休憩時間
休み時間
(休憩時間 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/07 14:35 UTC 版)
休み時間(やすみじかん)とは、それまでの活動を中断し休憩や休息を取る時間のこと。多くは学校や会社の活動時間内においてそれを中断する時間のことを指す。だが、愛知県内の学校ではこの言葉は用いられない(後述)。労働などにおいては、休憩時間(きゅうけいじかん)あるいは休息時間(きゅうそくじかん)などと呼称することが多い。
労働における休み時間
労働における休み |
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休憩時間 |
6時間を超える労働に対しての付与義務 |
休日(公休日) |
休暇/休業 |
本来は労働日だが義務免除 |
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会社等において休み時間は、休憩時間もしくは休息時間とも呼ばれる。欧州連合では、 6時間ごとに休憩時間を確保するよう定められている(労働時間指令Article 4)。
日本では、休憩に関しては日本国憲法第27条第2項に基づき規定された労働基準法において規定されている。具体的には以下の表の通りである。
労働時間 | 〜6時間 | 6〜8時間 | 8時間〜 |
---|---|---|---|
最低休憩時間 | なし | 45分 | 1時間 |
これは最低基準なので、これを上回る休憩時間の付与でも良い。上回る休憩時間の上限は定められていない(2時間や3時間の休憩時間も可能である)。 休憩時間を分割(午前に10分と昼に40分と午後に10分など)して与えることも可能である。 |
公務員に関しては別に定められている(国家公務員法第16条(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第9条)、地方公務員法第58条、など)。
休憩時間の「自由」
労働基準法第34条第3項で規定されている通り、労働者に対しては休憩時間を自由に利用させなければならない。この自由とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間を意味し[3]、つまり、労働・職務から解放させる必要がある[4][5]。この自由を侵害した使用者に対しては、労働者が精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求することも認められる最高裁判例がある[6]。
ただし、その自由については一定の制約も可能であり、事業場内で自由に過ごすことができる場合には事業場内のみで休憩をとらせることも違法ではない(通達[3][7])。
休憩時間に当たらないもの
休憩時間中の労働者に対して来客対応や電話当番をさせた場合、労働時間に含まれることになるため、休憩時間には当たらない[8]。
使用者や監督者の指示を待ち、それまでの間仕事をしない待機時間(手待ち時間)についても、使用者や監督者の一定の指揮監督下に置かれていることになるため、やはり休憩時間には当たらない[3]。
学校等における休み時間
学校や塾などにおいて休み時間とは、授業と授業の間にある時間である。愛知県などの一部の地域では「放課」という呼び方をする[9]。
休み時間の目的
休み時間は、次の授業のための準備時間である。児童・生徒・学生にあっては教科書やノートなどの用具の準備や、教室を移動するための時間となる。また、友人と談笑したり、気持ちのリフレッシュをする時間でもある。休み時間では、授業開始に備えて5分前行動を心掛けたり、早めにトイレへ行くなどしておくことが望ましいとされる。
欧米諸国を中心に、休み時間はほとんどの国で飲食を行う時間でもあり、生徒によっては自宅から持参したり学校で購入した軽食や果物などを取ることが行われる。日本では一般に休み時間でも水以外の飲食物の摂取が認められておらず、世界的には特異な現象であるといえる。
教師・講師にとっては、職員室へ戻ったり、次の授業の準備を行ったりする時間である。また、教科担任制を取る学校等(特に中等教育以降の学校)にあっては、授業中にあった出来事を学級担任へ伝達するなどの連絡や、教材作成、宿題などの提出物の点検、あるいは授業中にあった電話の応対やその他処理すべき事務作業を行うなどの時間ともなる。従って教師・講師にとっては、一般に、休み時間とはいえど休憩・休息をとる時間とはなりにくい。
欧米の大学には、時間を知るのに教会の鐘に頼っていた時代には正時しか知ることができなかったことの名残りで、実際の講義開始が15分遅れる『アカデミック・クォーター』の慣習があり、この間が、移動等に使われる休み時間に当たる。
休み時間の種類
休み時間の呼称は設定時刻などで異なる。
(一般的な)休み時間
大抵の学校・塾などでは10分であることが多い。次の授業のための準備を行い、必要に応じて用便などを済ませる時間である。
中休み
小学校などの初等教育や中学校などの前期中等教育の学校にあっては、2時間目と3時間目の間に、通常の休み時間以上に長い休み時間を取ることがある。15分から20分程度が多いが[10]、25分[11]、30分のところもある[10]。後期中等教育(高等学校)や高等教育以上では見られない。また、地域により「業間休み」「大休み」「中間休み」「大休憩」「20分休み」「20分放課」「大放課」「長放課」「ロング休み」などと呼ばれることもある[9][10]。これらの名称は、地域性を持ちながらも、学校ごとに決められる[10][11]。
「業間体育」ないし「業間体操」と称して、校庭に出ることを求めたり[10]、体育を行う学校もある[11]。
昼休み
一般に昼食(給食)後に設定されている休み時間である。愛知県では「昼放課」と呼ぶ[9]。時間は20~45分程度であることが多い。この時間は、校庭に出て友人などと遊んだり、図書室で読書をしたりする児童・生徒・学生が多く見られる。また、教師に授業の質問を行ったり、学校行事などの準備を行うことに活用される時間であるが、一部の小・中・高等学校では昼食(給食)の時間も昼休み扱いされることがある。昼食後に掃除の小中高等学校だと、当番でない子は長く遊べる。
放課後
(正確には放課後は休み時間ではないが、合わせて記述する)
放課後は、学校の正規の活動が終わった後の時間である。多くの学校では最終下校時刻を定め、その時間までを放課後とすることが多い。たいがいは児童・生徒・学生の帰宅等を考慮し、日没の時間程度(17時~18時30分ごろ)までとするのが一般的であろうが、学校の実態やその日の日程等によっても異なる。放課後は、特に用がなければ児童・生徒・学生は下校となるが、一方で、昼休み以上に、遊んだり、図書室で本を読んだり、教師に授業の質問を行ったり、学校行事などの準備を行うことに活用される時間でもある。また、部活動・サークル活動等は一般に放課後に行われる活動である。
なお、既述の通り「放課」が休み時間の意味で使われる愛知県などでは「放課後」という表現は使われず、「授業後」、「下校後」などと呼んで意味の衝突を避けている。
休み時間に起こる問題
児童・生徒・学生にあっては、友人と遊ぶあまり、教室内や廊下を走り回って怪我をすることがある。また、本来授業準備の時間であるにもかかわらず、授業の準備が十分でなかったり、始業のチャイムがなっても教室の自席に着席しなかったりする者もいる。これらの問題に対処するため、大概の学校では、「廊下では走らない」などの休み時間に関する規則が設けられており、教師による巡回の他、児童・生徒・学生の委員会活動による取り組みも行われている。
脚注
- ^ 野田進「「休暇」概念の法的意義と休暇政策─「休暇として」休むということ」『日本労働研究雑誌』第625巻、労働政策研究・研修機構、2012年8月、NAID 40019394013。
- ^ 神吉知郁子「休日と休暇・休業」『日本労働研究雑誌』第657巻、労働政策研究・研修機構、2015年4月。
- ^ a b c 昭和22年9月13日発基17号
- ^ “Q7 休憩時間についてはどのような法規制がありますか。”. 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 (2011年3月). 2011年10月30日閲覧。
- ^ “会社の昼休みに電話対応をしていたのに休憩していたとして扱われた!”. 法、納得!どっとこむ (2011年9月29日). 2011年10月30日閲覧。
- ^ 最高裁判所第三小法廷判決 昭和54年11月13日 住友化学工業事件
- ^ 昭和23年10月30日基発1575号
- ^ “よくあるご質問 労働時間・休憩・休日関係:私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2〜3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?”. 厚生労働省. 2011年10月30日閲覧。(項目2段目参照)
- ^ a b c 篠崎晃一 (2010年12月22日). “第20回 授業の間の休み時間を何と呼ぶか?”. ことばのまど. 小学館辞書編集室. 2024年12月7日閲覧。
- ^ a b c d e たろちん (2015年5月20日). “千葉県の小学校にある長めの休み時間「業間休み」がTwitterで話題に 「うちにもあった」「中休みって呼んでた」”. ねとらぼ. ITmedia. 2024年12月7日閲覧。
- ^ a b c Jタウン研究所 (2015年7月17日). “20分休み・業間休み・中休み...「2時間目と3時間目の間の休み時間」呼び方マップ”. Jタウンネット. ジェイ・キャスト. 2024年12月7日閲覧。
外部リンク
- 労働時間・休憩・休日関係 - 厚生労働省
- 『休憩』 - コトバンク
休憩時間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 23:47 UTC 版)
第34条(休憩) 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。 休憩時間とは単に作業に従事しない手持時間を含まず労働者の権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱う(昭和22年9月13日発基第17号)。労働時間中に与えられる休憩時間については、第34条において、以下の3原則が示されている。なお、第40条の規定を受けた規則第31~33条において休憩に関する特例が設けられている。 途中付与の原則(1項)休憩時間は、労働時間の途中に与えなければならず、勤務時間の始めまたは終わりに与えることは第34条違反となる。この原則には法令上の例外は一切認められていない。実際に始業後あるいは就業前のどの時点で付与するかは就業規則・労働契約の定めに委ねられるが、その定めの適法性は、休憩時間保障の趣旨に即して判断される。 一斉付与の原則(2項)休憩時間は一斉に与えなければならない。ただし当該事業所に労使協定がある場合はこの限りではない。この労使協定には「一斉に休憩を与えない労働者の範囲」及び「当該労働者に対する休憩の与え方」について協定しなければならない(規則第15条)。派遣労働者がいる場合、派遣先の使用者は派遣労働者も含めて一斉に与えなければならない。派遣労働者を一斉付与の対象としないこととする場合には、派遣先の事業場で労使協定を締結する必要がある(昭和61年6月6日基発333号)。 以下のものについては、労使協定を締結しなくても、休憩を一斉に付与しなくてよい。坑内労働の場合(第38条2項により、休憩時間も含めて労働時間と算定される) 運輸交通業、商業、金融広告業、映画演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業又は官公署の事業の場合(規則第31条) 法制定当初は一斉休憩の例外適用には行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可が必要とされていたが、平成11年4月の改正法施行により許可制は廃止され、労使の自主的な話合いの上、職場の実情に応じた労使協定の締結により例外適用が可能となった(平成11年1月29日基発45号)。 自由利用の原則(3項)使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。もっとも、事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害しない限り差し支えない(昭和22年9月13日発基第17号、最判昭和52年12月13日)。休憩時間中の外出を許可制とすることは、事業場内において自由に休息しうる場合であれば差支えない(昭和23年10月30日基発1575号)とされるが、学説の多くはこの解釈に批判的である(就業再開時刻への遅刻に対する懸念に対しては別途制裁措置を講じることで対応すればよい)。 以下のものについては、休憩を自由利用させなくても差支えない。坑内労働をしている者(第38条2項により、休憩時間も含めて労働時間と算定される) 警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急団員、児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居を共にする者、居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち家庭的保育者として保育を行う者(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除く)(規則第33条1項1号、3号) 乳児院・児童養護施設・障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居を共にする者(規則第33条1項2号)規則第33条1項2号に該当する者については、使用者はその員数、収容する児童数及び勤務の態様について、様式第13号の5によって、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けなければならない(規則第33条2項)。もっとも近年労働基準監督署長はこの許可をしていない。 「児童と起居を共にする者」とは、交代制あるいは通勤の者を含まない趣旨であって、保育士、看護師等で四六時中児童と生活を共にする者をいう(昭和27年9月20日基発675号)。 中抜けや仮眠時間などの労働時間と休息時間が空いてる場合も十分な休憩を取っているとは、いえず待機状態であることから労働時間に算入されるのが判例である。また休憩を与えなくてもいいという法律は、存在せず与えた方が労働生産性は、効率的であり、離職の防止、従業員の健康増進につながるとされている 労働時間が6時間以下の者については休憩を与えなくてもよい、労働時間が6時間1分以上8時間以下の者については45分の休憩を与えれば違法ではない。また時間外労働が何時間であっても、1時間の休憩を与えれば違法ではない(昭和26年10月23日基収5058号)。一昼夜交代制(二日間の所定労働時間を継続して勤務する場合)であっても、法律上は1時間の休憩を与えればよい(昭和23年5月10日基収1582号)。休憩時間の上限は規定されていないが、休憩時間は事実上使用者の拘束下に置かれることから、特殊な勤務体制にある労働者には拘束時間に関する規制が必要となる。一例として現在、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年2月9日労働省告示7号)が示され、拘束時間の長さが規制されている。 以下の者については、休憩を付与しなくてもよい。 第41条該当者 列車、自動車等の運転手・車掌等の乗務員(列車内販売員はこれに含まれない)のうち、6時間を超える長距離区間に連続して乗務するもの又は業務の性質上休憩時間を与えることができず、かつ停車時間や待合時間等の合計が法定の休憩時間に相当するもの(規則第32条) 屋内勤務者30人未満の日本郵便の営業所(郵便窓口業務を行うものに限る)において郵便の業務に従事するもの(規則第32条) リクルートワークス研究所(東京)の坂本貴志研究員が5年ごとの国の「社会生活基本調査」の詳細を分析。2016年に正午~午後1時に仕事をした人の比率は35.4%で2011年(32.2%)より3.2ポイント増加していた。「残業が減るなかで仕事をこなすため、休憩すべき時間帯に働かざるを得ない人が増えたのでは」。
※この「休憩時間」の解説は、「労働時間」の解説の一部です。
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「休憩時間」の例文・使い方・用例・文例
- 休憩時間が済んだから座席に着こう
- 休憩時間にコーヒーとシュークリームを食べた。
- やっと休憩時間を得ました。
- 私は今は休憩時間です。
- 私たちは休憩時間にお菓子を食べてもよい。
- 私たちは休憩時間にお菓子を食べてもよかった。
- 私の学校は大きな学校なので、私は5分の休憩時間の間に教室から別の教室に行くために走らなければなりません。
- 休憩時間中、タカシとハルミは劇場のバーで一杯飲んだ。
- 学生達は今休憩時間中だ。
- 学生たちは今休憩時間中です。
- 学生たちは今休憩時間です。
- 休憩時間に.
- 休憩時間中に.
- (1時間の)休憩時間.
- 休憩時間
- 試合の前半と後半の間にある休憩時間
- 長い休憩時間をとること
- 長時間の映画や演劇などの上演で設けられる休憩時間
- スポーツにおいて,競技と競技の間の休憩時間
- 試合で前半と後半の間に設けられる休憩時間
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