社会 社会行為

社会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/21 15:34 UTC 版)

社会行為

社会行為 (Social action) とは対象が他者である人間の行為を言い、日常的な会話から政治的な圧力まであらゆる行為がこれに含まれる。ただし自給自足の生活・個人的な信仰などは行為の対象が他者でないためにこれに含まれない。

行為の根本的な理由は欲求であるが、人間の欲求は単一の原理ではない。心理学者のアブラハム・マズロー自己実現理論によれば段階的に発展するものであり、生理的欲求・安全の欲求・親和欲求・自尊欲求・自己実現欲求と発展していくものとした。しかし欲求が直接的に社会行為を行わせるのではなく、社会化によって内面化している規範、行為のために利用できる資源などがその行為を行うべきかどうかの判断に影響する。このように社会行為は欲求・規範・資源から総合的に目的が判断されるが、この意思決定も行為の目的に付随する効果から導かれる場合と行為そのものに付随している目的から導かれる場合がある。前者は自己充足的行為、後者は手段的行為として区別され、例えば本を読むとしてもそれが自分の純粋な知的好奇心を満たすためである限りは自己充足的行為であるが、試験対策などのためであれば手段的行為である。

行為の分類についてマックス・ヴェーバーはその性格から四つに類型化する。まず非合理的行為としてまとめられるものにそれまでの習慣に基づいて行われる伝統的行為、そして感情の起伏に基づいた感情的行為が挙げられる。次に合理的行為としてまとめられる価値観に基づいた価値合理的行為と価値観に基づきながらも設定した目的を達成するために計画的に実行する目的合理的行為がある。また社会心理学では社会行動を社会の構成員が相互に他者と合力・助力や分業を行う協力、相互に他者と競争や攻撃を行う対立、社会生活そのものから離脱する逃避と区分する[7]


  1. ^ 富永健一『社会学講義 人と社会の学』(中公新書、2003年)15頁
  2. ^ 増井金典『日本語源広辞典』ミネルヴァ書房、2010年、420頁。 
  3. ^ 小松寿雄 編『新明解語源辞典』三省堂、2011年、466頁。 
  4. ^ 柳父章『翻訳語成立事情』岩波書店、1982年4月20日。 
  5. ^ 久木幸男「「社会教育」遡源」『教育学部論集』1991年12月15日。 
  6. ^ 小学館国語辞典編集部 編『日本国語大辞典 第6巻』小学館、2007年、1077頁。 
  7. ^ 南博『社会心理学入門』(岩波書店、1958年)21頁






社会と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「社会」に関係したコラム

  • FXの口座開設の条件は

    FX(外国為替証拠金取引)の口座を開設するには、FX業者の設けた基準をクリアしなければなりません。ここでは、一般的な基準をまとめています。なお、基準はFX業者によりまちまちのため、すべてのFX業者に該...

  • CFDの口座開設時における契約内容は

    CFDの口座を開設する時には、CFD業者の提示する契約書に同意しなければなりません。契約書には、銀行に口座を作る時や商品を分割で支払う際のクレジット契約の時などと同様に細かく取引時のルールが明記されて...

  • CFDの口座開設の方法

    CFDの取引を行うには、CFD業者の口座を開設する必要があります。ここでは、口座開設までの手続きの方法について解説します。ほとんどのCFD業者では、Webサイトから口座開設の手続きができます。まず、口...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「社会」の関連用語

社会のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



社会のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの社会 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS