判決の内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/13 16:34 UTC 版)
「R.A.V.対セントポール市事件」の記事における「判決の内容」の解説
この事件においては、条例を違憲とした結論は9人の判事全員が一致した所であったが、アントニン・スカリアが執筆し、ウィリアム・レンキスト、 アンソニー・ケネディ、デイヴィッド・スーター、クラレンス・トーマスの5人が同調した多数意見と、その他の4人の判事が支持した同意意見は大きく内容を異にするものであった。 4人の少数派の判事が支持した同意意見は、「喧嘩言葉」である場合にはヘイトスピーチを処罰することを容認していた。一方、スカリアをはじめとする多数意見を支持した判事たちは、本条例が表現の自由における見解中立原則に反することを問題視した。見解中立原則とは、国家が特定の立場に与するような表現規制を行うことを禁じる原則であり、例えばリベラルな表現は容認し、保守的な表現は規制するという対応を取ることは絶対的に禁じられる。 多数派の判事らは、セントポール市のヘイトスピーチ禁止条例は、レイシストが酷く罵られることを容認している一方で、レイシストがそれに対して黒人やユダヤ人に対して罵り返す権利を不当に奪っていると考えた。スカリアは、この状況を「論争の片方の陣営にクインズベリー・ルールの順守を義務付ける一方で、片方の陣営にはフリースタイルで戦う許可を与える権限を、セントポール市は持っていない」と批判し、セントポール市の条例はヘイトスピーチを狙い撃ちしていることこそが問題の本質であるとされ、違憲無効とされた。
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