ラスト・ワルツ
ラスト・ワルツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 01:20 UTC 版)
「ジョーカー・ゲーム」の記事における「ラスト・ワルツ」の解説
ワルキューレ ベルリン中心部のヴィルヘルム街。日本人俳優の逸見五郎は老舗ホテル、カイザーホーフで開かれた自身の主演する「スパイ」をテーマにした日独共同製作映画のお披露目パーティに参加していた。そこで声をかけられた内装屋の雪村幸一からサインを強請られた事をきっかけに、新作映画が高評価な事もあって独自の『スパイ自論』を冗談交じりに披露し、さらに冗談交じりで雪村をスパイだと発言するなど上機嫌であった。そして泥酔して大使館へ寄ったところ再び雪村と居合わせる。実は逸見から指摘を受けた雪村こそ、防共協定を締結しながらも情報戦にてドイツの後手に回されてきた本物の日本軍のスパイであり、任務の一つである『新日本大使館の “清掃” 』をしていた所だったのである。仕方なく彼は逸見をホテルへ送り届けようとした所へ突如何者かから植木鉢の襲撃を受けてしまう。翌日、そのお詫びとして逸見からドイツ最大の撮影所、“UFA (ウーファ)”『Universum Film AG』へ招待されるが、これは逸見にとって昨夜の口止めの意味もあった。実は、逸見は女癖の悪さからハリウッドにいた頃に様々なトラブルを起こしており、あの時落ちてきた植木鉢の花から、あちらで別れ話が拗れた女優キャシィ・サンダースが自分のあとを追ってきたのだと推測したのである。こうして雪村を手なずけるため雑談を交わしていると、そこへナチス宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスと、映画監督のレニ・リーフェンシュタールが現れ思わず硬直。ゲッベルスは撮影の大幅な遅れと予算超過、そしてこの場にいるはずのない幽霊 (ガイスト) の存在を指摘する。 翌日。ゲッベルスの指摘が気になっていた逸見は撮影が手につかなかった。あの時は咄嗟に出任せを言って彼を追い払ったが、一体何が気に食わないのが分からなかったのである。そもそも予算の超過も撮影の大幅な遅れも、逸見にとってはいい映画を撮るためには必要な事であってわざわざ指摘するようなものではないはず…そこまで考えた時、こちらで『親しくなった』女優、マルタ・ハウマンの存在を思い出し、彼女が実はゲッベルスの愛人で、逸見に奪われたくないが為の牽制としてあんな遠回しな言い方をしたのだと解釈し、次回はマルタ・ハウマンを主演とした映画を作ることでゲッベルスの機嫌を取ろうと思い気を取り直した。一方、協力者とアンハルター駅で待ち合わせていた雪村は、受け取った駐独日本大使に関する聞き取り調書が書かれた通信文を読んだ際、大使自らがナチス側の歓迎により外交機密を自らぺらぺら喋ったにも関わらず、新大使館に設置されていた数多くの盗聴器という矛盾、そして例の幽霊 (ガイスト) 発言、その場に居合わせていた映画スタッフ達の表情と「ここじゃない」という一言、そして逸見が出鱈目な言い訳に使用した「白い人影が現れて、鏡の中にすーっと消えていく」という言葉が妙に引っ掛かり日本大使館に向かう。そしてあらかじめ仕掛けておいたタルカムパウダーを使った罠の先にいたのは、映画監督のフィリップ・ランゲだった。 今日ナチスでは、高利貸しのイメージが強いユダヤ人に対して『失業やインフルは全てユダヤ人のせい』だとする無理矢理な箔をつけた迫害が巻き起こっており、映画界でも多くの優秀なユダヤ人スタッフがこの迫害に追いやられていた。その中でランゲはゲッベルスに才能を買われ、ナチスを礼賛する映画を撮ることを条件に「特別待遇」を受けていたが、その撮った映画がゲッベルスの怒りを買い、打って変わってゲシュタポにランゲの逮捕を命じたという。そこへたまたま居合わせていたウーファの映画スタッフの一人が慌ててランゲに連絡を入れ、最初はスタッフ達の元を転々としていたが日々狭くなるゲシュタポの包囲網にはそれさえ危なくなり、そこで一人のスタッフの伝を頼り、当時まだ建築中だった日本大使館に密かに隠し部屋を作ってランゲを匿わせたのだった。あの大量の盗聴器と超過した予算は全て彼のために使われていたのである。 後日、逸見の元には予算超過に関する事で何者かからの脅迫状が届いており、やって来た雪村に見られてしまう。雪村は「友好国である日本人に手荒な真似はしないはずだから、今すぐ警察に届けるべき」だと主張するが、逸見は必死に拒む。実は脅迫の証拠としてマルタ・ハウマンとの関係を示唆する写真が同封されており、これがゲッベルスに知れ渡る事を恐れていたのである。すると、雪村は脅迫文から相手がソ連のスパイだと分析し、自分は日本のスパイで、この事件を自分達で解決しようと持ちかける。そして、ソ連スパイの目的が逸見を利用したヒトラー総統の暗殺だと仮説し、途中で隠していた拳銃を手に、接触場所として指定されていたウルバン荷揚げ場に向かう。まるで映画のような目まぐるしい展開に戸惑った逸見は、全ては偽物だったのではないかと問いかけた矢先に突如銃撃戦が始まり雪村が負傷してしまう。逸見がすっかり混乱し半泣きになり動けなくなり、雪村が彼に託していた銃を持って近くの爆薬に火をつけようと路地に飛び込んだ途端、今度は夜空に何発もの花火が打ち上がる。そしてそのまま呆然としていた逸見はゲシュタポに連行されて自分が見聞きした全てを洗いざらい打ち明け、最後に雪村がスパイだった事を告げると、尋問官から爆発で吹き飛んだらしき遺体を見つけた事を聞かされる。確認のため死体置き場に向かった逸見はあの負傷の時に見た三日月型の傷跡と同じものを見つけ彼だと確信し、その後ゲッベルスから不問にするという報告を告げられ追い出された。そして今度はアルゼンチンに渡る事を決め、気を切り替えて歩き出した。 その頃、本物の雪村は協力者から目立つ騒ぎを起こした事を咎められつつ新たな偽装経歴を受け取っていた。逸見が確認した遺体は雪村があらかじめ協力者に頼んで調達した別人で、偽装した傷跡をわざと見せる事で逸見を欺いたのだ。あの日、フィリップ・ランゲのナチスの非知性的かつ暴力的な本質をとらえつつ、娯楽性のある作品として作られた映画を見た雪村は彼の才能が失われるのが惜しくなり、彼を匿っていた映画スタッフ達と協力してあの様な映画顔負けの派手な “スパイごっこ” を自作し、混乱に乗じてランゲをトラックの荷台の木箱に紛れ込ませ脱出させたのだった。幸村はランゲこそが映画芸術で美の女神 (ワルキューレ) に愛された真の勇者なのだろうと考えつつ「『面倒ごとになる前に逸見をドイツから引き上げさせろ』というそちらの指示に従ったまでだ」と言い返す。さらに、逸見がソ連のスパイについて必死に訴えた件と、この派手な騒動についてゲシュタポから報告を受けた宣伝省が各報道機関にどう報じさせるかでソ連に対する方針と対日政策が垣間見えてくるとも踏んでいた。その為に逸見が私的に使った分の映画製作資金を補填して帳簿を改ざんし、例のマルタ・ハウマンもゲッベルスに取り入るよう雪村が裏から誘導していたのである。そして、この一件で駐独日本大使がナチス側の人間盗聴器と化している事、引いては国内の大使任命権を持つ重要人物の身近は勿論、各同盟国の権力中枢にナチスドイツからのスパイが送り込まれている事も突き止めた。 実は雪村は、日本帝国海軍のスパイであり、伊号潜水艦による欧州航路の開拓を目的とした日本への極秘航海こそが真の目的だった。日本帝国陸軍 (D機関) スパイの協力者『マキ』はその事を指摘し嘲笑いながら立ち去るが、軍人として覚悟は決めている以上は仕方がない事、さらに、いくらD機関スパイ達が優秀であろうとも、日本はもはや手の施しようがない所まで来ている故にもはや状況を引っ繰り返す事は到底望めないという感想を雪村自身抱いていた。最後に彼は、日本に無事に帰れたら映画でも観に行こうかと呟き、一人四阿を後にしたのだった。 舞踏会の夜 紀元二千六百年記念式典の翌日、赤坂霊南坂にあるアメリカ大使館で久方振りに開かれた仮面舞踏会に出席した加賀美顕子は、友人の戸部山千代子からの指摘を受け、オペラグラスを片手に遠い昔の記憶に思いを馳せた。 千年の歴史を誇る旧清華公爵家当主・五條直孝の末娘として生まれた顕子は、幼い頃から五條家のしきたりや格式に縛られる事に鬱屈していた。そして十四歳の秋に女学院の送迎に雇われていた抱えの運転手と駆け落ち騒ぎを起こしたのをきっかけに、十五歳になると夜な夜な家出をしてはダンスホールに入り浸る日々を繰り返していた。ある日、ダンスホールで知り合った友達の一人に売られて愚連隊に絡まれ逃げている所を二十代半ばの若い男(結城中佐)に助けられる。まるでダンスを踊る様に顕子をエスコートした男に不思議な魅力を感じた彼女は再び会いたいと所望するも「軍務で国を離れるから無理だ」と断られてしまう。そこで顕子は名前を名乗らない彼を海底二万里の登場人物から『ミスタ・ネモ』と呼び、自分が大人になったら今度はちゃんとした音楽に合わせて踊って欲しいと約束した。 愚連隊の一件から顕子は夜遊びを控えるようになったが、客観視しているうちに規律のない世界での友情は貨幣価値と同等である事と、夜遊びで出会った彼等の言動は古いしきたりに縛られている華族階級の人々と変わらないのだと分かってすっかり失望し、少なくとも金銭目的で他人を売るようなことは無いし、女性は有利に立てない事さえ受け入れられれば特に気にする必要も無いという事から、今度は『華族』という枠組みの中で奔放な行動をとっていった。それから暫くした後、顕子は父親から二十歳以上年の離れた加賀美正臣陸軍大佐との婚約を告げられる。男色家の噂があるという加賀美に『自分と似たもの』を感じ取った顕子は自ら父親に話を進めるよう働きかけ、結果として加賀美は五条家という後ろ盾により中将にまで出世し、中将夫人という肩書きを手に入れた顕子も加賀見や実家に迷惑をかけない範囲で遊び回っていた。 そして目まぐるしい時が過ぎる中、顕子は一度だけ夫の仕事部屋で『ミスタ・ネモ』の写真を見かけた事を思い出した。『ミスタ・ネモ』と別れたあの日、彼を諦められなかった顕子は当時女学院で流行っていた「探偵」を雇って調べてもらった末に彼の死を知り、自暴自棄で加賀美との結婚を承諾していた。だが、『ミスタ・ネモ』が生きてると知ると彼女の中で唐突に『あの約束』が蘇る。大戦の火種がすぐそこまで迫るに伴い贅沢や装飾を自粛する声が高まる中、『約束』を果たせるのはこの舞踏会が最後だった。そして会場の音楽がワルツに変わった途端、目の前に長布をまとい黒いドミノを付けた男が現れた。直感で『ミスタ・ネモ』と分かった顕子は恭しく差し出された手を取り二人は踊り出す。悠久に続くかのようなひと時が流れていくが、その直後耳元で囁かれた言葉と『ある光景』に卒倒してしまう。 実は顕子が会場で探していたのは、軽井沢の秘密倶楽部で知り合った若い愛人・桐生友哉の姿だった。顕子は夫の書斎で『ミスタ・ネモ』の写真を見つけた後、再び「探偵」を雇って彼の周辺を調べてもらいD機関の存在を知ると、今度はスパイ活動に興味を持つようになり、その直後、桐生から持ちかけられたオペラグラス型の特殊カメラを使って加賀美が持ち帰る機密書類を写して来るというスパイ行為の勧誘に乗り、その書類を写したマイクロフィルムをチョーカーのペンダントヘッドに隠して持ってきていた。あの時。顕子の身に起こったのは『ミスタ・ネモ』こと結城の「二度とこんなことはなさらぬ様に」という忠告と、両脇を屈強な男に挟まれて会場を退出する桐生の姿だった。そしてチョーカーの中のマイクロフィルムは結城によって、オペラグラスも何者かに持ち去られていた。桐生が逮捕されればスパイ行為をしていた自分にも容疑がかかるに違いない。そもそも二十年前の『約束』をなぜ今更果たしに来たのか…そこまで考えた時顕子は、D機関を潰そうとしていた陸軍内の最右翼に夫の加賀美中将が関わっているらしいという「探偵」の話を思い出し、すべての出来事は結城中佐とD機関による加賀美中将を抑えるための対抗策であり、自分はあの日の『約束』に便乗して一連の計略に利用されたのではないかと考える。しかし、所詮顕子にとって桐生友哉という若い愛人もスパイの真似事も、かつての駆け落ち騒ぎや夜遊びと同じ「退屈を紛らわせるための一環」であり、その延長として少しばかり危険な事に手を汚す事はあれど、結局は身を守れる範囲の中でしか遊ぶつもりはない。だから、今までと同じく自分にまで事が及ぶことはこれからもないと結論づける。そしてそう自覚した十五歳のあの時から変わらない自分と同じ様に、世の中が変わるだけで人は変わらないのだと、顕子は自室の鏡台の前で一人皮肉げに笑うのだった。 パンドラ アジア・エクスプレス 満鉄特急〈あじあ〉号に乗車していた大東亞文化協会満州支部事務員の瀬戸礼二は、在満ソ連領事館に勤務する二等書記官のアントン・モロゾフと待ち合わせをしていた。モロゾフはハルビンの夜の街でロシア人の踊り子に入れ上げていた所を、本当は満州国の首都新京での情報収集任務を受けたD機関員である瀬戸が脅迫を交えて "燃やした" (協力者に仕立てた)人物で、三日前に彼から瀬戸あてに英字新聞を使用した緊急連絡法で、重要な機密情報を渡す代わりに大金を要求する通知が来ていた。瀬戸は同じく接触場所として指定されていた〈あじあ〉に乗り込むと、小型の鏡を使って挙動不審を隠さないモロゾフを監視し、彼が洗面所へ向かったのを確認してから数刻後に瀬戸が趣いて偶然居合わせた乗客を装って情報を交換する手筈だったのだが、待ち合わせ場所に行ってみると彼はおらず、隣の個室トイレを開けるとモロゾフが心臓麻痺を起こして死んでいるのを発見、さらに彼が所持していた情報が載っている筈の新聞が消えていた。実は二ヶ月の間で他にも瀬戸がソ連の内部情報提供者として掌握していた人物が立て続けに二人も同じ症状で亡くなっており、モロゾフを含む三人とも反逆者ユダを描いた『吊るされた男』のタロットカードを所持していた事から、スパイ殺しを主とするソ連の秘密諜報機関「スメルシュ」"スメルト・シュピオナム"(ロシア語で『スパイに死を!』の意)の仕業だと気づく。それは同時に、暗殺者は今もこの〈あじあ〉に乗っている事と、次の奉天駅で停車するまでの2時間の間、誰も列車を降りられない事を意味していた。 そんな中、瀬戸は訓練生時代に行われたフェンシング試合の事を思い出した。当時オックスフォード大学に留学していた彼は、『得体の知れない極東出身の東洋人』として英国人学生達から見下される日々を送っており、そんな連中を左利きを活用した独自のフェンシング捌きで片っ端から叩きのめしていた。なので訓練試合でも確実に勝利できると確信していたのだが、結城が対戦相手にその都度瀬戸の弱点を耳打ちしていたため、反対に完璧なまでに打ちのめされてしまった。それは瀬戸自身の自負心を傷付けると同時に、『人は得意分野に持ち込んだ時こそ、かえって致命的な失敗をおかす』という教訓を刻みつけた出来事だった。そうしてタロットカードを弄びながら食堂車にやって来た瀬戸は、共産主義革命の為に平気で命を投げ出すソ連のスパイも皇国史観に凝り固まった日本軍連中と同じだと自嘲し、同時に「スメルシュ」の暗殺者をどう炙り出し、盗まれた情報をどうやって取り返すかなどといった動きが読めないソ連スパイの対策を考えていると、母親同士がお喋りで構ってくれない事と窓から見えるひたすら平坦な景色のせいですっかり退屈しきっていた三人の子供達が瀬戸の無意識下に行っていた手品に惹かれて集まっていた。カードと素顔を見られてしまった瀬戸はとっさにコインを使った他愛もない手品を披露して子供たちを手懐けると同時に、証拠の品であるカードを三人の記憶から消させた。そして、父親が満鉄で勤めているという年長の少年から〈あじあ〉について聞かされた際『ある事』を思い出すと、それを利用するため子供達に「奉天駅で〈あじあ〉から降りて終点の大連に〈あじあ〉より先に着くにはどうすれば良いか?」というなぞなぞを出し、「君達が今から言う『特別任務』をやり遂げる事が出来たら答えを教える」という話を持ちかける。それは「昨日か一昨日の新聞を読んでいる人物を一等客室の中から探し出し、目印としてその人物の足元に例のカードを置いてくる」という『任務』で、これは子供ならば狭い車内を歩き回っていても不自然に思われず、なおかつ素早く標的(ターゲット)を特定出来ると考えた瀬戸の「作戦」だった。そうして暗殺者を特定した瀬戸は、子供たちの報告から暗殺者が車掌に成りすましており、さらにモロゾフが共に亡命するために連れていた男装の踊り子の姿を利用して接触し殺害したと推測。また、以前《あじあ》で一等特別室の冷房装置のみが故障したトラブルが発生しており、それを日本スパイがあぶり出しに利用すると予測してくるに違いないと考える。そこであらかじめ一等車の通気口で相手を待ち構え、相手側と同じ武器を使って捉えることに成功する。そして未だ謎に包まれた「スメルシュ」の全容を聞き出させるために終点の大連で踏み込む警察官の中にD機関の人間を紛れ込ませて暗殺者の身柄を回収する手筈を整えた。 そうしてモロゾフの新聞も無事回収した瀬戸は、最後に子供たちに出したなぞなぞの答えを教えた。その答えは瀬戸があらかじめ隠し連れてきていた伝書鳩の事で、各国のスパイが入り乱れ、電信による通信はすべて傍受、盗聴されている事が前提とされる満州ではまさにうってつけの通信手段だった。瀬戸は結城中佐や自分達D機関員が集めた情報が、陸軍内で上手く機能していない気をひしひしと感じており、既に戦争はすぐそばまで迫っている事、戦争が始まってしまえば自分達スパイは存在意義そのものが失われてしまう事を苦く思いつつも、自分達はやるだけのことをやるだけだと振り切り、天空に伝書鳩を放ったのだった。
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