王冠種一覧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 09:11 UTC 版)
モービーディック “太平洋の覇者”。太平洋に生息する怪物。輝くばかりの白磁の表皮を持つことから「白鯨」とも呼ばれる。西洋の大捕鯨時代を舞台にした小説に登場する、生存ではなく発展の為に絶え間なく行われた鯨の乱獲を終わらせる為に現れた星の意思、神の遣い、人類の罪の象徴といった様々な概念を内包して描かれた、捕鯨時代に反逆の意思を示した怪物に由来する名を持つ。 自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体。初めて確認されたのが250年前で、過去に潰した都市国家は小笠原の第二海上都市をはじめとして30を超える。大和民族が日本諸島で生きていく上で災害を超える災厄であり、その気になれば大陸を覆うほどの津波を引き起こせるとされ、極東都市国家連合が抑えなければ東アジアに群れが突入して海没大陸まで沈むと言われている。 極めて知能が高く、己の一族である群れで生活する。本来は日本諸島より遥か南の太平洋に生息する種族だが、海水の暖かくなる時期に日本近海まで北上してくる習性がある。モービーディックの一族 モービーディックの子供たち。モービーディックからすれば幼体に過ぎないが、成体の体長は目測で30mを超える。 身体から生える膨大な本数の触手状の髭は、GⅨ級の巨軀種を軽々圧殺し、1本1本が戦車砲を軽くはじき返し、束ねれば廃塔を切断する程の力があり、機関銃を細かく撃ち落とすほどの精度を誇る攻防一体の武器にあたる。餌場を探す際は、鯨と同じように反響定位(エコーロケーション)という音波探索能力で位置を把握する。星辰粒子体を操る力も持ち、”敵“と認めた相手へ本気で対処する場合には、「星辰粒子体の実数化と虚数化を断続的に繰り返すことによって、差し引かれた質量が純消滅する」と定義される現象である「超過空間圧縮」を“アストラルノヴァ”の輝きと共に作り出し、周囲の物質を半ば無尽蔵に吸収、圧縮後には空間に亀裂が入る程の力の奔流を発生させる。 好戦的な種族ではないが、一度でも敵対したものは決して生かしては返さず、一族に逆らうものは徹底して滅ぼすという意思を持つ。兎に角大喰いで、一夜で都市国家の人間を喰らい尽くしたという記録がある。 1巻ではジャバウォックの暗躍で群れからはぐれた1体だけが先行し、北陸の海没地帯に迷い込んだことで“海獅子”や“白毛猿”の南下を招く。さらに20体以上の群れが東京周辺に集結、簡易隔離シェルターを餌場と定め開拓地を脅かすが、龍次郎の予備B.D.Aを借りた一真の奮戦でこの時現れた群れは壊滅した。 ジャバウォック “不死の怪物”。人類退廃の世に於いて唯一“不死”と称される怪物。“不可視”、“透明化”といった特性を持つ神出鬼没にして正体不明の存在。強大な力を持ちながら自らの群れと己の領土を持たない孤高の種族。 極めて高度な知性を持つ知的生命体で、人類の言葉を解し話すことが出来、己の知性をひけらかしたい自己顕示欲が強い。しかし、人類が積み上げてきた歴史のことは非常に有用だと思っているが、人類を支配し飼育することを目的としており、共存はしても共栄は許さないという立場を取って、襲った都市国家は例外なく滅ぼしている。この思想は、同一の個体は存在せず、種としての繁栄の経験が無く、生まれた時から不死という命の完成形を得てしまった為に孤高を強いられたことによるもので、最強の生命体が独りで生き続けることの無意味さを知らず、自分より弱いものの努力が理解できない。他の種族を誘導する術や死骸を使って兵力を増やすことはできるが、一個の巨大な生物が支配権を持つだけの1世代で終わってしまう儚い為政であり、種としての繁栄と呼べるものではない。不死であり、生命の変性さえ容易く行えるので、命の価値観が人間とかけ離れている。 その本性は、全身の至る所にある瞳と、進化の系統が理解できないほどの蜿蜿たる巨角、歪に裂けた口、7つの爪先を持つ腕が特徴の醜龍。人の耳には耐え難い惨悽たる嗄れた声を発する。その巨体は白鯨一族の成体の数十倍はあり、尾を横に振って薙ぎ払えば都市の廃塔は1つ残らず倒壊するとされる。 「架空生命体」と呼ばれる架空粒子で体が構成される生物で、“不可視”は自己の存在を希薄にする能力に由来し、生命の虚数化・実数化の互換を可能とする強力な不可逆返還型の能力を持つ。この性質により、架空光子を用いた攻撃しか通用せず、それ以外の攻撃で負った傷は瞬時に「修復」する(再生ではない)というのが不死身の真相である。操る死骸の頭蓋に潜り込み、それを媒体にすることで虚影(シャドウ)を顕現させることも出来る。これらの特異性から、現代最強と名高いアーサー=ペンドラゴンでも「戦いが成立しなかった」とされている。但し、架空光子が唯一の弱点で、B.D.Aに拠らない疑似架空光子を発する兵器の影響を受けてしまう。虚影の状態なら、特殊曳光炸薬弾を1発撃たれただけで死骸の再生も領域拡大も行えなくなる。 他の王冠種と違って生殖能力が無い。その為、自らの軍勢を築く手段は、「己の因子を死体に埋め込んで、己の手駒として乗っ取る」「己の手で生命を造り出す」「現住している他種族を取り込むことで勢力圏と支配権を手にする」の3つに限られる。死体の操作と疑似生命の創造は所詮人形劇に過ぎず、命ある勢力圏を築き上げる為には、コミュニケーション可能な知的生命体を支配・管理する必要がある。 自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体で、海没大陸での“蚩尤”との小競り合いに限界を感じ、己の領地を得る為に極東に狙いを移す。その間にモービーディックの一族を東京に誘導するなど暗躍をしていた。人類を配下にする手段を模索していた時、暴走する“大山祇命”により壊滅していた桜島観測所シェルターで、人間に殺されかけていた“天国一五号”に「三四を光指す場所へ連れて行く」ことを依頼され、契約の代価で得た彼女のマテリアルボディに取り憑き、三四と融合した“大山祇命”と共に自分の勢力を築き上げる計画を立てる。皿倉山に通じる渓谷の岩礁地帯を奪い、200人の死体と自作の怪物を利用した防衛線を再構築する。 天国博士の内蔵型粒子加速器と人造骨格から得たデータを元に大阪に向かい、人類の共存共栄を掲げる“アウルゲルミル”を破壊し、海没大陸で手に入れた“饕餮”や“合寙 ”の死骸を操り、“アウルゲルミル”と接触した可能性のある一真を狙って物見遊山のつもりで大阪シェルターへ攻撃を行う。一真に“饕餮”の頭蓋を破壊されたことで真の虚影を晒され、激昂して“ジャバウォックの樹海”を展開。棒立ちのまま一真を圧倒するが、特殊曳光炸薬弾で死骸の再生を阻害されて顕現を保てなくなり、通天閣から水幻蝶を操っていた“合寙 ”も那姫に撃破され、これまで経験したことのないほどの抵抗に感心して撤退した。 その後、救援に来たシャンバラ艦隊を九州総連の装備で奇襲、皿倉山の渓谷に上陸した一真を騙し、自らが乗っ取った天国博士の身体で三四と共に霧島連山地下シェルターに侵入を果たす。技術班である遠征軍第三部隊を圧倒したが空間跳躍で救援に来た王に翻弄され、地下の崩落によって取り逃がす。地上脱出後、桜島にて三四に形状保護を施した上で1年かけて死なせることなく菌核と融合させようとしていたが、生きるより悼まれながら死ぬことを望む彼女に提案を拒否され、一度は三四を取り込んで新たな知性体として進化するであろう巨大菌核を導こうとした。だが、天国博士が語る「光」になったのが日番谷姉妹だと理解したことで戦いから手を引き、巨大菌核を割って三四の救出を助ける。そして、契約の不履行を理由に蘇生させた天国博士のボディを手放すと、王に宣戦布告してその場から立ち去った。ジャバウォックの樹海(Monsters dense forest) ジャバウォックの“固有宇宙観”。強者による支配を謳う価値観がそのまま反映されており、力の無い者は生死を選ぶ権利も無く、個を保つことすらできない不死の領域。生命の循環を、物質の変換を、星の新生を息を吸って吐くように可能とし、草木は急速に成長と自壊のサイクルを秒間7回で繰り返し、限界を超えた減圧により真空を作ることで物理法則上は迷信とされる体液の沸騰が始まり、劇的な環境変化に耐えられずに死亡した生物は異形の怪物へ転生させられ、怪物は破壊された数だけ無制限に増えていく。 大山祇命(オオヤマツミノカミ) 日本神話から名を借りた種。現在の極東の遺跡の至る所から生えている、大量に粒子結晶を取り込んで無制限に成長した、高さ数百mの巨大樹。140年前に出現し、近年まで天悠種に分類されていた。「山積様の大樹」「山積樹(ヤマツミノキ)」とも呼ばれる。本来は自然と共存共栄の道を進む進化を続けており、過剰な暴食に意味を見出していないのか大地の質量を無限に吸い上げることはしない。塩耐性が極めて高く、海水を浄水に換える働きがあり、樹が溜め込んだ浄水は貴重な生活水として役立っている。そのため海上に生えている山積樹は無断で破壊してはならないという取り決めがあり、巨軀種も無闇に傷つけない。その正体とは巨大な1本の大樹であり、海面から出ている幹は初めから全て繋がっている。普通の植物と同じく日中に活発化する性質がある。瞬時に再生する能力を持つため、斬撃は効果が薄い。 単体なら極めて強力なだけの天悠種に過ぎなかったが、後述の巨大菌核に寄生されたことで13年前の印度洋海商協定締結時に暴走を起こし、寄生先の“大山祇命”を無理やり成長させる為に乱獲を行わせた為、極東と九州総連が総力を結集、居合わせた海賊王も巻き込み、最後は“天逆鉾”を使って活動停止させることになる。これにより、菌糸類と融合した“大山祇命”は天悠種から王冠種へと変更されることになる。活動を停止させるには、水分を吸収する根に近い部分に鎮静剤を撃ち込まなければならない。巨大菌核 結晶化した直径30mを超える菌核で、桜島から生える全長4300mの“大山祇命”に寄生している。海没大陸産の冬虫夏草に近い菌糸類とされ、生物・植物問わず原生生物に無差別寄生する強靭な感染力と適応力を有する。 心臓を核に菌糸による擬似生体回路を形成、脳神経を支配して“人の死骸を操る”性質を持つ。さらに中大連、シャンバラ、EU連合という世界的な規模で、「人類だけ」に感染する、短期間で終息しなければ人口が2割減少していたとされる奇病をも引き起こしている。知的生命体ではないと考えられるが、己の苗床を増やすことで急激に勢力を伸ばせるポテンシャルがあり、意思の統率が必要ない分、拡大速度は他の王冠種より上とされる。 人間以外では唯一“大山祇命”を巨大な肉体として操ることができ、普段は本体に“大山祇命”の幹を何重にも巻きつけて身を守る。菌糸類に寄生された“大山祇命”は、捕食行動時に巨大な根を武器として、目標地点全域に枝を張り巡らせて網のように覆い、枝の先に粒子を凝固させた刃を付与して頑強な鱗を貫く。さらに海水を吸い上げ、流体操作によって50mを超える大樹と海水の巨人を造り出す能力も獲得した。深緑の巨人は体のほとんどが海水で構築されているため、胸部や胴体に大きな損壊を受けない限りは即座に自己修復して復活する。非常に成長速度が早く、黄金色のアストラルノヴァと共に架空光子による電磁パルス攻撃を行うことで精密電子機器を破壊し、濃霧を発生させることで電波通信の妨害を行い、一真の攻撃を模倣し底無しの粒子量に任せて同様の光撃を一真以上の速度で連射する。その上、自身が寄生した部分を、全長4300mの大樹の巨龍とも言うべき姿に変形させて移動能力をも身に付けてしまい、海中を移動し電磁パルスで戦艦を機能不全にする怪物と化した。加えて本体の硬度は極めて高く、人類最強戦力であるカルキの“ブラフマー・アストラ”では傷も付かず、王が直接拳を叩き込んでも亀裂が入るだけで、少々の傷なら自動修復する。 この菌核は遥か昔に実験台となって死亡した少女が元になっており、最奥部には人型のオブジェが残っている。実は最初から意思が存在しており、明確に人類への悪意と害意があるとしか思えない行動を見せたのは、少女の人類に対する怒りと孤独、“人間を赦さない”という意識が根底に眠っている為である。 同じ境遇の三四が実験材料にされそうになっているのを認識すると、彼女を救おうと無意識に“大山祇命”を操って桜島観測所シェルターを壊滅に追い込んだ。その後、菌核に融合した三四の説得にも答えず、人類への復讐を果たすために一真を退けて鹿児島湾に向かおうとする。だが、神経の集まる場所に“天叢雲剣”を突き立てられて動きを止められ、日番谷姉妹が三四を救出し、一真と那姫に“天叢雲剣”で菌糸を全て焼き切られた直後、シャンバラより放たれた“トリムルティ・アストラ”を浴びて“大山祇命”ごと跡形も無く消滅した。 ヴァリトラ “悪王”。自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体。 2年前にはシャンバラの存亡をかけたグリドラクータ海戦を引き起こすが、極東、中大連、シャンバラの東亜細亜の大連合軍との戦いで、カルキによって深手を負わされ撤退した。 ダジボーグ “北極の獣王”。自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体。 リントヴルム “赤道の空王”。自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体。 圧力操作型に偏っており、すれ違っただけで船の船員が全員気絶するほどの力を持つ。 蚩尤 “海没大陸の畜帝”。自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体とされ、他種族を取り込んで支配権を広げてきた王冠種。天悠種の“饕餮”などを配下とし、異名の通り海没大陸に他種族混合の大帝国を築こうとしている。 崑崙山に侵攻しており、中大連にとっては国土を西から脅かす宿敵である。以前から人類と比べれば稚拙とはいえ様々な武器を使っていたが、近年技術が急激に進化していることから、“ウロボロス”の技術協力を受けていると考えられている。 かつて個として自分に挑んだジャバウォックを、鍔競り合うこともなく、玉座から立ち上がることすらせずに退けている。 ペンドラゴン “赤龍王”。自発的に勢力圏を伸ばしている特に危険な種の1体だったが、アーサーに倒されている。
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