カラビ・ヤウ多様体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/30 20:16 UTC 版)
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カラビ・ヤウ多様体(カラビ・ヤウたようたい、英:Calabi-Yau manifold)は、代数幾何などの数学の諸分野や数理物理で注目を浴びている特別なタイプの多様体である。特に超弦理論では、時空の余剰次元が6次元(実次元)のカラビ・ヤウ多様体の形をしていると予想されている。この余剰次元の考え方が、ミラー対称性の考えを導くことになった。
カラビ・ヤウ多様体は、1次元の楕円曲線や2次元のK3曲面の高次元版の複素多様体であり、コンパクトケーラー多様体で標準バンドルが自明なものとして定義されることが多い。ただし、他にも類似の(しかし互いに同値ではない)いくつかの定義がある。Candelas et al. (1985)では、"カラビ・ヤウ空間"と呼ばれた。最初は微分幾何学の立場から、エウジェニオ・カラビ E. Calabi (1954, 1957)で研究され、シン=トゥン・ヤウが、これらがリッチ平坦[1]な計量を持つであろうというカラビ予想を証明したことから、カラビ・ヤウ多様体と命名された。
定義

カラビ・ヤウ多様体には、いくつかの異なる定義がある。ここでは、そのうち一般的なものをいくつか挙げ、それらの関係を述べる。
n次元のカラビ・ヤウ多様体とは、次の等価な条件のうちの一つを満たすコンパクトな n次元ケーラー多様体 M である。
- M の標準バンドルが自明。
- どこでもゼロにならない正則 n形式が M 上に存在する。
- M の構造群が U(n) から SU(n) へ退化する。
- SU(n) に含まれる大域的なホロノミーを持つケーラー計量が M 上に存在する。
これらの条件から、M の整係数第一チャーン類 c1(M) がゼロになることが導かれるが、この逆は成立しない。その最も簡単な例は超楕円曲面(複素2次元の複素トーラスの有限商)である。超楕円曲面では、整数係数の第一チャーン類はゼロであるが、標準バンドルは自明ではない。
コンパクトな n次元ケーラー多様体 M に対して、次の条件は互いに同値になるが、上記の条件よりは弱い条件となる。しかし、この条件をカラビ・ヤウ多様体の定義として使うこともある。
- M の第一実チャーン類は、0 である。
- M は、リッチ曲率が 0 となるケーラー計量を持つ。
- M は、SU(n) に含まれる局所ホロノミーを持つケーラー計量を持つ。
- M の標準バンドルは、ある正のべきで自明となる。
- M は、自明な標準バンドルを持つような有限被覆を持つ。
- M は、自明な標準バンドルを持つ単連結多様体とトーラスとの積となるような有限被覆を持つ。
特に、コンパクトなケーラー多様体が単連結であれば、上記の弱い定義と強い定義は一致する。エンリケス曲面は、リッチ平坦な複素多様体の例になる。エンリケス曲面の標準バンドルは自明ではないが、第二の条件に従うと、カラビ・ヤウ多様体の例となる。しかし第一の条件ではカラビ・ヤウ多様体の例にはならない。 エンリケス曲面の二重被覆は、どちらの定義も満たすカラビ・ヤウ多様体である(事実、K3曲面がその例となる)。
上記の様々な条件の同値性を証明するときに最も難しい箇所は、リッチ計量の存在を証明する部分である。このことはカラビ予想のヤウによる証明から従う。つまり、第一実チャーン類がゼロとなるコンパクトなケーラー多様体は、リッチ計量がゼロである同じ類のケーラー計量を持つことを意味する(ケーラー計量の類はケーラー計量に結び付いている2-形式のコホモロジー類である)。 カラビはそのような計量が唯一であることを示した。
カラビ・ヤウ多様体の定義には、他にも等価ではない多くのものがある。以下に、それらの間の主な差異を示す:
- 第一チャーン類が、整係数の類としてがゼロとなるのか、それとも実係数の類としてゼロになるのか。
- 大半の定義は、カラビ・ヤウ多様体がコンパクトな場合であるが、非コンパクトな場合にも通用する定義もある。非コンパクトな多様体への一般化の中では、差異となっている
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