自由利用の原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:10 UTC 版)
年次有給休暇の利用目的は労働基準法の関知するところではなく労働者の自由である ことから、労働者は年次有給休暇を取得する旨を事前に使用者に伝える必要はあっても、その理由までを使用者に伝える義務はない。有給休暇は「理由なし」も含めて理由の如何にかかわらず取得できるものであり、使用者は労働者に対しその理由をもとに年次有給休暇の取得を制限することはできないし、労働者が述べた理由が虚偽であったとしてもそのことをもって一度取得した年次有給休暇を使用者が取消すことはできない。なお、虚偽の理由による年次有給休暇の取得について、就業規則上の懲戒処分をすることは可能とする高裁判例がある(東京高判昭和55年2月18日。ただし、この判決には学説からの批判が根強い。)。そして、使用者が労働者に対し年次有給休暇の理由を聞くことを禁止・制限する法律はなく、他の労働者との年次有給休暇取得の優先順位の調整等のために理由を聞くことは実際には多く行われている(新潟鉄道郵便局事件、東京高判昭和56年3月30日では、同一時季に複数の労働者により時季指定がなされ、一部の労働者の時季指定に対して適法に時季変更権を行使しうる場合、どの労働者に時季変更権を行使するかは基本的に使用者の裁量に委ねられるとする。学説では、この際に利用目的を尋ねることは例外的に許されるとする見解と、目的によって使用者の裁量的余地を与えるのには賛成できないとする見解が対立している)。
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