都市 都市問題

都市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/13 04:54 UTC 版)

都市問題

都市は人口が密集するため、様々な社会問題が発生するリスクを伴う。こうした都市特有の社会問題を「都市問題」と呼ぶこともある。一般的に人口が多ければ多いほど発生しやすく、また、先進国よりも法整備や財政拠出が十分でない途上国で顕著な傾向がある。都市問題としての課題に次のようなものがある。

都市の生物的自然

それぞれの地域は、それぞれに固有の在来の生物群集を持っているが、ヒトは自分の周辺にそれらとやや異なった生物群を引き連れることが多い。例えば積極的に育成するものに家畜作物があり、それらを育成するために作る環境にはまた多数の生物が付随して出現する。そのためそこには外来種が多く出現する。さらに、そこから家のみが集中する都市においては、作物や家畜に関わる部分が少なくなった分だけ、さらに自然な生物群集の成立する環境とかけ離れた条件となっている。従ってそこに生活する生物は多くない。しかしながら全く存在しないわけではなく、それなりに独自の生物群集が存在する。このような観点から、都市を一つの自然環境と見なした場合、都市生態系ということもある。

これは一つにはそのような環境にも耐えられる生物が残ることで成立する。踏まれても枯れないオオバコや、アスファルトのひび割れからでも花を咲かせるスミレなどは都市の道ばたにも出現する。また、公園などの形で残された緑地にはそれなりに様々な生物が住んでいる。

逆に、人間の作り出した環境条件が好適であるために増えるものもある。例えばヒトの住居は往々にして乾燥した垂直の壁や庇的構造を提供し、ツバメは現在ではほとんど人間の作った構造で巣を作る。青木純一が都市でササラダニを採集したところ、コンクリートの上に生えるコケから珍種が発見された。これは後に海岸近くの岩の上などに生息するものであることがわかったという。他に、保温性が高いためにより暖地の生物が都市で繁殖する例もある。ゴキブリなどもこの例であろう。

都市を形容する俗称

特定の都市を指し、接尾語として「○都」「○○の都」「○京」の様に命名している事がある(歴史上の「都」と同意義ではない)。古くは、国府や守護大名の所在都市に、「府」「陽洛陽つまりその国の都)[要出典]」を付けた名称もあった。甲府や防府など、現在の都市名に引き継がれているものや町おこし・地域ブランドづくりのために地域の歴史や産業にちなんで名付けられたものもある。

「○京」

  • 西京:山口。応仁の乱以降、大内氏が戦乱を逃れた貴族や文人を迎え、文化的に繁栄したため、「西の京」と呼ばれた事に由来する。山口市を指すより、歴史・観光上の美称の色が濃い。
  • 中京:名古屋の別名として使われる事がある。

「○都」

  • みやこ(都):普通名詞としては「首都」と同義。
  • 古都:日本の都であった場所(奈良県明日香村など)、または往時の地方の中心都市として一般に認識されている京都市、奈良市、大阪市など。また古都保存法からの見地もある[9]

方角関連

  • 東都:東京の別称。国外では洛陽
  • 南都:京都の南方にある都として奈良を指す。「南都北嶺」。
  • 北都:札幌、秋田、平泉、新潟、(奈良に対して)京都などの企業名に用いられているが、いずれも都市自体の呼称としては一般的ではない。
  • 西都西都市。国外では長安

都市機能

  • 帝都天皇皇帝の住まう都。大日本帝国において、終戦までは東京を指す言葉として使われたが、今は殆ど見られない。日本国外では長安ウィーンなどにも使われる。
  • 商都:これも本来一般名詞である。交易が盛んな都市として使われることが多く、大阪や横浜などに使われる。大阪は天下の台所とも呼ばれることもある。
  • 軍都:相模原、横須賀、呉、佐世保、旭川、三沢
  • 港都:函館、小樽、横浜、新潟、神戸、高松、門司、博多、長崎 
    • 開港された時の港が多い。港湾都市とも。
  • 神都伊勢神宮があることから、伊勢市の別称。国外では、武周朝の洛陽
  • 仏都:善光寺があることから、長野市の別称。
  • 学都:京都、仙台、岡山、金沢、松本
  • 県都県庁所在地一般について用いられる。

工業関連

自然関連

文化関連

その他

「○府」

  • 甲府:甲府
  • 信府:松本
  • 防府:防府
  • 駿府:静岡
  • 江府:かつての江戸
  • 別府:別府
  • 水府:水戸
  • 長府:長府(現下関市)
  • 豊府:大分

「○陽」

  • 宇陽:宇都宮
  • 武陽:東京(以前の江戸
  • 華陽:岐阜[注釈 4]
  • 尾陽:名古屋
  • 洛陽:京都[注釈 5]
  • 崎陽:長崎

「○の都」

  • 音楽の都/楽都:仙台浜松ウィーンワルシャワ、サンクトペテルブルク
  • 華の都/花の都:京都、東京、パリ、フィレンツェ
  • 霧の都:ロンドン
  • 永遠の都:ローマ
  • 芸術の都:パリ、フィレンツェ、ウィーン
  • ファッションの都:パリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク
  • 千年の都:京都
  • 黄金の都/平和の都:平泉
  • 水の都/水都:大阪、平泉、郡上、広島、新潟、松江、大垣西条徳島柳川、熊本、延岡、ヴェネツィア、ブルッヘ(ブルージュ)、ストックホルム、サンクトペテルブルク、蘇州
  • 古の都:古都と同義。奈良、飛鳥、京都。

西条(地下水が豊富で「うちぬき」と呼ばれる自噴井が多数存在)、大垣(水都タクシー、デリカスイト等所在企業名にも使用)

音訳

また、海外の都市を漢字で音訳する場合、都市名の音の頭文字を漢字に置き換えて、それに「都」「府」「港」を付ける事がある。ただし、これは、古風な表現で現在においては殆ど用いられない。なお、現在での漢字表記を、括弧内に記す。

  • 紐育:ニューヨーク
  • 巴里:パリ
  • 倫敦:ロンドン
  • 羅馬:ローマ
  • 伯林:ベルリン
  • 雅典:アテネ
  • 維納:ウィーン(維也納)
  • 寿府:ジュネーヴ(日内瓦)
  • 桑港:サンフランシスコ(三藩、旧金山)
  • 羅府:ロサンゼルス(洛杉磯)
  • 沙都、沙港:シアトル
  • 波府:ボストン(波斯頓)
  • 華府:ワシントンD.C.(華盛頓)
  • 費府:フィラデルフィア
  • 星港:シンガポール(新嘉坡)
  • 曼谷:バンコク

「○○の東京」

「○○の大阪」

「○○のパリ」

「○○のヴェネツィア」

「○○のフィレンツェ」

「○○のアテネ」

「○○のナポリ」

「○○の真珠」


注釈

  1. ^ この「集落」というのは、大学でも学んだことがないような人が使いがちな俗な意味での「集落」ではなくて、もっと学術的な意味での「集落」。つまり住宅の集まっている地域全般を指すための用語「集落」。数十万人や数百万人が住んでいても「集落」である。
  2. ^ 第二次大戦前なので「東京市」
  3. ^ 総務省発行の「地方財政白書」では、平成20年度版まで政令指定都市の意味で「大都市」を用いている(用語の説明 平成20年度版地方財政白書)が、21年度版以降は「政令指定都市」に変更している(用語の説明 平成21年度版地方財政白書)。
  4. ^ 金華山に由来する。「」は北半球において日当たりがよい山の南側、あるいは川の北側を意味する。岐阜のもともとの市街地は金華山の南西を中心に広がっている。
  5. ^ 洛陽にそのままちなむ。平安京左京(東側)の称であり、右京(西側)を長安と称したのと対比したが、右京が衰退して京都の市街地の中心が左京となったことにともない京都全体を「洛陽」と呼ぶようになった、ともされる。
  6. ^ 本来は将来自治体人口が100万人以上となる都市が指定されており、市町村合併支援プランの運用上では特例中に市町村合併を行った70万人以上(都市圏人口100万人以上)の都市が指定されている。
  7. ^ ブレーメンブレーメン州)と並んで、ハンザ同盟以来の自由都市としての地位を現在まで保持している。
  8. ^ 「都会」や「都(みやこ)」は「田舎」・「(ひな)」の対義語。したがって、やはり「都市」とは語感が異なっている。同義語ではない。

出典

  1. ^ 『精選版 日本国語大辞典』【都市】
  2. ^ a b c 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』【都市】
  3. ^ a b c d 永野(2009),p.18
  4. ^ a b c 林(2012),p.4-6
  5. ^ a b c d 戸所(2000),p.48-49
  6. ^ 林玲子 『世界歴史人口推計の評価と都市人口を用いた推計方法に関する研究 第五章 考察 4.ヨーロッパ人口について』 (原著2007年6月27日)。書誌ID 000009362321http://www.linz.jp/worldpop/jp07/540.html2014年11月14日閲覧 
  7. ^ QuickFacts. U.S. Census Bureau. 2020年.
  8. ^ OMB Bulletin No. 20-01, Revised Delineations of Metropolitan Statistical Areas, Micropolitan Statistical Areas, and Combined Statistical Areas, and Guidance on Uses of Delineations of These Areas. Office of Management and Budget. 2020年3月6日.
  9. ^ 古都保存法における古都の定義
  10. ^ アイスホッケーの新時代-氷都苫小牧の現状と課題-(5)”. 苫小牧民報 (2007年). 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月27日閲覧。
  11. ^ “212新聞 胆振 苫小牧(人口・171795) 白鳥アリーナ 氷都の誇り国際リンク”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1997年11月1日)
  12. ^ 、2010、「氷都くしろの名を全国に」、『広報くしろ』(1月号)、釧路市役所総合政策部市民協働推進課 p. 14
  13. ^ 高田誠 (2018年12月20日). “氷都の宝が…釧路落胆”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW20181220010200001.html 2022年1月27日閲覧。 
  14. ^ [1]
  15. ^ [2]






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