ザンビア 地方行政区分

ザンビア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/05 05:33 UTC 版)

地方行政区分

ザンビアの州
首都ルサカ

ザンビアは10つの州(Province)から構成されている。

  1. 中央州(Central)
  2. カッパーベルト州(Copperbelt)
  3. 東部州(Eastern)
  4. ルアプラ州(Luapula)
  5. ルサカ州(Lusaka)
  6. 北部州(Northern)
  7. 北西州(North-Western)
  8. 南部州(Southern)
  9. 西部州(Western)
  10. ムチンガ州(Muchinga)

主要都市

ザンビア最大の都市は首都のルサカであり、国土のほぼ中央に位置する。ザンビアで最も都市化が進んでいる地域は北部のカッパーベルト州であり、北から順にチリラボンブウェチンゴラムフリラキトウェンドラルアンシャと、30㎞から40㎞ほどの間隔をあけて10万人から30万人規模の都市が6つ並んでいる。これらの都市はンドラを除きいずれも大規模な鉱山を擁している。ルアンシャとルサカの間には、やはり大規模な鉱山で知られるカブウェ市が存在する。このカッパーベルトからルサカにかけての国土中央部に大都市は集中しており、その他にはマラウイと国境の街である国土東端のチパタや、国土南端のジンバブエとの国境にある交通の要衝で、ヴィクトリアの滝観光の拠点ともなっているリヴィングストンなどが存在する程度である。

地理

ザンビアの地理

ザンビアは南部アフリカ内陸国であり、国土の大部分が高原でいくつかの河川が谷を刻んでいる。南部にザンベジ盆地を擁する。国名の由来ともなっているザンベジ川はザンビア北部に端を発し、いったんアンゴラを通ったのち再びザンビアへと入って、西部州を北から南へと抜ける。国土南端で向きを東へと変えると、以後はザンビア南端を東流しながらナミビア、ボツワナ、ジンバブエとの国境を形成し、モザンビークへと抜ける。ヴィクトリアの滝(落差108m)はジンバブエとの国境に位置し、リヴィングストンはこの滝に近い観光拠点である。国土中部を流れるカフエ川や東部を流れるルアングワ川などザンビア国内の水系の大部分はザンベジ川へと流れ込むが、北部の河川の一部はコンゴ川へと流れ込むものもある[31]。最北部のタンガニーカ湖はタンザニアとの国境で、南東端にカランボ川が流入し、カランボ滝はアフリカ第2位の落差(235m)を誇る。

気候

ザンビアのケッペン気候図。黄緑及び緑色が温帯夏雨気候、オレンジ色がステップ気候、水色がサバナ気候である。

高地にあるため国土の大部分が温帯夏雨気候(Cw)で、しのぎやすい。年降水量は500-1,500mm。首都ルサカ(標高約1,200m)では1月の平均気温は21℃、7月の平均気温は16℃である。乾季は5月-8月であり、12月-4月は雨季である。国土南端部は降水量が少なくステップ気候となっており、また西部や東部の一部はサバナ気候となっている。

経済

開発途上国の一つであり、毎年3%〜7%と安定した経済成長を続けている。市場経済を志向した改革を進めており、1994年にはルサカ証券取引所が開設されている。

社会主義体制をとっていたため、現在も国内総生産(GDP)に占める割合は政府や公共事業部門が非常に大きい。対外債務の増加と汚職が経済成長の阻害要因となっている。国債の償還に要するため、通貨ザンビア・クワチャは数十年の間インフレーションを続けている。

鉱業・エネルギー

ザンビア経済の主力は鉱業であり、世界第7位の産出量があり総輸出額の約74.3%(2013年)を占めるの輸出[32]に頼る典型的な単一輸出経済である。20世紀初頭の英領北ローデシア時代に北部で銅山が発見されて以降、銅鉱業はこの地の主力産業であり続け、特に銅山の密集する地域はカッパーベルト州と名付けられるほど銅に依存していた。しかし独立後、1969年に銅山の国有化が行われて以降は生産の不振が続き、1970年代後半から1980年代にかけては銅価格の落ち込みに伴ってザンビア経済そのものが悪化した。民主化後、銅価格の上昇に伴って再び経済が成長しつつあるが、銅輸出に過度に頼る経済構造に変化はない。このほか、世界第6位の産出量があるコバルトも重要である[32]

電力は、世界最大のダム湖を持つカリバダムによる水力発電で支えられており[33]、2012年の発電量119億kwhのうち水力発電の割合は99.6%を占める[32]

農業

第一次産業人口が55.8%(2012年)を占める[32]にもかかわらず、かつては食糧をしばしば輸入に頼っていたが、2000年代後半から急速に食糧生産が増大し、食料自給率が150%を上回る、アフリカでは希少な農業大国となった。この要因として、まず1995年に新土地法が施行されたことが挙げられる。この新土地法は土地私有こそ認めなかったものの、99年間の土地リース権が認められたため事実上は土地私有が可能になり、また外国人にもこの土地リース権が認められるようになった[34]。その後、2000年ごろに南隣のジンバブエで白人土地農園の強制収用が起こった際、ザンビアは250人ほどの農家を受け入れ[35]、政府が農地を提供して支援した結果、かつて世界有数の単収を誇ったジンバブエ農業のノウハウがそのまま移転し、白人大農園の主に生産する小麦や、黒人小農が主に生産する主食のトウモロコシを中心としてザンビアの穀物生産量は急伸した[36]。また海外からの農業投資も盛んである[37]

畜産も盛んで、Zambeef社は他のアフリカ諸国を含めて肉牛飼育や養豚養鶏酪農、食肉・皮革加工、穀物栽培を手掛けている[38]

ザンビアからインド洋へ抜けるタンザン鉄道

注釈

  1. ^ ただし、ボツワナとはザンベジ川上で100mほど接しているに過ぎない。

出典

  1. ^ Constitution of Zambia (Amendment), 2016-Act No. 2.pmd”. 2017年9月6日閲覧。 - ザンビア憲法(2016年改正版)、記載は「PART XX GENERAL PROVISIONS」の258.
  2. ^ a b UNdata”. 国連. 2021年11月7日閲覧。
  3. ^ a b c d e IMF Data and Statistics 2021年11月7日閲覧([1]
  4. ^ 『アフリカを知る事典』(平凡社ISBN 4-582-12623-5 1989年2月6日初版第1刷)p.183
  5. ^ 星、林 1988, pp. 99–101.
  6. ^ 星、林 1988, pp. 106–109.
  7. ^ 金七 2003, p. 190.
  8. ^ 金七 2003, pp. 189–191.
  9. ^ 星、林 1988, p. 108.
  10. ^ 星、林 1988, pp. 123–124.
  11. ^ 星、林 1988, pp. 153–154.
  12. ^ 星、林 1988, pp. 155–157.
  13. ^ 星、林 1988, pp. 197–200.
  14. ^ 星、林 1988, pp. 200–206.
  15. ^ "64年東京のいまを歩く(9) 長い五輪史上初 閉会式当日に生まれた新国家ザンビア". 産経ニュース. 産業経済新聞社. 2 June 2015. pp. 1–2. 2019年11月18日閲覧
  16. ^ 星、林 1988, p. 232.
  17. ^ 星、林 1988, pp. 233–234.
  18. ^ 星、林 1988, pp. 235.
  19. ^ 星、林 1988, p. 238.
  20. ^ サッチャー首相、ルサカへ『朝日新聞』1979年(昭和54年)7月31日 13版 7面
  21. ^ 「銅に揺れるザンビア 価格低迷で窮地 活路開くか農業革命」『朝日新聞』1976年(昭和51年)5月21日朝刊13版9面
  22. ^ 小倉充夫『労働移動と社会変動――ザンビアの人々の営みから』(有信堂、1995年11月5日初版第1刷発行)63-78頁
  23. ^ 小倉充夫『労働移動と社会変動――ザンビアの人々の営みから』(有信堂、1995年11月5日初版第1刷発行)129-143頁
  24. ^ 小倉充夫『南部アフリカ社会の百年――植民地支配・冷戦・市場経済』(東京大学出版会、2009年2月20日初版)192頁
  25. ^ 「ザンビア大統領選、与党バンダ氏が当選」AFPBB News(2008年11月2日)2018年11月10日閲覧
  26. ^ 「ザンビア暫定大統領にスコット氏、アフリカで20年ぶり白人元首」AFPBB News(2014年10月30日)2018年11月10日閲覧
  27. ^ ザンビア、債務不履行状態 外貨建て国債、利払いできず”. 時事通信 (2020年11月14日). 2020年11月13日閲覧。
  28. ^ 「ザンビア大統領選、ヒチレマ氏が初当選 対中債務への対応課題」日本経済新聞ニュースサイト(2021年8月17日)同日閲覧
  29. ^ 毎日新聞』朝刊2021年6月27日:中国製空港 草原に威容/ザンビア 資源国「債務のわな」術中(1面)および「ザンビア 中国の借金漬け/財政破綻 市民ら窮地」(3面)
  30. ^ ザンビア基礎データ 日本国外務省
  31. ^ 『アフリカを知る事典』(平凡社、ISBN 4-582-12623-5 1989年2月6日初版第1刷)p.183
  32. ^ a b c d e f 『データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版 世界各国要覧と最新統計』(二宮書店 平成28年1月10日発行)p.277
  33. ^ JICAの現場から(49)ザンビア大学と連携日刊工業新聞』2018年8月10日(4面)2018年10月26日閲覧
  34. ^ 大山修一「ザンビアの領土形成と土地政策の変遷」p.83(武内進一編『アフリカ土地政策史』所収)アジア経済研究所、2015年11月13日発行
  35. ^ 江木慎吾「農業急成長の影に、250人の@ルサカ - ニュース特集朝日新聞デジタル
  36. ^ 平野克己『経済大陸アフリカ』(中公新書、2013年1月25日発行)pp.143-144
  37. ^ 鍋屋史朗「ザンビアにおける食料安全保障と農業投資状況」『ARDEC』47号(一般財団法人日本水土総合研究所、2012年12月)2018年11月10日閲覧
  38. ^ Zambeef - アフリカ成長企業ファイル アジア経済研究所(2018年10月26日閲覧)
  39. ^ 一般社団法人海外鉄道技術協力協会著『世界の鉄道』(ダイヤモンド・ビッグ社 2015年10月2日初版発行)pp.354-355
  40. ^ 在ボツワナ日本大使館『ボツワナ月報 2014年09月』p.5(2018年11月17日閲覧)
  41. ^ 一般財団法人 国際臨海開発研究センター(OCDI)OCDI-Vol5.pdf 『OCDI 2014年夏号』p.17( 2018年11月17日閲覧)
  42. ^ Census of Population and Housing National Analytical Report 2010. Central Statistical office, Zambia
  43. ^ a b c d e f g Africa :: Zambia — The World Factbook - Central Intelligence Agency CIA World Factbook "Zambia" 2018年11月18日閲覧
  44. ^ 『マラウィを知るための45章』p.28(栗田和明)明石書店、2004年
  45. ^ ザンビア大学付属教育病院医療機材整備計画事前評価表国際協力機構ホームーページ) (PDF)
  46. ^ 「自分の大義を胸に」 横浜を退団した中町公祐がザンビアリーグ移籍を発表! サッカーダイジェストweb 2019年02月04日






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