hate crimeとは? わかりやすく解説

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ヘイトクライム


ヘイトクライム

英語:hate crime

 「ヘイトクライム」とは、憎悪犯罪のことを意味する表現である。

「ヘイトクライム」とは・「ヘイトクライム」の意味

「ヘイトクライム」は、「憎悪犯罪」を意味する英語表現「hate crime」を、カタカナ表記したものである。「hate」は「憎むこと」を意味し、「crime」は「犯罪」という意味だ。「hate」と「crime」はそれぞれ、「ヘイト」「クライム」という表記で、日本語表現の中で使用されることがあるヘイトは、相手から敵意向けられることを意味する表現であり、クライムは元の単語通り犯罪を指す。その2つが合わさり、ヘイトクライムになると、意味合いが変わる。

ヘイトクライムは、特定の人種民族性的指向持った人に対す犯罪を指す。差別進んだ結果として発生することが多い犯罪である。暴行脅迫強盗など、種類は特に重要視されない。人種性的指向など、特定の属性対す憎悪動機になっている犯罪であればひと通りヘイトクライムと呼ぶことができる。

ヘイトクライムは、憎悪犯罪という意味であるため、個人的な憎悪動機となった犯罪含まれる、という誤解をされることがある。しかし、ヘイトクライムはあくまでも特定の属性対す憎悪動機になった犯罪限定される会社リストラされた、恋人から酷い別れ切り出されたなど、個人的な憎悪動機となる犯罪は、ヘイトクライムには当たらない

ただ、日本において、具体的にどういった犯罪がヘイトクライムに当たるのか、明確な定義付けはされていない。ヘイトクライムを取り上げている辞書も、出版社によって細かな定義が異な場合がある。人種民族などに対す憎悪動機であれば明確にヘイトクライムであるとわかる。けれど、特定の企業対す差別的な憎悪や、差別的な憎悪個人的な憎悪混在する場合など、ヘイトクライムであると明言するのが難し場合もある。そのため、ヘイトクライムの定義について議論されることも少なくない

日本における代表的なヘイトクライムとしては、2021年京都ウトロ地区発生した放火事件挙げられるウトロ地区は、大勢在日コリアンが住む場所である。放火行った犯人は、裁判において、韓国人対す敵対感情が動機であったことを明かした。そのため、ヘイトクライムとして扱われるようになった。そして、ヘイトクライムである点が、判決の内容影響与えたり法律専門家による議論巻き起こしたりする結果となった

世界規模見れば日本人もヘイトクライムのターゲットになることがある実際日本人ジャズピアニスト2020年に、アメリカニューヨークでヘイトクライムの被害遭った例がある。アジア人であるというだけの理由で、複数人から暴行受けたその結果右腕骨折するなどの重傷負い一時ジャズピアニスト生命危ぶまれた。

ヘイトクライムに似た言葉に、「ヘイトスピーチ」というものがある。特定の人種民族性的指向を持つ者に対して言葉使って攻撃することを指す言葉だ。差別的な発言であり、モラルには反するが、ヘイトクライムのように、必ずしも犯罪行為該当するとは限らない。ただ、ヘイトスピーチ中には殺害予告など、法律抵触するものもある。そのようなヘイトスピーチは、ヘイトクライムの一種であると捉えられるまた、日本の自治体中にはいかなる内容であってもヘイトスピーチ全てヘイトクライムであると考えヘイトスピーチ禁止する条例設けているところもある。

現代では、ヘイトクライムは、撲滅されるべきものである認識されている。そのため、法律によって規制されたり、自治体主導による周知活動実施されたり、ヘイトクライム撲滅訴え映画作品作られたりするといった対策取られている。また、ヘイトクライムの実情世間知らしめるために、実際に起こった犯罪行為捉えた動画拡散されることもある。

ヘイト‐クライム【hate crime】

読み方:へいとくらいむ

人種宗教、性に対す偏見差別などが原因で起こる犯罪憎悪犯罪


ヘイトクライム

(hate crime から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 17:25 UTC 版)

ヘイトクライム: hate crime憎悪犯罪[1])とは、人種民族宗教、などに係る、特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる、嫌がらせ、脅迫、暴行等の犯罪行為を指す[2]。アメリカ連邦公法によれば「人種・宗教・性的指向・民族への偏見が、動機として明白な犯罪 (Public Law101-275) 」と定義されている[3][4]


注釈

  1. ^ : Ku Klux Klan Act
  2. ^ : federally protected activities
  3. ^ : Hate Crime Statistics Act of 1990
  4. ^ : Hate Crimes Sentencing Enhancement Act of 1994
  5. ^ 例えば過重暴行の場合、判決ガイドラインに定められた基本となる反則レベルは15だが、ヘイトクライムが認められた場合18となり、実際の判決も「禁固18カ月 - 24カ月」から「禁固27カ月 - 33カ月」と厳しくなる。
  6. ^ : Racial hatred offences。日本語訳については(元山(1988))

出典

  1. ^ [1] デジタル大辞泉 - コトバンク
  2. ^ a b ブリタニカ百科事典ヘイトクライム (英語)
  3. ^ (新恵里 2001, p. 141)
  4. ^ PUBLIC LAW 101-275—APR. 23, 1990” (PDF). 2015年11月閲覧。
  5. ^ a b c d e 前嶋和宏 2001.
  6. ^ “NYで線路に男性突き落とし殺害 女訴追、憎悪犯罪か”. 共同通信社. 47NEWS. (2012年12月30日). https://web.archive.org/web/20140201191852/http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012123001001181.html 2014年1月29日閲覧。 
  7. ^ 米、ヘイトクライムで3人訴追 黒人学生を侮辱、暴行 47NEWS(よんななニュース) 2013年11月23日
  8. ^ Pat Buchanan Dis-Integrating America Townhall Aug 28, 2015
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  10. ^ バイデン氏、アジア系標的のヘイトクライムを非難 「米国らしくない」”. AFP (2021年3月12日). 2021年3月14日閲覧。
  11. ^ いきなり顔を横一直線に切られ……急増するアジア系アメリカ人への暴力
  12. ^ a b c https://www.vogue.co.jp/change/article/celebrities-stop-asian-hate
  13. ^ 「全てのアジア人殺す」米でアジア系女性ら8人殺害2021/03/19 15:15テレ朝ニュース
  14. ^ アジア系女性、突然蹴られ重傷 NY、ヘイトクライムか:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年11月3日閲覧。
  15. ^ 日本人女性を暴行した韓国人 差別的発言に韓国TVも「ピー音」だらけ”. ライブドアニュース. 2019年11月29日閲覧。
  16. ^ "헌팅 거절하자 때려"…홍대 폭행사건 日여성, 법정서 '눈물'” (朝鮮語). news.naver.com. 2019年11月29日閲覧。
  17. ^ 韓国の「弘大日本人女性暴行」30代男性、拘束起訴”. 中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします. 2019年11月29日閲覧。
  18. ^ 編集部. “韓国・日本人女性暴行事件、「チョッパリ!」に透ける韓国人の“根深い反日感情””. ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る. 2019年11月29日閲覧。
  19. ^ 韓国人の暴行事件に『ゴゴスマ』で武田邦彦が「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」とヘイトクライム煽動 (2019年8月28日)”. エキサイトニュース. 2021年4月26日閲覧。
  20. ^ 朝鮮学校で「スパイの子」 “抗議行動”を告訴へ”. 47NEWS (2009年12月18日). 2009年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月26日閲覧。
  21. ^ 『世界』(7月号)中村一成「ヘイトクライムに抗して──ルポ・京都朝鮮第一初級学校襲撃事件」[リンク切れ]
  22. ^ “社説[障がい者施設殺傷]兆候は幾つも出ていた”. 沖縄タイムス. (2016年7月27日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/49918 
  23. ^ “相模原・障害者殺傷 ヘイトクライム許さない 「優生思想、尊厳抹殺の克服を」”. 東京新聞. (2016年7月16日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201607/CK2016073002000275.html 
  24. ^ 伊藤乾『京都アニ放火殺人の本質はヘイトクライム』(JP press 2019.7.30)[2]※学術博士(東京大学)
  25. ^ 伊藤乾 (2019年7月30日). “京都アニ放火殺人の本質はヘイトクライム (6/7)”. gooニュース. 日本ビジネスプレス. 2019年12月7日閲覧。
  26. ^ 京都・ウトロ放火は「ヘイトクライムの可能性」 市民団体が根絶目指し声明”. 京都新聞 (2021年12月15日). 2021年12月16日閲覧。
  27. ^ 18 U.S.Code§245
  28. ^ 元山(1988).
  29. ^ Anti-terrorism, Crime and Security Act 2001. Part5 Race and Religion. 40 Racial hatred offences: penalties In section 27(3) of the Public Order Act 1986 (c. 64) (penalties for racial hatred offences) for “two years” substitute “ seven years ”.(legislation.gov.uk)[3]
  30. ^ 日本国憲法における「表現の自由」の意義、梅山香代子
  31. ^ 山口厚『刑法総論』有斐閣大谷實『新版 刑法講義総論』成文堂、裁判所職員総合研修所監修『刑法総論講義案』司法協会大塚仁『刑法概説(総論)』有斐閣ほか刑法総論の基本書多数あり。
  32. ^ 東京新聞 (2013-3-29)「こちら特報部 欧州との違い 法規制なし」
  33. ^ 前田朗『ヘイト・クライム法研究の射程 人種差別撤廃委員会 第79会期情報の紹介』pp. 5-13 NAID 40019492803
  34. ^ 前田朗『ヘイト・クライム法研究の射程 人種差別撤廃委員会 第79会期情報の紹介』pp. 12-13 NAID 40019492803
  35. ^ ヘイト・スピーチ処罰は世界の常識である(前田朗Blog)を参照。
  36. ^ a b 第183回国会 参議院法務委員会 第7号 [4]
  37. ^ : Hate Crimes Sentencing Enhancement Act of 1994
  38. ^ ジェームス・ジェイコブス英語版(ニューヨーク大学法科大学院教授)など
  39. ^ Jacobs and Potter,Hate Crimes
  40. ^ James Morsch,“The Problem of Motive in Hate Crimes: The Argument against Presumptions of Racial Motivation,” Journal of Criminal Law and Criminology 82 (1991) 659-96
  41. ^ (新恵里 2001)
  42. ^ 月刊機関紙『法と民主主義』435号(日本民主法律家協会、2009年1月)<刑事法の脱構築 1> 「人種差別の刑事規制について」
  43. ^ “憎悪の表現と法規制 ヘイトスピーチ 朝日新聞「報道と人権委員会」”. 朝日新聞: p. 朝刊12版9面. (2015年7月21日). http://digital.asahi.com/articles/DA3S11871163.html 


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