ニーベルンゲンのうた【ニーベルンゲンの歌】
ニーベルンゲンの歌
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『ニーベルンゲンの歌』(原題、独: Das Nibelungenlied)は、中高地ドイツ語で書かれた叙事詩。ネーデルラントの英雄・龍殺しのジークフリートの非業の死と、ブルグント王国の国王の妹でジークフリートの妻のクリームヒルトの復讐劇を描く。
注釈
出典
- ^ “Song of the Nibelungs, a heroic poem from mediaeval Europe”. UNESCO Memory of the World Programme (2009年7月31日). 2009年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年12月15日閲覧。
- ^ 田邊玲子「ドイツの夢―「国民」と「古典」」『古典について、冷静に考えてみました』岩波書店,2016年9月,p94
- ^ 英語版ウィキソース :Nibelungenlied、Daniel Bussier Shumway。
- ^ 相良、1975年。後編 p. 345。
- ^ Filmfernsehfonds Bayern. 日活株式会社発売・販売 DVD Video NKDF-2143
- 1 ニーベルンゲンの歌とは
- 2 ニーベルンゲンの歌の概要
- 3 表題
- 4 成立と再発見
- 5 ニーベルンゲンの歌にちなむもの
- 6 翻訳
ニーベルンゲンの歌
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「ジークフリート」の記事における「ニーベルンゲンの歌」の解説
若かりし頃のジークフリートについて、『ニーベルンゲンの歌』では2つの矛盾した描写がある。本筋を追う限りでは、ジークフリートは父王ジークムントと母ジークリントの間の王家の血筋として生を受けたとある。しかし、ブルグント王国の姫クリームヒルトに求婚するためにその首都ヴォルムスを訪れた際、ブルグントの臣トロニエのハゲネは別の話を語る。ハゲネによれば、ジークフリートはニーベルングの秘宝、名剣バルムンク、着たものの力を12倍にする隠れ蓑タルンカッペを手に入れた流浪の戦士(中高ドイツ語: recke)であるという。加えてハゲネは、ジークフリートは竜を屠り、その血を浴びて、角のごとく傷つくことのない強靭な皮膚を手に入れたという話をする。いずれにせよ、若きジークフリートの冒険については、その後の物語に直接関連する部分だけが取り上げられている。 クリームヒルトへの求婚を成功させるため、ジークフリートはブルグントの王であるグンテル、ゲルノート、ギーゼルヘルと友誼を結ぶ。アイスランド女王ブリュンヒルトに求婚することを決めたグンテルは、クリームヒルトとの結婚を許す条件としてジークフリートに求婚の手伝いをさせる。その過程で、二人はブリュンヒルトに嘘を付き、ジークフリートはグンテルの臣下であるということにする。ブリュンヒルトに求婚するものはさまざまな力試しを完遂せねばならず、さもなければブリュンヒルトによって殺された。ジークフリートはタルンカッペを用いて、力試しに挑むグンテルを助ける。ヴォルムスに戻ると、グンテルとブリュンヒルトの結婚に引き続いてジークフリートはクリームヒルトと結婚した。しかし、グンテルはその初夜、ブリュンヒルトの抵抗に合い、帯で縛り上げられて天井から吊るされる。次の晩、ジークフリートはタルンカッペを使ってブリュンヒルトを組み伏せ、そのすきにグンテルはブリュンヒルトとの共寝を果たす。ジークフリート自身はブリュンヒルトと寝たわけではなかったが、彼女の帯と指輪を手に入れて、後にクリームヒルトに渡す。 ジークフリートとクリームヒルトに息子が生まれ、グンテルと名付けられる。しばらくして、ブリュンヒルトとクリームヒルトは、どちらの立場が上かで争いになる。ブリュンヒルトはクリームヒルトが所詮臣下の妻と思い込んでいたのである。果たして、ヴォルムスの大聖堂にどちらが先に入るかを巡って二人の王妃は口論になる。ブリュンヒルトが公然とクリームヒルトを臣下の妻だといって卑しめると、クリームヒルトは、ブリュンヒルトの処女を奪ったのは本当はジークフリートだと言い、その証拠として自身が持つブリュンヒルトの帯と指輪を出した。ジークフリートはもちろんこれを公然に否定したが、ハゲネとブリュンヒルトはジークフリートを殺すことにし、グンテルも黙認した。ハゲネはクリームヒルトを騙してジークフリートの弱点を聞き出し、グンテルはジークフリートをヴァスケンヴァルト(ヴォージュ山脈)での狩りに誘う。ハゲネは、ジークフリートが泉で喉の乾きを癒しているすきに、槍で弱点の背中を貫く。ジークフリートは致命傷を負うもなおハゲネに反撃し、ブルグントを呪って死んだ。ハゲネはジークフリートの死体をクリームヒルトの寝室の外に投げ捨てる。クリームヒルトは大いに嘆き、彼はヴォルムスに埋葬された。 『ニーベルンゲンの歌』C稿本と呼ばれる写本では、文中の地理に若干の変更が加えられている。このテクストでは、ジークフリートはヴォージュでなくオーデンヴァルトで殺されたことになっており、語り手曰く、今なおオーデンハイム村(現在はエストリンゲンの一部)の近くにその泉があるという。また、ジークフリートはヴォルムスでなくロルシュに埋葬されたことになっている。大理石の石棺に収められたという記述もあり、これはおそらく、ロルシュの大火の後に掘り出されて教会に展示されていた実際の石棺と関連付けられたものであろう。
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ニーベルンゲンの歌
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グンテルの物語が次に文献上に登場するのは、1200年頃に成立した『ニーベルンゲンの歌』においてである。『ニーベルンゲンの歌』では、グンテルはヴォルムスに城を構えるブルグントの王である。父王ダンクラートと母后ウーテの子で、二人の兄弟ギーゼルヘルとゲルノートとともに王国を治めており、クリームヒルトという妹がいた。クリームヒルトへの求婚のためにヴォルムスに来たジークフリートは、妹姫をよこすように王グンテルに要求する。するとグンテルは、敵であるサクソン人やデーン人と戦うのにジークフリートの力を借りることにし、これを破る。果たしてグンテルはジークフリートに妹との結婚を許したが、これにはもう一つ条件が課された。グンテルがイースラント(アイスランド)の女王ブリュンヒルトに求婚するのを手伝え、というものである。ブリュンヒルトは豪腕の女傑であり、求婚者は彼女の課す力試しをこなさねば、結婚するどころか殺されてしまうのである。タルンカッペという魔法の隠れ蓑を使ったジークフリートの助けを得たグンテルは、力試しを攻略し、ブリュンヒルトはグンテルとの結婚を強いられた。しかし、ブリュンヒルトはグンテルとの共寝を拒否し、グンテルを縛り上げて天井に吊るしてしまう。グンテルは、タルンカッペでグンテルに姿を変えたジークフリートの助けを再び借りてブリュンヒルトを押さえ込み、共寝を遂げる。 しばらく後、クリームヒルトとブリュンヒルトは口論する。クリームヒルトはブリュンヒルトに、ブリュンヒルトの処女を奪ったのはグンテルでなくジークフリートであったと告げる。ブリュンヒルトがグンテルに訴えたので、グンテルはジークフリートに、それは真実でないと公に誓わせた。しかし、ブリュンヒルトとグンテルの臣下ハゲネは満足せず、グンテルを説得して、狩りの場でジークフリートを殺すよう差し向ける。ハゲネはジークフリートを殺し、クリームヒルトがジークフリートから相続するはずだったニーベルングの秘宝を掠め取ろうと画策する。数年後、クリームヒルトはしぶしぶグンテルと和解するものの、ハゲネとはしなかった。フン王エッツェルと再婚したクリームヒルトは、復讐を企て、兄グンテルをフンの地へ招待する。ハゲネの諫言にもかかわらずグンテルは申し出を受け、ブルグント人たちはヴォルムスからエッツェルブルク(ブダ)へと向かう。クリームヒルトの手引きでブルグントとフンが戦闘になり、グンテルは勇敢に戦うものの、ついに残るはグンテルとハゲネのみとなってしまう。フン族の客将となっていた東ゴート王ベルンのディートリヒは二人を生け捕りにする。捕らえられたハゲネが、グンテル王が生きているうちはニーベルングの秘宝のありかは明かせないというと、クリームヒルトは兄グンテルの首を刎ねて殺した。
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ニーベルンゲンの歌
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バルムンク - 北欧神話のグラムがモデルとされる剣。ジークフリートが使用。
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ニーベルンゲンの歌
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「ブリュンヒルド」の記事における「ニーベルンゲンの歌」の解説
『ニーベルンゲンの歌』では、ブリュンヒルトは、居城イーセンシュタイン城からイースラント(アイスランド)を治める女王として描かれる。写本によっては、その王国の名前をイーセンラント(鉄の国)とするものもあり、アイスランドと関連は後付けで、こちらが本来の形である可能性がある。王国はブルグント王国の首都ヴォルムスから舟で12日のところにあり、これは大陸の宮廷社会の及ぶ領域の外に暮らしていることを意味している。 ブリュンヒルトが物語に登場するのは、ある日、彼女の美しさがヴォルムスに届き、グンテル王が結婚を望むところである。ブリュンヒルトと知り合いであったジークフリートはこの結婚に反対するが、グンテルは妹クリームヒルトを嫁がせることを約束してジークフリートを説得し、求婚の手伝いをさせる。ブリュンヒルトは求婚者に対して3つの力試しを課していたために、グンテルはジークフリートの助けが必要だった。力試しに失敗した求婚者はブリュンヒルトに殺されてしまうのである。ジークフリートは、隠れ蓑タルンカッペを用いてグンテルが力試しに挑んでいる間助力することに同意した。グンテルは単に一人でやったふりをすればよいというわけである。ジークフリートとグンテルは、求婚の間はジークフリートを臣下ということにするということに取り決めた。 ジークフリートとグンテルがイーゼンシュタイン城に到着すると、ブリュンヒルトははじめジークフリートを求婚者だと思ったが、単なるグンテルの臣下だと分かるとすぐに興味を失った。ジークフリートの助けを受け、グンテルはすべての力試しに成功する。ブリュンヒルトは当初取り決めを反故にするかのように見えたが、ジークフリートはすばやくニーベルンゲンラントの自国から配下を招集し、アイゼンシュタインまで引き連れて来る。ブリュンヒルトはグンテルとの結婚を了承する。英雄たちはブリュンヒルトを伴ってヴォルムスに戻り、グンテルがブリュンヒルトと結婚すると同時にジークフリートとクリームヒルトは結婚する。しかし、王女クリームヒルトは単なる臣下と結婚するのだと思っていたブリュンヒルトは、この事実を見て叫ぶ。結婚初夜、グンテルがブリュンヒルトと寝ようとすると、ブリュンヒルトはすばやくグンテルを組み伏せ、手足を縛って朝まで天井に吊り下げてしまう。グンテルは再びジークフリートを頼り、タルンカッペでグンテルに変装したジークフリートは、タルンカッペの魔法の力で十二人力を得てブリュンヒルドを組み敷く。グンテルは密かにその場におり、ジークフリートが共寝までしてしまわないかを確認した。ジークフリートがブリュンヒルトを腕尽くで抑え込むと、グンテルはジークフリートと入れ替わってブリュンヒルトの処女を奪った。結果としてブリュンヒルトの超人的力は失われる。戦利品としてジークフリートはブリュンヒルトの指輪と帯を手に入れ、後に妻クリームヒルトに贈る。 ブリュンヒルトとグンテルにはジークフリートと名付けられた息子がいることが明かされる。数年後、なおジークフリートの臣下らしからぬ振る舞いに腹を立てていたブリュンヒルトは、グンテルを説得してジークフリートとクリームヒルトをヴォルムスに招待させた。客たちが到着すると、ブリュンヒルトは、グンテルがジークフリートより優れているということをしつこく言い立てる。2人の対立は、ヴォルムスの大聖堂の前で2人が鉢合わせたところで頂点に達し、どちらが先に入る権利があるかということで口論に発展する。ブリュンヒルトは、クリームヒルトを臣下の嫁だと言い立てると、クリームヒルトは、ブリュンヒルトの処女を奪ったのはジークフリートだと返し、証拠として帯と指輪を見せた。ブリュンヒルトは泣き出し、クリームヒルトが先に教会に入る。ブリュンヒルトがグンテルのところに向かうと、グンテルはブリュンヒルトの指摘が事実でないことをジークフリートになんとか説明させた。にもかかわらず、ブリュンヒルトはグンテルを説得して、ジークフリートを殺させてしまう。殺害は、ブリュンヒルトを悲しませたという大義名分をもって、ブルグントの臣ハゲネによってなされる。 これ以降、物語上ブリュンヒルトは大きな役割をもたない。クリームヒルトの嘆きを見て喜び、以降もずっと彼女に対して意趣を抱え続けていることが示される。『ニーベルンゲンの歌』の後半で彼女が登場しなくなってしまうのは、元になった物語でもそうだったのであろうが、もはや物語の筋立てに直接関わらなくなってしまった時点でブリュンヒルトというキャラクターに対する関心が失われてしまったとも考えられる。
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ニーベルンゲンの歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 01:58 UTC 版)
「ニーベルンゲンの歌」は、「元来は独立していたズィークフリート伝説の歌謡と、ブルグント滅亡の歌謡とを、夫婦愛と配偶者の仇討という主要テーマによって、内面的に関連づけるとともに、形式的にも宮廷叙事詩にふさわしいものとして」完成された、「中世ドイツ文学の民族的英雄叙事詩のうちで、質量ともに最高の作品」である。この壮大な作品の前編の舞台が、ヴォルムスである。同作品は1200年頃に成立したとされる。リヒャルト・ヴァグナーの楽劇『ニーベルンゲンの指輪』の素材としても用いられた。
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