黒のサーヴァント
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「Fate/Apocrypha」の記事における「黒のサーヴァント」の解説
黒のセイバー 声 - 諏訪部順一 初期設定 - TYPE-MOON / 初期デザイン - KN 胸元と背中が開いた鎧に身を包み、大剣を携えた威風堂々たる騎士。真名はニーベルンゲンの歌に登場する大英雄ジークフリート。強敵との死力を尽くした戦いを望み、戦場での嘲笑を良しとせず、義を重んじる高潔たる英雄。真名を明かすことで致命的な弱点が露呈することを恐れたゴルドによって普段は喋ることを禁止されている。生前から他者の頼みを聞き続けてきたため、ゴルドの指示を承諾するが、意志の疎通を放棄するこの命令がゴルドとの相互理解を妨げることになってしまった。 セイバーに相応しい高い剣技による攻撃と不死身の肉体による鉄壁の防御を兼ね備え、それを活かした攻撃を受ける事を前提とした捨て身の戦法を取る。生前に竜血を浴びることで得た、セイバーのクラスの保有スキル対魔力と引き替えにした常時発動型の宝具「悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)」により、Bランク以下の攻撃を無効化し、Aランク以上でも僅かな傷しか負わないほどの堅牢さを発揮する。それ自体が対魔力スキルの役割をも果たしているが、伝承の通り背中のみその効力は無効化されている。もう一つの宝具は、大剣を中心とした半円状に拡散する黄昏の波を放つ「幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)」。竜殺しの特性を持つこの剣は聖剣と魔剣の両方に属するものであり、竜の因子を持つ者にはより効果を発揮する。 逃亡したホムンクルスの捕縛命令に従おうとした結果、ホムンクルスは瀕死の傷を負ってしまう。そのことに慟哭する黒のライダーを見て生前の後悔を繰り返すところだった己を恥じ、ホムンクルスを救うために自身の心臓を与えて消滅した。アニメ版では最期に立ち会ったルーラーに助けたホムンクルスの保護を託し、彼女から「最も優しい英雄」と評されている。 黒のランサー 声 - 置鮎龍太郎 初期設定 - 虚淵玄 / 初期デザイン - 前田浩孝 漆黒の衣裳を纏った男。真名は串刺し公と畏怖されたワラキアの領主ヴラド三世。当時最強の軍事力を誇っていたオスマン帝国の侵攻を幾たびも退けた護国の大英雄。 ユグドミレニアの長であるダーニックによって召喚され、黒の陣営のリーダーとなる。魔術協会への宣戦布告として、ユグドミレニア討伐に派遣された魔術師50人を僅か30秒で全滅させる。信仰心に篤い人格者であり、一旦敵と見なした者には容赦なく対処するが、味方の見解や意見を尊重し、付き従うものには寛大な態度で接する。ダーニックからは「領王(ロード)」と呼ばれ、事実上離反したアサシンを除く黒のサーヴァント達も臣下のように従っている。 聖杯への願いは「吸血鬼ドラキュラ」として汚された自身の名誉の復権。聖杯大戦の地がルーマニアであるため、知名度による恩恵で戦力強化だけでなく英雄としての側面も強調されている。 聖杯大戦の二ヶ月前に召喚され、固有スキル「護国の鬼将」によって自身の能力を高める領土を構築している。この固有スキルの効果と知名度補正により戦闘能力は破格のものを誇る。宝具は「護国の鬼将」によって領地化された大地から大量の杭を出現させ、敵を串刺しにする「極刑王(カズィクル・ベイ)」。ただし、ひとたびルーマニアから出てしまえば知名度と「護国の鬼将」による恩恵も失われて吸血鬼の側面のみが強調されるようになり、「極刑王」の破壊力も含めて戦闘能力が極端に下がってしまう。 また、他の能力を捨てる代わりに多くの伝説に伝わる吸血鬼ドラキュラの姿に変貌するというもう一つの宝具「鮮血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア)」を有しているが、これの使用で固有スキルや「極刑王」を失う代わりに全てのステータスが向上し、吸血鬼の強力な特性を身につける。一方で日光や聖印に弱いという吸血鬼特有の弱点も抱えてしまうので、彼自身は「人の王としての誇りのないただの化け物」に成り下がるとしてこれを酷く忌み嫌い、絶対に使用しないと公言している。 赤の陣営との決戦のさなか、空中庭園に奪われた大聖杯を取り返すために赤のランサーと対峙するが、知名度とスキルの恩恵を失っていたことで追い詰められ、追って来たダーニックの令呪によって強制的に「鮮血の伝承」を発動させられてしまう。約束を違えたダーニックを殺害するが、死の間際の2画目の令呪で自決も封じられた上に最後の令呪とダーニックの禁術で「聖杯を求める怪物」と化してしまう。宝具、令呪、禁術すべての影響を受けてサーヴァントでなくなったために槍と「極刑王」を失うが、心臓を赤のランサーの槍で破壊されても死なない上に蝙蝠や犬への変身能力、霧に変化する身体、更に赤のライダーをも圧倒する戦闘力とその守りをも貫通して眷属とする吸血能力を得た怪物となり、ダーニックの妄執と吸血鬼の眷属を増やす本能が入り交じった上にダーニックとヴラド三世の人格も混在して精神も破綻。ルーラーの令呪によって居合わせた全てのサーヴァントから排除の対象とされるが、それら全てをなんとか振り切って大聖杯に迫る。しかし、待ち伏せていたシロウによって浄化され、灰となり完全に消滅してしまう。 『Fate/EXTRA』のヴラド三世は「武人」、本作のヴラド三世は「王」としての貌を持つ。『Fate/Grand Order』では本作のヴラドが「鮮血の伝承」を常時発動した姿となる、吸血鬼であることを受け入れたバーサーカーのサーヴァントとして登場する。 黒のアーチャー 声 - 武内駿輔 小説版で追加されたサーヴァントの一人。広大な森のような清冽な気配を持つ青年。真名はギリシア神話に登場する半人半馬の怪物ケイローン。多くの英雄達を育ててきたケンタウロス族の大賢者。本来は神を両親に持つ神霊だが、不死性を捨てたことで完全な「神性」を失い、英霊として召喚可能になっている。本来の姿では真名が容易に露見してしまうため、一部ステータスの低下を代償に人の姿で召喚された。誰に対しても礼儀を持って接する好青年で、常に柔らかな物腰を崩さない。 黒の陣営では参謀役を務め、マスターだけでなく、サーヴァント達からの信頼も厚い。自身のマスターのフィオレとは教師と教え子という良好な関係を築けている。赤のライダーとは生前に深い関わりがあり、さらに「神性」のスキルを所有しているため、黒の陣営では唯一彼にダメージを与えることが可能。また、多くの英雄を育てた経緯から弓術だけでなく、格闘戦にも長けている。 夜空に燦然と輝く射手座の原型である彼は、世界で最も有名な弓使いであり、弓の使い手として最高水準の能力を持つ。また神々から様々な智慧を授かり、医神と謳われたアスクレピオスを育て上げた彼もまた熟練した医術の知識を心得ており、専門外であるはずのホムンクルスの状態を正確に把握し、彼の余命まで診断する。また、戦術眼も極めて高く、黒のランサーから前線の指揮を任されている。宝具は彼が射手座のモデルになった逸話から取られ、一度弓を射た後に矢が流星となって降り注ぐ時間差攻撃の形をとった対人宝具「天蠍一射(アンタレス・スナイプ)」。赤のライダーとは肉弾戦での決闘に応じ惜敗するが、戦闘前に予め発動されていたこの宝具によって、結界解除後の消滅間際にライダーの不意を突いて弱点である踵を狙撃する。 黒のライダー 声 - 大久保瑠美 初期設定 - 近衛乙嗣・星空めてお / 初期デザイン - 近衛乙嗣 派手に着飾った中性的な美少年。真名はシャルルマーニュ十二勇士随一の美丈夫アストルフォ。好奇心の塊で理性が蒸発しているとまで言われた騎士で、自由気ままで自分の心の赴くままに素直に行動する、傍迷惑だが善良な人柄をしている。能天気かつうっかり屋な性格だが、助けを求めるものは決して見捨てず、体躯も筋力も圧倒的に上回る赤のバーサーカーに一歩も怯まない純正の英雄でもある。 どこで伝承が歪められたのか可憐な少女にしか見えない少年という外見だが、これはかつて戦友であり「狂えるオルランド」と呼ばれたローランを静めるためと主張している。その見た目とステータス欄隠蔽の影響で、ルーラーは彼を女性だと思っていたが、そのため入浴中の彼の所に無造作に立ち入ってしまい、強烈なショックを受ける羽目になった。 自我を持ってしまったホムンクルス(ジーク)を助けたことで友人となり、その逃亡に尽力する。その後、マスターのセレニケが赤のセイバーに倒された為に肉体が消滅しかけるが、ジークをマスターとして再契約を行うことで現界が維持される。 聖杯大戦が終結した後、ジークが邪竜となって世界の裏側へ旅立ってからも契約の繋がりは残ったまま現界し続けている。レティシアを見送った後にカウレスから身分証明を受け取り、これまで出会ったサーヴァント達に縁のある地を巡る旅に出ることになる。 本人の戦闘能力は俊敏性に特化しておりそれ以外は並以下。しかしながらそれなりに強力な宝具を多数有することでその欠点を補っている。自身の愛馬であり、真名開放によって一時的な次元転移を行う幻獣「この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)」、触れた相手の膝から下を強制的に霊体化させて転倒させる黄金の馬上槍「触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)」、その音色で周囲の敵を一掃する角笛「恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)」を所有。他にも、所持しているだけで魔術を打ち破るという「魔術万能攻略書(ルナ・ブレイクマニュアル)」も存在しているが、真名を忘れてしまっている。3巻冒頭のサーヴァント紹介欄では黒のライダーの項目だけ色々と落書きされているが、これは彼がこの宝具の力で干渉しているからで、マスターやルーラーにもこう見えている。なお、スキル「理性蒸発」が一時的に無効化される新月の夜の間のみ、その宝具の真名「破却宣言(キャッサー・デ・ロジェスティラ)」の解放が可能となる。この本自体が強力な対魔力スキルを有し、本来はDランク相当である自身の対魔力をAランクにまで引き上げている。 黒のキャスター 声 - 宮本充 小説版で追加されたサーヴァントの一人。青いマントとボディスーツ、無貌の仮面で身を隠した男性。一人称は「僕」。偏屈な厭世家で、必要以上の言葉は一切喋らない。マスターであるロシェからは尊敬の念を込めて「先生」と呼ばれる。 真名は十一世紀のスペインの哲学者アヴィケブロン。カバラという魔術基盤を産み出し、魔術師の歴史に大きな影響を残した人物。ゴーレムを極めた魔術師であり、「陣地作成」スキルによって形成された工房でゴーレムの量産を行っている。生前のキャスターが作ることの叶わなかった宝具「王冠 - 叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)」の鋳造を至上の目的とする。 もともと陣営の勝利や聖杯は彼にとって重視する事柄ではなく、宝具完成のために黒陣営を裏切ってシロウに付く道を選んだ彼は、ロシェを炉心として利用することで宝具の起動に成功。キャスター自身は黒のアーチャーの狙撃で深手を負い、自らを「王冠・叡智の光」に融合する形で消滅した。「王冠・叡智の光」は「原初の人間(アダム)」の模倣である巨大ゴーレムで、存在するだけで周囲を「楽園(エデン)」へと書き換え続ける自律式固有結界。放置すれば最終的には完全なる不死身になると言われており、ルーラーと黒陣営、特に黒のセイバーと赤のセイバーの連携攻撃によって速やかに撃破される。 自分に尊敬を向け、弟子のように振る舞うロシェに悪い感情を持っていたわけではないが、自らの生涯を掛けた悲願と比べれば優先するほどではないと考えていた。そして彼が「人間嫌いであるはずのアヴィケブロンがロシェに先生と呼ぶことを許した理由」「忙しいはずのアヴィケブロンがわざわざ機会を見つけてはロシェの世話をしゴーレム鋳造の極意を教え導いていた目的」など、自分の真意を見抜けたはずなのに見抜こうとしなかった姿勢を嘆いていた。しかし、それでもマスターであり弟子でもあるロシェを裏切った後味の悪さだけは、次の登場作品である『Fate/Grand Order』なども含め、未来永劫残り続ける結果になっている。 黒のバーサーカー 声 - 野中藍 初期設定 - 星空めてお / 初期デザイン - 岡崎武士 白いドレスを着た虚ろな瞳の少女。真名はヴィクター・フランケンシュタインの生み出した人造人間フランケンシュタイン。可憐な少女の姿をしており、伝説上の醜い大男とは全く異なる容姿にカウレスも戸惑うほど。「狂化」のランクが低いため、言語能力は失われているものの高度な思考能力を有し、単純なコミュニケーションなら取ることができ聖杯大戦の次を想定している等、狂戦士のサーヴァントとしては極めて冷静沈着で思慮深い。聖杯への願いは「自分と同じ存在の伴侶を得ること」。 固有スキル「ガルバニズム」によって生体電流と魔力の自在な転換、および蓄積が可能。魔風、魔光など実体のない攻撃を瞬時に電気へ変換し、周囲に放電することで無効化する。また蓄電の量に応じて肉体が強化され、ダメージ修復も迅速に行われるようになる。 宝具は彼女の心臓とも言える放電流を纏う戦槌「乙女の貞節(ブライダル・チェスト)」。周囲の余剰魔力を吸収し、ほぼ永久機関的に戦い続けることが可能。全力で行動するとたちまち魔力を枯渇させるバーサーカーのクラスのサーヴァントにとって非常に便利な宝具で、魔術師として力量が不足気味のカウレスの助けにもなっている。切り札として二つ目の宝具「磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)」を有するが、その威力はさることながらいわゆる自爆攻撃であり、発動すると自身は確実に死を迎える。ただしその雷が残る限り、彼女は生き続けると設計図には記されているという。 赤のセイバーとの激突で苦戦を演じ、令呪のバックアップを得て捨て身の「磔刑の雷樹」を敢行して消滅。しかしセイバー自身が令呪の加護によって難を逃れたため、ダメージこそ与えたものの撃破することはできなかった。代わりにその際に生じた雷が、生命活動を停止していたジークに何らかの影響を与え、黒のセイバーとして彼を蘇生させるに至る。なお、彼女の「磔刑の雷樹」は低い確率で第二のフランケンシュタインを生む可能性があり、それが彼女の伴侶になると言われている。 黒のアサシン 声 - 丹下桜 初期設定 - 東出祐一郎 / 初期デザイン - 真田茸人 露出度の高い黒い水着のような格好の幼い少女。真名はジャック・ザ・リッパー。純粋だが残忍な性格で、頭の回転の早さは外見によらないものがある。本作においてその正体はロンドンで虐げられ、あるいは堕胎された子供たちの怨霊の集合体とされており、強烈な帰胎願望を持ち、女性のマスターに対しては「おかあさん」という三人称を、自分のことは「わたしたち」という複数形の一人称を用いる。召喚地はロンドンが最適地であったが、敵対勢力である魔術協会のお膝元であるため代替として日本の新宿で召喚された。マスターである玲霞が魔術師ではないので魔力供給が行えず、代わりに彼女が悪人として殺してもいいと許可した人間の魂を喰らって魔力を補給している。その後は聖杯を得るためにルーマニアへ移動し、両陣営双方のサーヴァントとマスターを倒すために暗躍する。 宝具は毒性の強い硫酸の霧を発生させる結界宝具「暗黒霧都(ザ・ミスト)」および、「夜である」「霧が出ている(暗黒霧都のものを含む)」「対象が女性である」という三点を満たしている状態で使用すると、相手を強制的に解体された死体とする呪いの宝具「解体聖母(マリア・ザ・リッパー)」の2つ。物理防御ではなく呪いの耐性によって効果が軽減されるためサーヴァント相手の威力はマスターに依存するが、特に魔術師・マスターなどの人間に対する必殺性は非常に高い。 最高ランクの「気配遮断」の弱点である「攻撃時のスキルランク低下」を夜間時に確実に先制できる「霧夜の殺人」スキルで補えるために非常に高い精度の奇襲を行う上、伝承の「ジャック・ザ・リッパー」が正体不明であることから戦闘終了後に姿を消すと各能力や容姿に関する情報がマスター、サーヴァントの記憶から失われる「情報抹消」のスキルも持つため、対策は非常に困難。 その「暗殺者」アサシンのサーヴァントとして極めて相性の良い能力によってミレニア城塞を夜襲し、黒の陣営を混乱に陥れる。しかし一対多の状況によって敗色が強まったために撤退。その途中で赤のアーチャーによってマスターを喪い、更に霊核が破壊されたことで怨霊としての本性が解き放たれてしまい、ルーラー・ジーク・赤のアーチャーを取り込み、具現化された子供たちが物として消費される近世ロンドンの街の光景によりジークや赤のアーチャーを苛む。既に正体不明の「ジャック・ザ・リッパー」の伝説に取り込まれたために救済が不可能となっていたことから、毅然とアサシンの在り方は悪であると断じざるを得なかったルーラーによって浄化されるが、その残滓は赤のアーチャーに呪いの一つとして残ることになった。 『Fate/strange Fake』ではバーサーカーとして登場するが、「ジャック・ザ・リッパーの伝説」そのものの有り方という不定形の別の存在である。しかし、少女として具現化しようとすると当作のジャック・ザ・リッパーの姿に限定されてしまう。 今後、ジャック・ザ・リッパーの正体が明かされても人々の間で「ジャック・ザ・リッパーの伝説」が信仰されている限りは姿形は固定されることはない。
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