フェノールフタレイン【phenolphthalein】
フェノールフタレイン
分子式: | C20H14O4 |
その他の名称: | フェノラクス、フェノールフタレイン、Phenolax、Evac-Q-Tabs、Feen-A-Mint Gum、Phenolphthalein、3,3-Bis(4-hydroxyphenyl)isobenzofuran-1(3H)-one、4,4'-(1,3-Dihydro-3-oxoisobenzofuran-1,1-diyl)bisphenol、3,3-Bis(4-hydroxyphenyl)-1,3-dihydroisobenzofuran-1-one、4,4'-[3-Oxoisobenzofuran-1(3H)-ylidene]bisphenol、4,4'-(3-Oxo-1,3-dihydroisobenzofuran-1,1-diyl)bisphenol |
体系名: | 4,4'-[(3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン)-1,1-ジイル]ビスフェノール、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン、4,4'-(1,3-ジヒドロ-3-オキソイソベンゾフラン-1,1-ジイル)ビスフェノール、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-オン、4,4'-[3-オキソイソベンゾフラン-1(3H)-イリデン]ビスフェノール、4,4'-(3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1,1-ジイル)ビスフェノール |
フェノールフタレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/15 06:02 UTC 版)
フェノールフタレイン | |
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低pH (0−8.2) での構造
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3,3-bis(4-hydroxyphenyl)isobenzofuran-1(3H)-one |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 77-09-8 ![]() |
PubChem | 4764 |
ChemSpider | 4600 ![]() |
KEGG | D05456 ![]() |
ChEMBL | CHEMBL63857 ![]() |
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特性 | |
化学式 | C20H14O4 |
モル質量 | 318.32 g mol−1 |
外観 | 白色または淡黄色固体 |
密度 | 1.277 g cm−3 (32 °C) |
融点 | 258 - 263 °C, 534-536 K ([1]) |
水への溶解度 | 不溶 |
ほかの溶媒への溶解度 | ベンゼンに不溶、エタノールとエーテルに非常に溶ける、DMSOにわずかに溶ける LambdaMax = 552 nm (1st) |
危険性 | |
GHSシグナルワード | 危険(DANGER) |
Hフレーズ | H341, H350, H361[1] |
Pフレーズ | P201, P281, P308+313[1] |
EU分類 | ![]() ![]() |
NFPA 704 | |
Rフレーズ | R22, R40, R45, R62, R68, |
Sフレーズ | S53, S45 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
フェノールフタレイン (phenolphthalein) は化学式 C20H14O4 の有機化合物である。分析化学において 酸塩基指示薬として用いられる。白色または淡黄色の固体であり、水には非常に溶けにくい。PP、HIn、もしくはphph と略されることがある。滴定に広く利用される。
粉末のほか、エタノール-水の溶液が試薬として市販されている。フェノールフタレインをエタノールに溶かし、水で希釈したものは酸塩基指示薬としてアルカリ性の検出に用いられ、赤紫色(濃い桃色)を呈する。濃度が濃ければ、紫色にもなることがある。強塩基の場合は、非常にゆっくりと色が消えていき、無色となる。色の変化は、構造が変わることで起こり、pH < 8.3 の酸性側で無色、pH > 10.0 の塩基性側で赤紫色を示す。なお、pH > 13.4では、さらに構造が変化し、無色となる。以下の4つは各pHにおけるフェノールフタレインの構造式である。
化学種 | In+ | H2In | In2− | In(OH)3− |
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構造式 | ![]() |
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モデル | ![]() |
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pH | <-1 H2SO4中[2] | 0−8.3 | 8.3−13.4 | >13.4 |
酸性度 | 強酸性 | 酸性または中性 | 塩基性 | 強塩基性 |
色 | オレンジ | 無色 | ピンクからフクシャ | 無色 |
画像 | ![]() |
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合成
フェノールフタレインは無水フタル酸と2つのフェノールの3つの分子を酸性条件で縮合させることにより合成される。この反応は1871年、アドルフ・フォン・バイヤーによって発見された[3][4][5]。

用途

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フェノールフタレインは一世紀以上にわたって下剤に利用されてきたが、げっ歯類の実験結果より、発癌性の疑いが認められたため、現在では一般用医薬品から除外されている[7][8][9]。
フェノールフタレインはカスル・マイヤー試験として知られる血液の検出にも用いられる。乾燥した検体を綿棒か濾紙に集める。初めにアルコール、次にフェノールフタレイン、最後に過酸化水素水を検体に数滴ずつたらす。検体にヘモグロビンが含まれていれば、色がピンクに変わる。この反応が陽性を示せば、検体には血液が含まれると考えられる。この実験は検体を壊さないため、検体を使用してさらに実験を行う際に適している。しかしこの実験はヒト以外の生物の血液でも同じように反応するため、さらに実験を行う際にはその血液がヒト由来であるかどうか調べる必要がある。
またおもちゃにも使用されており、つや消しのインクや、バービーの髪を染める際に使用される。バービーの髪には空気中で二酸化炭素と反応(潮解)する水酸化ナトリウムが加えられている。この反応では水素イオンが発生し、呈色が始まるpHの数値が下がる。
- フェノールフタレイン溶液 理科ねっとわーく(一般公開版) - ウェイバックマシン(2017年10月5日アーカイブ分) - 文部科学省 国立教育政策研究所
- 指示薬ごとの滴定の様子 - chemguide
- フェノールフタレイン (試薬) JISK8799:2020
フェノールフタレインと同じ種類の言葉
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