の熱源として木炭石炭などを燃やしている人々が発展途上国を中心に約23億人、世界人口の三分の一程度おり、による大気汚染呼吸器などの健康被害に加えて、森林破壊温暖化ガスである二酸化炭素排出増につながっている[3][4]。煙を出さない電熱電磁調理器都市ガスプロパンガスなどへ転換する「クリーンクッキング」が推進されている[5]

大韓民国(韓国)では、調理場従業員の肺癌労働災害(労災)認定された例もある[6]

調理器具

  • 調理器具の一覧英語版 も参照。
熱源
加熱容器
  • 落とし蓋:鍋の蓋と違い、食材の上に乗せる形で用いる。煮物や食材の下茹でに使用されることが多い
切る
  • パイカッター:焼き上がったパイを切り分けるのに用いる。
  • ジャカードステーキとんかつなどの肉料理の下拵え時に、生肉に穴を開けて繊維を切断し、柔らかくするのに用いる。
砕く
擦る、すりおろす
潰す、すり潰す
挽く
  • 肉挽き機(ミンチ機、ミンサー(ミッチャー))英語版
割る
混ぜる
ふるう
漉す
叩く、伸ばす
塗る
整える
量る、測る
その他
  • ジャーレン:中華鍋から揚げ物などを一度に取り出すための穴あきの道具
  • スケッパー - 焼く前のパイ生地を混ぜたり切り分けるのに用いる
  • オメガヴィスペン:スウェーデン発祥の万能調理器具で、調理の際の様々な動作に合わせる形で作られている
  • パスタメーカー(パスタマシン):パスタ生地を伸ばしながら切る器具

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 小学館日本大百科全書』「調理」
  2. ^ 『火の賜物―ヒトは料理で進化した』NTT出版
  3. ^ 木や木炭で調理23億人/温暖化対策で注目/器具普及でCO2減少へ」『日本経済新聞』朝刊2024年12月10日サイエンス・フロンティア面
  4. ^ WHO:環境汚染死因1位は料理用燃料 ナショナルジオグラフィック日本版(2014年3月26日)2025年1月11日閲覧
  5. ^ 【1分解説】クリーンクッキングとは?第一生命経済研究所(2024年11月18日)2025年1月11日閲覧
  6. ^ 心配になる料理人の呼吸器健康ー肺がん労災認定 2021年4月9日 韓国の労災・安全衛生 全国労働安全衛生センター連絡会議

参考文献

  • 島田敦子、今井悦子編著『調理とおいしさの科学』(放送大学教材、1998年3月)

関連項目



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