7研以外のロボット開発関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 09:22 UTC 版)
「アトム ザ・ビギニング」の記事における「7研以外のロボット開発関係」の解説
堤 茂理也(つつみ もりや) 声 - 櫻井孝宏 練馬大学ロボット工学科第1研究室に所属する首席研究生。午太郎と同じく、5年前の大災害で両親を失っている。自身も、その時負った傷から脚が不自由で、自ら設計したロボチェアを利用している。 表面上人当たりは良いが、他人をクズ呼ばわりして「クズは感染する」と蔑んでいる。首席は伊達ではなく非常に優秀だが、所属する第1研究室は偏ったニーズに対応しており、本人は内心不満を抱えている。ベヴストザインを搭載したA106の存在に気づいてからは自らを敵視する午太郎はともかく、博志との接触を図っている。また、Dr.ロロの秘密や、博志と午太郎を狙った組織について知っている素振りを見せる。 WRBに前後して海外に出かけたことになっており、1研を留守にしている。WRBのあと、Jドームからそう遠くない「プロジェクトT」のラボでマルスの修理を行うがシックスとの戦いを拒否したマルスが暴れ出し、ラボ内のメンバーにも被害がおよんだため殺されそうになったところをマルスに救出されて近隣に同様の秘密ラボを構えていた佐流田に託され、回復後は7研に預けられた。7研ではA108(ブルー)開発に協力していたが、ブルーと共に姿を消す。 前述の通り足が不自由だったが、7研で開発(基礎設計は博志、製作は午太郎)した歩行アシスト装置「パワードレギンス」を装備したことで歩くことも可能となる。 Dr.ロロ 声 - 斎賀みつき マルスの開発設計者にしてオーナーということ以外、一切不明の美女。その正体は堤 茂理也の変装。このことを知っているのは知人であるブレムナーやWRBの騒ぎの中で知った博志以外には変装に誤魔化されないシックスなどのロボットくらい。モトコは自分とよく似ていることに気づくが、まさか兄が女装しているとは思わず午太郎と一緒になって「両親の隠し子」ではないかと頓珍漢な推理をしている。 変装した時は性格も変わるようである。登場する時に必ずドレスを着た女装姿なのは、自身の身元を隠すだけではなく、動かない足に歩行アシスト装置を装着しているためで、ドレス自体も体温調節の機能を持つ一種のパワードスーツとなっている。声は声帯を変化させる機能をもつブローチを使用して変えており、効果範囲内にいる者には無条件に影響する。マルスに使用されている素材や技術から、軍需企業「ヘラクレス社」との関係が疑われており、WRBにてヘラクレス社技術顧問という肩書きで出場。 シックスとの対戦からマルスに起きた変化を不調と捉えて、原因はシックスによるクラッキングではないかと疑う。その対応策としてマルスの超近距離通信システムを外したほか、とある組織が運用するロシア製軍用ロボット「イワン」に、シックスの発した超短距離通信コードを組み込むなどしている。 ベヴストザインを搭載したロボットは「自分のプログラムを自分で書き換える」ことが可能であると気づき、それが「ロボットの人間への反逆」を現実にしかねないとして、危険視している。 マルス 声 - 櫻井孝宏 身長190センチメートル、体重120キログラム。1800馬力。軍事兵器のテストベッドとして開発されたロボットで、ロボット格闘技イベント「ロボレス」を2連覇しているチャンピオン。キャッチフレーズは「無敵の軍神」。 A106に匹敵する優秀なAIに加えて、超振動を利用した手刀「ナイフハンドストライク」、飛行を可能とする羽「ジェッターシールド」、開発途中の新合金「ゼロニウム」を利用したボディを備えており、マルスのボディはシックスのセンサーでも透視できない。 自身の存在意義もわきまえており、シックスが求めた対話や自身の内に発生した感情を命令遂行を阻害する異物と断じて「くだらん」と切り捨てる。「対話」をクラッキングの類と判断したオーナーによる対応策として超短距離通信システムや音声も含めた送受信機能を外され、聴覚システムも限定したもの以外がカットされている。WRBでのシックスとの戦いのあと、単体でベトナムに現れ、ノースからの救難信号をキャッチしてJドームに現れた際にはメイデンを完全破壊した。シックスに「簡単に他者に心を開くな」と忠告して姿を消す。その後、香港で行き当たったチンピラを惨殺している。その後、大学からもほど近い秘密ラボに潜伏していたところを茂理也と共に訪れた7研メンバーと遭遇。ユウランに殴られて7研に回収された。7研ラボ内では両手両足を外された状態で放置されている。CO-84バルト 身長185センチメートル、体重115キログラム。1150馬力。とある組織によってマルスのデータから造られた歩兵型ドローン。 マルスに準じた装備とスペックを誇り、人間用の装備もそのまま利用できる器用さをもつ反面、人工知能は仕様が一段落ちている。WRBにおいてヘラクレス社の新製品として紹介され、開発に日本政府が関わっていたことも明らかにされる。暴走したユウランの鎮圧に駆り出されるが、大学内でしか知られていないシックスの戦闘パターンを入力されている。 WRBでは最終的にユウランに撃破されてケチが付いたが、外装を変更して日本国内の警官ロボットに採用されている。 菜岡教授(なおかきょうじゅ) 練馬大学ロボット工学科第1研究室の担当教授。中年の女性で「お金になるから」という身も蓋もない理由を盾に、実用性より客受けの良いロボットの開発を進めているが、裏では別の思惑も見え隠れしている。 灰戸(はいど) 1研に所属する院生。午太郎の物言いもあって7研とは仲が悪い。感情が高ぶると髪が逆立つ。茂理也が留守にしたまま消息が不明になると1研を仕切るようになる。新たに開発したロボット「ミュウ」がロボレスで優勝。その流れで警察用ロボットのコンペに出したロボット「ジュピター」はクライアント側の希望を無視した代物だったため、ジュピター本体と開発データを没収されるというオチとなった。 ゼータ、イータ、シータ 練馬大学ロボット工学科第1研究室にて開発中のロボット。「人間社会への同化」をテーマに、外見は完全に人体を模倣した美少女型に設計され、パワーは人間一人を抱えられる程度で戦闘力はない。AIもスペックより感情表現のデータ蓄積を優先していて一見すると感情豊かだが、シックスやユウランの発する超短距離通信を認識できない。 暴走したユウランに完全破壊されかけるが、シックスによって阻止された。1研メンバーは「娘」と呼ぶ3体の無残な有様から悲嘆に暮れた。7研に予算が回された上、耐久性が低い割りに高価な素材を使用しているため、WRBからしばらく経過した時点でも顔面を損傷したゼータと片腕を欠損したシータが修復された時点で必要なパーツも調達できなくなっていた。そこにユウランが自ら設計した脚部ユニットをイータに贈り、それを気に入ったイータは以前は不可能だった超短距離通信で和解の言葉を伝えた。この脚部ユニットは好評で、デザインを修正したものがゼータやシータにも装備されたが、発案者のユウランは自分のアイデアであり無許可使用だ盗作だとブー垂れていた。 ミュウ、ジュピター 灰戸が主導して1研が開発したロボット。ユウランによって傷ついた3人娘の反省を踏まえて戦闘力にも注力した設計となっている。AIは3人娘から伝播した形で自我を獲得している。 ミュウは3人娘に続く美少女型。電磁武装「サンダーウイップ」とユウランが開発した脚部飛行ユニットを標準装備としている。一見するとロボット然とした礼儀正しさだが、超短距離通信の対話ではかったるそうな発言が多い。好戦的な一面も持ち、変装した茂理也の正体(Dr.ロロだということも含めて)黙っていてほしいというユウランの頼みと引き換えに「シックスと戦うこと」を要求する。大学構内で激戦を繰り広げるが、絡みついたウィップを逆用されて頭部を破損、システムがクラッシュするところをシックスに救われて敗北を認める。当初は灰戸指定のバレリーナか踊り子のような衣装を着ていたが、シックスとの立ち合い以降は露出を控えた服を着るようになった。7研に入り浸るようになり、シックスと親しいマルスやノースなどロボットに対して嫉妬心を見せるようになる。 ジュピターは先述の通り警察からの依頼で開発された。振動兵器を相殺する装備などを有し、デモンストレーションで戦ったバルトを圧倒する姿を見せたが、警察側の希望は不足している警官の業務を補佐ないしある程度肩代わりできる物だった上、灰戸がその辺りを全く理解せず開発プロジェクトにそのまま参加できると考えていたのもあって、その考え違いを正す意味もあって機体と開発データ全ての没収というオチとなった。 アーロン・ブレムナー スコットランド出身の貴族(伯爵)にして優秀なロボット研究者。茂理也からの連絡を受けて午太郎たちの前に現れる。 物言いは大仰なところはあるが、自ら開発したロボット「ノース」と超高速潜航艇「ロレンチーニ」でフィールドワークを行う行動派。謎を解き明かすことを生き甲斐としており、そのためには手段を問わない一面もある。当初は無関心だったWRBに「直勘」から参加を決め、大会の裏で行われている事柄を調査する。暴走事故の最中に起きたシックスとマルスの戦いを止めた。その後、ベトナムのJドームを訪れるが、稼働を続けていたメイデンに捕獲され同様に捕獲された月江・お茶爺と共に監禁されていた。無事脱出したのちにドームのシステムから得た情報の解析を進めている。のちに7研を訪問した際には移動手段がステルス飛行船にバージョンアップを果たしていた。 原作『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」に登場したノース2号の製作者に似ているが博志よりも年下であり、10巻収録の番外編の中で、原作に登場したのは彼の父親であることが示されている。 ノース 身長4.72メートル、体重680キログラム。720馬力。ブレムナーが開発したロボット1号機。女性型の外見を持ち、開発者であるブレムナーからは「私の可愛いノース」と呼ばれている。 格闘よりも銃火器を含めた実戦に主眼を置いた高機動型でフレキシブルに動く6本腕「テレスコピックアーム」や走行用モノホイールと8つの飛行用ジェットノズルを備えた「スフィアジャイロ」を持つ。基本的にブレムナー一人と行動する。超短距離通信(A106による「対話」)を受信することはできるが、発信せず電子音とボディランゲージで対応し、発信する機能はもたないと考えられていたが、(シックスよりは)そこそこ長い付き合いのマルスも知らなかった発信機能を使わなかった理由は、「直接会話を交わすのが、恥ずかしかったから」という乙女。 WRBでは他のロボットのようにユウランの発信による暴走に巻き込まれることなく、暴走した現場に取り残されたベーコンエッグをシェルターの入り口に運ぶなど人命救助を行っている。ブレムナーと共に7研を訪問した際には外見は変化させずに出力や装備のバージョンアップを果たしていた。 スチュワート ブレムナーの執事。主人に付き従い各種調査にも協力しているが、フィールドワークの際には移動基地である潜航艇ロレンチーニで留守番をしている。 佐流田 彦蔵(さるた ひこぞう) 練馬大学ロボット工学科の教授。電子頭脳開発の権威で、偏屈だが大学内では圧倒的な権限を持っている。博志の祖父によれば、ロボット技術による人間の不老不死化が研究の最終目標であり、娘をサイボーグ化したのもその応用。 午太郎たちが手に入れたバルトの頭部とそれらに関する情報に、口をつぐむのと引き換えに、第7研究室の存続を認めさせた。WRBでは7研一同へのお目付役としてオーストラリアにやって来るが、暴走騒ぎの中で姿を消す。 博志の祖父の従兄弟であり、共に鼻が大きいのはそのため。研究の方向性に違いが生じたため現在は直接の付き合いは無いが、博志がいる第7研究室に対して何かと便宜を図るのは親戚であるからのようだ。 博志の祖父 博志や健作の会話で語られていたが、コミックス7巻の35話で本格的に登場した。本名不詳。午太郎が付けた仇名は「お茶爺(おちゃじい)」。 本人の語るところによれば、太平洋戦争後の日本が貧しかった時代に、両親が過酷な労働を強いられ、それゆえに早死にしたことから、「人と一緒に働くロボットを作ろう」と決意したという。ただし、「人の代わりに働かせる奴隷ではいけない。人から仕事を奪うような存在になってもいけない。人と共に働き、共に生き、喜びを分かち合えるような、心を持ったロボットでなければならない」と考えたという。そのために様々な発明をし、「N-eva18」を始めとしたプログラム言語をいくつも開発、その後のロボット技術の基礎を築いたが、1969年の「未来から来た少年型ロボット」との出会いにより研究を中断して、その後は世界を放浪して姿を消したそのロボットを捜している。 若いころ、医師だった伴健作の祖父「白ヒゲ先生」(と呼ばれていた)、その病院の地下室に下宿していた。孫の博志同様に、自分の夢を叶えること以外には欲が無く、たびたび騙されそうになったところを助けられていた。その代わり、病院の維持費を一部負担していた(伴健作の記憶では、祖父は、「病院は博志の祖父に造ってもらった」と言っていたという)。また、現在は経験を積んだこともあり、孫の博志が驚くほど韜晦して振る舞うことが出来る。持ち歩いている杖はある種のロボットでありそこそこ高度なAIで行動し監禁された部屋のカギを外から開けるなどした。 なお、この「未来から来た少年型ロボット」に関するエピソードは手塚治虫の描いた『アトム今昔物語』で描かれるアトムが50年前の世界(1969年の東京)にタイムスリップした話であり、お茶爺こそが原作に登場するお茶の水博士に相当する人物だが、「ビギニング」ではお茶爺がとった行動によってアトムが造られた未来とは違う流れとなっている(後述)。 ピンク、タム ベトナム・ホーチミン市のメコン川畔で診療所を開いている2人の女性。血は繋がっていないが、共に幼いころに両親を亡くしており一緒に力を合わせて生きてきた。 ピンクは腕利きのコンピュータエンジニアでハッキング技術にも優れる。後述の医療ロボット“ディアン”のAIプログラムを組んだ。ボビナムを嗜み、腕っぷしもかなりの物。 タムは内科を専門とする医師。病人・けが人お構いなしに担ぎ込まれるため、専門以外の治療もするが、より高度な医療を成し遂げるためにピンクと共に医療ロボットを作り上げる。 ディアン 身長2.67メートル、体重204キログラム。12馬力。ピンクとタムが自作した外科手術用の医療ロボット。 廃材から集めた物以外に市内で運用されているガードロボットのパーツなども流用しているが、お茶爺の作ったプログラム言語で組んだAIはプログラムを自己修復・最適化するだけでなく、ネット内の情報から自身の改修案も提示する能力がある。原因不明の不調が懸念されていたが、シックスとリンクしたことが切っ掛けで明確な自我を現した。 博志がギエム院長に撃たれた際に目覚めて執刀。傷ついた脳を修復するために一時的に活動を停止させ、停止した領域のデータをリンクしたシックス内部に保存した。 100-0(ヘカトン-メイデン) ホーチミン市郊外に存在する建設途中で放棄された建築物「Jドーム」内部で活動している警備用ロボット。多数のドローン「トマティ」と視覚を共有している。自身に外部を検知する機構がなく、トマティの目を通してしか外を見たことがない。シックスとの対話の結果、全く違う価値観ながら「心」らしきものを生じるが、現れたマルスに完全に破壊された。
※この「7研以外のロボット開発関係」の解説は、「アトム ザ・ビギニング」の解説の一部です。
「7研以外のロボット開発関係」を含む「アトム ザ・ビギニング」の記事については、「アトム ザ・ビギニング」の概要を参照ください。
- 7研以外のロボット開発関係のページへのリンク