恋愛伴侶規範性とは? わかりやすく解説

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恋愛伴侶規範性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 10:02 UTC 版)

恋愛伴侶規範性(れんあい はんりょ きはんせい、英語: amatonormativity)またはアマトノーマティビティとは、恋愛結婚を他の関係と比べて特別に望ましいものとみなす規範のことである[1][2][3]

哲学者エリザベス・ブレイクが、結婚を取り巻く社会的な抑圧について論じるなかで用いた造語である。現在では結婚に対する圧力だけでなく、恋愛を含む一般的な社会的圧力が含まれるように拡張されており[2][4]、特にアロマンティックアセクシュアルの人々にとって重要なキーワードとなっている[3]

定義

ブレイクは2012年の著書『最小の結婚』の中で、恋愛伴侶規範を「誰もが排他的で、ロマンティックな、長期的なカップル関係にある方がより良く、また誰もがそのような関係を求めているという広範な前提」と定義している[5]

2018年の論文では、恋愛伴侶規範を「「二人だけの、恋愛的かつ性愛的な愛の関係性という同じタイプの関係性を、誰もが求めているし、誰もがそうした関係のタイプのなかでこそ花開いた人生を送ることができる」という期待、およびそのような規範的な期待」と説明している[3][6]

語源と訳語

Amatonormativityという言葉は、「愛される」を表すラテン語「amatus」と、社会規範を表す「normativity」から成る造語である[1][7]。関連する用語として、アロノーマティビティや強制的性愛、対人性愛中心主義がある。

「恋愛伴侶規範」という訳語は、AセクシュアルでAジェンダーのブロガー・夜のそらが提起したものである[3]。ブレイクの著書『最小の結婚』の邦訳では「性愛規範性」と訳されている[8]

社会的影響

恋愛伴侶規範のもとでは、アロマンティックアセクシュアルの人、独身者ポリアモリーなどが差別を被ると指摘されている[1]。研究者のベラ・デ・パウロ(Bella DePaulo)によると、恋愛伴侶規範は独身者に対して不完全な存在であるというスティグマを押しつけるとともに、パートナーがいる人々に対しても、独身になることへの恐れによって不健全な関係に留まることを促す作用がある[1][9]

恋愛伴侶規範は、結婚を取り巻く法律と道徳によって制度化されている。たとえば、友人同士でのケア関係や、クィアプラトニックな関係などは、結婚を通じて恋愛の伴侶に与えられるものと同じ法的保護を与えられていない[10]

関連項目

出典

  1. ^ a b c d “Do you feel under pressure to find The One?”. BBC. 2020. 2020年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2020年7月15日閲覧.
  2. ^ a b “Bugging your friend to get into a relationship? How amatonormative of you”. The Washington Post. 6 July 2017. 2020年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2020年7月14日閲覧.
  3. ^ a b c d 恋愛伴侶規範(amatonormativity)とは|夜のそら:Aセク情報室”. note(ノート) (2020年2月12日). 2025年10月19日閲覧。
  4. ^ Brake (2017年8月29日). “Amatonormativity”. Elizabeth Drake. 2018年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月14日閲覧。
  5. ^ Sharpe, Brianna (12 February 2020). “Why These Families Want To Queer Valentine's Day”. Huffington Post. 2020年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2020年7月14日閲覧.
  6. ^ Brake, Elizabeth (2018). “Do Subversive Weddings Challenge Amatonormativity? Polyamorous Weddings and Romantic Love Ideals” (English). AnALize: Revista de studii feministe (11 (25)): 61–84. ISSN 1453-7559. https://www.ceeol.com/search/article-detail?id=734289. 
  7. ^ Baer, Drake (31 March 2017). “There's a word for the assumption that everybody should be in a relationship”. The Week Publications Inc. 2020年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2020年7月14日閲覧.
  8. ^ hakutakusha (2021年3月18日). “『最小の結婚』読者の皆様へ――「二刷付記」全文公開”. 白澤社ブログ. 2025年10月19日閲覧。
  9. ^ There's a Word for the Assumption That Everybody Should Be in a Relationship”. The Cut (2017年3月8日). 2019年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月2日閲覧。
  10. ^ Should Marriage Be Abolished, Minimized, or Left Alone?”. Psychology Today. 2023年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月2日閲覧。

外部リンク

  • ウィクショナリーには、amatonormativeの項目があります。



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