ソリューション
ソリューションとは、問題や課題に対して提案される解決策や方法である。一般的に、ソリューションは効果的かつ効率的に問題を解決することを目指し、状況や目的に応じて柔軟に適用される。具体的なソリューションは、技術的なアプローチや戦略的な計画、組織的な変革など、多岐にわたる分野で提供される。
ソリューションは、問題の原因を特定し、その原因に対処することで効果を発揮する。問題解決のプロセスにおいて、ソリューションは以下のステップで構成されることが一般的である。
1. 問題の特定:問題や課題を明確に理解し、その範囲や影響を評価する。
2. 原因分析:問題の根本原因を特定し、それらがどのように問題に影響を与えているかを理解する。
3. 解決策の検討:根本原因に対処するための複数の解決策を検討し、それぞれの利点と欠点を評価する。
4. 解決策の選択:最も効果的で効率的な解決策を選択し、実行計画を立てる。
5. 解決策の実行:選択された解決策を実行し、問題の解決を目指す。
6. 評価とフィードバック:解決策の効果を評価し、必要に応じて改善や修正を行う。
ソリューションは、個人や組織が直面する問題や課題を解決するための重要な手段であり、効果的なソリューションは、問題の根本原因に対処し、持続可能な成果をもたらすことが求められる。
solution
「solution」とは、解決・解答・溶解のことを意味する英語表現である。
「solution」とは・「solution」の意味
「solution」とは、解決策、解答、溶けるなどの意味を持っている英語表現である。ビジネスシーンでは、抱えている課題や問題を解決する事などを意味する。また、solutionはビジネスにおいてテクノロジーやサービスを活用して問題の解決や改善を図るケースを指す際に用いられる事が多い。尚、IT技術を導入したsolutionという意味である「IT solution」という表現も存在している。solutionは可算名詞であるが、動詞形は「解決する」などの意味を持つ「solve」となる。動詞のsolveに接尾辞である「tion」を付け加えて名詞になったのがsolutionである。一方、化学や科学の分野におけるsolutionには、溶液、溶剤といった意味がある。さらにsolutionの場合、借金返済や債務履行といった法律的な意味も含まれている。
「solution」の発音・読み方
「solution」の音節は「so・lu・tion」、発音記号は「səlúːʃən」である。カタカナ表記の読み方としては「ソリューション」又は「ソルーション」となる。「solution」の語源・由来
「solution」はラテン語である「se(自分自身)」、「lut(解く)」、「ion(こと)」から構成された英語表現である。また「緩める」という意味を持つラテン語の「solvere」がsolutionの語源であるとも言われている。「solution」と「solutions」の違い
「solutions」は「solution」の複数形であるが、両方とも解決策、解答などの意味を持っているため、基本的に大きな違いはないと言える。「solution」を含む英熟語・英語表現
「solution to」とは
「solution to」とは「~の解決法・解決策」という意味を持つ英熟語である。例えば「彼女は気候変動の解決法を知っています」を英訳すると「She knows the solution to climate change」となる。
「solution service」とは
「solution service」とは、顧客が抱えている問題・課題の解決法として、ソフトウェア・ハードウェアからシステムの提案などをする事を指す英熟語である。ITに特化したものなどsolution serviceの種類は様々ある。
「technical solution」とは
「technical solution」はIT業界で使用されるケースが多い用語である。システムの開発や保守などにおける専門性の高い技術的な解決策の事を意味する。
「human solution」とは
「human solution」とは、人材の育成をする事で企業や団体などが抱えている問題・課題を解決する事を表現した用語である。例えば、新規事業に関連した研修や企業の経営理念に沿った人材の育成などが挙げられる。
「creative solution」とは
「creative solution」とは、「創造的な解決法」という意味合いがある英語表現である。既存のソリューションにオリジナルのアイデアを付け加えて進化したものを指す事が多く、IT業界を中心に使われている。例えば、録画用カメラを導入した店舗の24時間監視や、元々は単体で使用していたアニメーションと静止画を融合した広告などが挙げられる。
「IoT solution」とは
「IoT solution」とは、主にビジネスにて発生したトラブルなどを、物とインターネットをリンクさせるIoT技術によって解決する事を表す用語である。IoTを導入する事によって、人員不足の解消や業務の効率化などが期待できる。
「solution」の使い方・例文
「solution」の場合、ビジネスシーンにおいては個人レベルの問題やトラブルの解決よりも、企業の経営・運営に関連する課題の解決を指す意味で使用するのが適切と言えるだろう。また、solutionは課題や問題の解決をサポートする製品やサービスを指す用語として使われる事もある。solutionを用いた例文としては、「He has several solutions(彼はいくつかの解決方法を持っている)」、「She found the solution to the puzzle(彼女はパズルの答えを見つけた)」、「Is there no solution to this problem?(この問題に対する解決方法はないの?)」、「I find a solution to lessen the damage(損害の度合いを低くする解決方法を見付ける)」、「Proposing solutions that meet customer needs(顧客のニーズに合わせた解決策を提案する」、「And the provision of the solution to food waste(食料問題に対する一つの解答でもある)」、「I observed the solution using a microscope(顕微鏡を使ってその溶液を観察した」などが挙げられる。2150
ソリューション
「ソリューション」とは・「ソリューション」の意味
ソリューションとは、ビジネスに関わるテストやマーケティング戦略における「解答」、「解決策」、「解決方法」を意味する英語である。「ソリューション」の熟語・言い回し
ディソリューションとは
ディソリューションとは、物事が分解されること、会議、組織が解散すること、契約、結婚といった約束が解消されることを意味する。ビジネスにおいては、ソリューションが失敗に終わったり、うまく機能しなかったりすることを表すことが多い。
ソリューションサービスとは
ソリューションサービスとは、主にビジネスにおいて顧客の抱える問題の解決策として、ソフト面やハード面におけるシステムの構築、提案をすることを表す。問題の種類に応じた様々なソリューションサービスが存在する。ソリューションサービスを手掛ける代表的な企業としては、ITを中心としたソリューションサービスを提供するNEC、コンサルティング、金融、産業、IT基盤と多岐にわたるソリューションサービスを展開する野村総合研究所などが挙げられる。
コンソリューションとは
コンソリューションとは、コンサルティングとITソリューションの組み合わせによって生まれるサービスである。主に個人によるデジタル技術を活用したビジネスを支援するために用いられる。例として、野村総合研究所では、エンジニア、マーケター、デザイナー、コンサルタントといった専門家が、ビジネスとITの一体化を目標としてひとつのチームとなり、顧客の問題解決にあたっている。
ヒューマンソリューションとは
ヒューマンソリューションとは、組織が抱えている問題を、企業内での人材育成によって解決することを表す。例として、既存事業、新規事業に関する綿密な研修、企業の経営理念や経営計画に沿った人材の育成などが挙げられる。
アドバンスドソリューションとは
アドバンスドソリューションとは、「先進的な解決策」を意味する単語である。既存の問題に対し今までになかったような技術や方法で解決がなされた場合に用いられる。
テクニカルソリューションとは
テクニカルソリューションとは、ビジネスにおけるシステムの開発、保守、またそのコンサルティングにおける技術面での専門的な解決策のことである。IT事業の際に用いられることが多い。例として、NTTグループでは、光ファイバに代表される通信設備の整備、送電線や鉄塔といった家庭や企業への電源供給に欠かせない設備の安全対策などを行っている。
クリエイティブソリューションとは
クリエイティブソリューションとは、「創造的解決策」を意味する単語である。既存のソリューションに独自のアイデアを加え進化させたものを指していることが多い。デジタルの分野でよく用いられる。例として、かつては単体で用いられていた静止画とアニメーションを組み合わせた広告、録画用カメラを用いた店舗の24時間監視などが挙げられる。
ソリューション事業とは
ソリューション事業とは、ソリューションの企画、開発、運用を包括的に行う事業のことで、ソリューションにまつわるビジネス全体のことを指している。主に顧客が抱えている問題や課題の解決を事業内容とする。特に課題の発見とそこから得られた知見による適切な課題設定が重要である。製品による解決だけでなく、サービスによる問題解決も含まれる。企業対個人の場合だけではなく、個人対個人の場合もある。
テクノロジーソリューションとは
テクノロジーソリューションとは、ビジネス上で抱えている問題を技術的に解決することである。問題の発見から運用、保守までを包括的に行うケースから、ピンポイントで技術開発、提供を行うサービスまでさまざまな種類のものが存在する。例として、クラウドサービスによる事業のデジタルトランスフォーメーション化、大規模システムのデータセンターによる一括管理などが挙げられる。
グリーンソリューションとは
グリーンソリューションとは、植栽や緑化などの自然によって環境的な問題に対処することを表す。例として、都市の緑化によるヒートアイランド現象の抑制、CO2排出量の削減などが挙げられる。また、佐川急便では、グリーンソリューションの一環として、排気ガスの少ない配達車両の導入、人と貨物を同時に運ぶ「貨客混載」などが実施されている。
iotソリューションとは
iotソリューションとは、主にビジネス上で発生した問題に対して、インターネットとモノを繋ぐ技術である「iot」によって対処することを表す。iotの導入によって業務効率化や人手不足の解消などの効果が見込まれる。例として、農作物の自動収穫や工場生産ラインのリアルタイム監視などが挙げられる。NECでは、サプライチェーンの統合管理によるリアルタイムの情報提供、iotによるLPガスの自動検針など、多岐にわたるiotソリューション事業を展開している。
人材ソリューションとは
人材ソリューションとは、人材派遣や人材紹介などを通じて、ビジネス上で発生している問題の解決にあたることである。例として、人手不足の解消や専門技術者の派遣による技術の継承などが挙げられる。
物流ソリューションとは
物流ソリューションとは、物流における需要や問題に対処するための物流システムの最適化、効率化のことである。例として、ロボットを使用した自動梱包システム、機械化された在庫管理システムなどが挙げられる。日本郵便では、郵便局や物流ソリューションセンターを活用し、配送時間や配送コストの削減、配送方法の柔軟な選択を行えるような仕組みを作っている。
aiソリューションとは
aiソリューションとは、ai、人工知能を用いて問題を解決することを表す。例としては、機械学習を行うbotを用いた質問、問い合わせへの対応や、音声認識による会議、プレゼンテーションなどの文字起こしなどが挙げられる。損保ジャパン日本興亜では、aiソリューションによる人的配置の最適化や業務シフトの改善によって、これまでの形態では失われていた時間を年間40万時間以上も生み出すことができた。
webソリューションとは
webソリューションとは、webサイトが存在する目的を果たすために用いられる戦略、またその戦略を練るために必要な情報のことを表す。例として、サイト訪問者数とアクティビティの統計、webサイトのユーザーインターフェース改良などが挙げられる。
「ソリューション」の使い方・例文
「ソリューション」の使い方、例文としては、以下のようなものが挙げられる。・顧客のニーズに合わせた最適なソリューションを企画し、提案する。
・来年度からはソリューション事業にも進出することになった。
・相手先に提案されたソリューションは、私たちにとって満足のいかないものだった。
・街の景観をグリーンソリューションによって改善し,緑あふれる街を作ろう。
・サイトへのアクセスが伸びないので、webソリューションを導入する必要がある。
・退職者が増えたので、これから人材ソリューションが必要になるだろう。
・サイトへのアクセスが伸びないので、webソリューションを導入する必要がある。
・業績が停滞してきたので、クリエイティブソリューションについて考えなくてはならない。
・退職者が増えたので、これから人材ソリューションが必要になるだろう。
・まず問題の全容を把握してから、テクノロジーソリューションを導入するべきだ。
・コストを下げるために、物流ソリューションに関する会議を開こう。
・業務効率化、社員の負担軽減のためにAIソリューションを導入し、業務形態の改善を図る。
ソリューション
「ソリューション」とは、主にビジネスシーンにおいて「抱えている問題・不便・課題を解消すること、および、その解決方法」などを意味する表現である。「業務の課題解決のために導入される情報システム」を指す意味で用いられることことも多い。
自然科学の分野では「ソリューション」は「溶液」を意味する語である。
「ソリューション」の英語の solution に直接由来する語である。英語の solution は、「解決すること・解決策」および「溶解・溶剤」などの意味がある。英語の solution は、動詞 solve(解決する)に接尾辞「-tion」をつけて名詞化した単語である。
solution および solve の語源は、ラテン語の「solvere(緩める)」である。
ビジネスシーンにおける「ソリューション」は、サービスやテクノロジーを導入して課題の解決・改善・効率化を図ることを指す場合が多い。「IT(情報技術)の導入によるソリューション」という意味で「ITソリューション」と呼ばれることも多い。
ビジネスシーンにおける「ソリューション」は、個人の課題や一時的なトラブルの解決・解消よりも、むしろ企業の経営や業務推進に関する課題の解決を指す意味で用いられる語といえる。
「ITソリューション」に似た言葉として「システムインテグレーション」がある。「システムインテグレーション」は、目的に応じたシステムを構築することを意味する。その意味では「システムインテグレーション」は「ソリューション」よりも意味の狭い言葉である。
「ソリューションシステム」とは、ソリューションを提供するために必要なソフトウェア、ハードウェア、ネットワークをセットにしたシステムのこと。また、そのシステムを提案・構築するサービスのことを「ソリューションサービス」という。「ソリューションプロバイダー」とは、業務上必要となるコンピューターシステムの構築などのソリューション業務を請け負う業者のこと。
ソリューション【solution】
ソリューション
【英】solution
ソリューションとは、一般的には「回答」や「解決すること」などの意味を持つ英語である。IT用語としては、企業がビジネスやサービスについて抱えている問題や不便を解消すること、および、そのために提供される情報システムなどを指す。
必ずしも「情報システムの構築」という要素を含まず、単に「問題解決に向けて取り組むこと」や「何らかの手段を講じて問題解決に望むこと」を指してソリューションと称する場合もある。
ソリューションを構成する要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ノウハウや人員など多種多様である。顧客の状態や要望に合わせてそれぞれの要素が組み合わせられ、個々の顧客にとって最適な解決案として提示される。それぞれの企業が抱えている問題点は一様ではなく、例えば「売り上げ向上」や「コスト削減」、「顧客満足度の向上」、「業務の効率化」、「競争力の強化」、「内部統制の整備」などと、それぞれ異なる。
ソリューションを提供する事業体は「ソリューションベンダー」あるいは「ソリューションプロバイダ」と呼ばれることがある。
ソリューションがビジネスとして成立している背景としては、次のような事情を挙げることができる。すなわち、ビジネスの高度化や業務内容の複雑化が進み、情報システムを単に導入しただけでは経営上の課題を容易に解決できなくなっており、その一方で、システム構築においても、社内の他の業務システムとの連携、さらには、取引先や顧客のシステムとの接続が必要となり、ますます複雑さが増しているといった事情である。もはや、企業の情報システム部門によるシステムの構築が不可能と見られる中で、課題解決のためのソリューションが期待されている。
ソリューション solution
全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
技術チーム責任者として
- 文脈によっては,「解決支援」あるいは「解決策」と言い換えたり説明を付けたりする方が分かりやすい場合がある。
- 「ソリューション事業」「ソリューションビジネス」「ソリューションサービス」などの複合語として使われる場合が多いが,その場合は,「問題解決型事業」「解決支援事業」「解決支援サービス」などと,言い換えたり説明を付与したりすることができる。
- 会社名や事業名,部署名として使われることが多いが,理解度は低い語であるので,相手や場面に応じて説明を付与することが必要である。
ソリューション
ソリューション(英: solution、英語発音: [səluːʃən] ソルーション[1])とは、「とく」こと。 元来はラテン語で「束縛から解放された」を意味する形容詞 solut(us) 。「solution」は名詞化語尾 -ion を付した英語の名詞。
溶く
解く
- 問題の解答。→問題解決
- 方程式などの解。方程式の解き方によって解かれた答え。
- システムソリューション。さまざまな物事、ビジネス、サービスにおける問題、課題を解決するためのコンピュータシステム、または、サービスの総称。→ソリューションプロバイダ、システムインテグレーター
その他
- ソリューションは1970年から1983年まで存在していたオランダのプログレッシブ・ロック・バンド。
- ソリューション .45はスウェーデンのメロディックデスメタルバンド。
- SOLUTION E.P.はcinema staffの通算6枚目、メジャー5枚目のシングル。
脚注
- ^ 日本では「lu」を「英語発音: [luː]:ル(ー)」と英語流に呼ぶことは少ない。その代わり「リュ(ー)」と呼ぶことが多い。ただし元は英米の発音でもsolutionは英語発音: [səljuːʃən]とされる。
関連項目
溶液

溶液(ようえき、英: solution)とは、2つ以上の物質から構成される液体状態の混合物である。一般的には主要な液体成分の溶媒(ようばい、solvent)と、その他の気体、液体、固体の成分である溶質(ようしつ、solute)とから構成される。溶媒と溶質とが混合して、溶液が生成される現象のことを溶解という。
溶液は巨視状態においては安定な単一、且つ均一な液相を呈するが、溶質成分と溶媒成分とは単分子が無秩序に互いに分散、混合しているとは限らない。すなわち溶質物質が分子間の相互作用により引き合った次に示す集合体などが溶媒に分散している溶液も多い。
特に微視状態において2つ以上の相が分散混合していて、巨視的には一様な分散系溶液をコロイド溶液と呼ぶ。状況によっては、理想溶液の振舞いとの乖離が大きいコロイド溶液は、溶液とは見なさない場合もある(コロイド溶液については記事 分散系に詳しい。)。
呼称
通常、区別する目的で溶媒の種類と「溶液」の語を併せて、「エタノール溶液」などと呼び表す。特に断らずに「溶液」と言った場合は水溶液を示す場合が殆どである。すなわち例を挙げると、
- 溶質=フェノールフタレイン、溶媒=エタノール
- - フェノールフタレイン(の)エタノール溶液あるいはフェノールフタレイン/エタノール溶液等
- 溶質=塩化ナトリウム、溶媒=水
- - 塩化ナトリウム溶液あるいは塩化ナトリウム水溶液等
である。
濃度
また、溶質と溶液との量的比率を濃度と呼ぶ。溶質量は質量、物質量、体積で表され溶液量は質量あるいは体積で表されることが多い。溶質量と溶媒量とは同一の物理量で比を表すことが多いが、濃度を使用する用途によっては任意の組み合わせで比を表す(記事 濃度に詳しい)。また特定の温度で溶質が最大限に溶媒に溶ける割合を溶解度とよぶ。
溶解
溶液は異なる純物質の2つ以上の相から出発し、拡散混合して一様な液体になることで生成するが、この過程を溶解と呼ぶ(記事 溶解に詳しい)。つまり気体または固体を溶質とする溶液は溶解と呼ぶが、液体の溶質で溶媒と相分離しない物同士は溶解とは呼ばず単に混合と呼ぶことが多く、相分離する物同士は溶解と呼ぶ。すなわち、相分離することはその溶質が溶媒に全く溶解しないことを意味しない。
溶質 | 相分離 | 名称 |
---|---|---|
液体 | しない | 混合 |
する | 溶解 | |
気体・固体 | - |
このように溶解は拡散過程であるから、溶媒と溶質との凝集力の性質に違いが無ければ、気体同士の拡散と同じく熱力学第二法則にしたがっていかなる比率でも溶液が生成することが期待される。言い換えると、溶質-溶質間、溶媒-溶媒間そして溶質-溶媒間の凝集力に違いが無い場合に溶解を熱力学的な拡散過程として取り扱うことができ、その様な溶液を理想溶液(りそうようえき、ideal solution)と呼ぶ。
溶質-溶質間の(あるいは溶媒-溶媒間の)凝集力と溶質-溶媒間の凝集力に差異があるということは、混合状態のほうが熱力学的に安定でない場合もありうることを意味する。混合前後の凝集力の差は熱力学的な状態を変化させ熱として現れる。すなわち、発熱あるいは吸熱の溶解熱として現れる。言い換えると、溶解熱の指標である混合エンタルピー変化と拡散の指標である混合エントロピー変化の収支が正の場合に溶解が進行する。
現実の溶液では、イオン電荷間の静電相互作用、あるいはイオン電荷を持たない物質では水素結合、双極子相互作用、ロンドン凝集力等様々な機構により発生する凝集力が作用する。その結果、溶媒分子あるいは溶質分子の性質によりこれらの凝集力の幾つかが重畳して作用することになるが、凝集力の種類によっては分子の構造や配向によって強度が変化する為、分子の種類により凝集力に選択性が生じることになる。
まず、凝集力は距離の二乗に逆比例する遠距離力の静電相互作用とそれよりも到達距離の短い近距離力のファン・デル・ワールス力(分子間力)とに分類される。そしてファン・デル・ワールス力はその発生機構により、ロンドン分散力や双極子相互作用などさらに幾つかに分類される。溶液の物理化学的挙動を区別する為に、つぎのように凝集力の違いにより溶液を区分する。
理想溶液† | 正則溶液 | (一般溶液) | 電解質溶液 | ||
---|---|---|---|---|---|
近距離力 | ロンドン分散力 | ○ | ◎ | ○ | ○ |
双極子相互作用 | × | × | ◎ | ○ | |
水素結合 | × | × | ◎ | ○ | |
遠距離力 | イオン対 | × | × | × | ◎ |
◎=溶液種別を特徴づける凝集力、○=副次的な凝集力、×=凝集力として参画していない
†ロンドン分散力は構成原子による違いは持たず理想溶液の凝集力に最も近いが分子量が増大すると凝集力が大きくなる。しかし理想溶液の凝集力は分子種別によらず一定と仮定するので厳密には異なる。あるいは希薄溶液ではいずれの凝集力の場合も分子間凝集力の差異が熱力学的挙動に与える影響が殆どなくなるので、どのような希薄溶液でも理想溶液として扱うことが可能である。
理想溶液
熱力学的には液体は分子が分子間力により束縛し合っているものの、固体のように秩序だった構造をとらない。すなわち無秩序な物理的状態を示す。したがって、溶液の液体の中で溶媒分子と溶質分子との間での束縛が等価であり、それぞれが区別されないような無秩序な混合状態の液体となっている溶液を理想溶液(ideal solution)と呼ぶ。理想溶液は熱力学的な概念であり、その理論から理想溶液の挙動としてラウールの法則が導かれる。言い換えると、いずれの溶液濃度においてもラウールの法則が成立する溶液が理想溶液である。
経験的に理想溶液となる溶解(あるいは混合)は次のような場合が該当する。
- 構成分子の分子の大きさがほぼ等しい
- 混合熱はゼロ
- 混合による容積変化はゼロ
近似的に理想溶液と見なされる例としては、重クロロホルムとクロロホルムとの混合やトルエンとベンゼンとの混合などがある。
それら以外の場合でも希薄溶液は溶質分子同士の相互作用の影響は無視しうるので理想溶液に近似可能であり、ラウールの法則やヘンリーの法則が成り立つ。その場合蒸気圧あるいは沸点や凝固点など溶液の熱力学的状態量は束一的性質を示す。
二種類の液体が混合する場合、成分2のモル分率を
- 『理化学辞典』5版、岩波書店。
- 戸倉仁一郎編、『溶液反応』至文堂。
- 篠田耕三、『溶液と溶解度』丸善。
関連項目
「Solution」の例文・使い方・用例・文例
- solutionのページへのリンク