判決の履行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/12 05:44 UTC 版)
「判決 (国際司法裁判所)」の記事における「判決の履行」の解説
国連憲章第94条第1項ではICJの判決には法的拘束力があると定められる。しかし国家権力が判決履行を強制する国内裁判と違い、その国家が当事者となるICJの裁判においては国家の上に立つ世界政府などといった国家に判決を強制する権力は存在しない。一方の紛争当事国がICJの判決に従わない場合、もう一方の紛争当事国は国連安保理に提訴することができるとされているが(国連憲章第94条第2項)、そうした場合の安保理の手続きや措置については明確な定めはなく、国連憲章第7章に基づく安保理の強制措置に関する決定は安保理常任理事国の拒否権行使が認められているため(国連憲章第27条第3項)、常任理事国が紛争当事国となりICJの判決履行を拒否する場合には、紛争当事国たる安保理常任理事国に対して強制措置が発動する可能性は極めて低い。常任理事国によりICJの判決が履行されなかった事例としては1986年のニカラグア事件が挙げられる。もっとも、ICJの判決はほとんどの場合自発的に履行されており、ニカラグア事件のように当事国が履行を拒否するケースはまれである。
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