現代美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 14:11 UTC 版)
「芸術における膣と外陰部」の記事における「現代美術」の解説
1966年、フランスの芸術家ニキ・ド・サンファルは、ダダイストのジャン・ティンゲリー、パー・オロフ・ウルトヴェット(スウェーデン語版)らと共同で、ストックホルム近代美術館からの依頼によって《ホン―エン・カテドラル》("hon-en katedral"あるいは"Hon-en-Katedrall"、「彼女 ― 大聖堂」の意)と題した巨大なインスタレーション作品を制作した。外観は、女性が寝そべって股を開いているというもので、美術館の来場者は扉ほどの大きさに作られた女性器型の入口から作品内部を胎内巡りできるようになっていた。サンファルによると、豊穣の女神であるこの彫像は、胎内に観客を受け入れて彼らを「産み直す」ことができた。内部にはグレタ・ガルボの映画を映すスクリーンや金魚の池、ソフトドリンクを売る自動販売機、ミルク・バーが設置されていた。この作品は世界中の雑誌や新聞で大きな反響を呼んだ。 1974年から1979年にかけ、フェミニスト・アーティストのジュディ・シカゴは《ディナー・パーティー》と題する女性器をテーマにしたインスタレーションを制作した。この作品は、三角形状の長机に準備された、39人分の精緻なプレース・セッティング(テーブルセッティング)で構成されており、ゲストとしてイシュタル、カーリー、皇后テオドラ 、アリエノール・ダキテーヌ、ヴァージニア・ウルフ、スーザン・B・アンソニー、ソジャーナ・トゥルースなど、神話や歴史上で有名な女性39名をパーティーに招いたという想定で作られた。それぞれの供されたプレートには、ソジャーナ・トゥルースに対応するもの(唯一はっきりと女性の顔が描かれている)のほかは、全てが美麗で鮮やかな色合いの、左右に開かれた女性器状の装飾が施されている。この作品は、美術界からの反発をよそに6カ国16会場を巡回し、1500万人の観客を動員した。2007年からは、ニューヨーク、ブルックリン美術館のエリザベス・A・サックラー・センター・フォー・フェミニスト・アート(英語版)に常設展示されている。作者のシカゴは、この《ディナー・パーティー》の一番目に付きやすい席にジョージア・オキーフを配置している(席次は地母神から始まりオキーフで終わり、この両者は角を境に隣り合っている)。これは、シカゴら近代のフェミニストたちにとって、《黒いアイリス(英語版)》のようなオキーフの描く精緻な花の絵は女性器の隠喩であったからだ。ただし、前述の通り、オキーフは一貫して彼女の絵画作品がフロイト的な解釈をされることを拒んでいた。 アメリカのポルノ女優でアーティストのアニー・スプリンクルは、1980年代に自身の女性器をパフォーマンスとして用いる「孔鏡頸発放送(英:"Public Cervix Announcement"、公共広告[public service announcement]のもじり)」を発表し、1990年代にツアーショウ「潤艶モダニスト(英:"Post-Porn Modernist")」でふたたび披露した。この演目は、スプリンクルが段差の低いステージでリクライニングチェアに仰向けで寝そべり、膣にクスコを挿入して観客に子宮頸部を見せるというものである。2018年にイギリスとオーストラリアの癌支援者団体がこの演目のタイトルを採り上げて、子宮頸癌早期発見のためのパップテスト広報キャンペーンに使われた。 近代美術における女性器の表現は、18世紀の解剖学と同定作業と同時に始まった(解剖学者ウィリアム・ハンターら)。フェミニストからの観点では、戦後から本格的に始まった現代美術は、女性器に対する男性中心的な見方と女性の従属性についてのステレオタイプな位置づけを再検討し、解体してきた(アナ・メンディエタ、エンリケ・チャゴヤ(英語版)、ヴィク・ムニス(英語版)、キャンディス・リン(英語版)など)。 イヴ・エンスラー構成、1996年初演の『ヴァギナ・モノローグス(原題:"The Vagina Monologues")』は女性のセクシュアリティを公共の場で話せる話題にすることに貢献した。一連の脚本は200人以上の女性の独白に基づいている。発表当初、それぞれの独白は全てエンスラー1人で演じられたが、のちの公演では3人、最終的には一人一役の構成に落ち着いた。それぞれのモノローグは女性としての経験を通じたできごとを扱っており、性行為、愛、レイプ、月経、女性器切除、オナニー、出産、オーガズム、女性器のさまざまな呼称、あるいは単に身体の物理的側面としての問題に触れている。作品全体を通して繰り返されているテーマは、女性のエンパワーメントの道具としての膣、そして本質的な個性の具体化としての膣である[リンク切れ]。 イングランド南東部ブライトンを拠点に活動するジェイミー・マッカートニー(英語版)は数十人分の本物の女性器からとった鋳型をいくつも使用して作られた"Great Wall of Vagina"を制作し、国籍、人種、年齢を問わない幅広い女性器のバリエーションを見せている。 2001年10月22日、テレビのシットコムコメディ番組『HEY!レイモンド』のあるエピソードで、登場人物のひとりのマリーが教会オークションのために抽象彫刻を制作するが、それはいわゆる「不適切」な見た目であった。他の登場人物にも視聴者にもそれがなんであるかは明白ではあったが直接的な言葉は用いられることはなかった。 アイダン・サラホバ(英語版)はアゼルバイジャン系ロシア人の芸術家であり、ギャラリスト、公人でもある。2011年に彼女の作品である"Black Stone"について、ケイト・デイムリングは「ヴェネツィア・ビエンナーレのアゼルバイジャン館で女性器アート隠される 人々を悲しませる検閲」と題した記事で、サラホバの彫刻作品《黒石》、「イスラム教徒が崇拝するメッカの黒石を模した彫刻」と、「それをカバーする女性器のような大理石の枠はどちらも覆い隠されていた」と述べている。サラホバは第54回ヴェネツィア・ビエンナーレのアゼルバイジャン館に国代表と参加していたアーティストの1人であった。アゼルバイジャン文化省の許可を得て出展されていた彼女の2点の作品は、「世俗的イスラム国家という評判に対して敏感な政府のせいで」、開場前日に撤去を命じられた 。政府関係者の説明によれば、作品は輸送中に損傷していた。パビリオンのキュレーターであるベラル・マドラはこの問題について、政府側が撤去された彫刻のコンセプトを誤解していたと述べ、自身の25年以上に渡るキュレーションキャリアで「このような紛争を経験したことはなかった」と付け加えている。 2012年、Facebookに投稿された、ギュスターヴ・クールベが1866年に制作した《世界の起源》の画像が法的な論争を巻き起こした。フランスの教師がこの絵画をFacebook上に公開すると、運営側はこの画像をポルノと判断し、利用規約に違反しているとして彼のアカウントを停止した。ハフィントンポストはこの絵を「率直な女性器のイメージ」と評した。《世界の起源》は美しく、見事で、「--フランス写実主義の礎」だったと評価した、雑誌スレート(英語版)のマーク・スターンは、後日Facebookを訴えた教師は運営によって、伝えられるところによれば表現の自由を侵害されたと主張している。 「Facebookへの批判」も参照 2013年、写真家のフィリップ・ワーナーによって、モノクロのコーヒーテーブルブック(英語版)"101 Vagina(英語版)"が、トニ・チャイルズ(英語版)の序文付きで制作・出版された。この写真集には、扇情的ではないタッチで撮られた101枚の下半身のヌード写真に、それぞれのモデル女性が自身の女性器について語った話やメッセージが添えられている。本に収められた写真と話は2013年にオーストラリアで5回展示され、2014年にはアメリカ合衆国とカナダで6つの都市で巡回展が開かれた。ワーナーは上述の『ヴァギナ・モノローグス』に触発されて制作を始めた。被写体となったモデルたちは、ワーナーが女性器についての教育的・祝祭的目的で制作する旨を公表してからSNS上で集められた。写真に添えられたストーリーは、加齢や妊娠、ブラジリアンワックス、破瓜、理想とは違う自身の身体像についてなど、数多くのテーマを扱っている。シドニーのアートフェスティバル、シドニー・フリンジ(英語版)で開かれた展覧会では、警察が表通りから写真が見えているという通報を受けて同イベントを訪れた。のちに、当局は運営側に対して公開継続のための検閲を行うよう要求した。 レナ・マルキース(英語版)はロシア系アメリカ人の視覚芸術家・パフォーマンスアーティストである。彼女の作品にはセックスワークと検閲を題材にしたものが多く、それらがもつ物議を醸すような扇情性から批判的な反響を度々呼んでいる。2014年、マルキースはアート・バーゼル・マイアミ会場、ヴェクター・ギャラリー(英:VECTOR Gallery)で"Body As Commodity"と題したインスタレーションを行った。この会場作品で、彼女は膣内で携帯の充電をするパフォーマンスをしていたが、12月3日にR&B歌手のアッシャーが会場で実際に携帯を充電をしたことで、インスタレーションはアート・バーゼル期間中の一大トピックとなった。ヴェクター・ギャラリーは、アメリカのギャラリストであり自身も視覚芸術家であるJJ ブライン(英語版)によってキュレーション・運営されており、論争の的となるような悪魔的なイメージを用いることで耳目と批判を集めている。ブラインとマルキースは以前、性愛とサタニズムをモチーフとした短編映画『訪問者(英:"The Visitor")』を共同制作していた。ブラインは脚本を担当し、マルキースは作中でマリアに扮しつつエジプトでの大量女性器切除についての解説としての家父長制の詩を唱えながらナイフの柄でオナニーをしている。 ろくでなし子こと五十嵐恵は、彼女によれば日本で男性器に比べ「隠されすぎている」女性器を主題とした作品で、注目されている。2014年7月、ろくでなし子は、自身の外陰部の3Dデータをクラウドソーシング・キャンペーンの参加者に違法に配布したとして逮捕された 。彼女はまた、女性器をテーマとした彫刻も制作している。警察はろくでなし子の膣や女性器に関する作品は取り締まる一方、かなまら祭のような、巨大な男性器の像を神輿で担ぐ祭は容認している(なお、大縣神社の祭りに見られるとおり、宗教的な動機である場合については公共の場で女性器像を設置することが認められている例も存在する)。 「わいせつ物頒布等の罪」および「レスリー・キー」も参照 2015年、ターナー賞受賞アーティストのアニッシュ・カプーアはヴェルサイユ宮殿の敷地内に設置するための作品として、《ダーティー・コーナー》と題する、割れた石の上に置かれた巨大な鋼鉄製の漏斗状の構造物を制作・発表した。作者のカプーアによれば、(名指しで言及したわけではないが)これはマリー・アントワネットの女性器を暗示したものであった。この作品は論争を呼び、後日反ユダヤ主義者の王党派によって石と漏斗が汚された。
※この「現代美術」の解説は、「芸術における膣と外陰部」の解説の一部です。
「現代美術」を含む「芸術における膣と外陰部」の記事については、「芸術における膣と外陰部」の概要を参照ください。
現代美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 21:27 UTC 版)
1945年以降の多くの重要な芸術的トレンドは、抽象表現主義からポップアートやオプ・アート、ミニマリズムや概念主義からインスタレーション・アート、アッサンブラージュ、ビデオ・アートまで、当館の現代美術の膨大なコレクションに見て取れる。当館が作品を有する評判が高い現代美術のアーティストはジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、フランツ・クライン、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、ブルース・ナウマン、ロバート・スミッソンなどである。写真家ではシンディ・シャーマン、ニック・ニコシア、トーマス・ストゥルス、リン・デイヴィスである。1980年代半ばに現在の施設が開幕し、エルズワース・ケリー、ソル・ルウィット、リチャード・フレッシャー、クレス・オルデンバーグと妻コーシャ・ヴァン・ブリュッゲン(英語版)などの複数のアーティストが当館の特定の箇所に展示するための作品を依頼された。近年、当館はゲルハルト・リヒター、ジグマー・ポルケ、アンゼルム・キーファーなどドイツ現代美術作品の収集に力を入れている。
※この「現代美術」の解説は、「ダラス美術館」の解説の一部です。
「現代美術」を含む「ダラス美術館」の記事については、「ダラス美術館」の概要を参照ください。
現代美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 23:53 UTC 版)
アフリカは現代美術の文化が大きく栄えている場所である。しかし、学者やコレクターたちが「伝統的」アフリカ美術を強調してきたために、最近までこのことは影にかくれてきた。 19世紀からヨーロッパ諸国による植民地化が進むとアフリカ各地で偶像破壊が行われ、1920年代にはヨーロッパの移民やキリスト教宣教師によって美術学校などの組織が設立された。1960年代から植民地からの独立が相次ぐと、国家建設とともに公立の美術制度が始まり、国民や民族を単位として芸術運動が行われた。1980年代に経済危機が起き、公的な美術制度が停滞や後退を起こすと、美術のテーマも個別化していった。1989年にはポンピドゥー・センターで「大地の魔術師展」が開催され、アフリカ作家の作品がモダン・アートの美術館で展示され始めた。 作家を世代別にみると、国際的な展覧会に初めて参加したのがゼリフナ・イェトムゲタ(Zerihuna Yetmgeta)、エル・アナツイ(1944年-)、ルバイナ・ヒミッド(英語版)(1954年-)、ソカリ・ダグラス・キャンプ(英語版)(1958年-)らの世代にあたる。次の世代は初期から国際的に作品を発表するようになり、ロマール・アズメ(英語版)(1962年-)、インカ・ショニバレ(1962年-)、ビル・ビジョカ(Bill Bidjocka)(1962年)、オル・オギュイベ(英語版)(1964年-)、ジェムス・ロバート・ココ・ビ(英語版)(1966年-)、ザネレ・ムホリ(英語版)(1972年-)、アイダ・ムルネ(英語版)(1974年-)らがそれにあたる。2000年代以降は作風や主題が多様化するとともに、公的制度に代わって美術インフラの構築に関与する作家も増えた。サミー・バロジ(英語版)(1980年-)、メアリー・シバンデ(英語版)(1982年-)、キング・フンデックピンク(King Houndekpinkou)(1987年-)、エディ・カマンガ・イルンガ(1991年-)らがいる。 ビエンナーレはダカール、セネガル、および南アフリカのヨハネスブルクで開催されている。多くのアフリカの現代アーティストは美術館に所蔵され、またその作品はオークションで高値で売られることもある。にもかかわらず、多くのアフリカの現代アーティストは、作品を販売する市場を見付けるのが困難である傾向にある。現代アフリカ美術の多くは先行する伝統から非常に多くを借用している。皮肉なことに、こうして抽象を強調することが、西洋人の目からは彼らの祖先の美術からの再現というよりは、ピカソやマティスといった、ヨーロッパやアメリカのキュビストやトーテム美術家の模倣のように見られてしまう。そのようにして、西洋の美術市場ではアフリカの現代美術は独創的でも革新的でもないものと見られうるのである。
※この「現代美術」の解説は、「アフリカ美術」の解説の一部です。
「現代美術」を含む「アフリカ美術」の記事については、「アフリカ美術」の概要を参照ください。
現代美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 23:02 UTC 版)
「おしどり (お笑い)」の記事における「現代美術」の解説
おしどり (マコ&ケン) / OSHIDORI (Mako&Ken)で、2010年より現代美術活動を開始。 現代アートのコンクール、六甲ミーツアートに入選。2010年9月18日~11月23日まで六甲山高山植物園にて作品設置。一般投票審査で2位を獲得。
※この「現代美術」の解説は、「おしどり (お笑い)」の解説の一部です。
「現代美術」を含む「おしどり (お笑い)」の記事については、「おしどり (お笑い)」の概要を参照ください。
現代美術と同じ種類の言葉
Weblioに収録されているすべての辞書から現代美術を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 現代美術のページへのリンク