判決の主旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 08:19 UTC 版)
「クリッパートン島事件」の記事における「判決の主旨」の解説
メキシコはクリッパートン島はスペインが発見したパッシオン島もしくはメダスノ島と同一であり、ローマ法王アレクサンデル6世の勅書によりスペインに帰属したのち1836年以降はメキシコが継承したと主張していた。この主張に対し判決は、このスペイン人が発見した島と同一であるとする証明はないとして、仮に同一であっても「スペインは編入する権利を持つだけでなく、その権利を実効的に行使したことを証明する必要がある」としたうえ、メキシコが提出した「証拠」の地図は公的に製作されたものとは確認できないとして退けた。またメキシコが同島に対する自国主権の行使は1897年であり、歴史的権利をメキシコが有していたと証明できない。 一方、フランスは1858年に領有する意思を明確に示しており、たとえ主権の表示をのこさず離島しても、布告・通告・公布・新聞による公表で領有は成立している。よってフランスは先住民が存在しない無主地を先占したものであり、占有の実行が完成している。またフランスが主権的行使をしなかったため同島の権利を遺棄し失ったというメキシコの主張については、権利を放棄する意思を持っていないため、認定できないとした。 また欧州列強による領有宣言を列強諸国に通達することを義務つけた1885年のベルリン議定書35条違反であり同島の領有は無効というメキシコの主張については、領有宣言が同議定書締結以前であるうえ、同議定書はアフリカ大陸対象であり、メキシコは非締結国でありこの義務を考慮する必要はないとした。 以上のことから、無人島の領有権を取得できる先占が成立する条件として、発見だけでなく領有意思の有効な表示と実効的占有が必要であり、島を最初に発見したスペインおよびメキシコではなく領有意思を最初に表明したフランスにあるとした。
※この「判決の主旨」の解説は、「クリッパートン島事件」の解説の一部です。
「判決の主旨」を含む「クリッパートン島事件」の記事については、「クリッパートン島事件」の概要を参照ください。
- 判決の主旨のページへのリンク