ジムニー
初代は1970年4月に360ccエンジン搭載の軽として日の目を見たが、商用カテゴリーだった(48万2000円)。その後も800(77年10月)、それを格上げした1000(82年8月)と進むが、いずれも商用車。乗用タイプが登場したのは84年11月の1300で、ワゴンと名乗った。ジムニーという車名は、発音のしやしさ、覚えやすさなどからつくった造語。ジープとミニを組み合わせた言葉というのが通説。
1300のホイールベースは550cc型と同じ2030㎜で、全長3355mm、全幅1465mm、全高1700mm、車重870kg、定員4名というスペック。エンジンはG13A、直4・SOHC・1324ccで70ps、5速MTに2速副変速機付きだった。駆動方式はパートタイム4WD。東京標準価格は132万5000円。同じエンジンのバンもあった。
85年12月、1300ワゴンにパノラミックルーフを追加。ハイルーフとして、その両側にパノラマ・ウインドウを設けた。従来型もこのとき、分離可倒式リヤシート、ハロゲンヘッドランプ、スライド式とした助手席などを採用した。
87年2月、ウインドウの合わせガラス化と、ブロンズガラスの採用を行った。このあと、しばらく生産をストップしていたが、シエラで復活を果たす。
93年5月、660ccのジムニーをベースとして、直4・SOHC・1298cc・70psのG13Bエンジンを載せた1300シエラ(シエラとは英語で山脈の意。道なき道を行くジムニーのタフさと、険しい山脈のイメージを重ね合わせたもの)が登場した。乗用型で、5速MT、駆動はパートタイム4WD。ホイールベース2030mmは軽と変わらないが、全長は3470mmとなり、全幅も1545mmと広くなった。全高1670mmは変わらない。5ナンバー車、定員は4名。大型フォグランプ、グリルガード、AM/FMラジオ、油圧式パワーステアリングなどを標準装備。
93年11月、1300シエラに3速ATを設定。フットレスト追加。95年5月、シエラデザインズ・リミテッドという、エアコン、モモのステアリングホイール。フルトリムの内装、アルミのルーフキャリアを装備したモデルをリリース。
95年11月、マイナーチェンジ。1300ccエンジンを16バルブ化することで、70psから85psに出力を高め、トランスフアー用にサイレントチェーンを採用して、振動・騒音の低減をはかった。エクステリアではグリルバーのデザインを変更。インテリアではフロントシートの形状変更やスライド量の拡大、リヤシートの居住性を改善した。このとき、軽乗用ジムニーを初めて世に送り出した。エンジンはK6A、オールアルミ製3気筒DOHCインタークーラー付きターボ64psで、中、上位グレードに搭載。下位グレードは従来型のF6A、64psエンジンを使用した。サスペンションも商用タイプのリジッド/リーフから、トレンドに合わせて前後とも3リンク/コイルに変えた。
98年1月のジムニー・ワイド発売を機に1300シエラの寿命は終えた。(別項参照)
軽規格のジムニー(商用タイプ)は、1970年4月にデビューしたあと、72年5月に空冷から水冷の2ストローク360ccエンジンに変更、76年5月に水冷2ストローク550ccエンジンになった。77年6月には、前後輪のトレッドを100mm拡大した55を発売した。そのあと、81年5月に初のフルモデルチェンジ、86年1月に水冷4ストローク550ccターボエンジンを追加、90年3月には660ccターボエンジンに換装した。そして、95年11月の軽ジムニー乗用タイプのスタートとなる。
軽乗用タイプの仕様は、3気筒SOHC・6バルブ・インタークーラー付きターボエンジン(64ps)を積んだハードトップXB、XS、3気筒DOHC・12バルブ・インタークーラー付きターボエンジン(64ps)を載せたハードトップXCとワイルドウインド(特別仕様)、パノラミックルーフYCというラインアップだった。ミッションは5速MTと3速ATがどのモデルにもあった。価格(東京)は116万3000円~145万円。4WD車。これらのモデルは97年5月のマイナーチェンジでドライブアクション4×4を採用するが、翌年には新規枯軽に切り替わったというのが、ヒストリーである。・
98年10月、軽ジムニーは新規格にミートする新型車に変わった。スタイリングはジムニー・ワイドと共通するもので、ワイドをスリムにした形だった。ラダーフレーム付きで、ボディはフルフローティング。ホイールベースは2250mmと長くなり、乗用車らしくなった。全長3395mm、全幅1475mm、全高1680/1715mm(XCモデル)のサイズ。エンジンはインタークーラー付きターボK6A・658ccで、駆動方式は4WD、ミッションは5速MT、4速ATがあった。99年10月に一部改良、2000年3月に2WDモデルのLを発売するが、翌年2月のJ2発売によってLは廃止。従来からの4WDモデル、XA、XL、XCはそのまま継続。
2002年1月、ボンネットフードとフロントグリルのデザインを一新、新しい顔が誕生した。ドアミラーも形を変え、一部モデルには電動格納機能とヒーター機能を追加。内装関係ではシート表皮の材質とデザインを変更した。グレードをXG、XCの2タイプにしぼった。ミッションはそれぞれ5速MTと4速ATがある。4WD仕様のみだが、走行中でも2WDと4WDの切り換えが可能なドライブアクション4×4を装備する。
スズキ・ジムニー
(Jimny から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 02:32 UTC 版)
ジムニー(Jimny)は、スズキ(1990年(平成2年)9月以前は鈴木自動車工業)が1970年(昭和45年)から市販している軽自動車のオフロード四輪駆動車である。通常「ジムニー」は軽自動車モデルを指すが、当項目では小型自動車登録であるジムニーシエラ、ジムニーワイド等についても併記する。
注釈
- ^ 同社のSX4やエスクードも例外ではない。
- ^ MTに関しては特に年配者を中心としてオートマチックトランスミッションに忌避感のあるドライバーは少なくなく、また居住・運用環境によってはロードサービスが来るのにも困難が伴うことも珍しくない(どころか当のJAFですらそのような事態に備えジムニーを配備するほどであり、JAF仕様がトミカのラインナップ(2023年8月現在、JB64W。スタンダードシリーズNo.100)にも設定されているほか、実際のJAF支部への取材でもジムニーの存在が確認できる。[5])。このような環境に身をおいているとは言え軽トラックでは困るという理由から、全グレードにMTが必ず設定されているジムニーへの移行ユーザーが目立つようになっている。
- ^ ラジアルタイヤの175/80R16は国内外問わず採用しているのは軽自動車のジムニーのみという「ジムニー専用サイズ」である。SJ20の形式認定の際、日本国内で登録車となるジムニーには装着できないようにと運輸省から通告され、このため軽自動車のジムニーはホイール取り付けボルトが5本であるのに対し、かつての登録車ジムニーはSJ40Tを除き6本であった。
- ^ 光岡・Kシリーズなどのキットカーや同・MC-1などのミニカーを除く。
- ^ この言葉はCCVをはじめとした四輪駆動車専門季刊誌に登場するほか、通常のカーガイダンスでも使用される言葉として、旧くから存在している。https://www.rankingshare.jp/rank/bfyqrqezqu
- ^ 鈴木修本人談。出典→大日本絵画・CCV / CCVブックス、スズキジムニーの二十年史
- ^ 鈴木修によれば、当時「クルマならタイヤが4つあるのだから、4輪駆動が当たり前だろう。2輪駆動というのはオートバイのことに違いない」と思っており、これを周囲に話して笑われてしまったという。
- ^ 当時の鈴木修は娘婿のまだ若い幹部という立場のため、浜松のスズキ本社プロパーの重役陣からは疎んじられており、失策を理由に東京の販売会社に半ば左遷された。これが東京の軽自動車業界人と親交を深めるきっかけになり、鈴木はON型完成以前から東京在住の小野定良と親しくなっていた。また、三菱製エンジンのエアクリーナーの仕様がON型シャシ搭載に合致しない部分があったものの、三菱の改良協力を得られず、小野は苦慮していた。これを知った鈴木修がスズキ製軽自動車エンジンの予備品を(本社には内密でホープに横流しして)調達・改造する手配を申し出、最終的に小野が鈴木にON型の行末を委ねる動機になったともいう。以上は鈴木修「俺は、中小企業のおやじ」(2009年・日本経済新聞社 p126-135)での鈴木修の回想による。同書で鈴木修は「ジムニー」が「ジープ」と「ミニ」の合成名であったことを肯定している。
- ^ 製造台数を100台前後とする資料もある。なお、ON型は細部の設計や製造品質面では、他社既成パーツを多用した手作りの少量生産車という実情や、開発能力の限界もあって、市販車としては耐久性や商品性の面で難も多く、スズキではON型のコンセプトをベースにしながらも、全体を一新した改設計を行わねばならなかった。
- ^ 座面を前方に引き起こし、その空いたスペースに背もたれを前倒して沈み込ませる仕組みで、後席の居住性と荷室容積を徹底的に追求する欧州車に多く見られる方式。後席収納時の荷室は床が低く平らになるが、前席直後に前倒した後席の座面が直立で固定されるため、前席のシートスライド量やリクライニング角度に制約が出る。
- ^ 「KANSAI」は、同社の2代目エスクードとグランドエスクードの特別仕様車にも設定された。
- ^ 2018年7月時点で発売されている殆どの軽乗用車とエブリイ・キャリイ・スーパーキャリイに設定されているが、これまでジムニーには設定されていなかった
出典
- ^ a b c 大日本絵画 NEWジムニーブック―1970~2007
- ^ a b c モーターファン別冊 その他のシリーズ 歴代ジムニーのすべて ISBN:9784779625831
- ^ a b http://toyokeizai.net/articles/-/95803
- ^ a b CCV HISTORY OF JIMNY
- ^ 【一時停止】‟無法地帯”で見えた危険<NEWS CH.4> - 南海放送公式YouTubeチャンネル。JAF愛媛支部での取材のカットでJB74Wシエラが確認できる。
- ^ http://k-pro-channel.jp/view.php?no=KP6013
- ^ (日本語) Suzuki Jimny 2020 review - see me BUY this actual car! 2023年11月5日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第96号14ページより。
- ^ “スズキの初代「ジムニー」が日本自動車殿堂の歴史遺産車に選定”. Car Watch (Impress). (2020年11月6日) 2020年11月7日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第11号17ページより。
- ^ 歴代 軽自動車のすべて. 三栄書房. (2014). pp. 14. ISBN 9784779621031
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第11号17ページより。
- ^ a b デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第76号17ページより。
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- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第50号 3ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車 第92号19ページより。
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- ^ World Highest Altitude Record on TV - 2017年11月17日閲覧
- ^ “スズキ ジムニー1300 1984年式モデルの価格・カタログ情報”. 2022年9月24日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第49号21ページ
- ^ “ジムニー1300(スズキ)のカタログ”. 2022年9月24日閲覧。
- ^ “ジムニー(スズキ)1987年11月~1998年9月生産モデルのカタログ”. リクルート (2019年12月25日). 2019年12月25日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第50号3ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第96号13ページより。
- ^ 渡辺陽一郎 (2018年2月27日). “惜別現行型ジムニー!! ジムニーが新型にチェンジする事情、そしてパジェロミニという唯一のライバルをふり返る”. ベストカーWeb. 2018年4月2日閲覧。
- ^ “スズキ、磐田の1ライン休止 4輪再編 「ジムニー」を湖西に移管”. 日刊工業新聞 (2018年3月5日). 2018年4月2日閲覧。
- ^ ファッションデザインの第一人者 山本寛斎がデザイン。ファッショナブルなRV 「ジムニーKANSAI」を新発売 - スズキニュースリリース(1999.6.16発表)2018年10月25日閲覧
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- ^ 軽乗用車「Kei」(ケイ)、「ジムニー」と小型四輪駆動車「エスクード」に国際スキー連盟「FIS」とタイアップした特別仕様車「FISフリースタイルワールドカップ リミテッド」を設定し、発売 - スズキニュースリリース(2002年 1月 21日発表)2018年10月25日閲覧
- ^ 特別仕様車「FISフリースタイルワールドカップ リミテッド」を発売 -「Kei」、「ジムニー」、「グランドエスクード」、「エスクード」に設定- - スズキニュースリリース(2002年11月18日発表)2018年10月25日閲覧
- ^ 軽四輪駆動車「ジムニー」の特別仕様車「FISフリースタイルワールドカップ リミテッド」を発売 - スズキ(2003年11月13日発表)2018年10月25日閲覧
- ^ スズキ、「FISワールドカップ」の特別仕様車を発売 - (2000.11.21)2018年9月30日閲覧
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第67号19ページより。
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- ^ a b 新型ジムニーは、“フロントミッドシップ”レイアウト 前後重量バランスはほぼ50:50 モーターファン公式サイト内より
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- ^ 『スズキ、軽四輪駆動車 新型「ジムニー」、小型四輪駆動車 新型「ジムニーシエラ」を発売』(プレスリリース)スズキ株式会社、2018年7月5日 。2018年7月5日閲覧。
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- ^ 新型ジムニーは低評価 欧州の衝突試験、4車種発表日経新聞 (2018年9月25日) 2019年2月13日閲覧。
- ^ https://response.jp/article/2019/04/18/321527.html
- ^ “【新型ジムニー詳細情報】完全熟成のフレーム&駆動系に使い勝手良好の居住スペースを結合”. clicccar(クリッカー) (2018年7月5日). 2018年7月8日閲覧。
- ^ “ジムニー アクセサリーカタログ” (PDF). スズキ株式会社. 2018年7月8日閲覧。
- ^ スズキ、20年ぶりに軽4WD「ジムニー」・小型4WD「ジムニーシエラ」フルモデルチェンジ - Car Watch
- ^ a b 『スズキ、軽四輪駆動車「ジムニー」、小型四輪駆動車「ジムニー シエラ」を一部仕様変更して発売』(プレスリリース)スズキ株式会社、2021年9月16日 。2022年6月20日閲覧。
- ^ a b 『スズキ、軽四輪駆動車「ジムニー」、小型四輪駆動車「ジムニー シエラ」を一部仕様変更して発売』(プレスリリース)スズキ株式会社、2021年9月16日 。2022年6月20日閲覧。
- ^ a b “スズキ ジムニー/ジムニーシエラを一部仕様変更し、車両価格などを改定”. Webモーターマガジン (2024年2月19日). 2024年2月25日閲覧。
- ^ “「まるで不死鳥」2人乗りで復活、スズキ ジムニー 英誌「乗った瞬間から笑顔に」”. newsphere (2021年8月3日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ “スズキ「新型ジムニー5ドア」“インド”に続き“豪”市場への導入発表! 日本への導入は?”. くるまのニュース (2023年1月19日). 2023年1月19日閲覧。
- ^ 『スズキ、インドで「ジムニー」の生産・輸出を開始』(プレスリリース)スズキ株式会社、2021年1月20日 。2021年1月21日閲覧。
- ^ 『スズキ、インドで新型「ジムニー5ドア」、新型SUV「フロンクス」を発表』(プレスリリース)スズキ株式会社、2023年1月12日 。2023年1月12日閲覧。
- ^ 〜ジムニー誕生40周年にあたって〜 世代を超えて。時代を超えて。おかげさまで、ジムニーは誕生40年スズキ株式会社公式サイト内より
- ^ ジムニーシエラを新発売 スズキ株式会社スズキ株式会社 - 広報 ジムニーシエラを新発売
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