ホンダのV型3気筒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/31 09:39 UTC 版)
1983年、ヤマハ・RZ250に対抗するためにホンダが開発したエンジンが2ストロークV型3気筒エンジンで、同社のMVX250Fに初めて搭載された。前傾した直列2気筒エンジンの後ろに90度のバンク角でシリンダーが1つ追加された形をしており、同車種では後側シリンダーのコンロッドの質量を前側シリンダーのものより大きくしてバランスを取り、一次振動を理論上ゼロにした画期的なエンジンであった。しかし、初期の焼きつき問題やその不評が災いし販売面で振るわなかったことから、市販車での搭載車種はMVX250FとNS500のレプリカであるNS400Rの2車種にとどまり、GPマシンレプリカ路線はV型2気筒エンジン採用のNSR250Rが引き継ぐこととなった。 市販車以外では、同社のワークスレーサーとして1982年にNS500が登場。MVX250FやNS400Rと違い、NS500は前1気筒・後2気筒のレイアウトを採用(正確には、後バンク2気筒の後方排気に由来する発熱ならびにシートの高さや幅広さを解消する目的から、MVX250は前2気筒・後1気筒に変更)。グランプリ復帰の際にオーバルピストン4ストロークエンジンのNR500を投入したものの、斬新すぎる設計が災いし結果が出せなかったホンダにとっての救世主となったNS500は、デビュー年からフレディ・スペンサー2勝・片山敬済1勝と戦闘力を発揮し、1983年は6勝を挙げたスペンサーが年間チャンピオン奪取。1984年以降はV型4気筒のNSR500にワークスチームの主軸は移行するも、1983年に販売されたRS500R共々その後のグランプリを席巻することとなり、1988年に販売終了となったRS500Rの後継機種となるNSR500Vを生み出すこととなった。また、ワークスレーサーNS500は112度V3であり、点火順序が位相同爆に近く近代におけるビッグバンエンジン(en:Big-bang firing order)の先駆けであったことは意外にも知られていない。
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