宇宙 人類の宇宙観

宇宙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 12:10 UTC 版)

人類の宇宙観

宇宙の階層構造

映像外部リンク
人間に知られている範囲の宇宙 - 2009年時点の科学的知識に基づいて、恣意的ではあるが地球を中心に設定しておいて、宇宙背景放射が放射された面までの宇宙全体を光行距離で描いた架空的な動画 (2009年12月、アメリカ自然史博物館

地球惑星のひとつであり、周囲にが回っている。いくつかの惑星が太陽の周りを回っている。太陽とその周りを回る惑星、その周りを回る衛星、そして準惑星小惑星彗星太陽系を構成している。

太陽のように自ら光っている星を恒星という。恒星が集まって星団を形成し、恒星や星団が集まって銀河を形成している。銀河に含まれる恒星の数は、小さい銀河で1000万程度、巨大な銀河では100兆個に達するものもあると見られている。

銀河は単独で存在することもあるし、集団で存在することもある。銀河の集団は、銀河群銀河団と呼ばれる。それらがさらに集まったものは超銀河団と呼ばれる。さらに巨視的には、いくつもの超銀河団が壁状あるいは柱状に連なったようになっていて、これを銀河フィラメントと呼ぶ。壁状のものは特に銀河ウォールもしくはグレートウォールなどとも呼ぶ。銀河ウォールや銀河フィラメントの周囲には銀河がほとんど存在しないような空虚な大空間が広がっていて、この空間を超空洞(ボイド)と呼ぶ。現在の科学で観測されうる最大の宇宙の構造がこの超空洞と銀河フィラメントの重層構造であり、これを宇宙の大規模構造と呼ぶ。この構造は面と空洞から成ることから「宇宙の泡構造」としてよく表現される。

我々の住む銀河は、銀河系あるいは天の川銀河と呼ばれ、2000億~4000億個の恒星が存在している。天の川銀河は直径10万光年ほどの大きさで、地球から見ると文字通り天の川となって見える。星座を形づくるような明るい星は地球の近傍にある星であり、ほとんどは数光年から千数百光年ほどの距離にある。

天の川銀河の所属する銀河群は局所銀河群と呼ばれ、局所銀河群はおとめ座超銀河団の一員である。また、おとめ座超銀河団は、「うお座・くじら座超銀河団Complex」という名の長さ10億光年の銀河フィラメントの一部である。 なお、超銀河団の枠組みとしては、おとめ座超銀河団より大きな範囲となるラニアケア超銀河団を設定すべきとの考えもある。ラニアケア超銀河団の中心には、グレートアトラクターと呼ばれる巨大な重力源が存在し、おとめ座超銀河団も、それにより引きつけられている。ただし、宇宙膨張によって引き離される力のほうが大きいので近づいているわけではない。

地球から観測可能な範囲(光が届く範囲)には、少なくとも1700億個の銀河が存在すると考えられている。

Constituent spatial scales of the observable universe

このダイアグラムは宇宙を視る視野を、まず地球あたりだけに焦点をあてた状態から始めて、次第に大規模なスケールへと変化させている。各写真の視野のスケールは、左から右へと、そして上から下へと大きくなる。

地球上の人類が観測可能な範囲

中世に似た、現代の人類中心の宇宙観。観測可能な宇宙は無数に選択肢があるが、人類が住む太陽系を宇宙の中心であるかのように見立てて宇宙を対数スケールで表した図。

上で説明したように、本当の宇宙全体の大きさは全然分かっていないが、現時点での観測可能な限界ライン(宇宙の地平線)の算出というのは、全然別の簡単な問題であり、簡単に算出できる。地球から理論上観測可能な領域(観測可能な宇宙)は、半径約450億光年の球状の範囲である。ただしこの大きさは赤方偏移から計算された理論上の値であり、直接の観測によって正確に分かっているわけではない。

なお現代の自然科学では宇宙に特別な中心があるとは考えられておらず、宇宙全体について考察するとき、人類や地球を特別扱いして中心として扱うなどという考え方はそもそも根本的に間違っている、もってのほかだ、と考えられている、ということは強調しておかなければならない。

「天体から放たれたが地球にたどり着くまでの時間に光速をかけたもの」は光路距離英語版(あるいは光行距離)と呼ばれている。これは光が地球に届くまでの間に、光の旅した道のりを表す。光路距離では、電磁波により観測される宇宙[注釈 2]の果てから地球までの光の旅した道のりは約138億光年と推定されている。これは光速に宇宙の年齢をかけたものだが、この値は先に述べた2つの距離(450億光年、4100万光年)と値が異なっている。光が地球に届く間に宇宙が膨張し、そのため光の道のりが延び、また光を放った空間が遠ざかるからである。つまり、光路距離はある時刻における空間上の2点間の距離を指し示すものではない。天文学では光路距離を天体までの距離とみなすことが多いが、それは我々に届く光が旅した道のりであり、現在の天体までの距離や、天体が光を放ったときの天体までの距離を示すものではない。

現在(21世紀初頭)の地球上の人類が観測することができる最も古い時代に放たれた光は、約138億年前に約4100万光年離れた空間から放たれた光だ、などと、最近数十年は考えられており、「その光源がある空間は、現在450億光年の彼方にあり、光は138億年かけて138億光年の道のりを旅してきた。わずか4100万光年の距離を光が進むのに138億年もの時間を費やしたのは宇宙の膨張が地球への接近を阻んだためだ」などと、ここ数十年の物理学者・天文学者などによって考えられている。(なおこれを分かりやすく喩えると、流れの速い川を上流へ向かう船がなかなか前に進めないという状況に似ている。「宇宙空間の膨張」という仮定はそもそも一般相対性理論を原理に据えて導き出しているわけだが、電磁波の媒質である空間の膨張により地球を基点としたときの、地球から離れた場所にある光の速度が変化しても特殊相対性理論における「光速度不変の法則」とは矛盾しない)。

《地球上から見ることができる宇宙の大きさ》とは、人間が物理的に観測可能な宇宙の時空の最大範囲を指す表現である。宇宙は膨張し続けているため、宇宙の大きさをと言うと、観測できる光のなかでも、最も古い時代に光が放たれた空間のことを指している。この空間から光が放たれたとき、つまり約138億年前(宇宙の晴れ上がり直後)、この空間(観測可能な宇宙の果て)は地球がある位置から(地球を中心とする全方向に宇宙論的固有距離において)約4100万光年離れたところにあった。そしてこの空間は、地球の位置から、光の約60倍の速度[注釈 3]で遠ざかっていた、とされる。この空間までの現在の距離である共動距離英語版は、約450億光年[注釈 4]と推定されている[24]

なお典型的な銀河の直径でも3万光年であり、隣どうしの銀河の間の典型的な距離は300万光年にすぎない[25]。例えば、我々人類が属している天の川銀河はざっと10万光年の直径であり[26]、我々の銀河に最も近い銀河のアンドロメダ銀河はおよそ250万光年離れている[27]。観測可能な宇宙の範囲内だけでもおそらく1000億個(1011個)の銀河が存在している[28]

人類の宇宙観は、ここ百年ほどの間で大きく進展してきた。学問的には、静的な宇宙観から動的な宇宙観へと移行し、科学技術的には、人類は有人宇宙飛行を実現し、地球以外の天体である月に降り立ち、国際宇宙ステーションも建造した。宇宙に関するSFや映画などの創作物も啓蒙的な意義を持っていた。

中でも物理学上の時空間に関する観念の変革は、大きな意味を持っている。学問上の大きな起点となったばかりではなく、我々の生活上の常識からの類推が、宇宙の本質を考察するためには全く不適合であることを示した意味合いも持っている。

奇蹟的な宇宙

そのように、物理学に大改革がもたらされた当初、この宇宙に存在する各物理定数がどうしてそのような値になったのかも次第に解明されていくものと思われていた。しかし、超ひも理論などによれば、今の宇宙に見られる物理定数は、宇宙創世時にたまたまそうなっただけで、実はどんな値でも採り得たというのである。そのパターンは実に10の500乗通りにも及ぶという。そしてこれらの値は、人間の存在のために都合良く出来過ぎている。つまり、我々の住む宇宙は奇蹟的な宇宙なのである。この宇宙の不思議さに対して、これを紐解こうとする試みもある。人間原理によれば、生成される宇宙は無数にあるため、その中のひとつがたまたま人間に都合がよくても驚くに当たらない、という。例えば、10の500乗個の宇宙があれば、10の500乗のパターンのうちの特別なひとつが現れたとしても不思議ではなく、我々がたまたまそこに居るだけということになる。


注釈

  1. ^ この2つのグループはライバル関係にあり、それらが同じ結論に至った事が観測の信ぴょう性を高めた。荒舩、p. 19
  2. ^ 電磁波による観測に制限されない、観測可能な宇宙との違いに注意。
  3. ^ ここでいう「速度」の大きさとは地球のある位置から対象までの宇宙論的固有距離を宇宙時間で微分したものである。以下、「宇宙の大きさ」の項目における「速度」および「速さ」はこの定義に準ずる。
  4. ^ 450億光年先の空間は現在における光子の粒子的地平面である。

出典

  1. ^ “Hubble's Deepest View Ever of the Universe Unveils Earliest Galaxies” (プレスリリース), NASA, (2004年3月9日), http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2004/07/ 2008年12月27日閲覧。 
  2. ^ Merriam-Webster, definition of cosmos.
  3. ^ 広辞苑第六版【宇宙】
  4. ^ Merriam-Webster, definition of universe.
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  6. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。
  7. ^ Sanz Fernández de Córdoba, S. (2004年6月21日). “100km altitude boundary for astronautics”. www.fai.org. FAI. 2022年1月28日閲覧。
  8. ^ Sanz Fernández de Córdoba 2004, The Karman separation line: Scientific significance.
  9. ^ de Gouyon Matignon, Louis (2019年12月24日). “Why does the FAA uses 50 miles for defining outer space?”. www.spacelegalissues.com. Space Legal Issues. 2022年1月28日閲覧。
  10. ^ Commercial Space Transportation Activities”. www.faa.gov. FAA (2020年6月19日). 2022年1月28日閲覧。
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    Krauss LM, Chaboyer B (3 January 2003). “Age Estimates of Globular Clusters in the Milky Way: Constraints on Cosmology”. Science (American Association for the Advancement of Science) 299 (5603): 65–69. doi:10.1126/science.1075631. PMID 12511641. http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/299/5603/65?ijkey=3D7y0Qonz=GO7ig.&keytype=3Dref&siteid=3Dsci 2007年1月8日閲覧。. 
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  17. ^ a b c d 荒舩、pp. 22-23、星や銀河は宇宙のわずか5%にすぎない
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  20. ^ 荒舩、pp. 16-17、ビッグバンで膨張した宇宙の成長
  21. ^ a b c 荒舩、pp. 14-15、ビッグバンの前にも宇宙はあった
  22. ^ 「宇宙はどのように生まれたのか?」(国立天文台)
  23. ^ a b 荒舩、pp. 18-19、宇宙が辿る運命は3つの可能性
  24. ^ 「宇宙図の見方」(国立天文台)
  25. ^ Rindler (1977), p.196.
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    McConnachie, A. W.; Irwin, M. J.; Ferguson, A. M. N.; Ibata, R. A.; Lewis, G. F.; Tanvir, N. (2005). “Distances and metallicities for 17 Local Group galaxies”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 356 (4): 979–997. doi:10.1111/j.1365-2966.2004.08514.x. http://adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-bib_query?bibcode=2005MNRAS.356..979M. 
  28. ^ Mackie, Glen (2002年2月1日). “To see the Universe in a Grain of Taranaki Sand”. Swinburne University. 2006年12月20日閲覧。






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