理化学研究所 理化学研究所の概要

理化学研究所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/07/06 09:32 UTC 版)

理化学研究所
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正式名称 理化学研究所
英語名称 RIKEN
略称 理研
組織形態 国立研究開発法人
所在地 日本の旗 日本
351-0198
埼玉県和光市広沢2-1
北緯35度46分49.37秒
東経139度36分44.96秒
予算 844億円(2013年度)[1]
人数 3390名(2013年4月1日時点)[1]
理事長 松本紘
活動領域 自然科学
設立年月日 1917年大正6年)
設立者 渋沢栄一
所管 文部科学省
下位組織 #研究拠点の節を参照
関連組織 理研グループ
ウェブサイト http://www.riken.go.jp
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概要

本所(埼玉県和光市)の研究本館

1917年大正6年)に創設された物理学化学工学生物学医科学など基礎研究から応用研究まで行う日本国内唯一の自然科学系総合研究所である。国際的に高い研究業績と知名度を持つ研究所であり、日本国外では"RIKEN"の名称で知られている。

鈴木梅太郎寺田寅彦中谷宇吉郎長岡半太郎嵯峨根遼吉池田菊苗本多光太郎湯川秀樹朝永振一郎仁科芳雄菊池正士など多くの優秀な科学者を輩出した。

戦前は理研コンツェルンと呼ばれる企業グループ(十五大財閥の一つ)を形成したが、太平洋戦争の終結と共にGHQに解体された。

1958年(昭和33年)に特殊法人「理化学研究所」として再出発し2003年(平成15年)10月に文部科学省所管独立行政法人「独立行政法人理化学研究所」に改組された。2015年(平成27年)4月「国立研究開発法人理化学研究所」に名称変更[2]

沿革

財団法人 理化学研究所

大正期の理化学研究所
  • 1917年(大正6年)に渋沢栄一を設立者総代として皇室政府からの補助金、民間からの寄付金を基に「財団法人理化学研究所」を東京都文京区駒込に設立。伏見宮貞愛親王が総裁、菊池大麓が所長に就任。
  • 1921年(大正10年)に大河内正敏が3代目所長に就任し研究室制度を打ち出す。神奈川県藤沢市の大日本醸造株式会社内に大和醸造試験所を設立し合成酒の製造研究を開始。
  • 1922年(大正11年)、研究室制度が発足。主任研究員に大幅な自由裁量が与えられ、主任研究員は帝国大学教員との兼任を認め、研究室を帝国大学に設置することを許可した。また、主任研究員が予算、人事権を握り、研究テーマも自主的に設定。この研究室制度は理化学研究所を活性化したが、費用対効果を考えない研究費の投入はたちまち理研を財政難に陥れた。
    ビタミンA製剤「理研ヴィタミン」の雑誌広告(1938年昭和13年))。こうした商品の収益が「科学者たちの楽園」を支えた。
    同年、鈴木梅太郎研究室所属の高橋克己が、長岡半太郎寺田寅彦の助力を得てタラの肝油から世界で初めてビタミンAの分離と抽出に成功した。試作品として売り出したところ、肺結核の特効薬との噂が広まり患者の家族らが殺到、大河内はその様子を見てこれを製品化することを決断し、鈴木梅太郎研究室をせきたてて4ヶ月で製品化にこぎつけた。既存の医薬品企業と提携せずに理研の自主生産で「理研ヴィタミン」を販売し、その販売収益により財政難は解消に向かうこととなった。1924年(大正13年)には理研の作業収入の8割をビタミンAが稼ぎ出す状況であった。ビタミンAの1カプセルあたりの製造原価は1~2銭だったが、これを10銭で直接販売して暴利を得ていたのである。
  • 1927年(昭和2年)に、理研の発明を製品化する事業体として理化学興業を創設し、大河内が自ら会長に就任した。理化学興業と理化学研究所は工作機械、マグネシウムゴム、飛行機用部品、合成酒など多数の発明品の生産企業を擁する理研産業団(理研コンツェルン)を形成してゆく。最盛期には会社数63、工場数121の大コンツェルンとなった。1939年(昭和14年)の理研の収入370万5000円のうち、特許料や配当などの形で理研産業団各社が納めた額は303万3000円を占めた。その年の理研の研究費は231万1000円だったので、理研は資金潤沢で何の束縛もない「科学者たちの楽園」だった。のちに理研コンツェルンの事業を継承した会社にはリコー理研グループと呼ばれる企業群がある。
  • 1937年(昭和12年)に仁科芳雄研究室が日本で最初のサイクロトロンを完成させた。1943年(昭和18年)に大型サイクロトロンを完成させた。
  • 1941年(昭和16年)、陸軍の要請を受け、仁科芳雄が中心となって原子爆弾開発の極秘研究(ニ号研究)を開始。
  • 1946年(昭和21年)、太平洋戦争終結とともに連合国軍最高司令官総司令部の指命により理化学研究所、理研工業(理化学興業の後身)、理研産業団は解体され、仁科研究室のサイクロトロンも海中に投棄された。公職追放された大河内に代わって仁科芳雄が第4代所長に就任。

株式会社 科学研究所

  • 1948年(昭和23年)、「株式会社科学研究所」(初代社長仁科芳雄)発足。財団法人理化学研究所は正式に解散した。
  • 1952年(昭和27年)、株式会社科学研究所(新社)設立。旧社は科研化学株式会社に改称し、純民間企業となる(のちの科研製薬株式会社)
  • 1956年(昭和31年)、「株式会社科学研究所法」が制定され、政府の出資を受ける。

特殊法人 理化学研究所

  • 1958年(昭和33年)に「理化学研究所法」が制定され、特殊法人「理化学研究所」として新たに発足した。
  • 1967年(昭和42年)、埼玉県北足立郡大和町(現在の和光市)に大和研究所(現:和光本所 和光研究所)を開設、本拠地を駒込からここへ移転。
  • 1984年(昭和59年)、ライフサイエンス筑波研究センター(現:筑波研究所)を筑波研究学園都市(茨城県つくば市)に開設。

独立行政法人 理化学研究所

国立研究開発法人 理化学研究所

  • 2015年(平成27年)4月、「国立研究開発法人理化学研究所」に名称変更[2]

特殊法人以降の歴代理事長

氏名 在任時期 備考
初代 長岡治男 1958年10月 - 1966年10月 元日本合板船社長、長岡半太郎の長男
第2代 赤堀四郎 1966年12月 - 1970年4月 大阪大学名誉教授、元大阪大学総長
第3代 星野敏雄 1970年04月 - 1975年4月 東京工業大学教授
第4代 福井伸二 1975年04月 - 1980年4月 千葉工業大学理事長
第5代 宮島龍興 1980年04月 - 1988年4月 筑波大学学長
第6代 小田稔 1988年04月 - 1993年9月 東京大学教授、元宇宙科学研究所教授
第7代 有馬朗人 1993年10月 - 1998年6月 東京大学名誉教授、元東京大学総長
第8代 小林俊一 1998年08月 - 2003年9月 東京大学名誉教授
第9代 野依良治 2003年10月 - 2015年3月 名古屋大学特別教授、ノーベル化学賞受賞者
第10代 松本紘 2015年4月 - 現職 京都大学総長

※第8代までは特殊法人、第9代からは独立行政法人の理事長。

国立研究開発法人 理化学研究所

設置法令

国立研究開発法人理化学研究所法
その目的は、第4条にある。「理化学分野における、平和的かつ産業に資する活動を行うことで、わが国産業の技術革新を推進し、公共の利益に資することである」。

研究拠点

日本国内の研究拠点
研究所の本拠所在地とは別の都市に研究拠点を置いているものはそれも付記。
日本国外の研究拠点

業務解説

  • 本所には国家プロジェクト汎用京速計算機の研究開発を取り纏める次世代スーパーコンピュータ開発実施本部が置かれている。
  • 和光研究所内の中央研究所では物理学生物生命科学化学等の基礎研究を行っている。事務部門・広報部門等の理化学研究所全体の支援部門も含む。
  • フロンティア研究システムは次世代研究のための先端的研究を行う部門として設置。基本的には、大学及び産業界とのコラボレーションによって、研究テーマが設定される。COEプログラムと同様にして、時限付きでプロジェクトが進行して、成果等によって評価され、研究継続か中止かの判断が行われる。現在[いつ?]のところ、後者の中止の判断はない。
  • 脳科学総合研究センターは以前フロンティア研究センターの一部門であったが、陣容の拡充の終了、研究テーマを継続する決定が行われたこと(日本学術会議)などによって、フロンティア研究センターから分離し、永続的研究センターとして位置づけられている『元グループディレクターは伊藤正男(のちの沖縄科学技術大学院大学)』。
  • 仁科加速器研究センターは仁科芳雄名誉教授を記念する研究センターで、主として重イオン加速器やリニアック、放射光実験などの研究を行うセンターである。現在[いつ?]RIビームファクトリーの運用に向けた準備が進められている。
  • 神戸研究所は京都大学再生医科学研究所などとのコラボレーションによって設置され、発生医学の基礎的研究と再生医学の実用化に向けた研究が行われている。製薬関連の研究も行っており、分子イメージング技術の研究設備を併せ持つ。また、2012年9月から近隣に次世代スーパーコンピュータ「」を稼働している[8]
  • 横浜研究所ではDNAからたんぱく質までの生命科学全般にわたる研究を行っており、日本最強磁場を持つ物質解析用NMRを運用し、実験を行っている。また、GRAPE-DRの兄弟機であるProtein Explorerが稼動中。
  • 筑波研究所では独立行政法人農業生物資源研究所などとのコラボレーションによってゲノムリソースやゲノムアーカイブ等の研究を行っている。また、P-2隔離実験施設を運用している。
  • 2007年より企業などと連携したセンターを設置できるようになり[9]
  • 理研BSI-オリンパス連携センター - オリンパスとの連携、2007年6月設置。
  • 理研-東海ゴム 人間共存ロボット連携センター(RTC) - 東海ゴム工業との連携、2007年8月設置。
などが設置されている。

組織の特徴

各拠点毎に研究組織を持つ。一般の研究所のように教授職、准教授職などの一般職以外の特徴を以下に示す。

フロンティア研究センターはグループディレクター制を採用しており、グループディレクターを中心にして、研究プログラムの複数年次に渡る研究が行われている。グループディレクター制とは、任期付きの教授のようなものであるが、21世紀COEプログラムのように人事権、及び予算権を持つ。

科学技術庁所管の特殊法人であったため、主に産業界との連携を重視。そのため、グループディレクターとは理化学研究所において実施する研究開発のプロジェクトマネージャー的な存在である。

グループディレクターがプロジェクトマネージャーならば、プログラムディレクターはプロジェクトリーダである。グループディレクターを補佐する、複数のプロジェクトリーダーが所属し、各専門別研究テーマを遂行する。

雇用と職制

本所(和光研究所)の人事担当者が各研究所及びフロンティア研究センターから人材確保の要望を受けて求人を行い、求人担当である教授またはグループディレクターが面接を実施する。教授やグループディレクターの権限が国立大学等よりも大きく、雇用の可否が教授もしくはグループディレクターの判断によって決定される点が普通の国公立の研究機関との違いである。

しかしながら、主任研究員(大学における教授准教授講師に相当)以上の場合には、公募職のため、理化学研究所運営理事会の議決を持って行う。

一部の研究者及び事務系職員を除いて、大半の者は1年契約であり、1年ごとに厳しい研究評価をくだされる。任期制の職員に退職金は無い[10]。研究業績が基準に満たされない時は、雇用が解消される。一方で、年契約のシステムは研究者の流動性を生んでいる。優秀な研究者は理研で研究成果をあげて、ステップアップをかねて他の研究機関に移っていく。

一般の大学や大学院と同じ職制と、産業技術総合研究所の職制に該当する職制となっている。事務系職員に関しては、評議官もしくは監事職相当の職務まである。

戦前から伝統的に「研究に男女差は無い」という方針で運営し、現在でも多数の女性職員が在籍している[11]2006年6月6日には男女共同参画推進委員会を設置した[12]

幹部職員
  • 理事会(理事長・理事・外部理事)
  • 監事会(監査官・評議員)
  • 評議員会(各研究センターの事務職の長からなる会議)
  • センター長会(各研究センターの長からなる会議)
常勤職員
  • 研究系
    • センター長、グループディレクター、プログラムディレクター
    • 高等主任研究員、主任研究員、上席研究員、グループリーダー、チームリーダー、ユニットリーダー
    • 研究員(博士および研究経験者)
    • ポスドク研究員(特別研究員)
    • リサーチアソシエイト
    • テクニカルスタッフI , II
    • ジュニアリサーチアソシエイト
  • 技術系
    • 技術部長(グループディレクター)
    • 高等主任技術者
    • 主任技術者
    • 技術者
    • 技能者
  • 事務系
    • 事務センター長
    • 高等主任企画官
    • 主任企画官
    • 高等主任事務官
    • 主任事務官
    • 事務官
非常勤職員
  • 博士研究員(ポスドク研究員)
  • 契約技術者(プロパー)
  • 秘書・アシスタント職員
  • 客員研究員
  • 客員技術者
  • 招請研究員
  • 招請技術者

付記)以前は非常勤職員(最大3年)でも、業績を挙げると常勤職員へ登用されることがあったが、近年[いつ?]では著しく業績を挙げてもほとんど登用されず、外部への転出が求められる。技術系・事務系の場合には、非常勤職務中に国家公務員試験(Ⅰ種)合格者は自動的に常勤職員へ登用される。

一般公開

年に1回、和光本所を初めとして、各研究拠点毎に特別公開を実施。和光本所の場合には、ゴールデンウィーク期間などを活用して実施。研究紹介を行う。




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  1. ^ a b 理化学研究所 人員・予算 2014年2月5日 閲覧
  2. ^ a b 研究所名称変更のお知らせ(2015年4月1日)
  3. ^ 理化学研究所設置に関する建議案委員会. 第36回帝国議会. 【6月】. 大正4年6月7日 · 第1号 · 大正4年6月8日 · 第2号. 帝国議会会議録検索システム
  4. ^ “再生研が名称変更 「多細胞システム形成研究センター」に 理研”. 神戸新聞. (2014年11月20日). http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201411/0007520167.shtml 2014年11月21日閲覧。 
  5. ^ “多細胞システム形成研究センターが始動” (プレスリリース), 理化学研究所多細胞システム形成研究センター, (2014年11月21日), http://www.cdb.riken.jp/jp/04_news/articles/14/141121_cdb.html 2014年11月21日閲覧。 
  6. ^ “理研:小保方さんは一研究員に 再生研を再編”. 毎日新聞. (2014年11月14日). http://mainichi.jp/select/news/20141115k0000m040032000c.html 2014年11月21日閲覧。 
  7. ^ 2014年11月21日に「発生・再生科学総合研究センター」から改組[4][5]。英語名称は「Center for Developmental Biology」のまま[6]
  8. ^ 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会(第41回)配付資料 (参考1)次世代スーパーコンピュータ施設の立地地点を神戸に決定 平成19年3月28日 独立行政法人理化学研究所文部科学省、2007年3月28日。(理化学研究所が公表したプレスリリース - アーカイブ
  9. ^ “「理研-東海ゴム 人間共存ロボット連携センター」を開設 ―介護現場で“やさしく”働く「支援ロボット」の導入を目指す―” (PDF) (プレスリリース), (2014年8月1日), http://www.tokai.co.jp/pressrelease/2007/n07-08-01.pdf 2014年9月19日閲覧。 
  10. ^ 【理研STAP会見詳報】(4)懲戒処分対象なのに退職願受理「なぜ非常識なことを」記者の追及に理研「これ以上の負担は…」(1/3ページ) - 産経ニュース、2014年12月19日
  11. ^ 理研の男女共同参画の現状について(独立行政法人理化学研究所 総務部長 大河内 真) - 平成16年度 文部科学省・女性の社会参画支援促進事業
  12. ^ 理研 環境報告書2009|男女共同参画への取り組み
  13. ^ “STAP細胞:理研、調査に8360万円 突出した代償に”. 毎日新聞. (2015年3月21日). http://mainichi.jp/select/news/20150321k0000m040158000c.html 2015年3月24日閲覧。 
  14. ^ 時事通信社 (2014年5月9日). “理研の特定研究法人先送り=STAP細胞問題で 下村文科相など”. WSJ. http://jp.wsj.com/article/JJ10016926435180684582116497382533504113200.html 2014年5月9日閲覧。 
  15. ^ “「特定国立研究開発法人」への指定問題”. 時事ドットコム. http://www.jiji.com/jc/foresight?p=foresight_12702 2014年5月31日閲覧。 
  16. ^ 矢吹孝文、市原研吾 (2014年6月22日). “理研、誤ったマウスを提供 41機関、研究に支障も”. http://www.asahi.com/articles/ASG5Y7T26G5YPTIL03P.html 2014年7月21日閲覧。 
  17. ^ “理研、前北京事務所長を提訴 1200万円不正送金”. 朝日新聞. (2014年8月8日). http://www.asahi.com/articles/ASG885VX3G88ULBJ00J.html 2014年8月9日閲覧。 
  18. ^ “元職員による公印等の不正持ち出し及び不正送金等について”. 理化学研究所. (2014年8月8日). http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140808_1/ 2014年8月8日閲覧。 
  19. ^ a b c ウィリアム・ブロード、ニコラス・ウェイト 著 『背信の科学者たち-論文捏造はなぜ繰り返されるのか?』 牧野賢治 訳、講談社、2014年6月、320-321頁。ISBN 978-4-06-219095-4
  20. ^ “研究不正再発防止をはじめとする高い規範の再生のためのアクションプラン” (プレスリリース), 理化学研究所, (2014年6月) 


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