宇宙世紀 公式設定の定義

宇宙世紀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 09:57 UTC 版)

公式設定の定義

宇宙世紀のガンダムシリーズはアニメ以外にも漫画・小説・ゲームなど多数の派生作品が作られており、それらを一本の線で繋いだ場合、どうしても歴史や設定の矛盾が生じていることがある。シリーズの原作者である富野由悠季は「皆さんなりにガンダム全史みたいなものを作っていただければ良い」と語っている[11]

2005年当時のサンライズ企画開発室室長・井上幸一によれば「ガンダムワールドにおけるサンライズ公式設定と呼ばれるものは厳密に言えば、映像化されたもの、映像作品の中に登場するものに限って認められると考えていいということです。しかし、サンライズが監修し出版許可を出した書物やゲームに登場するオリジナル設定も広義的には準オフィシャルと言えるかもしれません。(例.講談社、ストリームベースが主導で設定した『MSV』シリーズ)また映像化されていないといっても、富野由悠季が執筆した小説なども皆が正史と捉えますよね?そもそもファーストガンダム自体が劇場版、TV版、小説版で違っているわけで、本当のところを言うと困ってしまう訳です。」、「言ってしまえば、サンライズ公式の他にもガンダムにおけるオフィシャルはいくつも存在してるんです。過去に『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』と言う百科事典が出ましたが、あれはいくつもあるオフィシャルを1つにまとめた結果で、だからオフィシャルの複数形という造語をタイトルに据えた訳です。」、「TVシリーズの狭間を埋める形で制作された『0083』などの宇宙世紀のOVA作品も結局『ガンダムセンチュリー』と似たようなことをやっている『0083』と『ファースト』と『Zガンダム』になるべく干渉しないように配慮しながら新しい設定を作っている。"ガンダムの内部構造をこう考えたらもっと楽しめるのでは?”設定のお遊びの一つなんです。」と語っている[12]

宇宙世紀を舞台としたアニメ作品であっても、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や『機動戦士ガンダム サンダーボルト』は正史とは設定や物語を大きく変更した独自の異説として扱われた上で公開された。 『サンダーボルト』のプロデューサーを務めたサンライズの小形尚弘は2016年のインタビューで「『サンダーボルト』は正史か、パラレルかっていう問題はあったんですが、正直つくっているこっち側は、そんなに意識している訳じゃないんです。前までは映像化されたものが正史という考え方だったんですが、河口さんも先ほどおしゃっていたように、ガンダムの幅がどんどん広がってきて、『サンダーボルト』に関しては、たまたまスタジオ的にタイミングがよかったっていう理由が大きいですね。制作する中で、もちろんサンライズがやるからには正史に組み込んでいいようには作るんですけど、ただそれをあんまりやり過ぎると太田垣先生の味がなくなってしまうので、そこに関しては半分パラレルでいいのかなって思いながら作っていました。『サンダーボルト』は、ガンダムという舞台設定だけ借りた、富野さんが昔言っていたように何回目かの宇宙世紀っていう考え方でいいじゃないかと思いますね(笑)。海外のコミック映画みたいに監督が代わると見え方も変わるっていうやり方も、今のガンダムというコンテンツであればこその許容力はできているんじゃないかと思います」と公式設定と正史を半ば混同した見解を語っている[13]。しかし2018年には、『サンダーボルト』は宇宙世紀の本伝ではなく、パラレルであると改めて言及している[14]

また、『アウターガンダム』や『機動戦士クロスボーン・ガンダム外伝』のエピソードの一つである「猿の惑星」のような特に明示されていない物については公式の映像作品に対して大きな矛盾が発生する描写や設定の存在する作品が便宜上異説扱いとされる場合が多い。独自設定を多く含む作品においては作者などが明らかな異説であることを断言する場合もある。 映像化されていない派生作品であっても公式に準じるものとして扱われている作品もある。例えば、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編として書かれた小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や漫画原作の『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』、富野由悠季が直接制作に関わっている漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』など、これらはコンピュータゲームなどにおいて他の作品と同格に扱われている[注 3]。 その他の作品については時代毎に様々な公式のメディアで発表される「年表」などを元に設定が正史に準ずるか否かが個人的に判断されることもあるが、それらを比較した場合にもまた内容に食い違いが発生する箇所が多いため、抜粋の有無にかかわらず既に公式の正史とされる映像作品を除くその他の作品についての記述の信憑性についてははっきりしていない。 近年発表されたサンライズ公式年表としては、2014年の公式PV『100秒でわかる「機動戦士ガンダムUC」』(U.C.0001〜0153)、2018年からサンライズ監修により刊行されている『週刊ガンダム・モビルスーツ・バイブル』[15](U.C.0001〜0153)がある。また、東京ダイバーシティに出店している『ガンダムベース東京』でのイベントで掲示される年表も〜U.C.0153、つまり機動戦士Vガンダム』までとなっている。

富野由悠季が1980年代後半に執筆した小説『ガイア・ギア』は、時代設定としては宇宙世紀200年台とされており、ラジオ・ドラマ版では宇宙世紀0203年頃が舞台とされている。執筆時期の関係で小型化MSが繁栄した『機動戦士ガンダムF91』の時代よりも『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の続編的性質が強い。現在は年表にそのほかの宇宙世紀作品として紹介されている[16]




注釈

  1. ^ 映像作品に大学は登場していないが、カイ・シデンが一年戦争後ベルファスト大学に通っていたとする資料がある[4]
  2. ^ 正式名・略称ともに『機動戦士ガンダム』第1話の台本で確認できる[5]。ただし、設定画では「エレカー」と表記されている[6]
  3. ^ SDガンダム GGENERATION』シリーズや『第2次スーパーロボット大戦α』など、多数。
  4. ^ ただし、1994年から刊行されている近藤和久の『機動戦士ガンダム0079』は、2005年発行のVol.12(最終巻)まで「宇宙世紀公式年表」が掲載された。
  5. ^ 連載誌『MS SAGA』では前作『強化人間物語 ANOTHER Z GUNDAM STORY』(宇宙世紀0088年)から912年後と記載されたが[30]、起点を宇宙世紀0088年とするなら該当するのは宇宙世紀1000年であり、1160年ではない。

出典

  1. ^ 『機動戦士ガンダム・記録全集1』日本サンライズ、1979年12月、124頁。
  2. ^ ガンダムの宇宙世紀でインフレは起きたのか? (2/5) - ITmedia
  3. ^ ガンダムの宇宙世紀でインフレは起きたのか? (4/5 - ITmedia
  4. ^ 『機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル U.C.0083-0099』エンターブレイン、2004年1月、32頁。
  5. ^ 『機動戦士ガンダム・記録全集1』172頁。
  6. ^ 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイヴ』メディアワークス、1999年6月、209頁。
  7. ^ 『アニメック』第16号「機動戦士ガンダム大事典」ラポート、1981年8月、102頁。
  8. ^ 『機動戦士ガンダム MS IGLOO グラフィックファイル』アスキー・メディアワークス、2009年12月、174頁。
  9. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日初版発行、88-90頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  10. ^ 『週刊ガンダム・ファクトファイル 第137号』デアゴスティーニ・ジャパン、2007年6月12日、31頁。
  11. ^ 『夜のG-レコ研究会〜富野由悠季編〜』より
  12. ^ 『Great Mechanics vol.15』双葉社、2004年12月15日初版発行、44頁。(ISBN 978-4-575-46425-2)
  13. ^ アキバ総研: アニメとアキバ系カルチャーの総合情報サイト 「機動戦士ガンダム サンダーボルト」、オリジンと合同のプロデューサートークショーレポート!
  14. ^ ガンダム「UC NexT 0100」は宇宙世紀100年の"本伝"描く決意表明だった”. マイナビニュース (2018年4月23日). 2020年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月4日閲覧。
  15. ^ デアゴスティーニ公式サイト
  16. ^ 『サンデー毎日2015.11.1』138ページ
  17. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダムMS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、63頁。
  18. ^ 近藤和久『機動戦士Ζガンダム Vol.1』メディアワークス、1994年4月15日、6頁。
  19. ^ 『電撃ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム大図鑑2【ザンスカール戦争編】〈下〉』メディアワークス、1994年7月15日、53頁。
  20. ^ 『データコレクション2 機動戦士ガンダム 一年戦争編』メディアワークス、1996年11月15日、63頁。
  21. ^ 『データコレクション5 機動戦士Ζガンダム 下巻』メディアワークス、1997年7月15日、63頁。
  22. ^ うしだゆうじ『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』メディアワークス、2002年12月19日。
  23. ^ 『機動戦士ガンダム大事典(アニメック第16号)』ラポート、1981年8月1日、80頁。
  24. ^ 漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』8ページ掲載の『宇宙世紀公式年表』より。
  25. ^ 電撃ENTERTAINMENT BIBLE『機動戦士ガンダム大図鑑1【ザンスカール戦争編】(上)』(メディアワークス・1994年)59頁。
  26. ^ 電撃ENTERTAINMENT BIBLE『機動戦士ガンダム大図鑑2【ザンスカール戦争編】(下)』(メディアワークス・1994年)57、59頁。
  27. ^ SDガンダム GGENERATION』シリーズなど。
  28. ^ 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 公式サイト 制作スタッフ欄上部より。
  29. ^ 小説『G-SAVIOUR』上巻212ページより
  30. ^ a b 『MS SAGA vol.6』バンダイ、メディアワークス、165頁より
  31. ^ 「月刊ガンダムエース 2014年11月号特別付録 THAT's ALL TOMINO」29ページ
  32. ^ 「月刊ガンダムエース 2014年11月号特別付録 THAT's ALL TOMINO」29ページ
  33. ^ 「月刊ガンダムエース 2014年11月号特別付録 THAT's ALL TOMINO」22ページ
  34. ^ 「月刊ガンダムエース 2014年11月号特別付録 THAT's ALL TOMINO」29ページ


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