国鉄再建に係る本四備讃線建設中止問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 17:20 UTC 版)
「本四備讃線」の記事における「国鉄再建に係る本四備讃線建設中止問題」の解説
第二次臨時行政調査会及び国鉄再建監理委員会は、国鉄に瀬戸大橋の鉄道部分の利用料を支払う能力が無いことを問題視し、分割・民営化の大きな障害となると考えていた。瀬戸大橋の鉄道部分の建設費4500億円に建設中の利息1500億円を加えた6000億円に対し、40年間に国鉄が支払うべき利用料は年間500億円(合計2兆円)に達するからである(当時の金利約8%による複利計算)。一方、当時の四国の国鉄の年間旅客収入は約360億円にすぎず、「鉄道計画の常識を逸脱した建設計画」を推進していたことになる。 1983年7月21日付け日本経済新聞は、国鉄再建監理委員会が「児島・坂出ルートの鉄道建設工事をとりやめるよう中曽根首相に提言する方針を固めた。8月初めに打ち出す「緊急提言」に盛り込む。」「借入金をこれ以上増やさない施策が最も重要と判断。設備投資の抑制に重点を置いており、本州連絡橋児島・坂出ルートの鉄道建設中止は緊急提言の目玉になる。」と報じた。これに対し、四国の政治家等が巻き返した結果、緊急提言に本四備讃線の建設中止は盛り込まれなかった。 瀬戸大橋は線路等の鉄道専用施設を含めて本州四国連絡橋公団(→日本高速道路保有・債務返済機構)の所有であるが、鉄道専用施設の建設費にかかる債務については日本国有鉄道清算事業団(→日本鉄道建設公団→鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が承継しており、鉄道部分のうち鉄道専用施設以外の建設費は本州四国連絡橋公団が、鉄道専用施設の建設費は日本国有鉄道清算事業団が負担したことになる。協定によりJR四国が負担する利用料は鉄道部分の維持管理に必要な経費に対応する額のみとされたため、本州四国連絡橋公団・日本国有鉄道清算事業団は他の収入により建設費にかかる債務を償還する必要に迫られたが、いずれも見込み通りの収入を得ることができなかったことから償還が滞り、債務の一部を一般会計が承継している(詳細は各団体の記事を参照)。
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