多元宇宙
『シュレーデインガーの子猫』(エフィンジャー) イスラムの少女ジハーンは、見知らぬ少年に犯されたり、犯されなかったりする幻を見た。彼女は短刀で少年を殺したり、殺さなかったりした。彼女は殺人罪で処刑されたり、釈放されたりした。ジハーンが見たさまざまな幻は、別の世界、無数のパラレルワールドに住む自分の現実だった。彼女はヨーロッパへ渡って量子力学を研究し、自分の前に、無限に分岐する未来があることを理解する。彼女が1歩を踏み出せば、無数の宇宙で無数のジハーンがそれぞれに異なる1歩を踏み出し、同様に無数のジハーンが1歩を踏み出さずにいるのだ。
『航時軍団』(ウィリアムスン) 何らかの現象が起こると、そこを分岐点として、世界は未来へ向けて無限に枝分かれして行く。したがって実現可能な世界は無数にある。しかし、そのうちの1つしか実在できない。今、人類の繁栄に通ずる「可能未来世界ジョンバール」と、滅亡をもたらす「可能未来世界ギロンチ」が、互いの存亡をかけて激しく戦っている。20世紀のさまざまな時間帯から選び出された男たちが、航時軍団を構成して、ジョンバールを勝利へ導く。人類の未来は確定し、ギロンチは消滅した〔*多元宇宙をテーマにした最初のSF、といわれる〕。
『発狂した宇宙』(ブラウン) SF雑誌の編集者キースは事故のために、別の宇宙のニューヨークへ飛ばされた。そこは、いかにもSF愛好家が空想しそうな、奇妙な世界だった(*→〔空間移動〕6)。しかしそれは空想の産物ではなく、実在する宇宙なのだ。宇宙は無限数ある。無限だから、ありとあらゆる種類の宇宙が存在するのだ。それゆえ、架空の物語を創作することは不可能である。どんな奇想天外な物語でも、どこかの宇宙ではそのとおりのことが起こっているのだから。
『ザ・ワン』(ウォン) 125の宇宙が存在し、それぞれの宇宙に「自分」がいる。1人の男が、ワームホールを通って他の宇宙へ侵入し、各宇宙の「自分」を次々に殺してゆく。殺された「自分」のエネルギーは男に流れ込み、男は強大なパワーを持つようになる。男は、彼以外の「自分」124人をすべて殺し、全能の存在「ザ・ワン」になろうとする。しかし多元宇宙捜査局が男を捕らえ、重罪人たちを収容する黄泉宇宙へ送る〔*男は黄泉宇宙で大勢の囚人たちを打ち倒して、黄泉宇宙の「ザ・ワン」になる〕。
『パラレル同窓会』(藤子・F・不二雄) 極東物産社長・高根望彦が、パラレル同窓会に出席する。53年前、彼が生まれた時は世界は1つだった。その後、彼が人生上の選択をするたびに、選択された世界と、されなかった世界が枝分かれして、今では何百もの宇宙に、何百人もの高根望彦が存在している。それらすべての高根望彦が、一生に1度、一堂に会するのだ。同じ極東物産に勤めながら窓際族である高根望彦、テロリストになった高根望彦、死刑囚の高根望彦、貧乏作家の高根望彦など、さまざまな「自分」がそこにはいた。
『人間万歳』(武者小路実篤) 宇宙の神様のもとへ、隣りの宇宙の神様がやって来る(*→〔坂〕4b)というので、天使たちはびっくりする。女の天使「宇宙はそんなにたくさんありますの?」。神様「いくらでもある」。女の天使「あなたはその全部の神様ではないの?」。神様「俺は、ただここだけの神だ」。2つの宇宙の神様は会ってすぐ意気投合し、「お互いに名前をつけないと不便だ。いつか、集まれるだけ宇宙の神が集まって、相談してもよろしいね」「宇宙が違うと、どんな法則が支配しているかわからないと思っていたが、やはり僕たちは兄弟であり、同じ神の子なのだ」と話し合う→〔二人の神〕1。
多元宇宙論
(多元宇宙 から転送)
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多元宇宙論(たげんうちゅうろん、英: multiverse)またはマルチバースは、複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学の説である。多元宇宙[1]は、理論として可能性のある複数の宇宙の集合である。多元宇宙はすべての存在を含み、そこには、われわれが一貫して経験している歴史的な宇宙に加え、空間、時間、物質、およびエネルギーの全体と、そして、それらを記述する異なる物理法則および物理定数なども含まれる。この語は1895年にアメリカの哲学者で心理学者のウィリアム・ジェームズによって造られたが、異なる文脈においてである[2]。多元宇宙が含むそれぞれの宇宙は、平行宇宙と呼ばれることもある。
- 1 多元宇宙論とは
- 2 多元宇宙論の概要
多元宇宙(マルチバース)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 17:23 UTC 版)
「ドクター・ストレンジ (映画)」の記事における「多元宇宙(マルチバース)」の解説
この世界とは異なる、ありとあらゆる次元宇宙の総称。魔術師たちは、マルチバースを開くことによって得たエネルギーを用いて様々な魔術を行使する。 ミラー次元 現実世界を基に作り出した仮想空間のような次元。 アストラル次元 肉体を離れた精神や魂などの霊的な物が存在する次元。 暗黒次元 この世界とは根本的に異なる物質で満ちた暗黒の空間で、生命体はおろか時間や生死、倫理など人間の概念が存在しない。ドルマムゥ 暗黒次元を支配している邪悪な存在で、飽くなき欲望と無限の力を持つ。 ドルマムゥは、モーション・キャプチャーを用いてストレンジ役のカンバーバッチが演じており、声は、カンバーバッチ自身のものと、本作の監督のデリクソンも名前を知らないイギリス人俳優によるものが合成されている。デリクソンによるとカンバーバッチ自身がドルマムゥ役をも申し出て、自分は熟考した末に「ドルマムゥの役柄を“超思い上がったストレンジ”として書いた」ことから、ドルマムゥにカンバーバッチが相応しいと思うようになって、彼にドルマムゥ役を指名した。ドルマムゥの顔面もカンバーバッチの顔がベースである。
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多元宇宙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/13 00:35 UTC 版)
多元宇宙(The Multiverse)は、バイロンの創り出した歌詞中で設定されている仮想現実のことであり、バイロンが書く全ての歌詞は何らかの物語性を持っている。一曲で完結する物語もあれば、複数の曲、複数のアルバムに跨って展開する物語もある。それらの物語はH・P・ラヴクラフトやE・R・バロウズ等の作家から影響を受けており、中でもとりわけR・E・ハワードの影響が強い。そのことからも分かるようにSF、ヒロイックファンタジーを想起させる物語が極めて多く制作されている。他にも歴史や宗教、神話、オカルトなどに関係した記述も散見される。 物語の舞台は有史以前の古代世界から太古の王国や帝国、中世、現代、近未来、宇宙、異次元世界にまで及ぶ。全体の比率としては古代の世界を舞台にした曲が多く、ムー、アトランティス、レムリア、ウルティマ=テューレ、イス、ハイパーボリアやバイロンが創作した古代国家などが主な舞台となる。バイロンが創作した文明国家は、〈黒曜石の王冠〉サガに登場する、帝国(Imperium)やヴィルゴシア(Vyrgothia)が代表的である。その他にも、コー=アヴゥル=タア(Kor-Avul-Thaa)、ミトス=クゥン(Mytos K'unn)等の名が挙げられる。バイロンの創作については、国家だけに止まらず、クトゥルー神話からの影響を覗かせる独自の神性をも物語中に登場させている。太古の昔に繁栄した生命体を叙述する詞や、地下世界における恐怖を示唆する物語、古代文明の神秘を探求する学者の日記等は、それらのコズミック・ホラーから影響を受けた創作である。 先述したように物語は古代世界のみにあらず、18世紀後半から19世紀前半までの認識できる歴史の範囲内で納められている場合も多々ある。他にも銀河恒星間での戦争等、遥か未来の時代の物語も記述されている。結果的にバルサゴスの物語は無数の累代に渡っており、とてつもなく広大なものとなっている。 歌詞はあまりにも長すぎるため、曲中では歌詞の一部だけが歌われることが多い。
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多元宇宙(Multiverse)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 00:51 UTC 版)
「マーベル・シネマティック・ユニバースの作中世界」の記事における「多元宇宙(Multiverse)」の解説
この世界とは異なる、ありとあらゆる次元宇宙の総称。生命体や知性体に溢れ、豊かな文化が育った快適な世界から、いかなる代償を払っても封印しなければならないほどの暗く邪で恐ろしい世界まで、さまざまな次元が存在する。マスターズ・オブ・ミスティック・アーツに属する魔術師たちは、マルチバースを開くことによって得たエネルギーを用いて様々な魔術を行使すると共に、“スリング・リング”で開いたゲートウェイで生身の身体のまま各次元に赴くこともできる。 ミラー次元(Mirror Dimension) 登場作品:『ドクター・ストレンジ』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』 現実世界を基に作り出した仮想空間のような次元。密接に繋がった現実世界を反映しているものの、鏡映しのように正反対の世界で、暗黒のエネルギーで成り立っている。現実世界との境目は割れた鏡のように見え、こちらから現実世界を視認することはできるが、直接的な干渉はできない。逆に、現実世界側からは干渉のみならず一切の視認も不可能。 主に魔術師たちの修業・戦闘時や、捕らえた相手の拘束に使用され、相手と自分をこの次元に隔離することで現実世界に損害を与えず戦闘を行ったり、追手からの逃走にも有効である。スリング・リングが無ければ出入りは不可能になる反面、この次元において魔術でできることに限りがなく、暗黒次元由来の魔術の使い手は、力がより一層増幅されるため、この次元内の建造物などの構造を自在に操ることができ、彼らを相手として戦う場合は相性が悪い。 アストラル次元(Astral Dimension) 登場作品:『ドクター・ストレンジ』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『ワンダヴィジョン』、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』 肉体を離れた精神や魂などの霊的な物が存在する次元。この次元も現実と密接に繋がっており、魔術師たちは“アストラル投射”という魔術によって、幽体離脱のように肉体から精神体“アストラル体”を分離させ、建物などの構造物を無視して自在に移動することができる。アストラル体同士では、会話や戦闘などのやりとりをすることも可能。しかし、肉体は無防備な状態で現実世界に放置されるため、敵に襲撃される危険もある。 基本的に現実世界からの認識は不可能だが、この次元側から任意で姿や音声を現実世界に現すことは可能。また、壁や物体にぶつかった際の物音や衝撃はそのまま現実世界にも反映される。 ブルース/スマート・ハルクもタイム・ストーンを入手するための交渉時に、エンシェント・ワンによって自身のアストラル体を分離させられてこの次元に短時間だけ滞在した。 暗黒次元(Dark Dimension) 登場作品:『ドクター・ストレンジ』 かつてそこにあった現実が、ドルマムゥによって呑み込まれた他の次元と混ざって形成された次元。汚染された集団記憶の雲や、音波が静寂より実体化した物質、何のエネルギーも発していない冷たい光、取り込まれて朽ち果てた数多くの星々など、この世界とは根本的に異なる物質で満ちた暗澹とした空間で、生命体はおろか時間や生死、倫理など人間の概念・物理学法則が存在しない。 2017年にカエシリウスらゼロッツによって、香港に出現させられ、壊滅的な被害を与えたが、ストレンジの策に嵌ったドルマムゥによって香港から消失する。 このほかにも、充満したエネルギーが常時爆発している“アクトニアリア次元(Actiniaria Dimension)”、ガラス工芸が万華鏡のように動く“グラスジェリー次元(Grass Jelly Dimension)”、雲海が花開くような空間の“フラワリングインセンス次元(”、独自の意識を有する人の手が無限に枝分かれする“マンデリバス次元(Mandelibus Dimension)”といった次元が存在し、エンシェント・ワンはこれらの次元を、東洋医学だけでなく魂と魔術といった目に見えない概念まで卑下したストレンジに魔術で見せつけた。この体験からストレンジは魔術に感銘を受け、エンシェント・ワンに教えを請うようになる。 さらに、後述の量子世界のような“パラドックス次元”、狂気の“レアルム次元”や“マンデリブス次元”、“クアドリバース次元”などもあり、エンシェント・ワンすらも全ての次元を見尽くしたわけではないと言われる。 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』では、クエンティン・ベック/ミステリオが自らの出身を“アース833”とピーターやフューリー(擬態)に述懐していたが、これはベックの虚構だった。
※この「多元宇宙(Multiverse)」の解説は、「マーベル・シネマティック・ユニバースの作中世界」の解説の一部です。
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