現代美術に影響を与えた動向
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「現代美術」の記事における「現代美術に影響を与えた動向」の解説
この項目は現代美術の動向を理解するために、現代美術のターム以前のものでなおかつ強く現代美術に影響を与えたものを中心に、年代に関係なく動向ごとにまとめています。 主義(Ism) 表現主義(Expressionism) 自然などの表象を描かずに、内面や感情を表出させる表現。1911年に表現主義の概念が芸術動向を表わすものとして、ドイツを中心に使用されはじめた。後の、1940年代終わりにアメリカで始まった抽象表現主義を始めとして、現在に至る多くの絵画表現に影響を与える主義。 印象主義(Impressionism) 新印象主義/新印象派(neo-impressionism) 1886年に批評家のフェリックス・フェネオンがつけた語、印象派の色彩理論を科学的に推進し、点描画法による鮮明な色彩表現や、フォルム、画面の造形的秩序の回復を目指した一傾向 後期印象主義/ポスト印象派(Post-Impressionism) キュビズム(仏:Cubisme) ルネサンス以来の「単一焦点による遠近法」を放棄し、形態上の極端な解体・単純化・抽象化した絵画の動向。1907年、ピカソの『アビニヨンの娘たち』(Les demoiselles d’Avignon)が最初の作品と言われている。 象徴主義(Symbolism) 1870年頃のフランスとベルギーに起き、ヨーロッパ各地、アメリカ、ロシアに広まった文学運動および芸術運動。文学はシャルル・ボードレールの『悪の華』(1857)に起源を求められる。シュルレアリスムにも影響を与えるナビ派 ヘブライ語の預言者(ナビ)を意味する、フランスで始まった1888年にゴーギャンらに触発された世代の絵画運動 新造形主義(Neoplasticism) 従来の具象美術と対比させ、「新しい造形」(抽象絵画・非具象絵画)の特質を示した。ピート・モンドリアンが、抽象美術・抽象芸術(非具象美術・非具象芸術・抽象絵画)の理論化のために主張した美術理論デ・ステイル(De Stijl) 1917年にテオ・ファン・ドースブルフがオランダのライデンで創刊した雑誌とグループ名 リージョナリズム(Regionalism) 1930年代のアメリカン・シーン・ペインティングの具象的な動向。地域主義、地方主義 主義(Ism) フォーヴィズム/野獣派(Fauvism) 芸術家の主観的な感覚を表現した絵画群に対して、1905年にパリの批評家ルイ・ボークセルが「あたかも野獣(フォーヴ、fauves)の檻の中にいるようだ」と評したことから命名された。 未来派/フトゥリズモ(伊:Futurismo) 1909年、イタリアの詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティが「暴力論」に影響され「未来主義創立宣言」をした破壊的な行動を讚美する前衛芸術運動。1920年代からはファシズムと結びつき、活動の終盤には「退廃芸術」とイタリア国家から活動を制限される。ロシア構成主義や、ダダイズムなどの前衛芸術に影響を与える。 ダダイスム(仏:Dadaïsme) 第一次世界大戦の1910年代半ば、ヨーロッパやアメリカで、同時多発的に発生。1916年にトリスタン・ツァラが命名、1918年にチューリッヒでツァラにより第2宣言がされた。 シュルレアリスム(surréalisme) 1924年、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが「口頭、記述、その他のあらゆる方法によって、思考の真の動きを表現しようとする純粋な心的オートマティスム。理性による監視をすべて排除し、美的・道徳的なすべての先入見から離れた、思考の書き取り」と定義した『シュルレアリスム宣言』を発表。 社会主義リアリズム(Socialist realism) ロシア・アバンギャルド(Russian avant-garde) レイヨニスム 1912年から1914年に生じた絵画を主としたロシア・アバンギャルドの一派 シュプレマティスム 1913年から生じた絵画を主としたロシア・アバンギャルドの一派 ロシア未来派 1912年にペテルブルクの詩人グループ「ギレヤ」が「未来人」を意味するロシア語「ブジェトリャーニン(будетлянин/budetljanin)」を名乗ったのが始まり ロシア構成主義(Constructivism) 1915年頃にロシアのウラジーミル・タトリンとアレクサンドル・ロトチェンコによって設立された抽象芸術 技法や運動(movement) フィギュラティヴ・アート(Figurative art) 16世紀ごろから見られる対象を具体的(リプレゼンテーショナル)に描写する技法や運動 アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts movement) 1880年代にイギリスから始まり、北米・ヨーロッパ諸国・東アジア、また日本の民藝運動にも影響を与えた造形芸術の運動。アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)、フランス ユーゲント・シュティール(Jugendstil) 、オーストリア スティーレ・リバティ(Liberty style (Italian: Stile Liberty) )、イタリア モデルニスモ(Modernismo)、スペイン 民藝運動、日本 メキシコ壁画運動 1920年代から1930年代にかけてメキシコ革命下のメキシコ合衆国で起こった絵画運動 その他 バウハウス(Staatliches Bauhaus) 1919年にドイツのワイマールで開校した総合芸術の思想を持った学校で、1933年にナチスドイツにより閉鎖。ブラック・マウンテン・カレッジ(Black Mountain College) 1933年に閉鎖されたバウハウスから多くの人々がアメリカに移り、同年にジョン・アンドリュー・ライス(John Andrew Rice)らにより設立された実験的な大学。資金難により1957年に閉鎖。 ウィーン学派(Vienna School of Art History) 美術史を科学的に分析して理解するメソッドを確立した学派。1910年にチェコの美術史家のヴィンツェンツ・クラマーシュが初期 アール・ブリュット 1945年にジャン・デュビュッフェが提唱。のちのアウトサイダー・アートやプリミティブ・アートへ影響を及ぼす アーティスト・ブック(Artist's book) 本の形態をした芸術作品。詩人のウィリアム・ブレイク(1757–1827)に起源を遡れるが、ロシア・アバンギャルドやダダ、構成主義、未来派、フルクサスなどの前衛芸術運動の中で多く制作された
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