しっ‐とう〔‐タウ〕【執刀】
執刀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 09:03 UTC 版)
こうして手術を行う環境が整ったら執刀が開始される。執刀に参加する医師は、例えば一般的な開腹や開胸手術の場合は3 - 4人程度である。大学病院や大病院であると4 - 5人程度、人手の少ない病院だと2人で行うこともある。また手術介助の看護師が参加する。 まず術者(執刀医)によって皮膚にメスが入れられる。術者は術前の計画に沿って手術を進行する。実際の所見が術前の予想と異なる場合(例:予想より進行していた、腫瘍の癒着が強固)があり、術中の判断で計画(術式)が変更、追加されることもある。ただしこの術中の計画変更、追加については患者にあらかじめ可能性として説明されていることが望ましい。術中に偶然発見された全く別の疾患については、たとえ医学的に妥当性があったとしても、本人(もしくは代理人)の同意なしには治療を行うべきでないというのが2021年現在主流の考え方である。しかし、一般的には多く行われ、事後同意という形式を取っている場合も多い。 手術操作終了後、術後の癒着防止、細菌や遺残癌細胞の除去などを目的に、温めた生理食塩水による術野の洗浄が行われる。また切開創の直下は術後高頻度に癒着を起こすが、主に繰り返し開腹を行う可能性がある帝王切開などで癒着防止のシート材が使用されている。創を閉鎖する前には、手術で使われた器具やガーゼ、針などの体内遺残を防ぐため、主に手術補助の看護師によって入念な数合わせが行われる。これが合わない場合は創を閉鎖せず、体内に遺残物がないと確認できるまで探し続けるのが原則である。また人的ミスも考慮して、術後すぐに手術部分のX線写真を撮影し、遺残物がないか確認することも多い。 創閉鎖後、滅菌シーツ(ドレープ)が取り外され、麻酔薬の投与が中止され、患者は麻酔から回復する。
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