国鉄共済組合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:28 UTC 版)
国鉄共済組合は、国鉄職員および退職者を対象に長期給付事業(年金)、短期給付事業(医療給付)を行った共済組合。1907年に帝国鉄道庁職員救済組合として発足し、その後の官制改正による国鉄所管官庁の改編にともない、鉄道院職員救済組合(1908年-1918年)、鉄道院共済組合(1918年-1920年)、国有鉄道共済組合(1920年-1948年)と改称。国家公務員共済組合法(旧法)施行にともなって1948年7月に国鉄共済組合に改称した。その後公共企業体職員等共済組合法(廃止、1956年施行)、国家公務員等共済組合法(1984年施行)の適用を受けた。 国鉄共済組合は給付事業のほか、共済組合員である国鉄職員向けの保健事業、貯蓄・貸付事業、物資事業、住宅・宅地分譲事業を取り扱った。また全国で旅館業態の保養所70か所、ホテル業態の弥生会館9か所(いずれも1986年現在)を経営した。 このうち、物資事業を所管する国鉄共済組合物資部は「国鉄物資部」と通称され、国鉄の拠点駅や乗務員・車両基地の構内、職員アパートなどで職員向けの小売店(購買部・配給所)や食堂(食堂部)などを運営した。国有鉄道共済組合時代の1944年に、物資不足に対応するため物資部が部局・鉄道局単位に運営分離された形態を受け継ぎ、国鉄共済組合においても物資部は部局および支社、各鉄道管理局ごとに設けられた「支部」単位で運営された。 物資部の各店舗は共済組合員である職員や家族などの関係者に限った利用を建前としていたが、実際には一般客の利用も可能であった。1960年代から70年代にかけて、一般客の利用を前提としたスーパーマーケット「国鉄ストア」に形態転換する経営近代化の取り組みが進められた。このほか、地域の企業・商店が「国鉄物資部指定店」として物資部と契約を結び、国鉄職員に対し共済組合員価格で商品を販売した。 日本国有鉄道改革法等施行法に基づき、1987年4月に旧国鉄職員とJR各社の社員および退職者を対象とする「日本鉄道共済組合」に改称。のち旧3公社共済組合の厚生年金統合で、1997年4月に長期給付事業を社会保険庁所管の厚生年金に、短期給付および保健事業を新設の「ジェイアールグループ健康保険組合」にそれぞれ引き継ぎ、その他の事業は廃止またはJR系列企業などに事業譲渡した。現在は厚生年金統合の対象期間外にあたる1956年6月以前の年金事業のみを行っている。
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