3気筒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 08:28 UTC 版)
「オートバイ用エンジン」の記事における「3気筒」の解説
直列3気筒 詳細は「直列3気筒」を参照 オートバイ用エンジンとしての3気筒エンジンは少数派で、現在市販されているものは直列三気筒のみである。トリプルとも呼ばれる。 4ストロークエンジンでは、古くはイギリス・ヒンクレーに本拠を置くトライアンフの直列3気筒がその名を広く轟かせていた。トライアンフは幾度かの変遷を経て2004年に総排気量2300ccにも及ぶトライアンフ・ロケットIIIを発売している。ヨーロッパではトライアンフの他にイタリアのベネリ社がベネリ・Tre1130Kなどの高性能車を現在でも手がけている。その他にはイタリアのラベルダが1000-1200ccの直列3気筒を手がけており、BMWも1980年代から1990年代に掛けて縦置き750ccエンジンのBMW・K75を販売した。バーミンガム・スモール・アームズは1960年代にトライアンフと共同でBSA_Rocket_3/Triumph_Tridentを発売、後のトライアンフ・ロケットIIIの礎を築いた。日本においては、ヤマハ発動機が1970年代に自社で初めて開発した4ストロークエンジンを、ヤマハ・GX750に横置き直列3気筒として搭載し、2010年代にはヤマハ・MT-09(en:Yamaha MT-09)に自社の4ストローク直列3気筒を復活させた。 2ストロークエンジンにおいては直列3気筒は古くから比較的ポピュラーな形式であり、多くのメーカーがこの形式を手がけている。川崎重工業はカワサキ・マッハシリーズに250cc、350cc、400cc、500cc、750ccをラインナップさせ、同時期にスズキもスズキ・GT380やGT550、スズキ・GT750等を手がけている。フランスのモトベカンはモトベカン350/500というカワサキ・マッハのコピーバイクを製造していた。ロードレース世界選手権においては1970年代にカワサキがKR750、スズキがTR750をそれぞれ投入している。 直列4気筒と比べ性能面でのメリットが薄く多くのメーカーは生産を停止したが、独特の振動や出力特性を好むユーザーがいるためトライアンフではあえて採用を続けている。 V型3気筒 詳細は「V型3気筒」を参照 V型3気筒はV型エンジンの中でも特異な形式であり、オートバイ用エンジンとしてしか採用例が見られない。国産車で初めて搭載されたのはホンダ・MVX250Fであるが、このエンジンは振動を可能な限り減らすために前シリンダー2気筒と後シリンダー1気筒のピストン重量を同一とする奇策を採っていた。ホンダでこの他にはWGPレーサーのホンダ・NS500と、そのレーサーレプリカであるホンダ・NS400Rにしか採用されていない。 ホンダ以外では古くは1952年から1956年のDKWの350ccクラスのワークスレーサーに採用された例があり、近年ではケニー・ロバーツが率いたWGPチームである「チーム・ロバーツ」が、オリジナルマシンとしてマレーシアのモデナスと共同開発したモデナス・KR3が数少ない事例の一つである。 W型3気筒 詳細は「W型3気筒」を参照 オートバイ用エンジンにおけるW型3気筒は星型エンジンの流れを汲むものと、V型2気筒の強化の為に1気筒を追加したものに大別される。製造コストが高くなり、各シリンダーが均等に冷却されにくい問題があるため、この形式が採用されることは極めて稀である。 前者の例は1906年にアンザーニがオートバイ用のエンジンとして開発したものが挙げられる。このエンジンは後にルイ・ブレリオの飛行機「ブレリオ_XI」に搭載され、1909年にドーバー海峡横断飛行に成功した。 後者の例としては2000年にアメリカのエンジンビルダーのJim Feulingがハーレーダビッドソン・ツインカム88(95cu-in) 45度バンク空冷V型2気筒エンジンをベースに、もう1バンクを追加するためのアップグレードキットをリリースした事例が知られている。
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