杖の木(ABC順)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:43 UTC 版)
「ハリー・ポッターシリーズの用語一覧」の記事における「杖の木(ABC順)」の解説
アカシア(Acacia) 杖の素材としてはまれ。所有者以外が魔法を使おうとすると拒否することが多い。有能な魔法使いでないと、その力を最大限に活かすことができない。逆に厳選のうえ、選んだ魔法使いとはとても相性がよく、最大限の力を発揮することが出来る。 ゆえに、選ばれる魔法使いは非常に少ないので、オリバンダー杖店ではアカシアの木を使った杖の在庫はあまり置いていない。 ハンノキ(Alder) 一般的に杖は木材の特徴と似た所有者を求める。ただし、ハンノキは硬くてしなりにくいので、頑固な所有者を求めるかのように思うが、その特徴に反して親切で思いやりがある感じがある所有者を好む。 選んだ所有者に対しては忠実。無言呪文に向いているので、かなり有能で高度な魔法使いが選ばれる。 リンゴ(Apple) リンゴの木で作られた杖は少ない。闇の魔術を好まないので、大志を抱き、理想的な所有者を好む。リンゴの木の所有者は、人々に深く愛されて長生きをするといわれてる。顧客の中でも人間的な魅力のある人が選ばれている。 トネリコ(Ash) トネリコの木材とユニコーンの毛の芯材とを組み合わせると、杖がさらに強くなる。 固い信念や目的を持ち、精神力があり自惚れない所有者が選ばれる。トネリコの木の杖は最初の所有者に忠実。この木の杖を譲った場合、杖の力や技術は失われる。 ヤマナラシ(Aspen) ヤマナラシの木の杖は、繊細で白く、象牙に似た感じのおしゃれな杖。呪文の力もとても高い。 戦い向けの魔法に向いている。ゆえに強靭な精神を持ち、決闘や戦いや遠征に運命付けられた所有者に向いている。 ブナノキ(Beech) ブナノキの杖は、若者であれば、実年齢以上に知恵のある所有者、成人であれば、思慮深くかなりの経験を積んだ所有者に向いている。相性のいい理想的な所有者の場合、繊細で技術を要する魔法を放つことができる。 リンボク(Blackthorn) リンボクは杖の木としてはまれ。戦士に向いている。闇の魔術にも向いているが、所有者がその使い手とは限らない。リンボクの杖の所有者は闇祓いや、アズカバンの居住者が多い。 リンボクの杖は所有者と危険や苦難を一緒に乗り越えると、真の絆を築くことができて、所有者に忠実な杖となる。 黒クルミ(Black Walnut) 普通のクルミ材より珍しい。 この杖は、洞察力が鋭く、直感の働く持ち主を求める。黒クルミはたいへん見事な杖だが、この杖を使う者の心に迷いがあると、魔法の効果に影響が出るため誰にでも使いこなせる訳ではない。持ち主がなんらかの形で自分をだましていれば、杖の力は激減する。持ち主の魔女や魔法使いが自分あるいは他人に対して正直になれない、または、なる気がない場合、黒クルミの杖はたいてい本来の力を発揮できなくなる。そうなると、持ち主を変えないかぎり、力を回復できない。 ただし、自身をよく知る誠実な持ち主とめぐりあえば、黒クルミはどんな杖より優れた忠実な杖となり、いかなる種類の呪文を使っても、とくに高い効果を発揮する。 スギ(Cedar) スギの杖の持ち主は必ず、気骨と並々ならぬ忠誠心を備えている。ジェルベーズ・オリバンダーはいつも、「スギの杖を持つ者に、まやかしは決して通用しない」と言っていた。この意見に対してオリバンダーは「スギの杖に最適な持ち主は、洞察力と認知力を備えた者」という認識をしており、異存はなかった。 スギの杖にふさわしい魔女や魔法使いは、敵に回すと恐ろしい相手になりうる。彼らに軽率な勝負を挑む者は、しばしば驚くことになるようである。 サクラ(Cherry) サクラの杖は非常に珍しく、不思議な力を生み出す。日本にある魔法学校の生徒たちのあいだでとくに高く評価されており、サクラの杖を持つ者は特別視される。 サクラ材からは、どんな芯材を用いても、死をもたらすほど強力な力を宿す杖ができることが多い。ただし、ドラゴンの心臓の琴線と組み合わせた杖は、並外れた自制心と精神力を持つ者にしか扱えない。 クリ(Chestnut) クリの木材はいくつもの側面を持つ。この木で作った杖の性質は、使う芯の種類によって大きく左右されるうえ、持ち主の性格にも染まりやすい。クリの杖が引かれる魔女や魔法使いは、魔法動物の優れた調教者、才能あふれる薬草学者、または生まれつきの飛行の名手である。 ただし、ドラゴンの心臓の琴線を芯に使った場合、物欲が強くぜいたくを過度に好み、欲しいものは分別なく手に入れようとする者と相性がよくなる。 反対に、ウィゼンガモット最高裁の長は、歴代3人ともクリと一角獣の杖を使っている。この組み合わせの杖は、司法関係者を好む傾向にあるためである。 イトスギ(ヒノキ)(Cypress) イトスギの杖は、高貴な精神を持つ者と結びつく。中世の偉大な杖作り、ジェレイント・オリバンダーの残した書物によると、イトスギの杖の持ち主探しは、彼にとって名誉ある仕事だったという。なぜなら、この杖の持ち主は、英雄として死すべき運命の魔女や魔法使いだとわかっていたからである。 昔ほど血なまぐさい争いのない現代では、イトスギの杖の持ち主が命を捨てるべき状況はめったにない。しかし、必要とあらば、彼らの多くは迷うことなくそうする可能性が高い。イトスギの杖が魂の伴侶に選ぶのは、勇ましく大胆で、自己犠牲の精神を持つ者である。 ハナミズキ(Dogwood) ハナミズキの杖は、気まぐれでいたずら好きである。遊び心のある杖で、刺激や楽しみを与える相棒を求める。だからといって、必要なときに本格的な魔法が使えない訳ではない。ハナミズキの杖は、困難な状況において実に優れた魔法を発することで知られている。また、頭の回転が速く独創性に優れた魔女や魔法使いが使うと、まばゆいばかりの魔法を生み出す。 ただし、無言呪文を拒否することと、魔法を使うときにやたらと大きな音を立てるという欠点を持つ。 オリバンダーが個人的に一番好きな木材である。 黒檀(Ebony) 真っ黒な杖用木材で、見た目が印象的で評価も高く、あらゆる戦闘系の魔法および変身術に最適である。黒檀の杖の持ち主として最適なのは、あるがままの自分でいることを恐れない者である。この杖の持ち主には、体制にくみさず、自立心が強いか「はみだし者」の立場を好む者が多い。このため、「不死鳥の騎士団」のメンバーと「死喰い人」の双方によく見られる。オリバンダーの経験上、黒檀の杖と最も相性がいいのは、外部からどんな圧力がかかろうとみずからの信念を貫き、たやすく決意をくつがえさない者である。 ニワトコ(Elder) あらゆる杖用木材のなかで、もっとも希少。不幸を招くと伝えられるニワトコの杖は、どんな杖よりも使いこなすのが難しい。強力な魔力を宿しているが、自分の持ち主がともにいる仲間より劣っていると感じれば、持ち主に見切りをつける。このため、抜きんでた力を持つ魔法使いでなければ、ニワトコの杖を長く所有することはできない。「ニワトコの杖、栄えたためしなし」という古い迷信は、この杖への恐怖心から生まれたものであるが、実のところ根拠はない。多くの杖作りがニワトコの杖を作りたがらないのは、この木材を扱うことを恐れているというより、むしろ商品として売れないことを心配しているだけで、これもニワトコの木材の杖が希少な杖となる要因のひとつとなっている。この杖と相性がいいのは、きわめて並外れた人間だけであり、オリバンダーは「しかし、もしそのようなたぐいまれな人間がニワトコの杖を持てば、その者は必ずや特別な宿命を背負うことになるだろう。」と考える。また、オリバンダーの長年にわたる杖の研究によれば、ニワトコの杖の持ち主は、必ずといっていいほどナナカマドの杖に選ばれた者に強い親近感を覚える。 ニレ(Elm) ニレの杖で魔法をかけられるのは純血の魔法使いのみと信じられているが、この説には根拠がない。オリバンダーはみずからの血統を証明したい持ち主が広めた風説と考えて間違いないと見ている。というのも、ニレの杖と相性のいいマグル生まれの魔法使いは何人もいる。 ニレの杖が好む持ち主は、魔術を器用に操る能力を持ち、存在感と生まれつきの品性を備えた者である。オリバンダーの経験上、ニレの杖はいかなる杖と比べても事故や大きなミスが少なく、もっとも優雅な魔法を生み出す。ふさわしい者が手にすればきわめて高度な魔法を使える、洗練された杖である。だからこそ、純血主義の信奉者が何を置いても欲しがった。 ヨーロッパナラ(English Oak) この杖を持つにふさわしい魔法使いにとっては、良いときも悪いときも忠実な友となる。ヨーロッパナラの杖が相棒に求めるのは、強さと勇気と忠誠心である。あまり知られていないが、この杖の持ち主は直感が鋭く、自然界の魔力と結びつきを持つことも多い。このため、魔法に使う手段として、また純粋な楽しみとして、動植物と密接な関係を築くこともしばしばである。冬至から夏至までの間、ナラの木は「森の王」と呼ばれ、ナラ材を採集できるのはこの期間だけである(再び日が短くなりはじめると柊が「王」になるため、柊は年の後半にしか採集すべきではない。このように「王」になる期間が分かれていることから、「男の杖がナラで、女の杖が柊なら、結婚するは愚かなり」という根拠のない古い迷信が生まれたものと信じられている)。また、マーリンの杖はヨーロッパナラだったといわれている。 ただし、杖は死後持ち主の荼毘に付すが、彼の墓が見つかっていないので証明は不可能である。 モミ(Fir) モミの木は、回復力がきわめて高い。その木材で作った杖が、耐久力と強い決意を持った者を真の持ち主に選ぶのはもっともである。気まぐれで決断力のない者が使うと、粗末な道具にしかならない。ガーボルド・オクタビウス・オリバンダーがモミの杖を売った魔法使い 3 人が、その後そろって命の危機に見舞われながらも無事に生き抜いた。そのため、彼はいつもモミの木の杖を「生き残りし者の杖」と呼んでいた。 モミの杖は「変身術」にとくに適している。また、ひとつのことに集中する強い意志を持ち、場合によっては威圧的な態度も辞さない持ち主を好む。 サンザシ(Hawthorn) グレゴロビッチの著述によると、サンザシ材は「奇妙で矛盾に満ちた杖を生み出す。杖の親となる木も同じように矛盾をはらんでおり、葉や花は人を癒す力を持つが、切り枝は死の香りを放つ」とされる。この杖には複雑で好奇心をそそる性質があり、杖に適した持ち主もまた同じである。 サンザシの杖は回復系の魔法に特に適していながら、同時に呪いの名手でもある。オリバンダーの見たところ、多くの場合、サンザシの杖がもっとも好むのは、みずからの内に相反する性質を持つ者か、混乱のさなかにある魔女や魔法使いのようである。とはいえ、サンザシの杖を使いこなすのは難しく、危険を招く恐れがあるのでオリバンダーは才能を認められた者にしかゆずらないようにしている。また、サンザシの杖にはひねくれた性質があり、扱いを誤ると呪文が自分に返ってくることがある。 サンザシの木は、美しい花と大きな棘で素晴らしい防壁を作る。この木は強いがしなやかでもある。サンザシに惹かれた人は家族と強い絆を持ち、愛する人たちを全力で守る人である。 ハシバミ(Hazel) ハシバミの杖は繊細で、持ち主の心の状態を反映することが多い。このため、持ち主には自分の感情を理解し、制御できる者がふさわしい。持ち主が最近かんしゃくを起こしたり、深い失望を味わったりした場合、ハシバミの杖はそうしたエネルギーを吸収し、予期せぬ形で放出するので杖の扱いには注意せねばならない。 とはいえ、ハシバミの杖の長所は、こうしたささいな問題を補ってあまりある。熟達した技術を持つ者が使えば、たぐいまれなる魔法をかけることができる。 また、この杖は持ち主に忠実なあまり、持ち主が死を迎えると杖が一切の魔力を放出し、魔法の実行を拒むようになる。以降もその杖を使うには、芯を抜き出して別の杖に入れ替えなければならない。ただし、芯が一角獣のたてがみの場合、杖はほぼ確実に死ぬため、もはや望みはない。 なお、ハシバミの杖には地下水を探し当てるという固有の能力もある。地下に隠れた泉や井戸の上を通ると、杖は銀色をした涙型の煙を吐き出す。 柊(Holly) 杖用木材としては珍しい部類に入る。柊の杖は古くから持ち主を守る杖と考えられており、怒りや衝動を抑えられない者と最も相性がよく、そうした持ち主を手助けする。同時に、危険な冒険(精神的な意味であることが多い)のさなかにある者を持ち主として選ぶことも多い。 柊は、組み合わせる芯の種類によって魔法の効き目がもっとも劇的に変わる木材のひとつである。とくに不死鳥の羽根とは組み合わせるのが困難なことがよく知られているが、これは、柊の移ろいやすい性質が、不死鳥の超然とした性質と奇妙に反発し合うためである。 クマシデ(Hornbeam) クマシデの杖が生涯の友に選ぶのは、ひとつのことに純粋な情熱を注ぐ、才能ある魔女や魔法使いである。人によってはその情熱を「執着」と呼ぶのかもしれないが(オリバンダーは「展望」という呼びかたを好む)、それはほぼ確実に実現される。 クマシデの杖は、どの杖と比較しても、持ち主の魔法のスタイルに適応するのがもっとも早い。あっという間に「持ち主専用」の杖になるため、他の者が使うのは極めて難しく、単純な呪文でさえかけるのに苦労する。 同様に、クマシデの杖は持ち主の主義主張を吸収するため、それがどんな考えであろうとも、持ち主の信条と一致しない行為はよかれ悪かれ拒否する。 細やかな調整のきいた、鋭い感覚を持つ杖である。 カラマツ(Larch) 丈夫で暖かい色みのカラマツは、魅力と強さを兼ねそなえた杖用木材として、長きにわたり珍重されている。所有者に勇気と自信を注ぎ込むといわれており、つねに需要が供給を上回る。 しかし、誰もが求める杖ではあるものの、理想の持ち主の条件は厳しく、多くの者が想像するよりもはるかに扱いづらい杖である。カラマツ材からは、隠れた能力や思いもよらない効果を秘めた杖ができるが、この特徴は理想的な所有者にも当てはまる。カラマツの杖に選ばれる魔女や魔法使いは、この杖と組むまではみずからの有り余る能力を十分に発揮できていないことが多い。しかし、この杖を手にしてからは、計り知れない力が引き出されるのである。 ローリエ(Laurel) 月桂樹の杖で卑劣な魔法は使えないといわれるが、栄誉を追求する目的で(この杖にふさわしい人間にとっては、決して珍しい目標ではない)、この杖から強力な魔法や、場合によっては命を奪うような魔法が放たれた例がある。 月桂樹の杖は気まぐれだといわれることもあるが、この評価は妥当ではない。月桂樹の杖は所有者の怠け心を許さず、そのような気配を感じるや、杖自ら進んで他の魔法使いに勝ち取られるのである。 そのような状況でないかぎり、最初の所有者から決して離れることはなく、別の者が杖を奪おうとすると、落雷を起こすという特性を持っている。 カエデ(Maple) カエデの杖が選ぶ所有者には、生来の旅人や冒険者が多いとされる。この杖はおとなしく家にいる杖ではなく、所有者に野心を求める。条件に合わない所有者のもとでは、杖の魔力は鈍くなり、活気もなくなる。 新たな試練を与え、つねに目先の景色を変えてやると、文字通り「輝きを放つ」ようになる。また、所有者とともに成長しながら能力を磨き、地位を高めていく。 カエデ材は美しさゆえに人気が高く、杖品質のものは何世紀にもわたり、最も高価な木材に名を連ねている。さらに、カエデの杖は「成功者の杖」と評され、古くから、所有できるのは高い地位の証とされているようである。 カシノキ(Oak) カシノキの杖は真実と知恵を象徴する。カシノキに惹かれた人は自信家で楽観的で、内面の強さと深い知識を持つ。 ナシ(Pear) ナシの木は、黄金色で、華々しい魔力を宿す杖ができる。思いやりがあり、おおらかで賢明な所有者の手に渡ると、ナシの杖は最高の力を発揮する。 オリバンダーは経験から、ナシの杖の持ち主は、人望が厚く、広く尊敬を集める人物だと述べ、闇の魔法使いが所有者になった例を一度たりとも見たことがないという。 ナシの杖はとくに回復力に優れており、長年にわたって酷使しても、いつまでも新品のように見事な外観を保ち続けることが多い。 マツ(Pine) 木目がまっすぐなマツの杖は、必ず自立した個性の強い人物を所有者として選ぶ。こうした人物は、一匹狼と思われたり、好奇の目で見られたり、謎めいているという印象を持たれたりすることもある。 マツの杖は独創的な使いかたを好むため、一部の杖とは違い、新しい手法や呪文に抵抗なく適応する。多くの杖作りが主張するところによると、マツの杖は長生きする者と相性がよく、そうした人物を見つけ出す能力があるとされ、オリバンダー自身もマツの杖の持ち主で若くして死んだ者を知らない。また、マツの杖は無言呪文にきわめて敏感である。 ポプラ(Poplar) ガーボルド・オリバンダーが残した「完全なものを求めるなら、まずポプラを探せ」という言葉が示すように、高い信頼性、一貫性、強さ、そして安定した能力を誇るポプラの杖は、明確な道徳観念を持つ持ち主を求める。腕の悪い杖作りの間では「ポプラの杖は決して政治家を選ばない」という使い古された冗談があるが、もっとも成功したふたりの魔法大臣、エルドリッヒ・ディゴリーとエバンジェリン・オーピントンは、オリバンダーの手による最高級のポプラの杖を所有していた。 レッドオーク(Red Oak) 「レッドオークの杖は、持ち主の気が短い証拠」という迷信があるが、実際のにレッドオークの杖が求める理想の所有者は、並外れて反応が速い者である。ゆえに、レッドオークは決闘にうってつけな杖といえ、ヨーロッパナラほど一般的ではないが、レッドオークの杖の所有者として理想的なのは、軽妙で頭の回転が速く、順応力に富んだ人物である。彼らのトレードマークとなる独自の呪文をつくり出す者も多く、男女問わず戦いの際に頼れるタイプである。レッドオークの杖は、あらゆる杖と比較して最も均整が取れている。 セコイア(Redwood) 杖品質のセコイアは供給が不足ぎみで、持ち主に幸運を招くといわれているため一定の需要があるが、実際のところはセコイアの杖が幸運をもたらすのではなく、この杖はもともと運の強い魔女や魔法使いに強く引きつけられるのである。この杖に選ばれる者は、苦境を逃れる運の強さや、正しい選択をする判断力、破滅的な状況をくつがえす力を備えている。 アシ(Reed) アシの木は、学問と知識を象徴する。アシに惹かれた人は、言葉が巧みで、揺るぎない信念を持っており、深く根を降ろし、極めて柔軟性が高い。 ナナカマド(Rowan) 杖品質のナナカマドはいかなる杖と比較してもとりわけ高い防衛力を持つといわれる、人気の高い木材である。 あらゆる防御魔法をかける際、この杖を使うと特に強力で破られにくくなる。 一般的に、過去にも現在もナナカマドの杖を所有する闇の魔法使いはいないとされている。事実、オリバンダーは彼のナナカマドの杖が世に悪事をなした例は、一度たりともないと認める。ナナカマドの杖の理想の持ち主は、頭がよく心優しい人物だが、ナナカマドの杖は他の杖に匹敵するどころかそれに勝ることも多く、決闘では相手を上回る力を発揮することもしばしばである。 ギンヨウボダイジュ(Silver Lime) 希少かつ魅力的な杖用木材で、19 世紀に大流行した。需要が供給を上回ったため、一部の杖作りは低品質の木材をギンヨウボダイジュの色に染め、客に本物だと信じ込ませて売りつけていたほどである。そこまでの人気を博した理由は、見た目が突出して魅力的であることに加え、占い師や開心術に熟練した者が使うと最高の力を発揮するといわれていたためである。いずれも神秘の術であるため、ギンヨウボダイジュの杖の所有者は高い地位にあると見なされた。杖の需要が絶頂に達したとき、杖作りのアルトゥーロ・セファロポスは、ギンヨウボダイジュの杖と予知能力に関連があるとする説は、ガーボルド・オリバンダー(オリバンダー老の祖父)などの商人が、仕入れすぎたギンヨウボダイジュ材の在庫を売り払いたいために広めたデタラメだ、と主張した。しかし、セファロポスはずさんな仕事をする男だったため、彼が廃業したときは、占い師でなくとも驚く者はいなかった。 トウヒ(Spruce) 一部の杖作りは、トウヒは難しい木材だと言う。実際、トウヒ材を扱うにはある程度の熟練が必要であるとオリバンダーも述べる。 トウヒの杖は、警戒心の強い者や神経質な者とは相性が悪く、不器用な者が扱うと間違いなく危険。この杖は、どんな魔法を発するべきか、杖の意志で判断する傾向にある。このため、使用する者には厳然とした態度が求められる。しかし、相性が最適の持ち主であるユーモアのセンスがあり、大胆に魔法を操る人物に出会うと、杖は強い忠誠心で持ち主を大いに助け、鮮やかで派手な魔法の効果を生み出す。 シカモア(Sycamore) シカモアの杖は、冒険好きな杖である。いつも新たな経験を求め、刺激のない仕事をさせると輝きを失う。この杖にはやっかいな特性があり、この杖を「退屈」させるといきなり燃え出す。ゆえに、落ち着いた生活を送っている老魔法使いがいつものようにスリッパを取ってこいと命令すると、杖が手のなかでいきなり燃え上がることがある。 シカモアの杖の理想的な持ち主については、好奇心旺盛で生命力にあふれる、冒険好きな人物が最適である。そのような持ち主と組み合わせれば、シカモアの杖は持ち主から学び、適応し始める。 ブドウ(Vine) ドルイド僧たちは、木質の茎を持つものはすべて木と考えていたため、ブドウの木からも杖が作られた。ブドウの木からは特殊な性質を持った杖ができる。 ブドウの杖は一般的ではないが、この杖の持ち主はみな大いなる目的を追求する魔女や魔法使いである。彼らには凡人には計り知れない先見の明があり、彼らについて理解し尽くしていると思っていた者たちを驚かせることもしばしばである。ブドウの杖は、一見しただけではわからない深みのある人格を持つ人物に強く引かれる。また、他の杖と比較して、持ち主になるべき人物を即座に探し当てる傾向にある。ブドウの杖は、理想的な持ち主が同じ部屋に入っただけで魔法の効果を発するという。オリバンダー杖店でも、このような現象は2度確認されている。ハーマイオニー・グレンジャーは、このブドウにドラゴンの心臓の琴線を芯とする杖を所持する。 クルミ(Walnut) 知性の高い魔女や魔法使いに試しにクルミの杖を渡してみると、10 回中 9 回は、理想のパートナーどうしだと判明する。 この木材は、ずば抜けて多様な用途に向いており、適応力も高いため魔法の革新者や発明者が所有者となる例も多い。 一部の木材は、持ち主が主導権を持って扱うのが難しく、木材の性質と合わない呪文をかけようとすると抵抗するが、このクルミの杖は、いったん服従したら最後、使用者が十分に頭脳明晰であれば持ち主が望むことはいかなることでも成しとげるため注意が必要である。このため、クルミの杖は良心のない者の手に渡ると杖と魔法使いが悪影響を与え合うという、非常に不健全な関係が築かれ、恐るべき武器になる。ベラトリックス・レストレンジが持っているのがこのクルミにドラゴンの心臓の琴線を芯材とする杖である。 ヤナギ(Willow) ヤナギは癒しの力を持つ珍しい杖用木材である。オリバンダーが気づいたところによると、ヤナギの理想的な持ち主は、大抵本人は認めないが、どれだけ隠そうとしても、どこか不安定な部分がある者が多い。 杖の見事な外見と、高度な無言呪文をかけられるという定評に引かれ、自信にあふれる客がヤナギの杖を試したいと主張することもよくあるが、ヤナギの杖は、もはや学ぶことはあまりないと感じている者よりも、大いなる可能性を秘めている者を選ぶ。 オリバンダー家には「最も遠い道を歩む者は、ヤナギと共に最も速く進む」と言う格言が伝えられている。ロンが2本目として、このヤナギにユニコーンの尾の毛を芯材とする杖を持つ。 イチイ(Yew) イチイの杖は珍しい部類に入り、理想的な持ち主もまた、たぐいまれなる力を持つ者で、悪名高い人物の場合もある。たとえばヴォルデモート卿(トム・リドル)の杖もイチイである。芯材は不死鳥の尾羽根で、同じ個体の尾羽根がハリーの持つ杖に使われている。 イチイの杖は所有者に生死に関わる力を授けるとされている。むろん、それはどんな種類の杖にもいえるわけだが、イチイの杖はとくに決闘や呪いの分野において、不穏な評判を博す。しかし、杖に関する伝承について不勉強な者がよく言うイチイの杖を使う者が闇の魔術に引かれやすいという説は、真実ではない。イチイの杖に最適な魔女や魔法使いは、その強大な力で他者を守ることもあるからである。イチイという極めて長寿の樹木から切り出した杖は、しばしば英雄、あるいは悪人に所有されてきた。 イチイの杖とともに魔法使いを埋葬すると、通常地中の杖が芽吹いて木となり、死んだ持ち主の墓を守る。 オリバンダーはイチイの杖は、決して平凡な人物や取るに足りない人物を持ち主に選ばないと断言する。
※この「杖の木(ABC順)」の解説は、「ハリー・ポッターシリーズの用語一覧」の解説の一部です。
「杖の木(ABC順)」を含む「ハリー・ポッターシリーズの用語一覧」の記事については、「ハリー・ポッターシリーズの用語一覧」の概要を参照ください。
- 杖の木のページへのリンク