柳宗悦 朝鮮とのゆかり

柳宗悦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/19 22:57 UTC 版)

朝鮮とのゆかり

1916年(大正5年)、朝鮮を訪問した際に朝鮮文化に魅了された柳は、1919年(大正8年)3月1日朝鮮半島で勃発した三・一独立運動に対する朝鮮総督府の弾圧に対し、「反抗する彼らよりも一層愚かなのは、圧迫する我々である」と批判した。当時、ほとんどの日本の文化人が朝鮮文化に興味を示さない中、朝鮮美術(とりわけ陶磁器など)に注目し、朝鮮の陶磁器や古美術を収集した。1920年6月、『改造』に「朝鮮の友に贈る書」を発表、総督政治の不正を詫びた。1924年(大正13年)、京城(現ソウル)に朝鮮民族美術館を設立した。

朝鮮民画など朝鮮半島の美術文化にも深い理解を寄せ、京城において道路拡張のため李氏朝鮮時代の旧王宮である景福宮光化門が取り壊されそうになると、これに反対抗議する評論『失はれんとする一朝鮮建築のために』を、雑誌『改造』に寄稿した。これが多大な反響を呼び、光化門は移築保存された。

1922年(大正11年)、『朝鮮とその藝術』(叢文閣)と、『朝鮮の美術』(私家版・和装本)を、他に編著で『今も続く朝鮮の工藝』(日本民藝協会編、限定版 1930年、1947年)を出版した。

『選集 第4巻 朝鮮とその藝術』(春秋社、1954年)や、集大成で『全集 第6巻 朝鮮とその藝術』(全57篇、筑摩書房、1981年)がある。

交流、著述活動

  • 旧制学習院高等科時代の英語教師であった仏教学者禅者鈴木大拙に、柳は生涯師事・交流した。柳への弔辞「柳君を憶ふ」がある。
  • バーナード・リーチとの交友は大きく、各・柳の編著で『バーナード・リーチ日本絵日記』(毎日新聞社、1955年/講談社学術文庫、2002年、補訂解説水尾比呂志)と、リーチ・河井寛次郎濱田庄司述『焼物の本』(日本民藝館創立50周年記念で復刻、共同通信社、1985年、解説水尾比呂志)が刊行。
    近年には日本民藝館・刊で、リーチが英訳した『美の法門 The Dharma Gate of Beauty』(岡村美穂子監修、2016年)と、英文『柳宗悦とバーナード・リーチ往復書簡』(鈴木禎宏編、2014年)。他に『バーナード・リーチ作品集』(日本民藝館編、筑摩書房、2012年)が刊行された。
  • 沖縄文化を生涯にわたり紹介し、1938年〜1940年にかけ沖縄県に4度滞在調査した[10]。『選集 第5巻 沖縄の人文』、集大成『全集 第15巻 沖縄の傳統』に詳しい。また式場隆三郎と共編で『琉球の文化』、『琉球の陶器』[注 1](復刻版・1995年 榕樹社/1997年 榕樹書林に改名)がある。
  • 江戸時代に全国各地を廻国し造仏活動を行い、独特の「微笑仏」を残した木喰行道や妙好人の研究を行った。特に木喰研究は柳宗悦の木食仏発見が契機となったことで知られる。江戸時代前期に諸国を行脚した円空仏に関する論考もある。前者は『選集 第9巻 木食上人』に、後者は『全集 第7巻 木食五行上人』に詳しい。
  • 『柳宗悦全集』は、1980年(昭和55年)に、筑摩書房で刊行開始したが完結に全12年を費やした。1982年(昭和57年)までに、第20巻刊行に至るも、第21巻「書簡集」(上・中・下)は、1989年(平成元年)に、第22巻「資料 その他」(上・下)は、1992年(平成4年)に、各・1万5千円前後での分冊刊行となった。大量の書簡の収集に加え、新たに発見された未発表の原稿作品の発掘収録、資料や年譜の編集に10年以上費やしたためである。故に全巻揃いは古書値も高価である。
  • 機関誌「月刊民藝」は、1939年(昭和14年)4月号から1946年(昭和21年)7月号まで、戦局悪化による休刊を挟んで発行された。1955年(昭和30年)より日本民藝協会で再度創刊した。2008年(平成20年)に、『復刻版 月刊民藝・民藝』(不二出版)が出された。
  • 和装本による機関誌「工藝」は、全120号が1931年(昭和6年)から1943年(昭和18年)にかけ(114号目まで)、休刊を挟み1946年(昭和21年)から1951年(昭和26年)まで発行された。なお熊倉功夫『民芸の発見』(角川書店)巻末に、「工藝 目次総目録」が収録されている。

著作

全集・編著

  • 『柳宗悦全集 著作篇』[11]全22巻(25分冊)、筑摩書房。※刊行形式・年度は上記参照。
    1.科學・宗教・藝術・初期論集、2.宗教とその眞理・宗教的奇蹟、3.宗教の理解・神に就て
    4.ヰ(ウィ)リアム・ブレーク、5.ブレイクとホヰ(ウィ)ットマン
    6.朝鮮とその藝術、7.木喰五行上人、8.工藝の道、9.工藝文化、10.民藝の立場
    11.手仕事の日本、12.陶磁器の美、13.民畫(画)、14.個人作家論・船箪笥、15.沖縄の傳統
    16.日本民藝館、17.茶の改革 随筆(Ⅰ)、18.美の法門 随筆(Ⅱ)、19.南無阿彌陀佛、20.編輯録(編集後記ほか)
    21.書簡集(上中下)、22.未発表論稿・資料ほか(上下)
  • 『柳宗悦蒐集 民藝大鑑』[注 2]全5巻、筑摩書房、日本民藝館、1981-83年
    1.陶・磁 、2.陶・磁 、3.染・織、4.木・漆・金、5.絵・拓・彫。全集図録篇、大著・図版解説。
  • 「柳宗悦選集」 全10巻日本民藝協会編、春秋社、初版1954-55年/新装版1972年(最終重刷1995年)
    1.工藝の道、2.手仕事の日本、3.工藝文化、4.朝鮮とその藝術、5.沖縄の人文
    6.茶と美、7.民と美、8.物と美、9.木喰上人、10.大津絵
  • 「柳宗悦宗教選集」 全5巻、春秋社、初版1960年(重刷1975年ほか)-※第1・3・4巻は、保存(新装)版刊、1990年
    1.宗教とその眞理、2.宗教の理解、3.神について、4.南無阿彌陀佛・一遍上人、5.宗教随想
  • 「私版本 柳宗悦集」 全6巻、春秋社、1973-74年(第6巻は1978年)。元版は限定本、図版多数
    1.美の法門、2.心、3.船箪笥、4.蒐集物語、5.丹波の古陶、6.私の念願
  • 近代日本思想大系 24 柳宗悦集」 鶴見俊輔編・解説、筑摩書房、1975年
  • 「日本民俗文化大系6 柳宗悦」 水尾比呂志編・解説、講談社、1978年
  • 「朝鮮を想う」 高崎宗司編・解説、筑摩書房〈筑摩叢書〉、1984年
  • 「柳宗悦 南無阿弥陀仏紀野一義編・解説、春秋社〈こころの本シリーズ〉、1984年
  • 「茶と美」 戸田勝久編・解説、講談社、1986年。参考文献・年譜を収録
  • 「柳宗悦 手仕事の日本」 小学館〈地球人ライブラリー〉、2000年。若年層向け - ※以上は品切・絶版
選集(新版) 
  • 「仏教美学の提唱 柳宗悦セレクション」 ※各・書肆心水、2012年
  • 「朝鮮の美 沖縄の美 柳宗悦セレクション」 2012年
  • 「柳宗悦宗教思想集成 「一」の探究」 2015年
  • 「他力の自由 浄土門仏教論集成」 2016年

文庫判

  • 「民藝四十年」 解説水尾比呂志、のちワイド版/初刊 寶(宝)文館、1958年
  • 「手仕事の日本」 解説熊倉功夫(改版2009年)、のちワイド版/初刊 靖文社、1948年
  • 南無阿弥陀仏 付心偈」 解説今井雅晴、のちワイド版/初刊 大法輪閣、1955年[注 3]
  • 「工藝文化」 解説外村吉之介/初刊 文藝春秋、1942年。他に「工藝」創元選書、1941年。
  • 「新編 美の法門」 水尾比呂志編・解説
  • 「柳宗悦民藝紀行」 水尾比呂志編・解説
  • 「柳宗悦茶道論集」 熊倉功夫編・解説
  • 「柳宗悦妙好人論集」 寿岳文章編、解説中見真理
  • 「柳宗悦随筆集」 水尾比呂志編・解説。以上は各 岩波文庫、1984‐1996年
  • 「茶と美」 戸田勝久編・解説(2000年)、上記 講談社版を改訂/初刊 牧野書店、1941年
  • 「工藝の道」 解説水尾比呂志(2005年)/初刊 ぐろりあそさえて、1929年
  • 民藝とは何か 大文字版」 解説水尾比呂志(2006年)/初刊 昭和書房〈民藝叢書〉、1941年
  • 「手仕事の日本」(2015年)。以上は各 講談社学術文庫
  • 「柳宗悦コレクション 1 ひと」、「2 もの」、「3 こころ」 ちくま学芸文庫。日本民藝館監修、解説中見真理ほか、2010-11年
  • 蒐集物語」 解説柳宗理中公文庫、1989年(限定復刊2005年)、改版2014年(新版解説深澤直人)/初刊 中央公論社、1956年
  • 「木喰上人」講談社文芸文庫、2018年/大正末期に初刊

注釈

  1. ^ 初刊は、昭和書房〈民藝叢書〉全6巻(1941-43年・52年)、芹沢銈介装幀。書目は、第1篇「民藝とは何か」(柳の著書)、第2篇「琉球の文化」、第3篇「現在の日本民窯」(式場と共編)、第4篇「琉球の陶磁」、第5篇「満洲の民藝」(本山桂川著)、戦後刊で第6篇「岡山県の民藝」(外村吉之介著)。
  2. ^ 初刊は『民藝図(圖)鑑』全3巻、日本民藝協会編、宝(寶)文館、1960-63年。
  3. ^ 表記は「南無阿彌陀佛」。特製版(限定千部)も刊行。
  4. ^ 柳宗悦『芭蕉布物語』(榕樹書林、2016年)を解題担当。
  5. ^ 他に選書で、丸山茂樹「柳宗悦・河井寛次郎・濱田庄司の民芸なくらし」(社会評論社 2015年)がある。

出典

  1. ^ About the Museum”. 日本民藝館. 2019年6月11日閲覧。
  2. ^ 思想家紹介 柳宗悦”. 京都大学大学院文学研究科・文学部. 2019年6月11日閲覧。
  3. ^ 『官報』第8032号、明治43年4月5日、p.111
  4. ^ a b c d 増田穂 (2017年2月10日). “「直観」で見る「美」――『柳宗悦と民藝運動の作家たち』展 日本民藝館職員、月森俊文氏インタビュー”. シノドス. 2017年2月10日閲覧。
  5. ^ 『官報』第286号、大正2年7月12日、p.312
  6. ^ a b c d e f 民藝運動の父、柳宗悦”. 日本民藝協会. 2017年2月10日閲覧。
  7. ^ 白樺文学館の沿革、我孫子市白樺文学館”. 我孫子市ホームページ. 2017年2月10日閲覧。
  8. ^ a b c d 柳宗悦と日本民藝館”. 日本民藝館. 2017年2月10日閲覧。
  9. ^ 沿革”. 日本民藝館. 2017年2月10日閲覧。
  10. ^ 『沖縄と柳宗悦』(沖縄タイムス社編、1989年)に詳しい[要文献特定詳細情報]
  11. ^ 英文版「JAPANESE FOLK CRAFTS 柳宗悦コレクション」(マイケル・ブレーズ英訳、出版文化産業振興財団、2020年)がある。


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