日本医療研究開発機構とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 日本医療研究開発機構の意味・解説 

にほん‐いりょうけんきゅうかいはつきこう〔‐イレウケンキウカイハツキコウ〕【日本医療研究開発機構】

読み方:にほんいりょうけんきゅうかいはつきこう

医療分野の研究開発およびその環境整備実施助成について中核的な役割を担う機関として、平成27年20154月創設された、内閣府所管国立研究開発法人複数省庁管轄していた予算一元的管理し、国が定め戦略基づいて大学・研究機関等に研究費配分するAMEDJapan Agency for Medical Research and Development)。


日本医療研究開発機構

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/14 13:36 UTC 版)

国立研究開発法人日本医療研究開発機構
正式名称 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
英語名称 Japan Agency for Medical Research and Development
略称 AMED
組織形態 国立研究開発法人
本部所在地 日本
100-0004
東京都千代田区大手町一丁目7番1号
読売新聞ビル20階
法人番号 9010005023796
予算 1248億円(2023年度)[1]
人数 447人 (2023年度)
理事長 中釜斉
設立年月日 2015年4月1日
所管 内閣府
文部科学省
厚生労働省
経済産業省
ウェブサイト www.amed.go.jp/en/
テンプレートを表示

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(にほんいりょうけんきゅうかいはつきこう、Japan Agency for Medical Research and Development)は、内閣府所管国立研究開発法人。略称は、AMED(エーメド[2]、エーメッド)。

概要

医療分野の研究開発の基礎から実用化までの一貫した推進体制の構築、成果の円滑な実用化に向けた体制の充実、研究開発の環境整備を総合的に行うことを目的としている[3]。また、これまで進んでいなかった産学など各機関の連携や治験や創薬などの実用化に力を入れるとされる[4]

本部は東京都千代田区に存在し、理事長は三島良直が務める。

経緯

日本医療研究開発機構設立式典にて看板を除幕する日本医療研究開発機構理事長末松誠(右端)、内閣総理大臣安倍晋三(右から2人目)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)甘利明(左から2人目)、内閣総理大臣補佐官(国土強靱化及び復興等の社会資本整備、地方創生並びに健康・医療に関する成長戦略担当)和泉洋人(左端)(2015年4月3日読売新聞ビルにて)

日本医療研究開発機構は2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略」で検討が開始された[5]。医療分野ではこれまで研究開発を文部科学省厚生労働省経済産業省がバラバラに支援し基礎研究から実用化までの一貫体勢が存在せず、臨床研究や治験のための研究体制にも不備が存在し、医薬品開発は盛んであるが日本の医薬品・医療機器の貿易赤字額は拡大傾向にあった[6]。これらの問題の解決のため、医療分野の研究開発を総合的に推進する司令塔機能として日本医療研究開発機構が設立されることとなった[6][7]。設置法は世界最高水準の医療の提供に資する研究開発等で健康長寿社会の形成に資することを目的にしている[6]

発足に先立ち、2013年6月10日に日本生化学会日本分子生物学会日本免疫学会日本癌学会日本神経科学学会、日本細胞生物学会、日本ウイルス学会は連名で基礎研究予算の縮小につながる恐れがあるとの懸念を表明した[8][9]

2015年4月1日に発足[5]、発足時には安倍晋三首相も立会い除幕を行った[10]

事業

医薬品創出、医療機器開発、革新的医療技術創出、再生医療、ゲノム医療、がん[5]、臨床研究の拠点作り、認知症、感染症などのプロジェクトを行っている[11]。子供の未診断疾患の治療法開発などにも取り組んでいる[12]。また感染症実用化研究事業(新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業)に伴う、国内未発売の抗寄生虫薬・熱帯病治療薬の備蓄・無償提供の拠点となっている。

2016年にはアメリカ合衆国国立衛生研究所(NIH)と協力の覚書を結び、ワシントンD.C.ロンドンシンガポールなどに海外拠点を作ることを発表した[13]。2016年2月21日には感染症研究国際展開戦略プロジェクト(J-GRID)として新潟大学医学部がミャンマーヤンゴンに研究拠点を設けることになった[14]

2017年に創設された日本医療研究開発大賞に、日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を授与している。

発足後に報道されている懸念

新型コロナウイルスのパンデミック発生時において、最大のワクチン開発予算である約100億円を、数十人の社員からなるベンチャー企業アンジェス社に交付した。しかし、アンジェス社はワクチン開発から事実上すぐに撤退している[15]。アンジェス社の社員の平均年齢は60歳に近い[16]。アンジェス社の創業者である森下竜一については、元総理大臣(故人)との関係も取り沙汰されている[15]

小保方晴子STAP細胞を追及したことで大宅壮一ノンフィクション賞科学ジャーナリスト大賞を受賞した須田桃子は、書籍「誰が科学を殺すのか」の出版を記念して2019年12月20日に開催された毎日新聞のイベント[17]において、これまでの取材を通じて最も驚きや怒りを感じたことは内閣府主導の巨大プロジェクトのずさんさだと述べている[18]

  1. ^ 機構概要”. 日本医療研究開発機構. 2024年1月7日閲覧。
  2. ^ 機構概要 名称”. 日本医療研究開発機構. 2015年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月2日閲覧。
  3. ^ 機構の紹介”. 日本医療研究開発機構. 2016年3月5日閲覧。
  4. ^ 医療研究を成長戦略に、司令塔「医療研究開発機構」発足”. 朝日新聞 (2015年4月2日). 2016年3月5日閲覧。
  5. ^ a b c 日本医療研究開発機構、約300人体制で発足”. m3.com (2015年4月4日). 2016年3月5日閲覧。
  6. ^ a b c 健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案の概要”. 首相官邸. 2016年3月5日閲覧。
  7. ^ 第3回 健康・医療戦略参与会合 議事次第
  8. ^ 日本版NIH創設で学会が声明/基礎研究縮小の懸念
  9. ^ 健康医療分野における研究助成のあり方について(緊急声明)
  10. ^ 日本医療研究開発機構の発足式”. 時事ドットコム (2015年4月3日). 2016年3月5日閲覧。
  11. ^ 始動・医療新戦略(中)多彩な人材、独自治療を探る”. yomiDr. (2015年7月7日). 2016年3月5日閲覧。
  12. ^ 未診断疾患 : 研究を促進 全国の医療機関”. 毎日新聞 (2015年7月23日). 2016年3月5日閲覧。
  13. ^ 医療研究機構、米機関と共同研究 16年度に初の海外拠点”. 日本経済新聞 (2016年1月12日). 2016年3月5日閲覧。
  14. ^ 新潟大医学部、ミャンマーに拠点”. 新潟日報 (2016年2月22日). 2016年3月5日閲覧。
  15. ^ a b 「薬の認可は政治力のおかげ?」「安倍政権に救われた」「開発失敗しても75億円返さなくていい」…大阪万博を仕切る教授が操る「国民もビックリするしかない国のデタラメなカラクリ」(現代ビジネス)”. Yahoo!ニュース. 2023年8月15日閲覧。
  16. ^ アンジェス 基本情報”. 日本経済新聞 電子版. 2023年6月27日閲覧。
  17. ^ 毎日メディアカフェ:日本の科学分野 研究力衰退語る 毎日新聞3記者 /東京”. 毎日新聞. 2023年8月15日閲覧。
  18. ^ 毎日メディアカフェ - 毎日メディアカフェの記者報告会「『誰が科学を殺すのか』の舞台裏」が12月13日、毎日ホールで開...”. www.facebook.com. 2023年8月15日閲覧。

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「日本医療研究開発機構」の関連用語

日本医療研究開発機構のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



日本医療研究開発機構のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの日本医療研究開発機構 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS