製造業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 14:02 UTC 版)
日本
都道府県別の出荷額では、愛知県、静岡県、神奈川県、大阪府、兵庫県の順に多い。また、産業別では、輸送用機械、一般機械、化学、食料品、電子部品・デバイスの順に多く上位5産業で全体の5割強を占める[1]。
課題としては、日本の製造業の大部分を支えている中小製造業のIT化が進んでいないことが挙げられる。特にEDI(電子データ交換)に関しては、1割以上の調達先とEDIで取引・提携をしている中小製造業は過半数にも満たない[2]。
その他
産業分類の見直し
製造業の産業分類(産業区分)については、その時々の情勢や政策にとっての重要度によって、細分化や統合、移動が行われる。例えば、日本標準産業分類の2002年(平成14年)3月改訂版においては、電気機械器具製造業を分割して、新たに電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、電子部品・デバイス製造業の3業種(中分類に相当)が1998年(平成10年)に新しく起こされた。
これは、いわゆるIT革命により製造業における電気機械器具製造業(電機産業と呼ばれることもある)の占める割合が大きくなり、より細かく分類する必要が生じたため。
類似産業の分類
日常的な感覚からすると似たような分類になりそうな製造業でも、分類上はまったく別のものに属する場合がある。例えば印刷業は製造業だが、新聞・出版業は第三次産業となったり(ただし、新聞・出版業は審議会でも議論の対象になったことがあり、製造業に入っていた時期もあった)、パソコンは情報通信機械器具製造業だが、ゲーム機はその他の製造業(がん具・運動用具製造業)になったりしている。また、兵器類については専用の項目がその他の製造業に設けられており、例えば戦車や戦闘機を生産しても、輸送用機械器具製造業が増加することはない。
なお、兵器製造業は秘匿産業であり、国内総生産等を計算する場合には推計処理される。
文化との密接
中野剛志はマサチューセッツ工科大学(MIT)を中心に作成された『メイド・イン・アメリカ(Made in America)』において、「製造業、モノづくりの強さというのは、その国の国民性や文化と切り離せないと述べられていることを例に出し、日本の製造業の輸出産業の強さというのは、日本文化と密接に関っている」としている。また、「製造業を発展させるためには、勤勉さ、人と協力し合う習慣、倹約して将来のために投資しようとする精神など、様々な文化的条件や過去の蓄積が必要となり、一般労働者の水準が高く、彼らが意欲的に参加意識をもって集団行動することが不可欠である」としている[3]。
生産高の順位
世界銀行による、製造業生産高の上位50カ国を以下に示す[4]。
順位 | 国と地域 | $US(100万) | 年 |
---|---|---|---|
世界総計 | 13,739,251 | 2019 | |
1 | 中国 | 3,853,808 | 2020 |
2 | アメリカ | 2,341,847 | 2019 |
3 | 日本 | 1,027,967 | 2018 |
4 | ドイツ | 678,292 | 2020 |
5 | 韓国 | 406,756 | 2020 |
6 | インド | 339,983 | 2020 |
7 | イタリア | 280,436 | 2020 |
8 | フランス | 241,715 | 2020 |
9 | イギリス | 227,144 | 2020 |
10 | インドネシア | 210,396 | 2020 |
11 | ロシア | 196,649 | 2020 |
12 | メキシコ | 185,080 | 2020 |
13 | カナダ | 159,724 | 2017 |
14 | アイルランド | 153,311 | 2020 |
15 | スペイン | 143,052 | 2020 |
16 | ブラジル | 141,149 | 2020 |
17 | トルコ | 135,596 | 2020 |
18 | スイス | 133,766 | 2020 |
19 | タイ | 126,596 | 2020 |
20 | オランダ | 99,940 | 2020 |
21 | ポーランド | 99,146 | 2019 |
22 | サウジアラビア | 90,774 | 2020 |
23 | オーストラリア | 76,123 | 2020 |
24 | マレーシア | 75,101 | 2020 |
25 | シンガポール | 69,820 | 2020 |
26 | オーストリア | 67,881 | 2020 |
27 | スウェーデン | 67,146 | 2020 |
28 | フィリピン | 63,883 | 2020 |
29 | ベルギー | 63,226 | 2020 |
30 | エジプト | 58,790 | 2020 |
31 | ベネズエラ | 58,237 | 2014 |
32 | バングラデシュ | 57,283 | 2019 |
33 | ナイジェリア | 54,760 | 2020 |
34 | チェコ | 53,189 | 2020 |
35 | アルゼンチン | 53,094 | 2020 |
36 | プエルトリコ | 49,757 | 2020 |
37 | デンマーク | 47,762 | 2020 |
38 | ベトナム | 45,273 | 2020 |
39 | イスラエル | 42,906 | 2019 |
40 | アルジェリア | 40,796 | 2019 |
41 | ルーマニア | 38,404 | 2020 |
42 | イラン | 38,174 | 2019 |
43 | フィンランド | 37,520 | 2020 |
44 | アラブ首長国連邦 | 36,727 | 2019 |
45 | 南アフリカ | 34,804 | 2020 |
46 | パキスタン | 30,452 | 2020 |
47 | コロンビア | 29,894 | 2020 |
48 | ペルー | 29,701 | 2019 |
49 | ハンガリー | 27,956 | 2020 |
50 | ポルトガル | 27,408 | 2020 |
- ^ 2009年(平成21年)工業統計
- ^ 株式会社エクス コラム 「中小製造業はEDIを利用しているか?」 2017年11月7日閲覧
- ^ 中野剛志・柴山桂太 『グローバル恐慌の真相』 39頁。
- ^ “Manufacturing, value added (current US$)”. 世界銀行. 2021年7月14日閲覧。
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