性差別 ポルノグラフィーと性差別

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 性差別の解説 > ポルノグラフィーと性差別 

性差別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/14 23:36 UTC 版)

ポルノグラフィーと性差別

一部のフェミニストポルノグラフィを性差別だとする意見を述べている。女性の肉体が男性の楽しみによって利用される事自体が性差別だとする考え方は、一部のフェミニストに支持されている。アメリカの著名なラディカル・フェミニストであるキャサリン・マッキノンアンドレア・ドウォーキンが代表的。ラディカル・フェミニストは、かつては左翼ラディカルの印象が強かったが、現在は急進右派と一致している部分が増えている。反ポルノの姿勢はその典型で、マッキノンらの反ポルノ主義は右派のロナルド・レーガン(共和党)が80年代に成立させた「反ポルノ法」の思考と一致している[40]。『オンリーワーズ』という著作の中でマッキノンは、男性を攻撃用の犬(attack dogs)に見立てており、男性をポルノグラフィにさらすことは『訓練された番犬に攻撃せよと言うようなもの』だと論じている。マッキノンが熱心に取り組んだ法案は、いったん成立したが、表現の自由を保障した合衆国憲法違反であり、裁判所によって「無効」とされた。

カナダEUラディカル・フェミニスト女性議員が多い為か、(準)児童ポルノに対する規制が厳しく、所持しているだけで逮捕される例が存在する。

夫婦同氏と性差別

婚姻の際、ほとんどの場合結婚後の姓として男性の姓を選ぶが、これを性差別として、その改善のために選択的夫婦別姓制度を導入するべきであるとの意見がある。なお、この制度については、2009年の大手新聞各紙の世論調査などで賛成が反対を上回るケースも多かったが[41]、2010年の時事通信による調査など反対が賛成を上回るケースもあり[42]、また、内閣府が2006年11月に実施した「家族の法制に関する世論調査」(2007年1月27日発表)の結果については、日本経済新聞や東京新聞はじめ新聞報道で「賛否拮抗」という評価が目立つなど、制度導入の是非について賛否両論がみられる。

性差別に関する法令

日本

日本では、日本国憲法において法の下の平等を定めており、性別により差別されないという規定がある[43]。ただし、憲法は本来国と私人の間の関係を規律するものであって、私人同士の関係には原則として直接適用されない(最判昭和48年12月12日など)。一方各種法令の中には、私人によるものも含めて性別による差別を明確に禁じるものがある[44]。この節ではそういった法令の性差別に関連する部分について言及する。

法律・条例 章・節 条文
日本国憲法 第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種信条性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない[43]
男女雇用機会均等法 第5条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
男女雇用機会均等法 第6条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
  • 一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
  • 二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
  • 三 労働者の職種及び雇用形態の変更
  • 四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
教育基本法 第4条第1項 教育の機会均等 — すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない[45]
大阪府男女共同参画推進条例 第7条第1項 何人も、職場、学校、地域、家庭その他社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
男女平等参画推進なごや条例 第6条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。
東京都男女平等参画基本条例 第14条第1項 何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。

注釈

  1. ^ ただし男女で期間や兵科、配属先が異なっているケースもある。ノルウェー2015年から女性にも男性と同条件での徴兵義務を課す。

出典

  1. ^ 小項目事典,百科事典マイペディア,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉,ブリタニカ国際大百科事典. “性差別とは”. コトバンク. 2021年6月5日閲覧。
  2. ^ デジタル大辞泉,人事労務用語辞典. “ジェンダーフリーとは”. コトバンク. 2021年6月5日閲覧。
  3. ^ J・J・バハオーフェン 著、吉原達也、平田公夫、春山清純 訳『母権制』 上巻、白水社、1992年(原著1861年)、381頁。 
  4. ^ 荒井 1988, p. 65.
  5. ^ 荒井 1988, p. 37.
  6. ^ E・モルトマン=ヴェンデル 著、大島かおり 訳『イエスをめぐる女性たち――女性が自分自身になるために』〈21世紀キリスト教選書 10〉1982年(原著1980年)、219頁。 
  7. ^ a b 荒井 1988, pp. 204–205.
  8. ^ 荒井 1988, pp. 214–217.
  9. ^ 荒井 1988, p. 209.
  10. ^ 荒井 1988, pp. 210, 214.
  11. ^ a b c E.S. フィオレンツァ 著、山口里子 訳『彼女を記念して――フェミニスト神学によるキリスト教起源の再構築』日本基督教団出版局、1990年(原著1983年)、100頁。 
  12. ^ イスラムと女性の人権 一国連での討議をとおして- (PDF)
  13. ^ 「女性に一夫多妻制を認める教えを」、マレー系ムスリム議員が発言
  14. ^ 植木 2018, pp. 187–188.
  15. ^ 植木 2018, pp. 73, 175.
  16. ^ a b 植木 2018, p. 179.
  17. ^ 植木 2018, pp. 69, 105–110.
  18. ^ 植木 2018, pp. 72–73.
  19. ^ 植木 2018, p. 76.
  20. ^ 植木 2018, p. 75.
  21. ^ a b 植木 2018, p. 24.
  22. ^ 植木 2018, p. 138.
  23. ^ 植木 2018, pp. 73–74.
  24. ^ 植木 2018, p. 111.
  25. ^ 植木 2018, p. 114.
  26. ^ 植木 2018, p. 100.
  27. ^ 岩本裕『仏教と女性』第三文明社〈レグルス文庫〉、1980年、134-135頁。 
  28. ^ インドにおける女性
  29. ^ In Praise of the Goddess: The Devīmāhātmya and Its Meaning. Berwick, Maine: Nicholas-Hays. (2003). https://rarebooksocietyofindia.org/book_archive/196174216674_10156485389386675.pdf 
  30. ^ a b c Raghbendra Jha. “Women and the Vedas”. Sanskriti. 2023年7月14日閲覧。
  31. ^ Rhodes, Constantina (2011). Invoking Lakshmi: The Goddess of Wealth in Song and Ceremony. New York: State University of New York Press 
  32. ^ Bose, Mandakranta (2000). Faces of the Feminine in Ancient, Medieval, and Modern India. New York: Oxford University Press. p. 115 
  33. ^ Laws of Manu: Sacred Books of the East. 25 (New ed.). Delhi: Motilal Banarsidass. (1988) 
  34. ^ E. M=ヴェンデル 著、大島かおり 訳『乳と蜜の流れる国』新教出版社〈21世紀キリスト教選書〉、1988年、136頁。 
  35. ^ Eliezer Segal. “The Ten Sefirot: Binah”. Jewish Virtual Liblary. 2023年7月13日閲覧。
  36. ^ Niddah 45b”. Sefaria. 2023年7月13日閲覧。
  37. ^ 江守五夫『母権と父権』1973、149-151頁。 
  38. ^ 強姦は日常的、生理は止まり……北朝鮮の女性兵たち”. BBC (2017年11月22日). 2017年11月23日閲覧。
  39. ^ 27分ごとに発生する米兵の性暴力で女性兵士3割レイプ被害-軍隊は女性も住民も兵士自身も守らない”. BLOGOS (2013年3月21日). 2017年11月23日閲覧。
  40. ^ http://www.forerunner.com > ... > Pornography Battle
  41. ^ 民法改正を考える会『よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて』朝陽会、2010年
  42. ^ WSJ「夫婦別姓、反対が55.8%=外国人参政権も賛成少数−時事世論調査」2010年3月12日
  43. ^ a b 日本国憲法国立国会図書館
  44. ^ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 - e-Gov法令検索
  45. ^ 教育基本法 - e-Gov法令検索


「性差別」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「性差別」の関連用語

性差別のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



性差別のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの性差別 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS