い‐しょう〔‐シヤウ〕【衣装/衣×裳】
衣装
衣装(いしょう)は、もともとは衣裳(いしょう)と書き、上半身に着用する「衣」(きぬ)と下半身に着用する「裳」(も)からきた言葉で、広く着物、衣服のことをいった[1]。その後、形式の整った衣服や、上等な衣服、演劇などの舞台衣装や晴れ着など、特別な目的のための衣服としての用法が主となった[1][2]。表記は、熟語の意味の類似性から「衣裳」から「衣装」への書き換えも定着した[1]。衣装は、英語ではコスチュームに相当する[2]。
コスチューム(costume)とは、特定の地域、時代、民族に特有な服装のこと(民族衣装)、また、舞台や舞踏会、仮装などに着用する衣装のことを意味する[3]。そのような衣装を着た演劇や映画、バレエなどの歴史劇、時代劇のことをコスチューム・プレイと呼ぶ[4]。コスチュームは単に服装の意味で使われることもある[5]。
衣装(コスチューム)をデザインする人のことを衣裳デザイナー(衣装デザイナー、コスチュームデザイナー)と呼ぶ[6][7][8][9]。
本項では、主に特別な装いとしての服装について記述する。また類語である装束(しょうぞく)についても簡単に触れる。服装全般については服飾および被服を参照。
主な分類
舞台衣装

演劇、オペラ、舞踊、音楽会、映画、テレビなどの舞台上で出演者が着る衣装のこと[10]。ステージ衣装とも。英語では、ステージ・コスチューム(stage costume)、シアトリカル・コスチューム(theatrical costume)と呼ぶ[11]。舞楽、能、狂言においては装束と呼ぶ[11]。ダンスにおいて着用する衣服のことはダンス衣装 (Dance costume) ともいう。アイドルが着用するものはアイドル衣装ともいう。
服装(衣裳・衣装・コスチューム)は非常に重要な要素であり、役者が演じる役の年齢、性別、職業、階級、人柄、更には演じられる時代、地理的場所、および日時、季節や天気についての情報さえも与える。また、様式化され誇張された舞台衣装によって人物の性格を強調することも行なわれる。(例:コンメディア・デッラルテのハーレクィンやパンタローネ。)
民族衣装
民族衣装とは、その民族独特の衣装のこと[12]。例として、日本の着物、朝鮮のチョゴリ、朝鮮女性のチマチョゴリ、ベトナム女性のアオザイ、インド女性のサリー、スコットランドのキルト、ロシアのルバシカ、ロシア女性のサラファン、マレーシアのサロン、フィリピン女性のカミサ、サヤなどがある[13]。
祝祭の衣装(イベント衣装)
衣装は、マルディグラおよびハロウィンといった祝日およびフェスティバルの重要な要素となり、(ある程度の)人々はまた、クリスマスおよび復活祭のような、その他の祝日に関連した衣装も着る。マルディグラの衣装は通常ジェスター (Jester) や他の空想のキャラクターである一方、ハロウィンの衣装は亡霊や吸血鬼のような超常的存在、大衆文化の象徴的人物、および天使である。クリスマスと復活祭の衣装は、サンタクロース(サンタ服を着て付け髭)とイースター・バニーの動物着ぐるみである。宗教に関係ない休日では、衣装で様々なキャラクターを演じる。例えば、アメリカ独立記念日にはアンクル・サムの衣装を着る。
コスプレ衣装
コスプレ用の衣装のことで、「COS衣装」「コス」などと略記されることもある。コスプレとは、漫画、アニメ、コンピューターゲームなどに登場するキャラクターの衣装やヘアスタイルなどを真似て仮装することで、英語で歴史劇を意味するコスチューム・プレイを略した言葉に由来する[14]。
マスコット衣装
他に衣装が人気な状況は、スポーツ行事で見られる。チームのマスコットキャラクターを模した衣装を着た人たちが、クラブやチームがチームの大義に向けた団結を助ける。マスコット衣装と非常に外観が似た動物の着ぐるみは、ファーリー・ファンダム(日本で言うケモナー)の一員に人気で、ファースーツと呼ばれる。
子供向け衣装
衣装はまた、子供が探検し役を演じる手段も提供する。衣装は様々な外観で着飾る。例えば、歴史上の人物や海賊、王女、カウボーイのような架空の人物、または看護婦や警察官のような通常の仕事、または動物園や農場でみられる動物の衣装がある。
花嫁衣装
花嫁衣装とは、結婚式の際に花嫁が着用する衣装のこと[15]。和装では白無垢の打掛姿で、頭には角隠しをかぶるのが一般的である[15]。洋装の場合はウェディングドレスと呼ばれ、頭にはベールを伴うのが一般的である[15]。婚礼衣装[16]。
晴衣装
晴衣装とは晴れ着のこと[17]。晴れ着とは、ハレの日に着る衣服のこと[18]。
装束
収納用品
- 衣装箪笥
- 衣装ケース(衣装箱、衣装櫃)
- 衣装戸棚(衣装棚)
ことわざ
- 馬子にも衣装
- 馬を引いて人や荷物を運んでいた者をかつて馬子と呼んでおり身分も低く服装も粗末であったが、そのような者でも上等な衣服を着ると立派にみえるということ[19] 。似たような意味のことわざに「切株にも衣装」[20]、「人形にも衣装」[21]がある。
関連項目
- ユニフォーム
- 仮面舞踏会
- 仮装パーティ (Costume Party)
- 夜会服(燕尾服、タキシード、イブニングドレス) (Evening Gown)
- スーツアクター
脚注
- ^ a b c "衣装・衣裳". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月2日閲覧。
- ^ a b 「いしょう[衣裳、衣装]」『ファッション辞典』文化出版局、1999年、58頁
- ^ "コスチューム". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月2日閲覧。
- ^ "コスチュームプレー". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月2日閲覧。
- ^ 「コスチューム」『ファッション辞典』文化出版局、1999年、60頁
- ^ “衣裳デザイナー(コスチュームデザイナー)になるには”. エスモードジャポン. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “コスチュームデザイナー(舞台衣装・ウェディング)”. 文化服装学院. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “衣装デザイナー”. バンタンデザイン研究所. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “衣装デザイナーになるには”. 東京服飾専門学校. 2022年8月2日閲覧。
- ^ "舞台衣装". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c "舞台衣装". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "民族衣装". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月18日閲覧。
- ^ "民族衣装". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月18日閲覧。
- ^ "コスプレ". 小学館デジタル大辞泉. コトバンクより2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c "花嫁衣装". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "婚礼衣装". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月5日閲覧。
- ^ "晴衣装・晴衣裳". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "晴れ着". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "馬子にも衣装". ことわざを知る辞典. コトバンクより2022年8月5日閲覧。
- ^ "切株にも衣装". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月5日閲覧。
- ^ "人形にも衣装". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月5日閲覧。
衣裳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 16:23 UTC 版)
20世紀フォックスはジョルジオ・アルマーニとコラボレーションを行い、衣裳デザイナーのジャンティ・イェーツをサポートする形で、エンポリオ・アルマーニはマイケル・ファスベンダー、ジョルジオ・アルマーニはペネロペ・クルスが演じる登場人物のために衣裳を製作した。カウンセラーの服装は美しいスーツだが、後半は着替えなくなり、彼の世界が崩壊して行く様子を表したという。アルマーニに加え、トーマス・ワイルドのデザイナーであるポーラ・トーマスもキャメロン・ディアス演じるマルキナのために約15種類の衣裳を提供するなど作品に貢献した。イェーツは「脚本を読むまで、スコットが私を呼んだ理由がわからなかった」と述べ、「キャメロン演じるマルキナは、トーマス・ワイルドの要素をたくさん持っている。彼女は図太く、鋭くてモダンで、背景に溶け込むのではなく、見られたいと思っている」とも語った。ディアスはトーマス・ワイルドの衣裳がとても気に入り、冗談で登場シーンをもっと増やしてほしいと話したという。ファスベンダーは、「僕はファッションについてはかなり無知で、ジャージや快適な服装が好きだが、アルマーニは最初の『エンジェル』から良くしてくれた」と話し、「クラシカルなスタイルが一番好きだ」とも述べた。 ハビエル・バルデム演じるライナーのために、イェーツはほとんどをヴェルサーチでまとめたカラフルな衣裳を適用した。そしてデザイナーズ・アーカイブス所蔵のジャンニ・ヴェルサーチのヴィンテージシャツも合わせられ、さらにそれらの服装に合わせてマッチするサングラスも用意された。イェーツによると、彼の風貌はサントロペで休日を過ごす、いかがわしい億万長者風にしたという。バルデムの髪型は、俳優の意見と映画プロデューサーのブライアン・グレイザーの髪型からインスパイアされた。 ブラッド・ピットが演じるウェストリーには、監督のリドリー・スコットがカントリー歌手のハンク・ウィリアムズやジーン・オートリー(英語版)が着ていた1950年代から60年代の切り替え布が付いた美しいカウボーイスーツにインスピレーションを得て、イェーツにカウボーイ風にするように言い、イェーツはアルマーニやヴェルサーチ、クリスチャン・ルブタンにウェストリーの服装を相談し、ステットソンのカウボーイハットや、ナバホジュエリー、イェーツ行きつけの仕立て屋のカウボーイスーツ、クロコダイル革のブーツなどを合わせた。
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衣裳
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「THE FLASH/フラッシュ」の記事における「衣裳」の解説
衣裳は『ARROW/アロー』でも担当したコリーン・アトウッドがデザインした。 コスチュームはワインレッド色のスキーム、マスクヘルメット、金のアクセントがあり、パイロット版の撮影日までコンピュータレンダリングで調整された。当初ガスティンはスーツを着るまでに40分を要したが、その後改良が重ねられ、第8話の頃には約15分まで短縮された。
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衣裳
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「ファミリー・プロット」の記事における「衣裳」の解説
本作の衣裳デザインはイーディス・ヘッドが担当している。1954年公開の『裏窓』以降、多くのヒッチコック作品で衣装デザインを担当してきたヘッドにとって、本作はスタッフとして携わる11作目のヒッチコック作品となった。
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衣裳
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「横浜暗黒街 マシンガンの竜」の記事における「衣裳」の解説
派手なアクションシーンもさることながら菅原文太が着る数々の豪華な衣裳が見もの。衣裳担当に北本正孟を招き、外国製のスーツ二、三十点の中から十一点を選んだ。その衣裳代は351万円。スーツ以外にもピアジェやランバン、ボルサリーノなどの高級品を揃えた。通常作品の出演者全員の衣装代と同額。真っ赤なスーツにマシンガンというスタイルもあり、バタ臭い雰囲気を出すためリアリズムは二の次。「仁義なき戦いシリーズ」で見せるヤクザファッションや「トラック野郎」でのダボシャツに腹巻き、草履履きとは違い、男性ファッションモデルの草分けとも評される菅原文太の別の一面を披露する。
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「仮面ライダーV3 (キャラクター)」の記事における「衣裳」の解説
撮影当初、宮内は映画『女番長』やドラマ『キイハンター』への出演のため、第2回撮影時には髪を短くしていたが、当時は長い髪が好まれていたヒーロー作品の主人公であったため、制作スタッフ側からカツラを被ってほしいと要求された。そのため、撮影開始から3か月後の第12話までかつらを着用していた。かつらの着用時はヘルメットの着脱シーンなどでカットを分ける必要があるため、カットのつながりへの配慮から同じジャンパー姿が多かった。
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「マンダロリアン (スター・ウォーズのキャラクター)」の記事における「衣裳」の解説
マンダロリアンの衣裳はコンセプト・アーティストのブライアン・マンティスと衣裳デザイナーのジョセフ・ポロによってデザインされ、メイクアップ・エフェクト・クリエーターのスタン・ウィンストンによって立ち上げられた特殊効果のスタジオであるレガシー・エフェクツによって作り上げられた。これは『帝国の逆襲』と『ジェダイの帰還』に登場するボバ・フェットのスーツの影響を強く受けており、同様のボディアーマーと独特のT字型バイザーつきの兜が含まれている。衣裳には右腕に籠手のような手首の鎧、左腕手首には投射物を発する装置が備えられている。手袋の指先は色が異なり、甲には青い三角形のついた金属が備えられている。他には爆発物を装填したベルト、長い銃身のブラスター、ブーツ、弾薬と爆発物とナイフを収める右脚のホルスターがある。『マンダロリアン』の最初の3話で登場した衣裳の最初のバージョンはアーマー職人によって修理される前の多くの摩耗と戦闘による傷が含まれていた。 製作者はマンダロリアンとボバ・フェットの衣裳の間に微妙な視覚的な違いを作成し、2人のキャラクターを区別できるように意図的に務めた。その結果、マンダロリアンの衣裳はボバ・フェットのそれとは異なる色になり、鎧と兜は異なるアクセントとタッチを持ち、マンダロリアンはボバ・フェットよりも筋肉質に見える。それにもかかわらず、デイヴ・フィローニは「類似点があり、それはほとんど避けられない」と認めている。ペドロ・パスカルはマンダロリアンの鎧を中世の騎士のそれと比較し、その美学を「非常に強力で神秘的」と表現した。パスカルは衣裳について「とても素晴らしいシルエットだ。それはとても象徴的なイメージだ」と述べた。しかしながら彼はまた衣裳は扱いづらい可能性があり、慣れるまでに撮影中に物にぶつかることが多いと述べた。彼はまた「見栄えするもので着やすい物などないだろう」と語った。パスカルはマンダロリアンの言語を「厳密には肉体的なもの」と表現し、キャラクターを伝え、自分の物語を伝えるためには衣裳のピースをナビゲートする方法を学ばなければならないと述べた。 『スクリーン・ラント』のジェシー・アトキンは衣裳について「ボバ・フェットやサビーン・レンなど、マンダロリアンの鎧をこれまで見たことがあるかもしれないが、アーマー職人がマンドの衣裳を作るのを見ると彼の全体的な外観が全く異なるレベルになる」と述べた。衣裳は2019年8月にカリフォルニア州アナハイムで開催されたD23エキスポ(英語版)で展示された。
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衣裳
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『アレグリア』の衣裳は旧作と新作で違う。旧作の衣裳は羽毛やレースなどの装飾品で微細に渡り飾られ、ニューヨークの黄金時代をイメージしている。新作の衣裳は未来の若者など、薄く軟らかい素材を利用し多彩な同系色で若者の活力を表現している。靴、カツラ、帽子などを含む400以上の衣裳小物がある。衣裳完成時間の例としてはオールド・バードの衣裳では200時間を要した。 Fleur: オールド・オーダーの登場人物Fleurは赤いベルベットのジャケットと宝石で彩られたベストが印象的である。 Singer in White: オールド・オーダーの登場人物The Singer in Whiteはクロノリンを使用し、宝石で縁取られたフープスカートを着用している。
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