義体担当官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 13:38 UTC 版)
「GUNSLINGER GIRL」の記事における「義体担当官」の解説
義体の運用と世話を担当し、担当の義体と担当官で一組の「フラテッロ(fratello、イタリア語で兄弟の意)」と呼ばれる。担当する義体に命名する権利を持つ。担当する義体の条件付けや運用は、公社の命令に反しない範囲で裁量が与えられている。二期生の担当官フィオを除き、全て成人男性である。 ジョゼッフォ・クローチェ (Gioseffo Croce) 声 - 木内秀信 / 三戸耕三 ヘンリエッタの担当官で、ジャンの3歳年下の弟。通称ジョゼ。ヘンリエッタには妹のように接しているが、逆にそのことが自身の負担になっている面もあり、義体の運用や「条件付け」についてジャンと対立することもある。劇中では何度か髪形が変わっている。 元は軍警察(カラビニエリ)の憲兵隊に所属していた。中尉としてセルビア共和国での国連平和維持軍への参加に満足しており、妹をはじめ家族を疎ましく思っていたことから、それとは無縁の戦場が好きだった。セルビアの任務が終了した後は、中東や中央アジアへの派遣を望んでいた。しかし、有名人である父の子弟が戦死や捕虜になることで生じる社会への影響を懸念した国防省の方針から、ジョゼにとっては不本意ながら帰国を命じられた。クローチェ事件で父・母・妹エンリカを亡くし、家族を疎ましく思っていたことを後悔し自暴自棄になっていたが、家族の復讐の機会を得たとしてジャンに引っ張られて社会福祉公社に転職した。 家を空けがちな両親、家族と言えど他人に興味を持たない兄に代わり、妹エンリカの面倒をみていたことからエンリカに溺愛されていた過去があり、ジョゼもそれを受け入れていた様子。その一方でエンリカのことを重荷に感じてもいた。その後、ヘンリエッタの担当官になってからは無意識のうちにヘンリエッタにエンリカを重ねて見ている。「エンリカ(Enrica)」と「ヘンリエッタ(Henrietta)」は同じ由来をもつ名前である。 ジャコモ=ダンテが表に出てきた事で復讐を果たすことに固執し始め、ヘンリエッタの条件付けを書き換えてしまう。ジャコモを首謀者とする新トリノ原発での五共和国派との最終決戦において、過去のトラウマを思い出し錯乱状態となったヘンリエッタを制止しようとして瀕死の重傷を負う。正気に戻ったヘンリエッタがエルザ・ラウーロ組と同じ結末を望んでいることを悟り、思いを受け入れる。 ジャン・クローチェ (Gian Croce) 声 - 宮本充 / 子安武人 リコの担当官。ラバロ死亡により担当官不在となったクラエスも担当する。ジョゼの3歳年上の兄。義体担当官のリーダーで、現場では無線で担当官への指示を行う。条件付けに対して何の躊躇いも無く、義体は仕事の道具であるとリコの前であっても公言し、彼女にも冷たく接している。仕事には厳しく、リコに対する体罰、同僚達への遠慮無い指導、拷問相手に過剰な暴力を振るうなど目的のためには手段を選ばない冷酷な性格だが、6巻以降は以前よりも感情的になる場面が多くなっており、リコが海に落下した際に助け、労いの言葉をかけたうえで「夕日の海を見ると悲しくなる」と自信の胸の内を明かした。 第二次世界大戦のイタリアの英雄だった祖父に憧れ、法律家になることを薦める父の意見を押し切って18歳で陸軍士官学校に入校。5年後、士官学校を次席で卒業して23歳で中尉となり新任で軍警察カラビニエリの第一パラシュート連隊に本部付き情報参謀として着任した超エリート。連隊幹部からも幹部候補として嘱望されていたが、パラシュート連隊を踏み台に特殊部隊GISに転属を上官に対しても公言していた。家族にも関心が薄く自分だけが可愛いと考えており、他人への愛情が薄いと自他共に認めていた。しかし、連隊の伍長だったソフィアと出会い、ソフィアの告白を受け入れて恋人となり婚約する。ソフィアのジャンに対する情愛は、ジャンの他人に対する情に変化をもたらしていた。ソフィアという新しい家族の存在が、バラバラだったクローチェ家の人々の関係をも好転させようとしたまさにその時、「クローチェ事件」が起こり父・母・妹とソフィアを亡くす。事件に関わったロレンツォより社会福祉公社に勧誘され、五共和国派に対する個人的な復讐を目的として籍を置くこととなる。 弟のジョゼとヘンリエッタの関係が、かつてのジョゼと妹エンリカの関係に重なっていることを密かに危惧している他、ジャン自身もエンリカに強いこだわりを持っており、6巻ではエンリカの幻影に向かって、激昂しながらも人間の弱さを認めるという場面もあり、戦い続ける事で参る墓、供える花が増えていくことを自嘲している。 新トリノ原発での五共和国派との最終決戦において、ジャコモ=ダンテとのナイフ戦で左胸を刺される。サポートに向かったリコがジャンを盾にしたジャコモにダネル NTW-20対物ライフルを向けた際、撃つ事に躊躇するリコに「ジャコモを討つ」という己の望みを叶えるため諸共に撃つことを命令し、右腹も負傷。ジャコモを討ち、瀕死の状態で本懐を遂げた感謝の言葉と別れをリコに告げるが、私のために生きてというリコの言葉に動揺する。無意識の中で誰かに呼ばれたとして重体から生還。最終話で、新右翼を監視する諜報組織の局長となっており、リコの遺影の前で左手の薬指に指輪をしているシーンがある。 ヴィクトル・ヒルシャー (Victor Hirscher) 声 - 江原正士 / 松風雅也 トリエラの担当官。ドイツ人。本名:ヴィクトル・ハルトマン (Victor Hartmann)。元は欧州刑事警察機構(ユーロポール)児童虐待取締班に派遣されたドイツ警察の警官。ユーロポール時代に遭遇した事件(「カモッラの虐殺」)に大きな影響を受けており、それがトリエラとの関係に悩む一因になっている。生真面目な性格で、過度の条件付けにも反対しているが、これもまたトリエラとの関係を複雑にしてしまっている。父親に勘当されているが、母親は今でも彼のことを気遣っており、早くドイツに戻ってくるよう説得されている。母にはイタリアの役所に勤務していると話している。 ユーロポール時代に、単純な使命感で児童を対象にしたスナッフ・フィルムの暗部に介入し、足を洗いたがっていたカモッラ幹部のマリオ・ボッシから犯行の情報を得る。その頃知り合った同僚の監察医ラシェル・ベローと共にアムステルダムのスナッフ・フィルムの撮影現場へ上司に無断で潜入を行うが、ラシェルは腹部に銃弾を受けてしまい、現場に残された少女への救急救命措置にて一命を救ったものの殉職してしまう。その少女は昏睡から回復しないもののオランダ警察は回復を期待していなかったため、オランダの入院先からマリオと共に独断で最先端医療技術を持つと噂に聞くイタリアに少女を移送し、ユーロポールに背信した。この少女が後のトリエラである。素体を求めていた公社は彼女を受け入れたものの戦闘用に義体化してしまい、ヒルシャーは事実を知って激昂するが公社の機密を知ってしまったとして処刑を待つ身となる。ジャンにトリエラの身分と自身の命の保証の取引を持ちかけられ、公社が偽造した戸籍で公社に籍を置くことになった。ラシェルの遺言と自分の希望であるトリエラを生きながらえさせるため、トリエラとフラテッロを組む。ファーストネームは本名のままだが、「ヴィクトル」と呼ぶ人間は少なく、作中では主に偽名の姓である「ヒルシャー」と呼ばれている。 任務で出会ったロベルタ・グエルフィと恋仲になるもトリエラを守ることを自身の役目だとして優先し、新トリノ原発戦では、怪我で行動不能になり敵の追跡を食い止める役目をかって出てその場に居残ったトリエラを助けるため、単独で向かいトリエラと共に殉職。決戦前にロベルタと会い、自身の遺言を書いた手紙と鍵を残していた。その鍵はスイス銀行の貸し金庫の鍵で、中の手紙には自分とトリエラの半生が綴られており、密かに採取していたトリエラの卵子というラシェルが繋いだ希望のバトンを繋いてくれることをロベルタに希望した。 マルコー・トーニ (Marco Toni) 声 - 井上倫宏 / 矢尾一樹 アンジェリカの担当官。誕生日は1968年11月28日。パンテオンの警察官として勤務しており、フランカことカテリーナにパトリツィアを紹介され恋人となる。能力を認められ内務省治安作戦中央部隊(NOCS)に移籍するも、目の負傷による視力低下を理由(口実)に解任され、一般の警察官勤務には飽き足らず退職する。友人のビアンキの紹介により社会福祉公社に入り、交通事故で重体だったアンジェリーナの担当官となった。注射を嫌がるアンジェリーナの気を紛らわすために即興で童話「パスタの国の王子様」を作り聞かせる。アンジェリーナが義体化されアンジェリカとして生まれ変わってからも、注射を嫌がるアンジェリカのために童話の創作を続けるが次第に無理が出てきて、まだ仕事が無かった二課の課員を巻き込んで創作を続けた。当初はアンジェリカには熱意を持って接していたが、繰り返し施される「条件付け」の副作用により、教えたことを忘れてしまうアンジェリカを見て失望してしまった。根は真面目で明るいが、アンジェリカへの対応を含め何事に対しても強がって冷静と客観を装っている。公社の仕事の内容が部外秘であることからパトリツィアに真実を話せなかったため、重荷になりたくないと考えた彼女から離別を切り出されてしまった。 アンジェリカが寿命間近であることを知り、彼女の夢に出てくる犬がアンジェリーナだった頃に飼っていた犬であること、今は遠縁の親戚が飼っていることを突き止め、引き合わせる。マルコーのことすら記憶から消えてしまい、アンジェリカのことで落ち込んでいるマルコーを元気付けるためにアンジェリカは、忘れてしまっていたと思われていた「パスタの国の王子様」を語って聞かせ、そして息絶えた。 公社内の墓地にアンジェリカを葬った後、現在は二期生の担当官を統括する立場となっている。新トリノ原発戦では、司令室攻略班の指揮を取るが、罠に嵌り隔壁に閉じ込められた上、水攻めに遭う。原発制御室をサンドロ・ペトルーシュカ組が陥としたことで、水攻めを回避。その後、公社の幕引きを目論む一部政府勢力から反乱軍として政府軍に包囲されたとき、降伏を勧められるなか徹底抗戦を進言する部下に、なんとしても生きていくことを説く。 クラウディオ・ラバロ (Claudio Labaro) 声 - 堀内賢雄 / 同左 クラエスの担当官。小銃の暴発により脚を負傷し軍警察を退役したジャンの元上司。退役時の階級は大尉。未練がある軍警察に公社の力で復帰するため、ジャンの誘いで3年間だけという条件で担当官になった。 ジャンはラバロに義体の命名に男性名を助言していたが、本名のミドルネームを採用した。当初はクラエスに対し突き放した接し方をしていた。射撃訓練にて7ヤード(アニメでは20ヤード)必中になるまで帰るなと指示を出し、ラバロ本人はクラエスを置いて帰るも翌日になってもクラエスが一晩中雨の中で射撃を続けていたことを知り、愕然とする。ジャンから「まずは体を上手く動かす訓練をさせた方がいい」という助言を受け、義体の操作訓練という名目でクラエスを度々釣りに連れて行くようになる。クラエスが素体時代は読書家だったのを踏まえ「いい兵士になるため」として読書を薦める。ラバロはクラエスに対し「軍警察に復帰するため」「お前には興味がない」と言い放つが、公社では教官と生徒の役割を演じる一方で次第に娘に接する父のような愛情が芽生えている様子がうかがえる。 ある日、銃の扱いが未熟なヘンリエッタを射撃場に入れたジョゼに対して、ラバロが制裁を加えたことでヘンリエッタが激昂し、ラバロを守るべくクラエスがヘンリエッタに銃を向けるという事件が起きた。こうした事件を未然に防ぐためとは言え彼女らの寿命を縮める条件付けを躊躇なく行うジャンと対立し、社会福祉公社の実態をマスコミに公表しようとするが、その直前ひき逃げに遭い死亡。その直前のクラエスとの別れ際にクラエスの素体時の眼鏡を手渡し「眼鏡をしている時はおとなしいクラエスでいてくれ」という命令ではない血の通った約束をした。その際に自室の鍵も渡したことから自分が公社により暗殺されることを予期していたと推測されるが、ひき逃げの犯人は明らかにされていない。なお、ジャコモとの決戦の直前、ジャンがクラエスに「お前には悪いことをした。今のうちに謝っておく」と伝え、さらに「すまなかった、ラバロ大尉」と心の中で謝っている。 アレッサンドロ・リッチ (Alessandro Ricci) 声 - 白石稔(ドラマCD) ペトルーシュカの担当官。通称サンドロ。アレッシオ・リッピの偽名を名のる時もある。殺伐としがちな本作におけるコメディリリーフ的な存在であり、ギャグ描写も多い。 20歳無職の時分にロッサーナに見出された直弟子で、内務省スパイ養成所を経て公安部公安1課に所属。仕事では調査対象に近しい女性と肉体関係を作り情報を得ることを専門に行っていた。軽薄そうに振舞っているが、相手の本心を窺うためである。相手の仕種や会話などからその人物の背景を見抜く抜群の人間観察能力を持つ。敵であろうと不必要に傷つけることを好まない。ペトルーシュカにはロボットではなくパートナーであることを望んでいる。 ロッサーナの私室を見た数少ない一人。ロッサーナを最も理解する人間として彼女の弱さも理解し、恋人となる。自らの人格の空白を埋めるためあらゆる知識と経験を溜めていったロッサーナの姿を真似るかのように、アレッサンドロも知識を蓄えていく。その結果、彼の私室はロッサーナのそれと同じく倉庫同然のような状態になっていった。しかしある日突然、ロッサーナは失踪。裏切られたとの想いが残った。パートナーとなる義体(ペトルーシュカ)を構築する際、ロッサーナが赤髪であったため「赤髪だけにはするな」とリクエストしているが、そのリクエストは見事に裏切られることになる。 新トリノ原発戦では、マルコー達の救出と核爆発阻止のため、司令室に篭るアシクに対し心理戦を仕掛け、床下から潜入したペトラと共に武装解除を成功させる。 ペトルーシュカ本人の希望により条件付けを解除したのち、ペトルーシュカの素体であったエリザヴェータの恋人アレクセイにペトルーシュカのバレエの動画を見せ、病死したエリザヴェータは臓器移植されて匿名の少女(=ペトルーシュカ)の身体の中で生きているとし、バレエでアレクセイが活躍することを願う。その後、恋仲であることをペトルーシュカと確認しあう。白血病でペトルーシュカが死亡した後、ペトルーシュカの遺言で北欧の親子と会いに旅立つ。 ラウーロ (Lauro) 声 - 津田英佑 / なし エルザの担当官。自分に対して忠誠と愛情を注ぐエルザに対し何の感情も持たず、彼女を単なる道具として扱っていた。そんな彼の態度がエルザを追い詰め、エルザに射殺される。原作では死体として登場し、その顔や人物像も不明のままだった。アニメ版では、そのシーンに繋がるエピソードも描かれた。公式な身分は、ローマ在住でエルザと親娘の商社マンということになっていた。 ベルナルド (Bernardo) 声:なし / 中野裕斗 ベアトリーチェの担当官。ベアトリーチェと正反対の性格で、軽めな性格でおしゃべり好き。裁判所と牢獄とを渡しているため息橋の前で、ため息橋はこの世とお別れをする橋であるとベアトリーチェに解説をし、死を最悪のこととし、臆病な自分には出来ないその仕事をする役目がベアトリーチェだとベアトリーチェに説いた。 アーネスト (Ernest) 声:内藤玲 ピアの担当官。PlayStation 2版ゲームの第3部のみに登場するオリジナルキャラクター。ピアと共に公社から脱走、五共和国派への亡命を図る。
※この「義体担当官」の解説は、「GUNSLINGER GIRL」の解説の一部です。
「義体担当官」を含む「GUNSLINGER GIRL」の記事については、「GUNSLINGER GIRL」の概要を参照ください。
- 義体担当官のページへのリンク