自由利用を目的とするライセンスとの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 15:07 UTC 版)
「同一性保持権」の記事における「自由利用を目的とするライセンスとの関係」の解説
GPL、GFDL、Creative Commons Licenseなど、目的に関わらず使え、著作物の自由な利用の促進を目的としたライセンスが存在するが、このようなライセンスが同一性保持権との関係で有効なのかが問題とされることがある。 この点、先に例記したライセンスは、同一性保持権を考慮した条項を置いていない。これは、これらのライセンスがアメリカ合衆国で発案されたものであり、後述するように同国の著作権法は伝統的に財産的利益を中心として規定しており、著作者人格権に関する一般的な規定がないことに起因する。 これに対し、日本の著作権法は同一性保持権に関する規定が存在し、放棄はできないと解されている。しかも、ベルヌ条約では名誉声望を害する恐れのある改変からの保護を規定しているのに対し、日本の著作権法では、改変が名誉声望を害するおそれがあることを同一性保持権侵害の要件としておらず、単に改変等が著作者の意に反することを要件としている。このような事情があるため、上記のようなライセンスは、日本の著作権法とは適合しないのではないかという問題がある。ただし、上記のようなライセンスでは改変(翻案)することを容認しているので、著作者がライセンスに同意していれば改変・翻案に同意している(意に反していない)ことになるので、日本の著作権法に適合していると見ることもできる。 この点、クリエイティブ・コモンズの日本版ライセンスは、著作者人格権を行使しない旨の条項を設けることにより、問題点を回避している。ただし、前述したとおり、著作者人格権の不行使契約は無効であるとの見解もあり、なお問題を抱えていることは否定できない。
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