国鉄分割民営化 民営化後

国鉄分割民営化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 07:12 UTC 版)

民営化後

運行の現代化

民営化が事実上決まった後に実施された1986年11月1日ダイヤ改正以降、各地域の特性に合わせたダイヤの設定や新型車両の投入が行われた。そのほか、関西圏の幹線[注釈 10]などに代表される縦割り的なダイヤ設定の解消が図られたことにより、ニーズに合った列車設定がなされるようになった。旧式車両や自動列車停止装置(ATS)[注釈 11]の更新も行われた。

当時、国鉄の輸送機関別のシェアは凋落の一途をたどり、鉄道は「斜陽産業」とも言われた。だが、民営化以降は減少が止まり、微増に転じたことから「鉄道の復権」とも言われるようになった[21]。また、増発や新駅の設置、駅舎改良も積極的に実施されたことにより混雑は大幅に緩和された[22]。また、折からのバブル景気の追い風もあって利用者は本州3社は約20%増となり、国鉄時代は減少が続いていた3島でも九州約10%増、四国約20%増、北海道約25%増(1987年 - 1995年比)と大幅に増加した[23]。また、都市近郊区間を中心に複線化や電化が行われている[注釈 12]

国鉄時代より、「私鉄王国」として知られた関西で並行する大手私鉄との激しい競争に晒されていた京阪神地区のJR西日本は、アーバンネットワークの拡充によって私鉄を凌駕するまでになった。一方、信楽高原鐵道列車衝突事故JR福知山線脱線事故日勤教育問題などが発生し[注釈 13]、市場原理を優先するあまり安全性を軽視したことが遠因ではないかとの指摘がある。ただし国鉄時代でも事故は多発していたこと、統計によれば民営化後に鉄道事故は減少していること、JRグループよりも私鉄各社の方が事故が少ないことなどから、民営化とは関係ないという反論もある[24][注釈 14]

JR東日本東北地区では「都会型」などの謳い文句でオールロングシートのJR東日本701系電車をデビューさせ、さらに編成数を削減したため波紋が広がった[25]。そのため、仙台都市圏以外の東北地方ではマイカー高速バスへの逸走が進むことになった。

運賃体系の分離

国鉄時代は、それまで運賃値上げが抑制されていたこともあり、1976年10月に約50%もの運賃値上げを実施し、1978年以降、1983年を除き、1986年までほぼ毎年運賃値上げを繰り返した。しかし、民営化以降は本州会社は基本制度としての運賃値上げを行っていない(消費税導入時の1989年4月、1997年4月と2014年4月と2019年10月の消費税率改定時に、運賃に消費税分の金額上乗せを実施)。一方、経営環境が厳しい三島会社は1996年の運賃値上げ、及び本州会社とまたがって乗車した場合の加算運賃追加が実施され、2019年10月にJR北海道の消費税増税分を上回る運賃値上げを、さらに2023年5月にJR四国が運賃値上げを行い、これ以降運賃体系は三島会社と本州会社間をまたがって乗車した場合を除き全国一律ではなくなった。

寝台列車の衰退

分割民営化によって縮小・廃止が懸念されていた複数の会社に跨るブルートレイン等の長距離列車は分割民営化時点では多くが残り、更に1988年の青函トンネル瀬戸大橋開業で多くの会社跨りの長距離列車が登場したが、1990年代にはいると景気低迷や競合交通機関発達や海外旅行大衆化による利用客減少、更に分割民営化によってJR各社の思惑の違いといった弊害が生じ、新車投入等の長距離列車の改善が進まずに高速バスなどの他交通機関に対する競争力を失って廃止が進み、2024年現在で残る長距離寝台列車は「サンライズ出雲瀬戸」のみとなっている。

空白の世代

国鉄末期、自立再建が不可能なことが明らかになったことで新職員の採用はできなくなり、JR発足当時も再生できるか不明で、新入社員の採用どころではなかった。大学卒業者(幹部候補生)の採用はJR化翌年以降再開されたが、現場において中核人材となる高校卒業者の採用再開は遅々として進まなかった。採用再開後のJR各社は、社員の年齢構成で1976年生まれより前ぐらいの中堅社員が極端に少ないという現象を生んだ。そのため、例えば運用指令にそれより若い若手の現場採用の社員が配置されるといったことが起きたという点が指摘されている[26]

労組再編

労使関係では、分割民営化に協力した全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)が現場の主導権を握った。後に方針の対立から、鉄労系中心の日本鉄道労働組合連合会(JR連合)が分裂発足する。どちらも連合に加盟している[注釈 15]。なお、国労は全労協に加盟している。

加えて東西冷戦終結やバブル崩壊労使協調路線が普及した事により、JRも含めた公共交通での先鋭的な労働争議は困難となった。結果として、政府や国鉄当局が意図したストライキや順法闘争の影響力をほぼ皆無にすることには成功した(ただし、国鉄時代は違法であったストライキは民営化によって合法的なものになっているため、ストライキ後に経営側が出す「おわび」からも、国鉄時代にあった「違法なストライキ」という言葉が消えた)。唯一の例外は動労千葉の組合員が運転士の多数を組織している、千葉県房総半島地域である。ただし、房総半島地域においても2011年以降、ストライキによるダイヤの乱れや運休は発生しておらず、以前に比べて労組の影響力は低下したといえる。

JR総連が多数派の会社では、他労組へ移籍した者に対し戻るよう執拗に詰め寄ったり、他労組の者と交流をした組合員を非難し、退職させた事例もあった[27][28][注釈 16]

一方、JR連合が多数派の会社においては、他労組に所属する者に対して昇進差別や日勤教育で、恫喝や罵声を浴びせて自殺に追い込ませる事例が報告されている[29][30][31][32][33][注釈 17]

2002年5月27日、国労組合員である中核派幹部や活動家が、同じ国労組合員に殴る、蹴る、首を絞めるなどの暴行をしたとして、10月7日、警視庁公安部は国労組合員8人を逮捕した。東京地方検察庁は勾留満期の10月28日に6人を起訴、さらにその翌日の29日、警視庁公安部は、中核派幹部である国労組合員2人を逮捕した。11月18日、2人とも起訴された[34][35]

国労はJR各社にて少数派に転落した。分割民営化に反対したため、採用されなかった国労などの組合員のうち、解雇時まで清算事業団に残った1,047名が「国労闘争団」を組織。不当労働行為であるとして、地方労働委員会に裁定を申立てた。地労委はJRに救済命令を出したが、JR各社は拒否して再審査を申立てた。中央労働委員会でも闘争団側の主張は大部分認められたが、JRは逆に労働委員会を東京地方裁判所に訴えた。民営化に賛同したJR総連やJR連合も、その経緯から会社側に対し、裁定を受け入れないよう迫った。国労・動労の過去の「悪行」(遵法闘争や上尾事件・首都圏国電暴動、スト権スト、ヤミ休暇、ヤミ超勤、酒気帯び勤務など)に対する利用者からの反発や労働運動において労使協調路線が広まったこと、日本最大のナショナルセンターである連合に加盟しなかったために他の労働組合の支援があまり得られなかったこと、分割民営化に反対しながら民営化したJRに採用させろという要求に理解が得られにくかったことなどを背景にこれらの運動に対する世論の広範囲な支持は無かった。2004年最高裁判所はJRの主張を認め、JRに責任は無い判決が確定した。先鋭化した闘争団と、国労本体との対立も深刻化した。

少数派に転落した国労は、「国鉄」がなくなった現在でも「国鉄労働組合」を名乗っている。ただし、JRが国労を相手に提訴していた損害賠償を取り下げる条件のため、国鉄の分割民営化を1995年になって認めた。分割民営化に反対した組合の労働者の排除が認められたことで、累積債務は37兆円以上に達していたが偽装倒産[36]による解雇を可能にする前例を作ったと主張するジャーナリストもいる。

巨額債務のその後

国鉄分割民営化の時点で、累積赤字は37兆1,000億円に達していた[37]。このうち、25兆5,000億円を日本国有鉄道清算事業団が返済し、残る11兆6,000億円を、JR東日本・JR東海・JR西日本・JR貨物・新幹線鉄道保有機構1991年解散)が返済することになった。経営難の予想された、JR北海道・JR四国・JR九州は、返済を免除された。

国鉄改革最大の目的といわれた巨額債務の解消であるが、結果は失敗ともいえる。一つには、国鉄時代からの累積赤字は利子複利を生み、雪だるま式に膨れあがって行き、利払いだけで年1兆円を超えるなど、手の施しようがない巨額に達していたという事情がある。これについては、赤字額が小さいうちに、日本国政府が介入をしていれば防げた事態である。しかし前述の通り、政府は独立採算の建前から、補助金の交付は最小限にして、国鉄自身に借金させる仕組みを続けさせていた。単年度に限って言えば、国鉄末期の1984年度に旅客部門は黒字に転換した[38]が、累積赤字を返済するには焼け石に水どころか、利子の返済すら全く足りなくなっていた。

民営化により市場原理を活用したことにより、本業である鉄道での収益は好転した。また、JRにとっては返済可能な程度に負担額が抑えられたこともあって、有利子負債の返済は順調に進んだ。

国土交通省は広報文書の中で、「国鉄末期には、国が多額の補助金(1985年で6000億円)を投入しても、なお1兆円を超える赤字を計上していたが、JR7社で2005年度には約5000億円の経常黒字となり、国及び地方自治体に対し、法人税等として約2400億円(2005年度)を納めるまでになった」と評価している[39]

一方で、国鉄清算事業団による返済は進まなかった。清算事業団による土地売却は、資産価値は14兆7,300億円といわれていたが、ほぼ半額の7兆7,000億円で売る見積もりを立てているなど、その計画は非常に不自然であった(詳細は日本国有鉄道清算事業団の項目を参照)。実際には、その後のバブル景気による地価高騰により、さらに資産価値は上がっており、1988年3月時点で実勢価格は、一時期30兆円を下らないと主張する評論家もいた[40]

しかし、土地売却による都市再開発が、さらに地価高騰を悪化させるとする主張がなされた結果「その地域の地価の異常な高騰が沈静化するまでこれを見合わせる」とする中曾根内閣の閣議決定など政治介入があり [41]、資産売却は予定通り進まなかった。

その後のバブル崩壊によって、土地の時価総額が急減し、土地が塩漬けにされている期間に有利子負債が嵩み、かえって債務総額は増えた。1998年平成10年)10月22日の清算事業団解散時には、国鉄から引き継いだ時に比べて、2兆8,000億円増の28兆3,000億円に達していた。結局、借金返済は独立行政法人・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の「国鉄清算事業本部」が清算事業団を承継して行っている。

清算事業団解散時にあった28兆3,000億円の借金のうち、16兆1,000億円の有利子債務は、国の一般会計たばこ特別税)に承継、つまり日本国政府の借金となった。残る債務のうち、年金等将来費用3兆4,000億円と厚生年金移換金約5,900億円を国鉄清算事業本部が、厚生年金移換金約1,800億円をJRが、これまでの負担分とは別に返済することになり、その残りは債務免除となった。

当初から苦境が予想された三島会社(JR北海道・四国・九州)のうち、JR九州は政令市・中核市を広く有する九州の地の利も生かして改革が功を奏したものの、北海道と四国は株式上場の目途さえ立たないなど深刻な経営難に陥っている。

赤字ローカル線削減

既述のように、分割民営化以前に決定された特定地方交通線の整理は民営化から3年以内に完了したが、その後地方ではそれ以外の赤字ローカル線についても過疎化少子高齢化、道路網整備によるモータリゼーション化の進展による利用者の減少により一部で廃止された[注釈 18]。一方、国鉄再建法により既存の民間運輸事業者に譲渡された2路線(下北交通大畑線弘南鉄道黒石線)はその後赤字の増加などで廃止された。第三セクター化路線も2006年4月全廃の北海道ちほく高原鉄道を皮切りに神岡鉄道三木鉄道高千穂鉄道が利用者の減少に伴う赤字の増大や自然災害による被災などを理由に全線廃止、のと鉄道は路線の大半を廃止している。黒字を計上しているのは大都市圏に近く条件に恵まれた愛知環状鉄道(同社であっても、愛知県からの補助金を差し引くと黒字計上できた期はほとんどない)などごく一部に限られており、各社に給付された転換交付金も金利低下による運用益の減少などで大きく目減りしている。2000年代以降にはいわゆる「上下分離」方式により、線路の所有と運営企業を分離した路線(若桜鉄道若桜線信楽高原鐵道信楽線)や、従来の事業者が線路の所有のみとなり運営企業を変更した路線(北近畿タンゴ鉄道宮津線)も出現している。またJR西日本はローカル線で日中に保線を行う際に列車を運休していた[注釈 19]が、対象となる時間帯は閑散時間帯とされる平日日中で、あらかじめ告知された月1回のみの実施である。

1999年鉄道事業法が改正され2000年3月から施行されたことにより、赤字路線の廃止手続きが、これまでは国の許可が必要であったものが、届出で可能に改正され簡略化された。法改正以降は、JR地方交通線のうち、可部線の末端部が2003年に廃止され[注釈 20]、2010年の災害から運休となっていた岩泉線が2014年3月限りで廃止、2014年5月12日に江差線木古内駅 - 江差駅間も廃止された[注釈 21]。江差線と岩泉線は沿線地元自治体の同意を得て廃止届が出されている[42][43]

このほか、2009年に災害で運休となった名松線の末端区間について、JR東海が廃止を地元に打診(その後自治体の協力を条件に存続)したり、2010年4月にJR西日本社長が定例会見で一部のローカル線のバス転換について関係自治体に打診済と述べるなど、一部に廃止を検討する動きが2010年代より出始めた。JR北海道は、江差線に続いて留萌本線の末端部に当たる留萌駅 - 増毛駅間を廃止する意向を2015年8月に表明し[44]、2016年6月29日に提出した廃止届により、同区間は2016年12月5日付で廃止となった[45]

JR西日本は三江線について、2016年9月30日に廃止届を提出し、2018年4月1日付で廃止した[46]。JR北海道は経営難から、乗客の少ない13の路線・区間を「維持困難路線」として2016年11月に発表して路線の所在する自治体と協議に入り、そのうち石勝線夕張支線(新夕張駅 - 夕張駅)は2019年3月限りで廃止となった[47][注釈 22]

東日本大震災で被災した路線のうち、気仙沼線大船渡線は一部の路盤を専用道路に転用の上、バス・ラピッド・トランジット(BRT)で暫定復旧された。この2路線について、JR東日本は2015年7月にBRTでの運行を継続し、鉄道としての復旧をおこなわない意向を表明し[48]、2020年4月1日付で鉄道(代行バス)としての事業を廃止した[49][注釈 23]。同じく運休中であった山田線宮古駅 - 釜石駅間)については、2014年12月に地元がJR側の示した三陸鉄道への運行移管案の受け入れを表明し、JRからは分離されることになった[50](2019年3月23日より、三陸鉄道リアス線として復旧)。

また、幹線であっても、整備新幹線の事業スキームにより(第二の国鉄を造らないため)赤字になる幹線をJRから経営分離する路線も出てきた。新幹線開業により観光客やビジネス客が大幅に増加し地元経済の発展に大きく寄与したが、在来線を利用していた地域住民にとっては新幹線が開業しても手放しでは喜べないという事態も生じた(小諸駅阿久根駅西九州新幹線の項目も参照)。

その他

国鉄の分割民営化は、その後の日本道路公団郵政民営化の手本となった。実際にJR東日本松田昌士会長が、国鉄分割民営化の成功者としての実績が認められ、道路公団民営化推進委員に選ばれている。

日本国外からの評価

中央ヨーロッパの民間長距離旅客鉄道サービスの地図。オープン・アクセス・オペレーターが国有鉄道と競争している。

ヨーロッパ諸国では、日本の教訓に学び、日本とは異なった形で民営化がなされている。イギリスのように分割民営化を行った国もあるが、ドイツのように1社による民営化を行った国がほとんどである。日本の手法と異なるのは、「上下分離方式」と「オープン・アクセス英語版」を採用している点であり、欧州連合 (EU) の指令として実施されているものである。

上下分離方式では、鉄道事業の経営主体を鉄道施設(インフラストラクチャー)の保有・維持管理主体と列車の運行主体に分離する。国家機関または国家資本による事業体が、鉄道施設管理者(en:Railway infrastructure manager)となり、線路などの固定資産国有財産(公共用財産)として保有し、維持管理する。列車の運行を引き受けた鉄道事業体(railway undertaking[51])は、鉄道施設管理者に線路使用料を支払い、列車の運行枠(en:train path)を買い取って運行する。

鉄道分野の「オープン・アクセス」とは、既存のネットワークを利用した鉄道事業への新規参入を自由化することであり、ネットワークを利用する権利を認め、国有鉄道などの既存事業者以外の第三者にも広く開放する競争政策オープンネットワーク化)を指す[52]。EUでは、オープンネットワーク政策によって、1990年代から鉄道、情報通信電力ガスなどのネットワーク公益事業の市場を自由化し、競争を促進し、欧州単一市場の形成を図った[53]列車運行会社のうちフランチャイズ方式によらないものは、オープン・アクセス・オペレーターと呼ばれる。

もともと、国際寝台車会社(ワゴン・リ社)やプルマン社、ミトローパ社のような、自前の寝台車食堂車を持ち、列車運行を行う民間会社が存在した歴史もあって、この様な方式を取り入れやすい地盤があったのである。またこの手法により、鉄道経営を活性化する効果が見られた場合もあり、特に貨物輸送では、多くの事業者が新規参入するなど、その傾向が比較的強いとされている[要出典]

ただし、ローカル輸送などの不採算部門の切り捨ては深度化していることや、輸送密度の低い既存在来線の高速化の遅れ、組織の細分化による技術力の低下(このことが結果的に、鉄道車両工業の寡占化を進めたとされる)など、これら諸国も日本と同様の問題に直面している。

ヨーロッパ諸国のうち、イギリスの場合は、非常に複雑な民営化手法を取り入れたが、株主配当に余裕資金をすべて回して経営者が高額配当を受け取り設備投資を削減した結果(「レールトラック」の記事を参照)、後に事故が頻発するなど、設備の劣化が深刻な状態になり、その結果、最近では民営化政策を一部見直して、国家が介入するようになっている。


注釈

  1. ^ 実際に導入されたのは1984年(昭和59年)の運賃改訂時である。
  2. ^ ロッキード事件で離党していた田中角栄は、民営化を含めた事業拡大は必要としつつも、分割は反対という立場であった。運輸省(現・国土交通省)も民営化に反対していた。早坂茂三『田中角栄回想録』
  3. ^ 1986年5月21日、動労新幹線各支部三役会議で葛西敬之が「私はこれから、(国労の)山崎の腹をブンなぐってやろうと思っています。みんなを不幸にし、道連れにされないようにやっていかなければならないと思うんでありますが、不当労働行為をやれば法律で禁止されていますので、私は不当労働行為をやらないということで、つまり、やらないということは、うまくやるということでありまして…」。と挨拶したという。
  4. ^ 「巨額の債務で身動きできない限界まで来ていた。結局、『自民党の右翼バネが働き、国鉄のリストラ・再生の為に左翼運動がダシにされた』という見方もできる」仁田道夫(国士舘大学教授)。週刊エコノミスト 2015年4月7日号『【国鉄スト権スト・40年目の真実】(上) 労使一体のストライキが招いた予想外の労働運動の退潮』
  5. ^ 上下分離方式や公設民営方式が採用されなかったのは、政治的な圧力によって不要不急の地方路線が多数建設されるといった弊害を防止するため。
  6. ^ 来宮駅は営業上は伊東線の駅であるが、東海道本線と伊東線は来宮駅まで並行しており、伊東線来宮駅ホームの脇の東海道本線上に熱海駅で折り返すJR東日本の列車を留置する場所があることから、運転取り扱い上は東海道本線上にも来宮駅があるものとされており、ここまでをJR東日本が管轄している。
  7. ^ なお後身の伊勢車両区は2016年3月31日に廃止。
  8. ^ 元々、日本共産党は日本共産党第6回全国協議会以降暴力革命放棄の路線で現在に至っており、左翼過激派や日本社会党(現・社会民主党)系のいわゆる「新左翼」とは敵対関係にあった。
  9. ^ のち、2015年4月より上下分離で北近畿タンゴ鉄道は第三種鉄道事業者となり、WILLER TRAINS(運営会社の愛称は「京都丹後鉄道」)が第二種鉄道事業者となっている。
  10. ^ 大阪鉄道管理局管内にある東海道本線山陽本線にまたがる複々線区間は、外側線(列車線)を本社権限(主に長距離輸送を担う特急や貨物列車)で、内側線(緩行線)を大阪局権限(主に近郊輸送を担う快速や普通列車)で、それぞれが列車の設定を行っていたため、それぞれの線路に速度の違う列車が走行するなど非効率なものであった。※当該区間の輸送実態については京阪神緩行線などを参照。
  11. ^ 自動列車停止装置(ATS)について見た場合、大手私鉄は1967年(昭和42年)1月に運輸省から出された通達により「速度照査機能」の付加と「常時自動投入」が義務化されたのに対し、国鉄は都市部の区間に導入されたS形を除いて速度照査をおこなわず閉塞区間への進入時に非常制動がかかるのみであり、私鉄に対して大きく遅れていた。
  12. ^ 優等列車を運行している都市間を結ぶ幹線の電化は七尾線(一部)、山陰本線(京都・福知山間)・舞鶴線予讃線(観音寺・伊予市間)で、それ以外は札沼線(一部)・相模線八高線(一部)・武豊線片町線(一部)・加古川線播但線(一部)・筑豊本線(一部)・篠栗線豊肥本線(一部)など、都市近郊の路線・区間が大半である。どちらにも属さない路線では小浜線や、青函トンネルの接続線として整備された津軽線江差線(いずれも一部)、大規模施設のアクセスとして整備された大村線日南線(いずれも一部)、都市から離れた新幹線駅とのアクセスとして整備された函館本線(一部)がある。
  13. ^ 福知山線脱線事故で明るみになった日勤教育問題は、一般社会においてもパワーハラスメントが社会問題化するきっかけとなった。
  14. ^ 理論上は、保安装置の技術水準が向上していることを考慮すれば、時代が進むにつれて事故率は自ずと下がってゆくことになる。
  15. ^ JR連合が連合に加盟しようとするとき、JR総連からの反対があった。
  16. ^ JR東日本でも2018年に労政転換があり、その後はJR総連傘下の労組からの脱退が相次いだため、現在ではJR東日本においてもJR総連は少数派に転落し影響力も低下している。
  17. ^ JR連合が多数派の会社で行われていた日勤教育は福知山線脱線事故の際に白日にさらされ、パワーハラスメントがその後社会問題化するきっかけともなった。
  18. ^ 後述の鉄道事業法改正以前では、所属上「幹線の一部」であった函館本線上砂川支線美祢線大嶺支線、代替交通未整備を理由に国鉄時代に廃止対象から除外された深名線がそれに当たる。また、七尾線の一部区間については、運営がのと鉄道に移管(JRは第三種鉄道事業者となる)された(のち2001年に移管区間の半分以上を廃止)。
  19. ^ 2011年3月までは、原則として代行バスも運転しなかった(JR西日本保守工事に伴う列車運休のお知らせ
  20. ^ 可部線の廃止区間のうち、可部駅からあき亀山駅(旧河戸駅付近)までの1.6kmについては電化の上で2017年3月4日に鉄道営業が復活した。
  21. ^ このほか、富山港線が2006年に富山ライトレールに移管された(一部区間は廃止)。
  22. ^ 夕張支線は、「夕張線」だった時代の石炭輸送により、国鉄再建法での区分は「幹線」であった。
  23. ^ 常磐線仙石線石巻線については鉄道での復旧を明らかにしており、石巻線と仙石線は一部線路を移設の上で、それぞれ2015年3月と5月に全線で運行を再開した。

出典

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